日台韓3ヵ国の観光データで読む日台韓の人的つながり
台湾政府・交通部観光局が公表する観光統計によれば、コロナ前において、台湾を訪問した外国人に占める割合は、中国のシェアが徐々に落ち、日本のシェアが安定していたことが明らかになります。一方で、日台韓3ヵ国の観光統計を読んでみると、興味深い統計的事実も判明します。台湾、韓国の双方にとって日本が人気の渡航先である一方、台韓相互間の人的往来は、さほど多くないのです。
目次
コロナ前の3分の2水準にまで回復=訪日外国人
昨日の『中国以外の外国人観光需要が回復:入国者数182万人』で「速報」的に取り上げたとおり、2023年3月における訪日外国人は1,817,500人と、コロナ前の2019年3月の2,760,136人という水準と比べ、だいたい3分の2程度にまで回復してきました。
入国者の内訳を改めて示しておくと、図表1のとおりです。
図表1 訪日外国人(2023年3月)
国 | 人数 | 割合 |
1位:韓国 | 466,800 | 25.68% |
2位:台湾 | 278,900 | 15.35% |
3位:米国 | 203,000 | 11.17% |
4位:香港 | 144,900 | 7.97% |
5位:タイ | 108,000 | 5.94% |
6位:中国 | 75,700 | 4.17% |
7位:ベトナム | 53,600 | 2.95% |
8位:シンガポール | 52,700 | 2.90% |
9位:フィリピン | 46,600 | 2.56% |
10位:豪州 | 45,200 | 2.49% |
その他 | 342,100 | 18.82% |
総数 | 1,817,500 | 100.00% |
(【出所】JNTOデータをもとに著者作成)
これでわかるとおり、1位は韓国で466,800人、すなわち訪日外国人の約4分の1を占めており、これに278,900人の台湾(約15%)、203,000人の米国(約11%)、香港144,900人(約8%)、タイ108,000人(約6%)などが続きます。
中国人入国者の落ち込みでほぼ説明が可能
一方、4年前の2019年3月と比較したものが、図表2です。
図表2 2019年3月と2023年3月の比較
国 | 2019年3月 | 2023年3月 | 増減 |
韓国 | 585,586 | 466,800 | ▲118,786 |
台湾 | 402,433 | 278,900 | ▲123,533 |
米国 | 176,564 | 203,000 | +26,436 |
香港 | 171,430 | 144,900 | ▲26,530 |
タイ | 147,443 | 108,000 | ▲39,443 |
中国 | 691,279 | 75,700 | ▲615,579 |
ベトナム | 47,881 | 53,600 | +5,719 |
シンガポール | 43,687 | 52,700 | +9,013 |
フィリピン | 48,277 | 46,600 | ▲1,677 |
豪州 | 44,175 | 45,200 | +1,025 |
その他 | 357,826 | 342,100 | ▲15,726 |
総数 | 2,760,136 | 1,817,500 | ▲942,636 |
(【出所】JNTOデータをもとに著者作成)
これでわかるとおり、2019年3月に691,279人でトップを占めていた中国人の入国者数は、22年3月にはわずか75,700人にとどまっています。単純計算で615,579人減少した計算です。
逆にいえば、中国人入国者がコロナ前の水準を回復すれば、訪日外国人数は過去最大となった2019年の水準に近くなる(かもしれない)、ということです。
インバウンド観光は日本にとって諸刃の剣
これが、日本経済にとって良いことなのか、悪いことなのかは、一概にはいえません。
一般論でいえば、外国人観光客がたくさんやってくれば、その分、それらの観光客が日本におカネを落としてくれるため、経済効果がもたらされますし、また、実際に日本を体験し、日本に満足し、日本のファンになってくれれば、その人が日本の「親善大使」のように、本国で日本のことを宣伝してくれるに違いありません。
(※逆にいえば、日本で酷い体験をすれば、それが「悪評」として世界に伝わる、ということでもありますが…。)
ただ、その一方で著者自身がかねてより危惧しているのは、観光客の集客目標の「数字」が独り歩きすることであり、また、特定国に対して政治的に配慮するあまり、観光産業が政治的妥協のために利用されてしまうようになることです。
これには前例がいくつかあります。
