パーティー自粛騒動に見る立憲民主党「政権担当能力」
立憲民主党は最大野党ですが、政権を担う準備ができているのでしょうか。「次の内閣」名簿には防衛大臣が不在で、同党の議員には政治資金報告書の不記載や公選法違反などの問題が多く、質の低さが目立ちます。自民党を批判しつつ、自党の議員の不祥事には甘い処分で済ませるダブルスタンダードも問題です。とくに、パーティー禁止法案を巡る混乱は、同党に対する信頼性、あるいは同党の政権担当能力を象徴しているようにも見えるのですが、いかがでしょうか。
立憲民主党は「最大野党」だが…!?
立憲民主党といえば、誰もが知るとおり、現在の国会では「最大野党」です。
最大野党である、ということは、もしも次の衆議院議員総選挙で、政権与党である自民党(と公明党)の議席数が激減するような事態が発生すれば、立憲民主党が自民党に代わって政権を担うことになる可能性が高い、ということです。
では、その立憲民主党は、自民党に代わって今すぐ政権を担い得る体制を取っているのでしょうか。
そのことが最もよくわかるのが、立憲民主党ウェブサイトの『立憲民主党 泉「次の内閣」』の名簿です。
立憲民主党 泉「次の内閣」(2024年1月26日付)
- ネクスト総理大臣…泉健太
- ネクスト内閣官房長官…長妻昭
- ネクスト内閣府担当大臣(災害対策・消費者・デジタル社会形成・行政監視)…杉尾秀哉
- ネクスト総務大臣(地方創生・倫理選挙)…野田国義
- ネクスト法務大臣…牧山ひろえ
- ネクスト外務大臣(ODA)…玄葉光一郎
- ネクスト安全保障大臣(拉致問題)…渡辺周
- ネクスト財務金融大臣(予算・決算)…階猛
- ネクスト文部科学大臣・ネクスト子ども政策担当大臣(子ども政策)…菊田真紀子
- ネクスト厚生労働大臣…高木真理
- ネクスト農林水産大臣…金子恵美
- ネクスト経済産業大臣…田嶋要
- ネクスト国土交通・復興大臣(沖縄北方・復興)…小宮山泰子
- ネクスト環境大臣(原子力問題)…近藤昭一
(【出所】立憲民主党ウェブサイト『立憲民主党 泉「次の内閣」』を抜粋)
ネクスト内閣には「●●大臣」がいない!
この「ネクスト閣僚名簿」を見ていて、なにかお気づきになりませんか?
そう、防衛大臣がいないのです。
もちろん、それぞれの「ネクスト閣僚」ポストに配属されている人々の「質」という問題もあります(たとえば『立憲民主党の「次の災害対策担当相」の現地入りに批判』でも触れたとおり、「災害対策担当」の杉尾秀哉氏は、震災直後の能登半島を視察し、強い批判を浴びています)。
しかし、そもそも「ネクスト防衛大臣」が存在しない(※「ネクスト安全保障大臣」は「拉致問題」担当だそうです)ことは、立憲民主党自身が国家の基本である防衛をどう見ているかということを象徴しているのです。
このあたり、立憲民主党という組織を巡っては、著者自身も旧民主党、旧民進党時代からずっとウォッチし続けている次第ですが、敢えて主観で申し上げるならば、組織自体がまったくなっていないと考えています。
『選挙権は「志と実務能力」を見極めたうえ正しく行使を』を含め、これまでに当ウェブサイトにおいてしばしば指摘して来たとおり、そもそも政治家に必要なのは、政治家としての「志(こころざし)」であり、「実務能力」です。
たとえば、社会にはさまざまな利権を持った人も多く、社会をより良くして行こうとすれば、こうした利権を整理・適正化していくことが必要です。しかし、利権を打ち壊そうとしたら、現在利権を持っている人が激しく抵抗することは間違いありません。
だからこそ、利権を整理・適正化するためには、利権を持っている側を説得しなければならないのです。日本のように成熟した社会では、社会を変えていくためには、常に受益と負担の調整が必要であり、「大企業や金持ちに重税を課して貧乏な人を助ければ良い」、といった単純な原理では動かないのです。
ところが、立憲民主党にはこうした高度な調整をなし得る人材が極端に不足しているフシがあります。
それどころか、立憲民主党議員のなかには、出処不明の怪文書を手に与党の閣僚を追及したり、X(旧ツイッター)で陰謀論などに基づくデマを振りまいていたり、あるいは公選法違反行為に手を染めたり――、といった、大変に質の低い者が、多々含まれているフシすらあるのです。
