在留外国人統計最新動向と「4つの在留資格」の問題点
不法残留者は特定3ヵ国に集中
出入国在留管理庁が22日に公表した最新のデータによれば、昨年末時点で日本に滞在する外国人は341万人、不法残留者数は79,113人だったことが判明しました。また、注目すべきは滞在資格です。技能実習、技術・人文知識・国際業務、留学、特定技能など、単純労働、あるいはさほど高度な技能を持っていなくても就労可能な資格での滞在者数は130万人を超えているのです。とりわけ俗にいう「Fラン大学」のなかには、学生数を維持するため、積極的に留学生を入学させているケースなどはないのでしょうか。
目次
昨年末時点の在留外国人は341万人
出入国在留管理庁は22日、2023年12月末時点における在留外国人数、2024年1月1日時点における不法残留者数などに関するデータを公表しました。現時点で入手できるのは詳細版ではなくサマリー版のようですが、それでも日本に暮らす外国人の人数を手っ取り早く知るうえでは、非常に有益です。
まず、日本に滞在する外国人は3,410,992人で前年と比べて335,779人(10.92%)増えました(図表1)。
図表1 在留外国人(2023年12月31日時点)
(【出所】出入国在留管理庁データをもとに作成)
トップは中国人だがベトナム人も急増
トップは821,838人の中国人であり、前年と比べて60,275人増えました。中国人の増え方は急速ですが、その一方、2番目のベトナム人は565,026人で前年比75,714人増えており、増え方のペースは中国人よりもさらに急速です。
一方、韓国人は410,156人で、2020年にベトナム人に抜かれて以来「第3位」となっており、「朝鮮」の24,305人とあわせても434,461人です。その韓国人は前年と比べ1,156人のマイナスとなっており、図表中で韓国以外にマイナスとなっているのは前年比1,053人の「朝鮮」だけです。
また、中国・ベトナム以外で前年比で1万人以上増えているのは、▼フィリピン(322,046人、+23,306人)、▼ネパール(176,336人、+36,943人)、▼インドネシア(149,101人、+50,236人)、▼ミャンマー(86,546人、+30,307人)――の4ヵ国です。
観光客とはずいぶん大きな違いが!
このあたりは、日本に観光客などとして入国する外国人の構成とは、ずいぶんと大きな違いがあります。日本政府観光局(JNTO)のデータによると、2023年(1月から12月まで)に日本を訪れた外国人は、トップが韓国人、2番目が台湾人、3番目が中国人――などとなっているからです(図表2)。
図表2 訪日外国人(2023年1月~12月、上位20位まで)
(【出所】JNTOデータをもとに作成)
自然に考えて、生活に余裕がある国・地域からは日本に「観光客」としてやってくる人が多い一方、そうでない国からは事実上の「労働力」として日本にやってきているのではないか――、といった仮説が成り立ちます。
在留資格のうち、単純労働に流用可能なものは130万人程度か?
こうしたなかで、同じく出入国在留管理庁が公表しているデータのなかに、在留資格別の在留外国人数という項目があります。そのデータをもとに、先ほどの3,410,992人がどういう資格でわが国に滞在しているのか、上位20資格を一覧にしたものが、図表3です。
図表3 滞在資格一覧(2023年12月31日時点、上位20資格まで)
(【出所】出入国在留管理庁データをもとに作成)
これで見ると、トップは「永住者」で891,569人、全体のざっと4分の1強を占めており、また、5位の「特別永住者」は281,218人で、広い意味での「永住者」は両者あわせて1,172,787人、割合でみれば全体の3分の1強です(※ただし、特別永住者資格は毎年減り続けています)。
その一方で目に付くのが、2位の「技能実習」404,556人、3位の「技術・人文知識・国際業務」362,346人、4位の「留学」340,883人、8位の「特定技能」208,462人です。この4資格、合計すると1,316,247人ですが、これらについてはどれも、単純労働に流用されているフシがあるのです。
これら4つのうち、技能実習とは「技能移転を通じた開発途上国への国際協力」の名目でやってくる外国人ですが、端的にいえば、多くの場合は「安い労働力」として酷使されているというのが実情に近いようです(著者私見)。
次に、「技術・人文知識・国際業務」は「機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者」等とされているのですが、(あくまでも想像ベースではありますが)たとえば英会話学校の講師として採用されている外国人の多くが、この区分を利用している可能性はないでしょうか。
さらに「特定技能」は「特定産業分野の各業務従事者」とされているのですが、この「特定産業」のなかに、「介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食」などが含まれています。
そして「留学」に関しては、俗にいう「Fラン大学」などと呼ばれる、あまり教育内容が大学に相応しくないとされる大学に在籍している学生が含まれている可能性もあります。
本来、「留学」資格で日本に在留している外国人の場合、その資格だけだと就労は認められないはずですが、ネットで検索すれば、「留学生が『資格外活動』(アルバイトなど)の許可を得るための必要書類」などに関する行政書士事務所などのウェブサイトがいくつかヒットします。
こうした事情から、さまざまな資格を名目にしつつ、事実上の単純労働、ないしはさほど高度なスキルを要求されない労働を目的とした日本滞在者は、下手をすると100~130万人程度という規模で存在している、という可能性も疑うべきかもしれません。
不法滞在はベトナム、タイ、韓国の3ヵ国で半数近くに!
