三菱重工が新聞輪転機から撤退か
今度は新聞輪転機の大手・三菱重工が、2036年までに新聞輪転機事業から完全撤退するようです。個人的に新聞産業が2030年代まで持続しているかどうかはわかりませんが、いずれにせよ、新聞業界の受難はまだ当面続きそうです。
新聞業界の現状
先日の『部数や広告費の減少で読む新聞・テレビ業界の「未来」』では、一般社団法人日本新聞協会が昨年12月に公表した部数データ、株式会社電通が今年2月に公表した広告データ、株式会社朝日新聞社が今月公表した有価証券報告書データなどをもとに、新聞業界の現状を確認してみました。
これをサマリーにしておくと、なかなかに強烈です。
1996年に7271万部だった日本の新聞の合計部数は、2023年には3305万部に(約55%減)。
2000年時点で1兆2474億円だった新聞広告費は、2023年時点では3512億円に(約72%減)。
2006年3月期に813万部だった朝日新聞朝刊は、2023年3月期に358万部に(約約56%減)。
ほかにも、新聞部数の減少速度が最近になって激しくなっていることや、総広告費全体で見たらネットが急増しているにも関わらず新聞(やテレビ)の広告費が横ばいであること、大手新聞社が購読料を値上げしたにもかかわらず、メディア・コンテンツ事業が営業赤字から脱却できていないことなども、大変に印象的です。
いずれにせよ、新聞業界(やテレビ業界)はこれまで、「我が世の春」を謳歌してきたフシがあるのですが、ここにきて、ネットの普及で一気にその矛盾が噴出していることは間違いありません。
これは著者の私見ですが、もともと新聞やテレビが垂れ流す情報には不適切なもの、不正確なものなどが大変に多かったところ、それらの不適切な報道などがネットの普及で証拠付きでバレ始め、それにより新聞、テレビに対する社会的な信頼性が急低下している、といった要因も大きいと思います。
結局のところ、ネットが普及したことで人々が情報発信することのコストが急落し、これにより市井(しせい)の専門家らが、マスコミに代わって正確な情報を発信するようになり始めたことが、新聞の部数の現状などに表れているのではないでしょうか。
三菱重工の不買運動…大丈夫ですか?
さて、以前の『決して垢BANされないテレビ業界が腐敗するのも当然』では、東京新聞が「三菱重工製品の不買運動」に関する記事を掲載したところ、東京新聞を発行している株式会社中日新聞社のグループ会社が三菱重工の関連会社の製品を使用しているようだ、とする話題を取り上げました。
これは、東京新聞自身が3月21日付で『「三菱製品買わないで!」戦闘機輸出に反対する市民団体が不買運動を呼びかけ』という記事を配信したところ、「中日高速オフセット印刷株式会社」が三菱重工グループの「三菱重工機械システム株式会社」の製品を使用しているとの指摘がネットで出てきたのです。
じっさい、「中日高速オフセット印刷株式会社」のページに掲載されている印刷機の品番は「三菱リソピアMAX-BT2-800SD」となっており、これに対して「三菱重工機械システム株式会社」の『商業用オフセット輪転機』ページに掲載されている印刷機の品番は「MAX Series/BT2-800SSS」とあります。
両者は微妙に異なりますが、想像するに、これは製品のバージョンの違い、といったところでしょう。
この点、同印刷機はあくまでも「商業用オフセット輪転機」であり、新聞印刷用の輪転機ではないようですので、東京新聞が三菱重工の印刷機で印刷されているという話ではありませんが、それでも中日新聞のグループ会社で三菱重工製品を使用していることは間違いなさそうです。
その三菱重工は輪転機事業から撤退か
こうしたなかで、本稿で取り上げておきたい話題のひとつが、産経ニュースが28日に配信した、こんな記事です。
三菱重工業、新聞輪転機の製造から撤退 人材の高齢化、部品調達も困難に
―――2024/06/28 19:05付 産経ニュースより
産経によると、輪転機の国内シェア約5割を握っている三菱重工が28日、新聞を印刷する輪転機の新規製造を停止し、点検や修理サービスを当面継続するものの、最終的には事業から撤退すると発表したのだそうです。
具体的には、新規製造についてはすでに注文を受けている分で終了し、新規受注は受け付けないとしつつ、点検・修理サービスについても最長で2036年3月までに終了する、としています(ただし、元記事にはやや文意が通じ辛い箇所があるため、上記は著者自身が文章を解釈したうえでく再構成したものです)。
この報道が正確なのかどうかはさておき、この「2036年3月までで完全撤退」、とする記述は、興味深いところです。
当ウェブサイトではこれまで、しばしば指摘してきたとおり、例の「新聞放物線」、すなわち一般社団法人日本新聞協会が発表する部数データをもとに将来の動向を予測したもの(図表)で見ると、とくに一部のシナリオでは2030年代にはほぼ新聞が絶滅すると考えられるからです。
図表 「新聞放物線」と新聞部数の予測
(【出所】一般社団法人日本新聞協会データ【1999年以前に関しては『日本新聞年鑑2024年』、2000年以降に関しては『新聞の発行部数と世帯数の推移』】をもとに作成。なお、「合計部数」は朝夕刊セット部数を1部ではなく2部とカウントすることで求めている)
そもそも2030年代においても新聞業界は存続しているのか
なお、図表に含まれるシナリオ①~③の意味は、次の通りです。
①消滅加速シナリオ…新聞部数の消滅ペースが2023年までと比べ毎年50万部づつ加速していく
②線形消滅シナリオ…新聞が2024年以降も毎年318部ずつ直線的に減少していく