たとえば、2019年7月に日本政府は韓国に対する輸出管理を厳格化・適正化する措置を公表しましたが、これに対し、韓国側ではこの措置を「輸出『規制』だ」などと反発し、そこから一挙に「ノーアベ」、「ノージャパン」運動が広まり、2019年を通じた韓国人の訪日客が急減しました(図表3)。
図表3 日韓往来の推移
(【出所】日本政府観光局データ、韓国観光公社データ)
これにより、対馬など一部地域では韓国人観光客の客足がパッタリと途絶えてしまいました(※といっても、もともと韓国人観光客の1人あたり消費額が少ないなどの事情もあり、「日本経済全体に大きな打撃があった」というわけではありませんでしたが…)。
また、外国の事例ですが、中国の韓国に対するTHAAD制裁という事例もあります。
これは、2016年7月に当時の朴槿恵(ぼく・きんけい)政権(※翌17年3月に罷免)が在韓米軍との間で、高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の配備で合意したことを受け、激怒した中国が韓国観光商品の販売を禁止するなどの措置を講じたものです。
現実に、韓国の観光統計上、中国からの入国者が2017年2月以降、激減していることが確認できます(図表4)。
図表4 訪韓中国人の推移
(【出所】韓国観光公社データ)
韓国に入国した中国人の人数は、2016年7月に917,519人と最多を記録したのですが、これが1年も経たずして、17年4月には227,811人と、4分の1の水準にまで激減。韓国が中国に対し「三不の誓い」を立てるなどの土下座外交を余儀なくされる要因のひとつとなったようです。
こうした状況を踏まえるならば、とくに中国が「観光、輸出」など、さまざまな面で経済を政治武器化する国であることは明白であり、観光行政に携わる者は、「2017年の韓国は今後の日本かもしれない」、などとする想像を働かせるべきです。
要するに、インバウンド観光は「諸刃の剣」なのです。
台湾の観光統計を読んでみた
いずれにせよ、当ウェブサイトでは「東アジアの相互往来」について引き続き高い関心を払う価値があると考えているのですが、日本にやって来る外国人のなかで2番目に多い台湾については、いったいどうなっているのでしょうか。
じつは、台湾政府も交通部観光局が『観光統計年報』と称するデータを公表しています。元データは中国語・繁体字ですが、英語も併記されているため、私たち日本人であっても容易に検索し、分析することができます。
ただし、月次データに関してはまとまったファイルで公表されていないようであり、過去のデータはエクセルでバラバラに公表されている状況です。
そこで、2012年以降の年次データを使い、外国人の訪台状況を確認してみたいと思います。2022年までのデータを使ってグラフ化したものが、図表5です。
図表5 台湾訪問客の推移(居住地基準)
(【出所】台湾交通部観光局データより著者作成)
これで見ると、台湾訪問客数はコロナ直前の2019年までじわじわと伸びていたのですが、意外なことに、中国人の割合は2014年の約40%をピークに下がり続け、コロナ直前の2019年においては全体の23%にまで下がりました。これに対し、日本人の割合は一貫して20%前後を維持しています。
日台韓3ヵ国の比較
こうしたなかで、せっかく日台韓3ヵ国の統計データが揃っているので、もうひとつ、興味深い情報も紹介しましょう。それは、日本人の渡航先として、台湾と韓国がほぼ同等である一方、台湾人と韓国人の渡航先としては、日本が圧倒的な人気である、という統計的事実です(図表6)。
図表6-1 日本人の渡航先(台韓比較)
図表6-2 台湾人の渡航先(日韓比較)
図表6-3 韓国人の渡航先(日台比較)
(【出所】日本政府観光局、台湾交通部観光局、韓国観光公社のデータをもとに著者作成)
なんだか、意外な感じがします。
台韓両国を比べると、日本人にとっては韓国の方が若干、渡航先としては上回っていますが、それでも近年、渡航先としての台湾の重要性が少しずつ上昇していることが確認できます。一方、台湾人の渡航先は、日本が韓国を圧倒しており、韓国人の渡航先としても、やはり日本が台湾を圧倒しています。
台韓の人的往来は相互にさほど多くない
なお、図表6の元データは、図表7に示した通りであり、テキスト化したものについては本稿末尾の図表8に示しておきます。
図表7 日台韓3ヵ国の相互往来
(【出所】日本政府観光局、台湾交通部観光局、韓国観光公社のデータをもとに著者作成)
このあたり、経済的結びつきは一般に「ヒト、モノ、カネ」であるといわれますが、台湾と韓国の相互間では、年間の訪問客数がそれぞれ100万人を超えるかどうかというレベルであり、意外なほどに人的往来は少ないといえます。
