「国の借金はひとりいくら」等と堂々と報じる大手新聞
「あなたはトヨタ自動車に入社した瞬間、1億円近い借金を追うことになる。同社の有利子負債は36.6兆円、従業員数は38万人で、1人あたり9601万円に達するからだ。トヨタは今すぐ借金を減らさなければ経営破綻する」―――。もし証券アナリストがこんな主張をしたら、上司からは「会計学を基礎からやり直せ」と命じられるレベルです。ところが、これが「国の借金」論になると、大手新聞が「国の借金は国民1人あたりいくら」と報じてしまうのです。なるほど、新聞業界が衰退するのも当然です。
目次
「トヨタ自動車の借金、ヤバい」
トヨタ自動車の「会社の借金」【連結ベース】は、従業員1人あたり約9600万円に達したことがわかった。
同社が先日公表した2024年3月期有価証券報告書によると、連結ベースの有利子負債(IFRS)は約36兆5618億円で、これを従業員数(380,793人)で割ると約9601万円となり、前年同期の約7830万円と比べ、1772万円ほど増えた。
よって、トヨタ自動車やその連結子会社などの従業員は、入社した瞬間、平均して9601万円の借金を抱えているのと同じ計算となり、これは危機的な水準といわざるを得ない。
これだけたくさんの借金を抱えていたら、トヨタ自動車は財政破綻し、倒産することは間違いない。なぜなら、山ほどおカネを借りてしまったら、絶対に返せなくなるからだ。
トヨタ自動車はいますぐ人件費や設備投資を抑制し、財政再建に努めなければならない。
…。
「会計学を基本からやり直せ」、というレベル
もしメディアにこんな記事が掲載されていたならば、おそらく少なくない人が驚き、そして呆れることでしょう。そもそもトヨタ自動車の「借金(?)」とやらは、トヨタ自動車という「法人」(あるいはその連結子会社)が負っているものであって、トヨタ自動車の「従業員が」負っているものではないからです。
正直、証券会社のアナリストが上記のような文章を書いた瞬間、上役がマトモなら、「会計学を一からやり直せ」と命じられるレベルであり、まかり間違って顧客向けに配信したら、その瞬間、その証券会社はトヨタ自動車から出入り禁止を喰らうでしょう。
当たり前の話ですが、企業の財政状態を見るときには、「借金の絶対水準」で議論しても意味がありません。
トヨタ自動車を含めた会社組織は多くの場合、儲かり続けている限りは事業が継続しますし、事業が継続している以上は、借金の絶対額「だけ」で会社の経営の健全性を決めつけても仕方がありません。
しかもトヨタ自動車は営業収益45兆円、税引前利益6.97兆円という(現在のところは)「超優良企業」であり、「従業員1人あたりの借金額が多すぎるからこれを減らすべきだ」、などといわれても、トヨタ自動車の経営陣や従業員、なにより株主にとっては、困惑する以外に方法はありません。
なお、いちおう、財務論の立場から真面目にツッコミを入れておくと、「資本コスト」という観点からは、自己資本と他人資本の資本調達コストが異なる場合、あえて借金によりバランスシートのサイズを拡大する(=レバレッジをかける)ことが経営上有利であるというケースもあるのです。
借金の絶対額「だけ」で財政状態を議論しても、本当に無意味なのです。
「国の借金」論のおかしさ
ところが、これが国家財政になった瞬間、どうでしょう?