ダブル・スタンダード
こうしたなかで、改めて触れておきたいのが、立憲民主党の「ダブル・スタンダード」です。
「政治とカネ」の問題は、私たち有権者にとっても懸念事項のひとつであり、自民党議員のパーティー券収入の政治資金報告書不記載問題に対しては、自民党支持者の間ですら、自民党に対する強い怒りの声が聞こえてきました。
この機に乗じて、立憲民主党はマスコミ各社などと共同して、こうした自民党の議員を「裏金議員」などと呼び、舌鋒鋭く批判して来たのです。
では、立憲民主党側に自民党議員を批判する資格はあるのでしょうか。
ケース1 安住淳氏
立憲民主党の衆議院議員で国会対策委員長の安住淳氏は2023年11月、自身の資金管理団体の2022年分の政治資金収支報告書に、30万円分のパーティー券収入を購入した団体名と金額を記載しておらず、前日付で報告書の訂正を行ったことを明らかにした。
立憲・安住氏もパーティー券収入を不記載 政治資金収支報告書を訂正
―――2023年11月29日 18時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より
ケース2 野間健氏
立憲民主党の野間健衆院議員(鹿児島3区)が代表を務める政治団体が、政治資金パーティー収入の50万円を2020年分の政治資金収支報告書に記載しておらず、総務省に25日付で訂正を報告したことが27日、産経による野間氏の事務所への取材でわかった。事務的なミスだと説明している。
立民・野間健氏の政治団体、パーティー券収入50万円記載漏れ 総務省に訂正報告
―――2024/03/27 16:22付 産経ニュースより
ケース3 川田龍平氏
文春オンラインは3月、立憲民主党の川田龍平・参議院議員(48)の後援会の収支報告書に、支援者からの寄附金の不記載があることが『週刊文春』の取材で明らかになったと報じた。文春はこの後援会が川田氏の資金管理団体と所在地が同じであるなど、川田事務所とほぼ一体の関係にあるとみられる、としている。
参院議員・川田龍平に政治資金規正法違反の疑い! 隠蔽された寄附者は一審有罪判決を受けたあの“臓器移植仲介人”
―――2024/03/13 16:12 文春オンラインより
…。
ちょっと調べただけでも、これです。
それだけではありません。
『立憲民主党の二重基準:松島みどり氏と梅谷守氏の比較』などでも指摘しましたが、立憲民主党は選挙区内の有権者に日本酒や現金をばら撒いていた梅谷守・衆議院議員(※もちろん、公選法違反です)に対し、党員資格停止1ヵ月など、極めて軽い処分で済ませました。
たとえば線香を配っただけで議員辞職に追い込まれたことがある小野寺五典氏のように、あるいはうちわを配っただけで法相辞任に追い込まれた松島みどり氏のように、自民党議員が相手だとちょっとした選挙違反でも針小棒大に騒ぐわりに、自分たちの議員に対する処分だと、ずいぶんと甘いものです。
パーティー禁止騒動
そして、こうしたダブル・スタンダードの極みが、「パーティー禁止法案事件」でしょう。
『立憲民主党「パーティー禁止法案」はどこに行ったのか』などでも取り上げたとおり、これは、立憲民主党が国会にパーティー禁止法案を提出しておきながら、自分たちは政治資金パーティーの開催を継続。
当初は「自民党がパーティーを禁止していないのだから、自分たちがパーティーを禁止するのは公正ではない」などとする趣旨の言い訳をしていたものの、ネットなどの批判に耐えられず、やむなく「幹部のみのパーティー開催自粛」を打ち出さざるを得なくなった、というものです。
結局、パーティー禁止法案は(予想通り)否決されましたが、これに関して、こんな「続報」が出てきました。
立民、パーティー自粛継続 衆院選意識し批判回避 「資金集めないと活動に影響」の声も
―――2024/06/24 19:39付 産経ニュースより
産経ニュースが24日に報じた記事によると、立憲民主党はこの「幹部のパーティー開催自粛」を当面継続するのだそうです。