また、韓国を訪問する日本人は、2012年には352万人と、台湾を訪問する日本人の数(143万人)の倍以上に達していましたが、近年ではその差が縮まっているというのも興味深い傾向といえるかもしれません。
図表8-1 日台の相互往来(テキスト化データ)
年 | 日本→台湾 | 台湾→日本 |
2012年 | 1,432,315 | 1,465,753 |
2013年 | 1,421,550 | 2,210,821 |
2014年 | 1,634,790 | 2,829,821 |
2015年 | 1,627,229 | 3,677,075 |
2016年 | 1,895,702 | 4,167,512 |
2017年 | 1,898,854 | 4,564,053 |
2018年 | 1,969,151 | 4,757,258 |
2019年 | 2,167,952 | 4,890,602 |
2020年 | 269,659 | 694,476 |
2021年 | 10,056 | 5,016 |
2022年 | 87,616 | 331,097 |
図表8-2 日韓の相互往来(テキスト化データ)
年 | 日本→韓国 | 韓国→日本 |
2012年 | 3,518,792 | 2,042,775 |
2013年 | 2,747,750 | 2,456,165 |
2014年 | 2,280,434 | 2,755,313 |
2015年 | 1,837,782 | 4,002,095 |
2016年 | 2,297,893 | 5,090,302 |
2017年 | 2,311,447 | 7,140,438 |
2018年 | 2,948,527 | 7,538,952 |
2019年 | 3,271,706 | 5,584,597 |
2020年 | 430,742 | 487,939 |
2021年 | 15,265 | 18,947 |
2022年 | 296,867 | 1,012,751 |
図表8-3 台韓の相互往来(テキスト化データ)
年 | 韓国→台湾 | 台湾→韓国 |
2012年 | 259,089 | 548,233 |
2013年 | 351,301 | 544,662 |
2014年 | 527,684 | 643,683 |
2015年 | 658,757 | 518,190 |
2016年 | 884,397 | 833,465 |
2017年 | 1,054,708 | 925,616 |
2018年 | 1,019,441 | 1,115,333 |
2019年 | 1,242,598 | 1,260,493 |
2020年 | 178,911 | 166,716 |
2021年 | 3,300 | 4,130 |
2022年 | 51,748 | 72,925 |
(【出所】日本政府観光局、台湾交通部観光局、韓国観光公社のデータをもとに著者作成)
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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新宿会計士殿、毎日の更新有難う御座います。掲載頂く記事が多くて、昨今はなかなか読み終えられなくなりました。
新宿会計士殿は「台湾と韓国の相互間では、年間の訪問客数がそれぞれ100万人を超えるかどうかで、意外なほどに人的往来は少ない」、と仰います。けれども私には、台湾と韓国との往来が多少なりともまだあるのが不思議です。というのも韓国は台湾に嘘を吐き、酷い裏切りを繰り返して来て、台湾側が激怒し、韓国が大嫌いだからです。
1.中国との国交正常化を図る為に日本が1972年に台湾と断交したのを韓国メディアは一斉に日本を批判しました。
2.韓国が1992年に中韓国交樹立を図る際に、台湾政府に断交はありえないと断言し、売れ残っていた5万台もの韓国車を台湾国民党政府に買わせました。
3.挙句の果てに韓国は「不意打ち」「だまし討ち」で突如、台湾との断交に踏み切りました。
韓国の台湾に対する裏切りに関する詳しい説明はこちらの記事でご覧頂けます。
【臺灣が韓国を嫌う理由】
https://plaza.rakuten.co.jp/dangoya4488/11003/
「台湾有事」 の可能性が言われるようになってから、留学や家族帯同での赴任を心配する人が増えているそうです。でも、それを言ったら韓国も、これまでに何度も 「朝鮮半島有事」 の可能性が高まったことがありますけどね。観光などの短期滞在で行く人には関係ないのかな?