「国の借金」、あるいは「国民ひとりあたりいくらの借金」。
これは、官僚機構やマスメディアがやたらと好む表現ですが、それと同時に経済学、会計学、金融論などに照らし、「ここまで盛大かつ完璧に間違っている理論も珍しい」という程度にはわかりやすい誤りです。
そもそも彼らは「国の借金」といいますが、債務を負っているのは「日本政府」であり、「日本国民」ではありません。
また、この「借金」とやらも、生きている人間であれば寿命が尽きる前に返さなければならないはずですし(たとえば住宅ローンの期間も通常、30~35年程度が一般的です)、住宅ローンの場合も借金を返す前に亡くなる場合に備え、団体信用生命保険への加入を求められることが一般的です。
しかし、中央政府にはそもそも「寿命」がありません。ある時点の「借金」については、たとえば「税金を取り立てて完済する」という手法だけでなく、「借り換える」という方法で償還することができるのです。
たとえば、20年国債については、発行してから20年目に元本を返さなければなりませんが、その時点でもう1回、20年債を発行すれば、べつに財源がなくても国債を償還することができます。これを無限に繰り返していけば、わざわざ「借金」とやらを返済する必要などありません。
ただ、こんなことをいえば、「その時点で国債を発行しても、誰も引き受けてくれなかったらどうするんだ」、といった反論を受けるかもしれません。
しかし、その場合は、より高い金利を支払えば良い話です。
そもそも論として、国債の引き受け手には、大きく①国内投資家、②海外投資家、③中央銀行、の3者が考えられます。
このうち①国内投資家(あるいは国内機関投資家)は、一般的に、国債の最も安定的な引き受け手であり、その国の銀行、保険会社、年金基金、投資信託・MMFといった機関投資家が好んで購入することが多いです(これは債券市場が存在する先進国で一般的にみられる傾向です)。
ということは、国内機関投資家に資金的な余力があれば、基本的にその国の政府は国債の借換に失敗することはない、ということであり、こうした状態だと、一般にその国の同年限の債券のなかで最も低い金利(≒リスクフリー金利)で借りることができます。
国内投資家に資金がなければ外国人投資家が国債を買ってくれる
さて、せっかくなので、国債引受という議論をもう少し続けてみましょう。
もしも国内機関投資家に資金的な余力がなければ、どうすれば良いでしょうか。
このような場合であっても、資本移動の自由が保証されている国であれば、②海外投資家の資金に期待することができます。日本を含めた先進国では国境を越えた資本移動の自由が保証されているため、魅力的な金利さえ支払えば、(米国債のように)海外投資家がその国の国債を買ってくれます。
実際、米国でも新発国債の外国人等による落札割合(いわゆるインダイレクト・ビッド)は常に市場参加者の話題となっていますが、米国の場合は通貨・米ドル自体が事実上の世界の基軸通貨であり、世界各国の中央銀行・通貨当局などが外貨準備として巨額の米ドルを保有しているため、米国債の需要は強いのです。
そして、日本円自体も国際的な金融市場では典型的な「ハード・カレンシー」であり、国際的に通用する通貨ですし、外貨準備に占める日本円の割合は米ドル、ユーロに次いで世界3番目に高かったりもします(『円安でも円高でも結局「円は紙くず化する」という主張』等参照)。
しかも、世界の外貨準備に占める日本円の金額は上昇傾向にあるため、先般の日銀の利上げにより、今後、ますます日本円の外貨準備通貨としての需要が高まってくる可能性はあるでしょう。
円建て国債ってデフォルトするんでしたっけ?
