自民公明維新はついに減税抵抗勢力と化してしまうのか
国民民主党が掲げた「手取りを増やす」は、どうも実現しない可能性が濃厚になってきたようです。日本維新の会が自公との合意を承認する見通しとなったことに加え、国民民主党側が自公の提案した「所得制限付き基礎控除」に賛成しない可能性が高くなってきたからです。ただ、これが自民党にとって良いことかどうかはまた別の議論でもあります。
自公が過半数割れの状況で…
自民党にとっては、非常に良くない兆候が生じてきたのかもしれません。
現在の衆議院では(統一会派ベースでも)自民党が過半数を割り込んでいる状況であり、連立相手の公明党と合わせてもなお過半数には届きません。このままだと予算案すら通せないため、自民党にとっては議会第3会派の日本維新の会か、第4会派の国民民主党か、少なくともそのいずれかとの連携が必要です。
しかし、逆に言えば、現在の自民党にとって、維新か国民民主のいずれかとの協力を取り付けることができれば、予算案を通すことが可能であり、先日の『「手取り増やす」は維新が潰す?』でも触れたとおり、その「自民の協力者」の席に維新が座る可能性が濃厚になってきました。
もちろん、これから自民党(と公明党)が国民民主党側にさらに「譲歩」する、という可能性もないわけではないのですが、ただ、現状で判断する限り、自公と維新が政策で合意し、国民民主が「置き去り」となる可能性が高くなっている、と考えざるを得ません。
維新は自公との協議で政策合意案を了承へ
実際、25日付でこんな報道が出てきました。
【速報】維新、緊急役員会で教育無償化など政策合意案を了承
―――2025年2月25日 12:22付 TBS NEWS DIG Powred by JNNより
TBSによると維新は25日、緊急の役員会を開き、3党の合意案を了承したそうです(似たような内容は、ほかにもいくつかのメディアが報じているようです)。
問題は、維新内部で「造反」が生じるかどうか、ということでしょう。
衆院ウェブサイトによると統一会派ベースで自民党は196議席、公明党は24議席、合計して220議席ですので、過半数ライン(233議席)まで13議席不足しています。
維新は38議席を保持していますので、自然に考えればこの時点で自公維3党で過半数を25議席超過し、予算案は問題なく通ります。
もちろん、仮に―――あくまでも「仮に」、ですが―――、維新で大挙して造反が発生すれば、予算案が否決される、という可能性はあるでしょうが、さすがに維新の38議席のうち26議席が造反するとも考えづらいところです。
国民民主は基礎控除の所得制限撤回を要求
その一方で、国民民主党は自公側が先週示した案(『今度の減税「与党案」は基礎控除が8つの区分に複雑化』等参照)に賛成するかどうかを決定する必要がありますが、これに関しては時事通信がこんな記事を配信しています。
年収制限の撤廃要求 「103万円の壁」見直し 国民民主
―――2025/02/25 12:05付 Yahoo!ニュースより【時事通信配信】
結論的には、国民民主党は25日の税制調査会会合で、年収制限の撤回を要求する方針を確認したそうです。
いちおう、記事によれば25日に自公国3党で再び協議を行うようですが、果たして自民党が国民民主の要望に応えるのかどうかは微妙なところです。
このように考えると、国民民主党が要求してきた「年収の壁」引き上げは、とりあえず、現時点では実現しないという可能性が高そうです。
勝者は誰?
さて、現時点でどの政党が「勝った」(?)と見るのかは微妙ですが、とりあえず今回の予算案議論で最大の「敗者」は立憲民主党かもしれません。最大野党でありながらも、ろくに存在感を見せることができなかったからです。
また、維新は高校無償化などの実現を勝ち取った格好ですが、社保の引き下げについてはいつ実現するかよくわかりませんし、これに加えて国民民主党が掲げた「手取りを増やす」が実現しないこととなった場合、維新は国民民主党の「手取りを増やす」を結果的に潰した格好となります。
これが今後の維新の支持率にどう響いていくのかはよくわかりません。
一方で国民民主党は「大騒ぎしたわりには公約達成ゼロ」、という状態であり、見る人が見たら「しょせんは無責任野党だ」、といった評価もあるかもしれませんが、その一方で見方を変えれば、自民党に両天秤にかけられた挙句、維新に成果をかっさらわれた被害者、といった見方もできなくはありません。
ただ、それ以上に、かたくなに減税に応じない自民党に対して、少なくない有権者が不信感を覚えている可能性はあります。むしろ国民民主党としては、「手取りを増やす」という目標を捻じ曲げなかったことが評価されるようであれば、今夏の参院選でも良い「戦績」を残せそうだ、という見立てもあり得るところです。
自公に加え維新が「減税への抵抗勢力」とみなされるリスクが高まってきたからです。
いずれにせよ、国内政治シーンについては、まだまだ目が離せない展開が続きそうです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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自民,公明,維新,立憲
次の参院選挙を待ってろよ。
ここ最近では高市氏でさえ「ガス抜き要員」と言われる体たらく。
自民党総裁選挙で石破氏を選んだ時点で自民党は自死を選んだのでしょう。
安倍総理の理念を受け継いだ議員の決起がなければ、
・参議院選は大惨敗
・衆議院解散総選挙しても大惨敗
しか見えてこないです。
ただ、自民党を見限った層がどこに投票するのでしょうか。
受け皿がなさ過ぎて、消去法で自民党になるとか。
笑えないです。
今日は給料日でした。切なくなりました。
萎みゆく3党で力を合わせよう、ねばねば
遂に自公維新で予算案成立。
自民党はアポトーシスを選択したのでしょう。
自らなのか?
