皇帝(さうざあ)君と命名なら親が説明求められるかも
輝星(べが)くん、皇帝(しいざあ)君、皇帝(さうざあ)君。今年5月に改正戸籍法が施行されることを受け、いわゆる難読ネームがどうなるのか、気になるところです。昨年12月の産経報道によれば、一般的な読み方ではない新生児の名前の届け出があった場合、自治体が親らに対し、理由を示す説明書きを求める方針なのだそうです。今年も030303の苦悩は広まるばかり、といったところでしょうか。
皇帝(さうざあ)君や金星(まあず)ちゃん
以前から当ウェブサイトではしばしば取り上げてきた問題のひとつが、「難読ネーム」です。
この「難読ネーム」、明確な定義はありませんが、一般には「読めない名前」のことを指すことが多く、以前の『「輝星(べが)君の改名問題」について考える』などでも取り上げたとおり、「黙字」「豚切り」「謎掛け系」などに分類できるようです。
- 同じ読みの漢字を繰り返す、あるいは読まない漢字を入れる(例:「昊空(そらそら)」で「そら」)
- 「心」を「こころ」ではなく「ここ」、「愛」を「あい」ではなく「あ」という具合に、漢字の読みを途中でぶった切る
- 無理やり意味を当てはめる「なぞなぞ系」(例:「七音」で「どれみ」、「男」で「あだむ」)
とりあえず著者自身が現時点までに集めてきた事例としては、こんなものがあります。
- 皇帝(しいざあ、さうざあ、ふらんつ、れおん、かいざあ…等)
- 輝星(べが、きら、らいと…等)
- 七音(どれみ、りずむ…等)
- 金星(まあず)
- 紅葉(めいぷる)
- 偉人(ぐれいと)
- 大海(おうしゃん)
- 凸(てとり)
- 男(あだむ)
- 兎良(ばにら)
- 揺無(ゆるぎな)
- 恋空(るあ)
- 雪(あな)
- 主人公(ひいろう)
- 諸星(らむ)
- 赤彗星(しゃあ)
- 混乱(まぜらん)
- 今鹿(なうしか)
- 海月(みづき)
- 心太(しんた)
- 遊女(ゆな)
- 逢鳳(あお)
…。
意味が違う?謎掛け系?それとも…
これらに関しては、大きな傾向として、次のことがいえるかもしれません。
名前が違う意味を帯びている
例:海月(くらげ)、遊女(ゆうじょ)、心太(ところてん)
名前が漢字の当て字である、または読み方と部分的に合っているが読みが一般的でない
例:「兎良(ばにら)」は「兎」を「ばに(-)」と呼んだもの?ほかに「揺無(ゆるぎな)」「恋空(るあ)」など
完全な謎掛け系
例:「凸」という漢字はテトリスのブロックのひとつを連想させるものであるため
改正戸籍法で氏名の振り仮名が明記へ
こうしたなかで、今年5月26日に施行されるのが、改正戸籍法です。
令和7年5月26日施行・改正戸籍法第13条第1項
戸籍には、本籍のほか、戸籍内の各人について、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 氏名
二 氏名の振り仮名(氏に用いられる文字の読み方を示す文字(以下「氏の振り仮名」という。)及び名に用いられる文字の読み方を示す文字(以下「名の振り仮名」という。)をいう。以下同じ。)
<以下略>
また、改正戸籍法第13条第2項では、同時に、こんな規定も設けられます。
「前項第二号の読み方は、氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」。
「金星」で「まあず」はおそらく論外ですが、「皇帝」で「さうざあ」、「金星」で「うえぬす」なども、同第2項に照らすと、なんだか厳しそうな気がしてなりません。
さて、それはともかくとして、改正戸籍法施行に伴い、法務省はこんなウェブサイトを公表しています。
戸籍にフリガナが記載されます
―――法務省ウェブサイトより
同サイトによると、おそらくは次の通りです。
- ①施行日から1年以内に振り仮名を市区町村役場に届け出る
- ②施行日から1年以内に届け出がなければ市区町村側で振り仮名が戸籍に追加される
- ③戸籍に記載される予定の振り仮名を通知する書面がお住いの市区町村役場から届く
…。
何度か読み返してみたのですが、②と③がどういう関係にあるのか、あるいは①と③がどういう関係にあるのか、法務省の記載があいまいであり、理解に苦しみます。
どういう順序でどういう手続きが踏まえるのか、どうウェブサイトを見ても、なんだかよくわかりませんが(※といっても、これも役所のウェブサイトにはありがちなことです)、いずれにせよ、施行日から1年後の2026年5月26日以降に戸籍を取ると、戸籍に名前の振り仮名が記載されているはずです。
親に説明を求める方針
こうしたなかで、産経ニュースが昨年12月、こんな内容を報じました。
「キラキラネーム」の届け出、親に理由の説明求める方針 来年5月施行の改正戸籍法で
―――2024/12/16 17:57付 産経ニュースより
産経によると、戸籍に振り仮名が記載される戸籍法改正を受け、「いわゆるキラキラネームなど一般的な読み方ではない新生児の名前の届け出があった場合」に、自治体が親らに対し、「理由を示す説明書きを求める運用」を予定していることが判明したのだそうです。
具体的には特殊な読み方をする場合、それらを書面に記すよう求め、辞書、雑誌などの参考資料の添付も可能、などとしています。
ただ、いわゆるDQNネームを氾濫させる原因を作った雑誌をもとに、「この雑誌にこう書いてあるでしょ?」、といわれても、市区町村役場の人としては、なんだか困らないでしょうか?