さらに、日本国債は自国通貨・日本円で発行されています。
このことは、万が一、①国内投資家、②海外投資家、のいずれも日本国債を引き受けてくれない状況が生じたとしても、③中央銀行が最後の貸し手として日本国債を引き受けてくれる、ということを意味しています(もちろん、財政法第5条但書などの条件をクリアする必要はありますが…)。
財政法第5条
すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
いずれにせよ、日本国債がデフォルト状態に陥るという可能性は、理論的にも、また、現実の数字で見ても、極めて低い、という事実については、改めて指摘しておきたいと思います。日本国債のデフォルト可能性については、次のように評価できるからです。
条件①自国の投資家が自国債を買ってくれなくなること
あり得ない。自国投資家が自国債を買えなくなるのは、自国内で資金が足りないときなどに限定されるが、日本国内で資金不足は生じていない。日本国内に資金が潤沢に溢れており、むしろ使いきれなかった資金が海外に流出し、対外純資産が500兆円近くに達しているほどである
条件②外国の投資家が自国債を買ってくれなくなること
あり得ない。外貨準備の組入れ通貨として、日本円は米ドル、ユーロに続き3番目に多い通貨であり、それだけで100兆円前後の資金需要が存在すると考えられる
条件③中央銀行が自国債の買入をしてくれなくなること
あり得ない。日本国債はすべて円建てで発行されており、(財政法第5条という制約はあるものの)法律で定める国会決議などを経れば日本国債を日銀に引き受けさせることができる
大手新聞さんの思考停止
いずれにせよ、「トヨタ自動車は従業員1人あたりの負債が1億円だ」、などと言われても意味がないのとまったく同様、「国債は中央政府の債務であって国民の債務ではない」、「国民1人あたりで割ってもなんら意味はない」のです。
こうしたなかで、またしてもこんな記事を発見しました。
国の借金1311兆421億円、国民1人あたり1085万円…初めて1300兆円を突破
―――2024/08/09 21:02付 Yahoo!ニュースより【読売新聞オンライン配信】
内容について、ツッコミを入れることはしません。
相変わらず、「国の借金」論で思考停止している、というだけのことだからです。
「新聞業界が衰退するのも当然だ」。
感想は、それくらいです。
財務省のウソ理論
なお、この「国の借金」論には、ツッコミどころはまだいくつかあります。
上述の通り、「借金の絶対額は絶対に減らさなければならない」という命題自体がそもそも間違っているのですが、話はそれだけではありません。一万歩譲って、「借金を減らさなければならない」という命題が正しかったとしても、それを増税や歳出削減で達成する必要性はありません。
外貨準備は1.2兆ドル、1ドル=140円と仮定すれば日本円換算でなんと170兆円(!)にも達します。
諸外国だと、外貨準備を中央銀行が管轄しているケースも多いため、この1.2兆ドルの外貨準備を財務省から日銀に移管すれば、その瞬間、「国の借金」とやらは170兆円圧縮できる計算です。
あるいは、NHKのように(無駄に)巨額の資産を保有している特殊法人は多く、これらの法人を解散・清算し、財産を国庫返納させれば、「国の借金」とやらをさらに圧縮することはできるはずです。
結局のところ、メディアが「国の借金」論で思考停止するのも、これを突き詰めていくと、この「国の借金」論も、財務省という組織が「増税」を実現させるための方便として唱えている「ウソ理論」というだけの話だ、という証拠ではないでしょうか。
『【総論】腐敗トライアングル崩壊はメディアから始まる』などでも指摘したとおり、官僚機構やメディア、特定野党などは、いずれも「国民に選ばれたわけでもない」、「科学や論理的思考を軽視する」などの共通点があります。
東京大学法学部出身者など、日本の最高の頭脳を集めているはずの財務官僚らが、あるいはかつては「第四の権力」とも称された新聞業界の記者らが、会計学のごく基本的なところを理解していないというのは、ちょっとしたホラーといえるかもしれません。
しかし、少なくともヤフコメなどを見ると、最近、この手の「国の借金」論に対する批判コメントが、めっきりと増えました。ネットの進化で、財務省のプロパガンダが通用しなくなってくるなど、世の中は、間違いなく変化しているといえるでしょう。
やはりウェブ評論、長く続けてみる価値があるものだと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。
ツイート @新宿会計士をフォロー
読者コメント一覧
※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。
やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。
※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。
※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。
当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。
コメントを残す
【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
トヨタさんに置き換えての説明、分かり易いですね。
>東京大学法学部出身者など、日本の最高の頭脳を集めているはずの財務官僚らが、あるいはかつては「第四の権力」とも称された新聞業界の記者らが、会計学のごく基本的なところを理解していないというのは、ちょっとしたホラーといえるかもしれません。
法学部であって経済学部でないから、財務官僚に経済学部卒がどれだけ居るのか気になります。
特別研究官等紹介
https://www.mof.go.jp/pri/summary/cv_s/index.htm
こちらを見たところ、さすがに経済学部卒が並んでますね。
たまたま 最近『ウォール街の物理学者』という本を読みました。アメリカのファンドは物理学者を大量に雇って どうすれば儲かるかを研究しています。そしてそのファンドの出身者が米国財務省のトップになったり また古巣の金融機関に戻ったりしています。東大の法学部ばかり集めた日本の財務省 日銀 銀行がアメリカに太刀打ちできるとはありえないと つくづく思いました。高橋洋一氏が大蔵省に居づらくなった理由もよくわかります。
仮に国の借金論が正しいとしても、じゃあなぜそれを膨れ上がらせている一番の要因(高齢者の社会保障費用)を全く報じないのかという点において、オールドメディアは不誠実極まりなく、全く信用に値しません。
私達老人は社会保障費払って無いと思うのでしょうか?私達も毎年払い続けていますし、毎年増税されています。
ふと思ったのですが、
国の借金論が、いつまでも繰り返し出てくるのは、
某国の意向を酌んでいるからではないでしょうか。
日本の国民は、莫大な借金を負っている。
ならば、真っ先に削減すべきは防衛費だ。
こう、もって行きたいのでは?