『大きい力』に従ってのことなのか?
国民民主にとっては、参議院選までは威力偵察のようなもので、「減税への抵抗勢力」がどこなのか、有権者と共に炙り出そうとする段階です。
いままで明らかになったところは、自・公・立民に加え維新が仲間入りしてきたのかな。特に、高校無償化で増税に賛成とか言い出したら面白いのですが。
「手取りを増やす」を短期で実現できないからと言って国民が諦めるようなら、それだけ国民に余裕があるんだという理解でよいかと思います。
自・公・立民は安全保障等でも見るべき政策が無いので、投票先として検討する価値があるかどうか国民の判断も興味津々です。
維新の会もかじ取りを誤ったのか?
いくら、万博入場チケットが売れないことで、自民党(官僚)に媚びているように見える。まるで官僚の罠に掛かっているようだ。
国民民主党のほうが、毅然としている。
自民党も参院選でねじれてしまい、石破も終わりかな。
現在衆参でネジレているので、参院選で与党惨敗なら晴れて(?)ネジレも正され完全“小数与党”の完成でありまするナ
創設者が道州制を提唱し、近畿”州”を席巻しテッペンを取ったら、日本全国のテッペンを取ったと勘違いした馬場氏が実力(予算)も根回し(行政手続)もまったく不足しているままに万博なんか引っ張ってきて、時間も予算も前評判もすべてが足りなくなって、、いよいよ困った国会議員ではない大阪城主は与党にも顔が利くフリーランスの前原氏を引っ張ってきて、かな。
万博失敗のケツ拭き(予算追加)だけではメンツが立たないから、高校無償化という不要不急の法案を金看板にして、予算案の賛成票を少数与党に支払う地方政党の哀れ。
こういう数字もあるんですよね。
産経:私立高も無償化「賛成」58%で過半数 内閣支持率44%で横ばい
https://www.sankei.com/article/20250224-REVLKU3YYVNA7FFXRPBJHU2MXI/
>高校授業料の無償化に関し、年収制限を撤廃して私立高も無償化する案への評価を尋ねたところ、賛成が58・4%で、反対の35・1%を上回った。
ついでにNHK
https://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/
高校無償化は世論調査の数字じゃ賛成多数なんですね。私はそんなことより公教育の充実をして欲しいですが。
多分ですけど、選択的夫婦別姓と同じで40代以外には関心の薄い政策だし「もらえるものはもらっとく」的な消極的賛成なんじゃないかと思いますけどね。
投票行動に結びつくかと言えば、どうなんでしょう。これで維新に入れる人が増えるかというと・・・
7月の参院選まで憶えている人の数で言うと、無償化で喜ぶ人より、減税を邪魔した恨みを持った人の方が多いんじゃないですかね。恩は忘れても恨みは忘れませんし。
自民党は維新と組んで178万円の国民民主党案は飲まない可能性が高いですが、党利党略を考えれば理解はできます。
未来を担う現役世代が苦しもうと高齢者へのばら撒きを続ければ選挙では負けないと考えているのでしょう。
悔しい気持ちもありますが、今後の日本の将来の経済成長よりも目先の選挙を考えれば正解かもしれませんね。高齢者は自民か立憲に投票するでしょうし。
自民の積極財政派は造反しないなら同じ穴の狢、ガス抜き要員と言われても仕方ないですね。
いっそ自民党が大敗して、石破総裁だけでなく後見人の岸田前首相もろとも沈んでくれた方が自民党の為になるのかも。
自民、公明は増税且つ取ってばら撒くのが本来の考え方です。後に公明は国民民主の政策を攫ったにすぎません。しかも改悪で。維新の教育無償化は自民、公明の外国人労働者受け入れに直結した政策でありますから、与しやすい。徴税の対象者を受け入れで補うといったところでしょうか。こうした事が当たり前になる。
https://www.youtube.com/watch?v=X7e1_Bb41hY
しかし、こうなるでしょうね。日本の高校で支那人教師が支那語を使って支那人を教育する。
一国二制度? この場合の一国はどちらでしょうか。
自民公明の理想とする社会は支那人同化でありますから、維新の教育無償化は自民公明には同調しやすい。
つまり自民、公明、維新は徴税の為だけに国の形を変えつつあるということでしょうか。
これで「楽しい日本」が出来上がるということなのでしょう。
減税抵抗勢力というよりは、三莫迦勢力といったほうがしっくりきます。
自民「身から出た錆と言えども、与党の座を失うかも、ねばねば」
公明「弘法も筆の誤りで、うちはいつでも与党ですわよ、合掌」
維新「朝令暮改が我が党のモットーでし、イェイ!」
年収の壁引き上げに関しては、あれだけ財源と言いながら
数の原理なのか?高校無償化には同意、意味が分からん安倍元総理 大事な羅針盤が失い
伊東四朗氏の詞がよぎる
兄よ 父よ 祖父よ 今 この國がおかしくなってます
「取って配る」方式についての参考。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0b91118f411bf74ba6c1b8ed44ea7ace694d23ad
出勤の求めに応じない米連邦職員は今週から休職に-マスク氏が投稿
Bloomberg2/25(火) 1:56配信
本文中にある「小さな政府」というポリシーが、すがすがしいですね。
政府機関は放っておくと、予算が欲しいから自分たちの仕事を自ら作り出す。
医者は放っておくと、病気や患者を自ら作り出す。
弁護士は放っておくと、紛争や訴訟を自ら作り出す。
みたいな?