心配でなりません。
いずれにせよ、名付けを巡る混乱は、改正戸籍法の施行により、却って加速するのかどうか。
2025年の赤ちゃん名づけランキングには注目したいと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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こういう「キラキラネーム」も、いずれ歴史の教科書に「昏迷した時代の産物」として、忌むべき存在という教えられ方をするのかと思います。
その頃にはキラキラネームを憂う世代は存命でなくなり、そんな名前をつけられた世代は「戦争体験」のような公演会でもしてるのでしょうか。
60年くらい前、選挙ポスター(都議会か区議会)で下の名前が二千六百年という人がいた。たぶん昭和15年(紀元2600年)生まれなんだろう。
なんと読むかは知らない。
社会人になって名刺交換した人で下の名前が「八」という人がいた。犬のような名前だと思ったが、たぶん「八紘一宇」からとったんだろう。
なんと読むかは知らない。
経験上「かずとし」だと思いますね
長年住民窓口にいたので大概の名前は何となくわかりますが、フリガナと性別は絶対に油断は禁物で厳重に確認して登録します
え?これで男?女?なんてのがゴロゴロしてます
名前の元ネタになった漫画が人気かあるか、その人気が続くかどうかで、違ってくるのでは。また、その読み方が一般的になるかどうかでも。
小鳥遊で「たかなし」ですが、初期は、これもキラキラネームだったのでしょうか。そして、その時は、昔の某会計士が文句を言っていたのでしょうか。
苗字は関係ないでしょう。
難読苗字で思い出したけど、難読地名というのもありますね。
平成の大合併の時に、難読地名の自治体が、自治体名を平仮名にしたりしたけど、あれはむしろ伝統の破壊だと思いますね。
小鳥遊(たかなし)や四月一日(わたぬき)はキラキラ苗字ですね。
言葉遊びの延長線上にあったものが明治以降、姓の変更が困難となって歴史となり伝統となったのでしょう。
読みにくい名前の元祖は、天皇家や公家の娘の名前かもしれません。
キラキラネームが流行って「子」型の名が廃れることによって、その家の身分が顕在化していくかもしれませんね。
近々法務局が戸籍へのフリガナ記載に関する地区の市町村向けの説明会をやるやに聞いてましたが、数年前、当初法務省では従前の原理原則を通そうと、基本的に戸籍に記載してる者からの届け出によってフリガナを戸籍に記載させる、と言ってたんですよね。そんなアホな、無理に決まってる。といわれてましたが、結局は通知〜申し出なしなら住基に登録されてる内容がそのまま記載されるようです。
ちなみに2012年の住基への外国人追加の際にも同様の方法を採用してます。
会社の中でのある外注システムでは、仕様で常用漢字しかダメだから、斉藤や高橋など人名漢字のバリエーションは全て1種のみで強制ですわ。
外人さんだとまた大変。
中国や韓国はまだなんとか。
欧米でも全角カナでなんとか。
東南アジアやアラビヤ文字だとお手上げ。
読めないし発音を文字起こしできないし全角32文字で収まらんとか。
キラキラさん、かわいいね。(笑)
個人的には、月並みな名前の匿名性こそが草薙素子の光学迷彩みたいに、現実社会で役に立つ!と思ってます。