ビザ契機に日中関係の「再考」を
現在の日本政府が少数与党となり、政権も極めて不安定なものとならざるを得ないことが懸念されるなかではありますが、日本はそろそろ本気で国を挙げて「基本的価値を共有しない国」と関係を深めすぎることのリスクを認識すべき局面ではないでしょうか。これに関し、中国のビザ免除措置の対象から日本が今回も外されたことに関し、ジャーナリストの近藤大介氏の提言が秀逸です。
「日中関係は、重要ですか?重要ではありませんか?」
そう尋ねられたら、重要ではないはずがない、が答えでしょう。
なにせ、日本にとって中国は最大の貿易相手国ですし、日本を訪れる外国人観光客のツートップは中国と韓国であり(※月による変動はあります)、さらに日本に在住する外国人の国籍でトップを占めるのは中国人です。
もしも「今すぐ」、日中関係が完全に断絶しようものなら、中国にももちろん影響はありますが、日本にも同様にさまざまな混乱がもたらされるのです。
その意味では、日中の円滑な相互往来は(現在の)日本にとっては重要な国益なわけですが、コロナ禍以降、この円滑な往来が妨げられています。コロナ前は日本人を対象として講じられていた「15日以内の短期滞在ビザを免除する」という中国側の措置が、依然として中断されたままなのです。
これが「入国ビザ問題」です。
ちなみに日本は中国人に対し、観光・短期商用ビザ等の免除を実施していませんが、中国人を対象に観光数次ビザなどが適用されているため、中国人が日本に入国するハードルは、意外と高くありません。
しかし、日本人が中国に出掛ける際には、(聞くところによると)かなり煩雑な手続きが要求されており、また、日本企業・日系企業が多く中国に進出している中で、日本人ビジネスマンの中国渡航にもかなりの制限が生じてしまっているようなのです。
こうしたなかで気になるのが、こんな話題かもしれません。
中国が韓国など9カ国を短期ビザ免除対象国に 日本は対象に含まれず
―――2024/11/2 09:53付 産経ニュースより
産経ニュースによると、中国政府・外交部は2日までに、韓国など9ヵ国を対象としたビザ免除対象の拡大を発表したのだそうですが、日本はこの範囲から漏れたのだとか。
なぜ、日本が対象外となったのか―――。
これに関し、JBプレスが7日、こんな記事を配信しました。
中国がビザなし入国許可の範囲を続々拡大、関係冷え込んでいた韓国まで…なのに日本は除外、なぜか?
―――2024/11/07 11:36付 Yahoo!ニュースより【JBpress配信】
記事はジャーナリストの近藤大介氏です。
近藤氏は、今回、中国が日本をビザ免除対象から外したことについては2通りの解釈が成り立ち得ると指摘します。
ひとつは「善意の解釈」。具体的には習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席から石破茂首相への「首相就任プレゼント」として、今月中旬にペルーで開かれるAPC首脳会談で発表する予定でいるという仮説。
もうひとつは「悪意の解釈」、すなわち先の総選挙で大敗を喫し、支持率急落中の石破政権を軽視しているという見方なのだとか。
この近藤氏の見解が正しいのかどうかはわかりません。
しかし、近藤氏のこんな指摘には、おもわず多くの方が頷くのではないでしょうか?
「いずれにせよ、今月中旬の日中首脳会談で、はっきりするだろう。その時の習近平主席まで、日本人のビザ免除に『ゼロ回答』ならば、日本も中国との関係を再考した方がよいかもしれない」。
これは、まったくその通りです。
そもそもビザ免除など経済的な措置を政治利用するような相手国と、経済的な関係を深めること自体が国家戦略としていかがなものか、という問題です。これはビザ免除措置が回復したとしても、同じことが言えます。
現在の日本政府が少数与党となり、政権も極めて不安定なものとならざるを得ないことが懸念されるなかではありますが、日本はそろそろ本気で国を挙げて「基本的価値を共有しない国」と関係を深めすぎることのリスクを認識すべき局面ではないでしょうか。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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> 具体的には習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席から石破茂首相への「首相就任プレゼント」として
ここ大笑いですね。
こんなものが「首相就任プレゼント」になると思っているのでしょうか?
うっかり中国へ行ったら捕まるかもしれないのに。
現状認識の差にビックリです。
石破首相なら有り難がって涙流すかもしれませんが。
気持ち悪いですね。
逆に言えば、今の中国が日本に「プレゼント」できる物なんて
この程度しかないのかも知れません。
今、現実的に習近平が出来そうな事で、日本が喜ぶ事なんて
私は思いつきませんから。出来なさそうな事ならいくつかあるでしょうが。
再考というのがどういう関係を想定してるのか分かりませんが、中国貿易の比重を増やし過ぎるのは良くないのは私も同意です。
>>経済的な措置を政治利用するような相手国と、経済的な関係を深めること自体が国家戦略としていかがなものか
レアアースの件しかり。
中国に全振りした韓国がどうなったか。
いつそういうことをするか分からない相手だという認識を常に持っておかなければならない。
貿易相手は分散すれば分散するほど安心です。
でも個人的にはキングダムの聖地巡りしたいのでビザ免除になったら嬉しいですけど。
中国批判には捏造・曲解・針小棒大が多すぎます。
ピント外れやダブルスタンダードでの批判は日本の将来のためになりません。
批判がブーメランにならないように気をつけてほしいです。