産経はこれについて「次期衆院選を意識し」、「批判を回避するのが狙いとみられる」、などとしていますが、この点はその通りでしょう。自分たちがパーティー開催禁止法案を提出してしまったわけですから、これは自分たちがパーティーを「悪いこと」だと考えている証拠だからです。
しかも、パーティー自粛はあくまでも「幹部限定」であるというのも強烈ですが、それ以上に興味深いのは、立憲民主党の「資金不足」問題でしょう。政治資金パーティーは与野党を問わず、政治資金を集める手段として行われているものである、という実務があるためです。
このあたりについては結局、立憲民主党という組織そのものの運営の問題点だと考えられます。
正直、自分たちができもしないことを、他党に「やれ」と要求するかのような法案を出してきたわけですから、立憲民主党の「自業自得」のようなものではないでしょうか。
いずれにせよ、こうした騒動のひとつひとつが、立憲民主党の政党としての信頼性、あるいは「政権担当能力」そのものを象徴しているように見えるのですが、いかがでしょうか。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
ウクライナ侵攻を見てからの
リベラル野党の不感症っぷりは辟易させられます
バルト三国ポーランドフィンランドなどロシアと国境を接する国は緊迫感を持って行動しています。
それに対して立憲民主党は防衛大臣も決めなければ
安全保障策を公約に上げようともしません。
国民の命を守るつもりはあるのでしょうか?
前進の社会党は拉致はでっち上げと主張し国民の命を投げ捨てました。
それらの後継政党も同様でしょう。
国民の命を守る
という最も初歩ができる議員の数を増やさなければいけません。
ネクスト防衛大臣:憲法9条
九条ナイフを携帯するガードマンが護衛につくでしょう。
世間の長期トレンドは、
①自民党にはうんざり。
②でもマヌケ野党に投票はイヤ。
なので、維新や国民がジワジワ伸ばし、自民党はジワジワ減らし、既存左翼系の野党は底辺に貼り付いたまま。
この停滞均衡を動かせるのは、ちと青臭いけど、石丸かなあ。
「186あるすべての都立高校の生徒会長に、100万円づつバラマキやります」
とか、面白い。
これは思い付きではなく既に一年前に安芸高田市で実績ある政策で、コンバットプルーフされてます。
無条件とはいえ高校生たちは黒塗り文章公開なんかせず競って用途を詳細に(胸を張って)報告してくれることでしょう。
colabo問題やプロジェクションマッピングで、全く情報公開しない小池には、よいお灸かと。
なにより、今は18才は有権者なので、彼らの政治参加意欲が高まるのが社会的に有効。
(自分の得票にもつながるナイスなアイデア)
もう、古くさい老舗同士の茶番劇みたいな2極対立の構図は、飽きましたよ。
長らくリベラル推ししてますが、さすがに愛想も尽きます。
生徒会長ばらまきは、国の政治とは関係ないはずの生徒会を、利権やらの汚い世界に引き込んでしまう愚策だとおもいます。実は生徒会も、学校予算の配分に限られるプチ利権ではあるのですが、それが報道の対象になってしまうという、学校や生徒会にとっての不具合も考えられます。「なんで野球部だけ予算配分が多いの?」という生徒会永遠の課題が白日の下にさらされますね。
本来都立高校の設置者である都が予算配分を増やすだけの話なのですが、必ず、私立高校にも配分しなければ不公平、朝鮮学校にも配分しなければ不公平ってなってしまいます。後者は間違いなく訴訟になりますね。「生徒会長に100万円ばらまき」と雑な表現を使った反作用です。
まあ、都知事ってたいていのばらまきなら出来てしまいます。それで財政が傾くこともありません。ただ、それにより新たな政治問題を作ってしまうと問題です。
小池さんの良いところは、あまり悪影響が出ないようばらまいて、人気を保つのが上手なところと感じます。
まあ、誰がやろうとも盤石な東京都の知事。国政とはあくまでも切り離された世界。そうやって都知事をとらえるといいかなと私は思います。まあ、私は都知事選挙有権者じゃないし
自民党と既存野党への批判票で新党が議席ゲットして
5年後には「やっぱりダメだったか」となるパターンが続きそうですね
もういい加減「お灸を据える」と言う事で投票先を決めるのはやめませんか?