仁川での乗り換え便待ちの間 空港から一歩外に出ると 来韓者に カウントと 噂されています。
数時間の滞在で 北の脅威に遭遇する確率は少ないと 利用者は認識しているのでしょう。
日本→韓国の訪問人数は在日人の秋夕とか法事とか、集まる機会が多い方々なんで、その人数も加味されているのでしょうネ。でも以前のような1年間に700万人とか800万人突破はマジ、勘弁して欲しい。嫌いな国に何故来るのか分からん。
台湾は私も再度訪問したいぐらい。600万人ぐらいカモーーン(笑)。「台湾有事」が更に現実に起こりそうで危ないですが、日本政府は身を挺して台湾を守るでしょう。カネだけでなく、「汗と血」も提供すると思う。
韓国が北から攻撃を受ければ、、、半島に関わってはイケナイ!釜山・済州島以南に関係無ければ、無視で良い。
なるほど。
>在日人の秋夕とか法事とか・・・
そうした韓流劣化儒教でのニーズもあるんですねえ。
あとは、
毎日鏡を見るたびに打ちひしがれ続け
コロナで果たせなかった人たちが
「韓流整形であなたも韓流スター♪」
に行けると我慢しきれず
堰を切って訪韓してるのかも。(笑)
まあ、親から貰った顔を自ら失って
フェイクに走るのをためらう人が
いるのはふつうに当然ですが、
ただ、韓流整形フェイク効果で首尾よく
ゲットで子供を授かれたら
ご自分の失った長年の顔そっくりの
お子さんに対面できるのて
驚愕と落胆と感動がさぞやあることでしょう。
ちなみに、
嫌韓派ではない憐韓派の私はそもそも
文化は高級でなければならないとは
思ってはいないので、
他国文化と旋律の上での
K-POPなる
韓流整形腰振り踊りなんかも
軽薄手軽な消費文化として
認めて上げるという寛容な姿勢です (^^)/
そう言えば、中国からの観光客ってコロナ対策で来日しないのか?もうコロナ関係追ってないからわからん。
台湾への渡航者、増えてほしいな。小さくそう願っています。
台湾タイといった親日の国も、よっぽどふざけた国の韓国のように、日本でガンガンアピールしてほしい。広報費の予算がっちりとって。
住んでるとこがバレちゃいますけど、
大阪日本橋のオタクロード、
まん◯らけでも
よく外国の方々を見かけます、
日本の漫画をよく探していて、
日本語読めるのかな?
と思いきや、
好きな日本のアニメやドラマで学習して
見事な日本語を駆使したり、
その
勉強熱心さには脱帽です、
、
価値もよく知っていて、
一歩違いで
お目当ての品をとられたり(笑)、
私は機会がまたありますので、
どうぞと。
ご存じと思いますが、discordの日本語チャンネルには外国の方が結構な数やってきます。なんか日本人と会話したいみたいなんですね。
好きなんだろうなーと思います。
私は少し疎いのでピンボケかもしれませんが、外国人が作るアニキャラも完成度高くて驚きます。
グローバルで一つのジャンルが確立してるんだなと感じること多々です。
好きこそものの上手なれ、
ですね、
複雑と言われる日本語をよく習得したものです、
それに
自分が好きな作品を買っているのを見ると、
それの価値が解ってくれている、
と
嬉しくなりますね、
、
エヴァンゲリオンみたいな
メジャーだけど難解な作品から
あと、
少年ジャンプで
10週打ちきりになった作品の単行本、
本当にどこで知ったのか、彼ら
ただ者ではありませんね…。
どっかの国のパクったフルーツなんか買うな、食べるな。台湾パイナップル美味しいよ、たまにスーパーで売ってるけど結構高いんだよね。https://news.yahoo.co.jp/articles/09ec9f72a2daed8ffb57af654a53bfe14f1be537