国民1人あたりで単純計算すると約1085万円の借金を背負っていることになる >
この読売の記事には、明らかに主語が抜け落ちていますね。
正確には、「日本国政府」は、国民1人あたりで単純計算すると約1085万円の借金を背負っていることになる,が正しいのですが・・・。
日本国民が背負っているのは、借金ではなく資産のはずです。バランスシート的には。
メディアは、差別的な用語などを「放送禁止用語」と称して自主規制しているが、「盛大かつ完璧に間違っている理論」、「すでに論破され、議論が終了しているにも関わらず、ほぼ同じ内容の記事」をしつこく載せることは野放しです。放送法第4条の公序良俗に反している点では同じではないですかね。
放送禁止用語とは
https://www.homemate-research-tv-station.com/useful/12341_facil_044/
放送禁止用語一覧
http://monoroch.net/kinshi/
ネット上のデマ、法令・公序良俗違反は「管理者の自主的な削除」要請 総務省
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1104/07/news026.html
トヨタの従業員に国民を例えるのはわかりやすいです。
が、より正確にいうなら
“トヨタの株主になれば借金を背負い、その借金を返すためにお金を出さなければならない”
国債という株を持ってるのが国民だからです。
従業員よりわかりやすさは減ったけれども、おかしさは増えたと思います。
ただ、こんな簡単な事を東大出のエリート官僚がわからないわけがありません。
自分たちの権力を強化するために嘘の説明でわざとデフレ状態をつくりだしてるだけだと考えます。
なぜなら、景気がよくなると企業は官僚の言う事をきかなくなるからです。
彼等は日本の国力が落ちる事より自らの権力が落ちる事の方が嫌なのです。
簡単にいうとこの30年GDPが成長しなかったのは財務省の責任です。
そして、官僚の暴走を止められなかった政治家の責任でもあります。
ただ、国民もバカではないのでネットで正しい情報に接したら、財務省の嘘に気づく人がでます。
あと少しかなと。
できれば、この様な嘘を撒き散らしGDPを成長させなかった過去の官僚どもに責任を取ってもらいたいですね。
sey g さま
トヨタの従業員に国民を例えるのはわかりやすいです。
が、より正確にいうなら
“トヨタの株主になれば借金を背負い、その借金を返すためにお金を出さなければならない”
国債という株を持ってるのが国民だからです。
申し訳ないのですが、「株主が借金を負う」という理屈が当方の頭では理解できないので、その点をもう少しご教示いただけたらありがたく存じます。
当方は、「株主というものは、出資(≒株式の購入)した金額以上の金銭的な責任は負わない」と理解しているもので…
よろしくお願い申し上げます。
理解できなくて当然です。
ひのえうま様の株主の理解の仕方が正しいから。
株主がトヨタの借金を背負うのがオカシイのと同様に国債の持ち主の国民が国の借金を背負う報道がオカシイのです。
いや、もっと簡単にいうと 国の借金返済のため増税などという報道は
“トヨタが株主に株の自社株買いするために金をくれ”というとんでもない理屈に思えます。
ひのえうま様の疑問に正しくこたえられたでしょうか?