③消滅減速シナリオ…新聞部数の消滅ペースが2023年までと比べ毎年25万部づつ減速していく
個人的には、新聞業界が2030年代においても存続しているのかは疑問ではありますが、いずれにせよ、新聞産業を巡っては、今後もさまざまな話題(といっても、おそらくその圧倒的多数は「よろしくない話題」)がたくさん出て来るものと想定されます。
いずれにせよ、新聞業界の今後の動向には注目する価値がありそうです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
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毎度、ばかばかしいお話を。
東京新聞:「三菱重工が新聞輪転機から撤退したら、各家庭の印刷機で新聞を印刷させる」
ありそうだな。
新たなビジネスチャレンジ
「新聞記者は新聞に背を向ける人たちを振り返らせることができるか」
三菱重工機械システムズの発表「当社新聞用オフセット〜」に、ハッキリと「2036年3月までに点検修理も完了」と書かれてますね。シェア50%強を誇る大メーカーが匙を投げた。今まで神戸事業所一カ所でやってたとは。三菱以外の輪転機は、読売新聞社ら数社が自社内で持っていたとも。これで紙の新聞の延命は、遅くとも同月まで。人間で言うなら意識無し、脈微弱、混濁で、胃ろう処置や酸素吸入等もすべて終わり、Xデーが確定しました。しかし大三菱さまが見捨てたんだから、加速度的に紙の新聞社廃業は進むと思います。私の存命中に体験出来そうです。いや、三菱グループとしては、新聞社はほとんどが敵対勢力、この発表を待ち望んでいたと思います。
こんな日がやって来るとは
「新聞産業界に余命宣告ついに下る」
はにわファクトリー 様
当方日本人なので、合掌。
12年後には自分たちの記事の質を棚に上げて「三菱が逃げた!新聞は三菱に✕された!!」とか騒ぎ立てるのでは…
こんな騒動があったらしいですね。
・東京機械製作所の株式、投資会社が譲渡へ 読売や朝日など新聞6社に
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ2T7TH5Q2TULFA026.html
東京機械製作所は、輪転機を造り続けるようです。
東京機械の買収提案はおぼろに記憶していました。こんな結果になっていたとはチェックが足りてなかったです。
事業継続性を棄損するダメージ。特殊な大型機械ですので三菱撤退が空けた大穴を埋めるのは簡単でなく、東京機械輪転機に乗り換えるのは「相応の」コストを強いられることになります。
押し紙減らして適切な量を印刷し、稼働台数を徐々に減らしメンテナンスをしっかりとやり、と大事に使えば、10年以上は大丈夫です。日本の機械は丈夫に作られているので。
その辺り、つまり、新聞発行数の減少速度を、三菱重工はちゃんと計算して、撤退するのは今だ、と判断したんだと思います。
若しかしたら、このサイトを、よく読んでいるのかもしれないですね。日経よく読むより、このサイトよく読んだ方が、経営判断に役に立つ?
自分の業界については、このサイトを読むより
自身の持ってるデータの方が詳しくて正しいだろ
「誰かが悪い!」
ことにして、論陣を張って対空射撃して、何に向けて撃ってるのか当たってるのか外れてるのかも検証しないままに、
「俺達は頑張ってるんだから金よこせ」
と購読料を取ってる人たちが、新聞社。
たぶん今度も
「三菱重工が悪い!」
ことにして大騒ぎして被害者ポジションを取ると予想します。
で更に大胆予測をするならば、競売にかけられた総連本部の建物を落札した宗教法人か、西早稲田の怪しげな平和財団が、
「三菱重工から輪転機事業を買い取る」
「新聞は軽減税率適用の社会公器なので、補助金よこせ!」
と、とことん税金からチュウチュウしようと悪あがきするんじゃないかなあ。
「円安で、物価高になって、あなたたち、タイヘンでしょ?」
という猫なで声が聞こえてきそうです。
三菱重工の輪転機撤退!
東京新聞の不買運動の成果が早速でたのかな?
是非とも紙面で成果報告をしてほしいのです♪
「呼びかけるだけじゃない。東京新聞は実践します」
↑こんなタイトルは如何でしょうか?
自社の将来の新聞事業の撤退時期まで見定めた上での今の不買運動だとしたら、それはそれで計算高い・・・かもしれないですね。
重工にとっては痛くも痒くもないところがなんとも・・・
時代遅れの不採算部門の切り捨てに好感触です!
万が一月曜日のH3ロケット打ち上げが失敗して株が暴落しても絶対手放しません。終身ホルダーでいるつもりです。日本の基礎を支える大事な企業の一つなんですから。
てか、三菱重工がこんなん作ってたんですね。
どんどん発行部数も減ってくだけだし、
こんな大がかりなものでなくても印刷がまかなえる様になるのでは?
1部あたりの印刷コストは上がるでしょうけど。
「崩壊止まらぬ経営基盤
輪転機の止まる日
新聞不在ニッポンの足音」
週末の夜なので緩んだ話し。
この輪転機のMHI撤退の話を読んで、昔々、電子趣味人界隈で衝撃的ニュースだった2SC1815製造中止事件を思い出してしまいました。
あれから10年。東芝さんの判断は概ね正しかったと言えるでしょう。あの時は、汎用半導体も含め電子部品全般のCOVD-19渦によるサプライチェーン混乱は予測不能ですし。
製造会社である東芝さんは、自社製品の出荷状況推移、社会情勢、自社経営状況など鑑みて決断されたわけです。
今回の件も同様にMHIさんは判断されたのでしょう。輪転機がどれ程稼働していたかは、メンテナンスする上での基礎情報ですから、どれ程の変化で印刷面積が減少してきているか、つぶさに見てきているのでしょう。
事の推移を見守りたいと思います。