結局、お灸を据えるつもりで投票しても、据えられるのは国民であり都民だと思います。
石丸は安芸高田市で市長としての実績は皆無だし、ポスター代踏み倒して、裁判に負けると業者の実名晒して逃亡するような人なので、信用できないと思います。公約も関東大震災時の朝鮮人虐殺の追悼文を「行政組織も歴史認識を」示したうえで出す、と明言しています。
また、カネのかかる政治はしない、と言ってますが、彼のネットなどの露出を見ると、とても金をかけているように思います。言っている事とやっていることがちぐはぐです。
蓮舫もイヤ、小池もイヤであれば、田母神かひまそらあかねがいいように思います。
どこに投票するかは自由ですが、お灸で決めない方がいいと思いました。
上記は、CRUSH 様への返信でした。
匿名には返信しないことにしてますが。
「誰に対して言ってるの?」
悪魔:お灸を据えたい。
天使:でも現実的な投票をしないと…
で、この10年間は与党が圧勝していますね。
お灸を据えたいと思ってはいても、お灸を据える投票をしてる人はほとんど居てない、のが観測されてる事実だと思いますよ。
コトダマを心配しすぎかと。
批判票の受け皿としてのまともな保守の対立候補さえあれば、得票ザクザクなんすけどねえ。
国内最大野党が相手のエラー待ち組織というのは他国では見られない珍しい形態の組織だと思います。
サッカーでいえば自らは積極的に攻めたり守ったりしないが相手がエラーをした時のみ積極的にカウンターで攻めあがりゴールを狙う。野球なら打撃や守備の練習はしなくお粗末だが相手がエラーをすると得点を狙いに俄然やる気を出すチーム。
孫氏は人に致して人に致されずと戦場での主導権の確保の重要性を述べています。立憲民主党はカウンター型迎撃組織に見えますが主導権は常に自民党にあり、自民が動かねば結局何もできない金魚の糞のような価値の政党を目指しているように思えます。
>ネクスト農林水産大臣…金子恵美
いくら興味が無いからって、とりあえず席次だけで理由も無く人あてがって済ますのやめてもろて。
まぁ「立憲民主で農政といえばこのお方!」なんて人材知りませんけど。元も含めれば赤松広隆氏か。口蹄疫的な意味で。
無知なまま農政担当してやらかして”金子◯◯疫”とか名付けられるのヤでしょーに。
>ネクスト文部科学大臣・ネクスト子ども政策担当大臣(子ども政策)…菊田真紀子
前川喜平じゃないのが意外です。
民間からの登用もありでしょうに。
> 立憲民主党の幹部のパーティー開催自粛
自民党「だけ」の資金源を断とうとして、見事にブーメランが返ってきた形ですね。
今後もSNS等で広く取り上げて、野党の動きも牽制していく事が必要ですね。
(オールドメディアも自民党だけしか批判しかしないので・・・)
あの体たらくでも立憲民主党は一応はブーメランを警戒している様ですね。
先日の岸田首相VS泉代表の場面でも、「泉代表は論破されたじろいでいた」と
書いた記事に「こんな物の見方もあるのですね、議論は私の圧勝だったのに」と
Xで虚勢を張っていましたし。
最近の蓮舫氏の取り扱いと言い、立憲民主党はますます迷走している様ですが、
都知事選が一つのターニングポイントになるかな……?