sey g さま
ご教示ありがとうございました。
ご主旨は理解できました。
深いですね…
大変勉強になり、重ねて御礼申し上げます。
借換えることで実質償還不要だと鑑みれば、政府の国債発行は公募増資のようなものですね。
「出資金であれば返還の義務はなく」、政府は出資者に対し配当(利払い)の責を負うのみです。
収入以上の生活(消費や投資)をしたければその金をどうやって調達するのか。
貯蓄を取り崩すか借金するしかない。
住宅ローンを借りたりサラ金で借りたりする目的を考えればわかること。
住宅ローンは年収の何倍まで? ネットで調べると今の金利水準だと7-10倍だそうだ。
それを35年かけて返済する。
国債の残高は税収の18倍だそうだ。
住宅ローンを35年以内で返済するのは、それ以上働けない、つまり定年後は収入が激減するから。
日本政府には定年も寿命もないんだから完済期間を考える必要ない。
考えるのは借りすぎると金利があがることと、民間での借り入れがしにくくなるような状況かもしれない。
日本はまだまだカネがじゃぶじゃぶなんだから利息の低いうちに無駄遣いをしないように賢く使えばいいんじゃないのか。
これを書いていて思い出したのが韓国電力。文政権時代に電気料金を下げすぎて(OECDで2番目に安い)大赤字、資金不足になって社債を発行したら社債市場で他社が起債できなくなってしまったらしい。韓国電力は「公社」なのでつぶれる心配もなく楽に起債できるが他社は金利水準を上げなければ社債を発行できない。
やっぱりあの国にはカネがないんだね。
もう実際に、国民一人当たりから1085万円を徴収するなり配布するなり(国の借金国民一人当たり、は必ず主語と方向性が無いので、貸し借りどっちと言いたいんだかわからない)したら良いんじゃないですかね。で会計監査してもらって財務省はこってりしぼられれば良い。流布した理屈が正しいかハッキリするでしょう。なんならコイツラアホすぎると謗られてトントン拍子で解体に向かうんじゃないかな。
リンク先ヤフーニュースのコメント欄もツッコミの嵐ですが。指摘コメントに対して[共感した150:うーん15]あたりの比率が多く見られます。100:0にならないのが謎ですが、考えてみたら野党支持率がそんなくらいでしょうか……
財務省のHPに、こんな項目が見当たります。
>『これからの日本のために~ Ⅱ厳しい財政事情~ 6 日本の借金の状況』
>普通国債残高は、累増の一途をたどり、2024年度末には1,105兆円に上ると見込まれています。
>また、財政の持続可能性を見る上では、税収を生み出す元となる国の経済規模(GDP)に対して、総額でどのぐらいの借金をしているかが重要です。日本の債務残高はGDPの2倍を超えており、主要先進国の中で最も高い水準にあります。
https://www.mof.go.jp/zaisei/financial-situation/financial-situation-01.html
いくら権力の監視がマスコミの使命などと言ってみたところで、こんな役所の垂れ流す情報を批判的に吟味する能力に欠けるんじゃ、大言壮語、言うだけ番長の誹りは免れないでしょう。
財務省自身が過去の国債の発行状況が「国の借金」とやらにどう影響していたか、素人でも読める統計を以て自白しているのにね。過去10年間に新規に発行された国債は、普通、建設、特例債等合わせて、1800兆円弱。で、今年度末の国債残高の見込みは、10年前に比べて400兆円増えた程度。つまり、新規発行の一方で、過去分のほとんどはきれいに償却され続けているってことですよ。
国債に頼る財政運営は将来世代へのつけ回し。これは財政再建論者が決まって使う台詞です。だけど、例えば防衛費。こんなものに投じた資金が利潤を生むなんてことありません。ストックとして後々役に立つかと言ったら、今ウクライナ戦線で、ロシアが旧ソ連時代の遺産、第2次大戦後に大量生産した戦車まで引っ張り出して物笑いのタネになるなんてことも起こりうる。使われずに、結局廃棄されるのが一番というシロモノです。