さて、出入国在留管理庁が発表した統計のなかで、今年1月1日時点の「不法残留者」については、図表4のとおりです。
図表4 不法残留者(2024年1月1日時点)
(【出所】出入国在留管理庁データをもとに作成)
これで見るとトップはベトナム人の15,806人で、これにタイ人11,494人、韓国人10,869人が続き、この3ヵ国だけで全体の半数近くを占めていることがわかります。また、不法滞在者数は前年比で8,622人も増えた計算ですが、ベトナム、タイ、インドネシアの3ヵ国だけで5,395人増えていることがわかります。
在留資格に問題はないのか
このあたり、合法的に日本に滞在し、日本社会の発展に貢献しているような外国人の入国は歓迎すべきですが、その一方で、何らかの不法な目的で日本社会に残留している外国人については、やはり大きな問題であるといわざるを得ません。
ただ、それ以上に気になるのは、外国人の技能実習生や特定技能、留学生などが、一部の産業では「事実上の安い賃金による労働力」と見られているフシがある、という点です。
正直、こうした低賃金のブラック産業は、日本社会の健全な発展を阻んでいる要因ですらあります(※著者私見)。もしもこれらの在留資格がなかりせば、ブラック企業・ブラック産業は人手不足で廃業に追い込まれるなど、自然淘汰されていくことも期待できるからです。
また、最近だと、一部の国の出身者が狭いコミュニティを作り、むしろ日本人を排除するような動きもあるやに聞きます(あまりマスメディアが報じているフシはありませんが…)。
その意味では、日本に滞在する外国人の状況を定期的に話題にすること自体、じつはとても大切な話なのではないか、などと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
困ったことですが、日本語不自由でまともな文章も書けていないのにインチキ修士号を与えている教育機関が複数あることを知っています。
10位の特定活動の中にワーキングホリデー(29か国と締結)が含まれているようだ。
「特定技能」 「特定活動」 など、「特定」 という名が付いている在留資格の実態は 「不特定」。特別な技能を持った優秀な人材なら、そのために用意されたビザを取得する。特別な技能を持たない者が申請するのが 「特定技能ビザ」。
「特定活動ビザ」 に至っては、「他にあてはまる在留資格がない」 場合に申請するビザ。下記の一覧にある活動以外にも、コロナ禍の頃から 「何らかの事情で帰国が困難な場合」 にも 「特定活動」 が認められるようになったので、「難民申請」 と同様に、制度の抜け穴として悪用されている。
在留資格 「特定活動」 | 出入国在留管理庁
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities.html
素朴な疑問ですが、在留外国人が日本に超長期に滞在した場合、彼らの年金と、そのための財源はどうなるのでしょうか。
永住者及び特別永住者とその配偶者や家族たちが「自分たちには永住権がある」というような主張をされていることがありますが、言葉の使い方が間違っています。
彼等に与えられているのは「永住権」ではなく「永住許可」だけです。
そしてそれは彼等が永住資格という条件を満たしているときだけに適用されるものに過ぎず、欠格すれば(例えば重大な犯罪を起こしたり納税義務を果たさなくなったりすれば)容赦なくその資格を剥奪し、国外退去処分を日本国政府並びに法務当局は、厳格な態度を持って執行すべきでしょう。
パヨクやマスゴミは「永住権」と言う言葉遣いが間違っている事を承知の上で使ってますね。
KY 様
コメント有り難うございます。
それは明らかに「権利の濫用」というヤツでありますね。
>正直、こうした低賃金のブラック産業は、日本社会の健全な発展を阻んでいる要因ですらあります(※著者私見)。
低賃金に限らず、サビ残サビ休出せざるを得ない強度の労働を課す企業とか、長時間労働と時間外労働に支えられている企業とか、社員従業員に払うべき金を払わずに私腹を肥やす経営者とか、全て日本社会の健全な発展を阻んでいる要因だと考えます。
『産みの苦しみ』という点で目こぼしをするにしても、東証一部上場といった企業がそういう事をしていた場合は上場廃止をなるはやで実施して速やかに退場させるなどの措置も検討すべきなのでは?と。
人数合わせに外国人を入れる学校が多いようです。
当然学力なんか目も当てられない。そこで
「修士」になるのも一定の学力が必要でしょう。
「共通修士試験」これで出す問題は
1,分数と小数点を含む計算
2,「君が代」を歌詞を見ないで歌う
これで満点を取ること