文教予算。これも、施設、設備、教員の給与、受益者たる児童、学生層の保護者ににソックリ負担しろと言っても無理な話です。年金(政府補助分)、生活保護費。これらの受給層にしたって、カネをドブに捨てるような支出を強いたなんて言われる筋合いはないよ。消費者として、国の経済を回す役割の一端は担っているし、子育て、孫育ての形で将来の労働人口の創出にも関わっている。
現代社会、その時点の資金需要を、ソックリ税収だけでファイナンスしようというのは、無理な話というか、そもそもプライマリーバランス黒字化を目指すなんて、じり貧一直線の道だと思うんですけどね。
大型公共事業のための建設国債は、建設業界からの税収増と社会の利便性向上という形ですぐにも返ってくるものだから、OKなんて言うのなら、防衛費、文教・科学技術経費、社会保障経費だった、更に長い先を見越した将来への投資と言えるでしょう。今日のわれわれの社会だって、今より少額ではあったが、過去に政府が赤字覚悟で支出した種々の経費のおかげを蒙って、より多額の「借金」が可能な社会が築き上げられているという見方だって可能だと思うのです。
まあこの辺は、少なくとも現在の経済理論で確実に結論できるところではないんでしょう。人それぞれの嗅覚の問題かも知れないんですがね。
EUの規則では各国の国債残高はGDP比60%ということになっているが、ギリシャの169%,イタリア137% フランス111%で5か国が100%超え、ドイツも60%を超えている。
EUは各国でユーロを発行する権限がないのにこのザマ。
日本は217%だが自国通貨建。この辺考えると日本の方がましかも。
「国の借金」論!とっくのとうに諦めていたと思ったのに、まーだあったのかこれ!
しかも読売新聞!非署名の短い記事とは言えど、今更なぜ……?
ヤフコメでも突っ込みの嵐だけど、一部はまだ賛同している様なので
「まだある程度の効果はある」と判断したのかな……
遠い道のりかも知れませんが、複式簿記を義務教育で履修科目にするのが、良いと思います。
公会計は、いまだにほとんどが単式簿記ですし…。
仰る通り、読み書き算盤にプログラムと会計の基礎を含めて教える必要がありますね。英会話よりもこちらのほうが必須では無いかと思います。
国債と地方債は事情が異なると思いますし十把一絡げには語れないとは思いますが、参考までに地方自治体が地方債をどう捉えてるかお話ししますと
地方債を活用可能な事業は起債事業といいまして、国から利子補給が受けられるほか元利償還にも交付税措置がありますし、そもそも構図が起債事業=インフラ整備、その他=給付事業などのソフト事業になってますので、起債事業こそが本来公共がやるべき仕事という意識があります。
建設工事に関わる事業者の受注を通じた地域経済へのプラス効果のほか地銀の預貸率向上にもつながります。
また、インフラ整備に用いられますので、世代間の負担の公平化という意味合いがあり、総合すると地方債を発行することに対するネガティブな感覚は皆無に近いです。
勿論実質公債費比率というような指標があり、その閾値ごとに届出で良いものが協議が必要になったり、一定のブレーキは効いています。
結局交際費の償還も税収や交付税で賄うことになりますので、自分も一住民ですが地域住民の立場からみても納税の中の固定部分、いまでいうとサブスクの基本料金みたいなものという感覚です。
この考えを国債にあてはめることはできないでしょうが、少なくとも全てを単年度の税収で賄うというのは世代間負担の公平性からすると、そりゃおかしいだろう、とは感じるところです。
行き過ぎた国債の発行は問題でしょうが、適切なバランスかどうかなのかなと。