歴史議論は平行線というより対話自体が困難=歴史学者
日本と韓国は歴史認識を巡って、「平行線というより対話自体が困難だ」。これは、東京女子大学准教授の森万佑子氏の指摘です。森氏は1910年の日韓併合よりも少し前の、「大韓帝国」時代の韓国の動きに焦点を当て、そこから史料を丹念に読み解くかたちで、日韓併合に至るまでの道筋を解き明かそうとしています。こうした森氏の研究を敷衍すれば、どうして日韓両国がわかりあえないのか、その真相が少し見えてくるのではないでしょうか。
目次
尹錫悦政権が掲げる「韓日関係改善」「一括妥結」
早いもので、韓国で尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権が発足して、すでに半年が経過しました。
このところ、韓国メディア(や一部の日本のメディア)からは、「韓日(日韓)関係に改善の兆しが見えてきた」、といった報道も出ている理由は、おそらく、尹錫悦氏が掲げる「韓日関係の一括妥結」に向けた「強い意志」(?)が、日韓間の諸懸案を一挙に解決に持っていく、との希望的観測に基づくものでしょう。
たとえば、今月初めの『日韓「3つの懸案が早ければ来春にも解決」=メディア』で取り上げたとおり、一部メディアは「日韓両政府が現在、日韓間の3つの懸案の『解決策』をかなり絞り込んでおり、合意まであと間近だ」、などと報じています。
ここでいう「3つの懸案」とは、「徴用工、輸出管理、GSOMIA」のことだそうであり、火器管制(FC)レーダー照射事件や韓国国会議長による上皇陛下侮辱発言問題、「慰安婦合意破棄」などの約束破り問題などは含まれていません。
日韓諸懸案がこの3つだという言い草には驚きますが、ただ、韓国側(と一部の日本側関係者)の希望的観測に基づけば、日韓両政府がこの3点セットを「一括妥結」することで関係を「改善」するというのは、一種の既定路線のようなものなのでしょう。
日本国民をバカにするにもほどがあります。
このネット時代、原理・原則から逸脱した政策には無理がある
もっとも、著者自身は尹錫悦政権が日韓関係の「改善」を願っているらしい、という点については同意しますが、それが実現可能であるとは考えていません。日韓間の認識の隔たりが、あまりにも大きいからです。
また、どうも尹錫悦政権関係者は、日本が現在の「宏池会政権」である間に、この「一括妥結」を実現しようとしているフシがありますが、その肝心の「宏池会政権」がいつまでも続くというものでもありません。どうもこの「宏池会政権」、仕事の進め方が絶望的に下手くそだからです。
ちなみに先週以降でいえば、例の「無責任な防衛増税構想」に対し、自民党内でも反発が広がっているようですが、これも見方を変えれば、「宏池会政権はもう長続きしない」と見た財務省あたりが、宏池会政権のうちに増税をねじ込もうとしている動きなのかもしれません。
この点、自分たちの政策をねじ込もうとする勢力は、財務省に限られません。
しかし、それと同時にこのインターネット化社会において、原理・原則から逸脱した政策を、国民から選挙で選ばれたわけでもない集団(たとえば官僚機構やオールドメディア)が無理やりねじ込もうとしても、それにはかなりの無理があります。
したがって、著者自身は、たとえば2015年12月の慰安婦合意のような「日韓歴史問題の清算に向けた合意」が、今後、日韓間で形成される可能性は極めて低いとみており、必然的に、日韓関係は解決できない諸懸案を抱えたまま、徐々に疎遠にならざるを得ないと考えているのです。
なぜいま、「韓国併合」なのか?
ただ、せっかく隣国同士なのに、「ともに手を取り合い未来に向けて発展していく」という関係になることができないのは残念な話ですし、「国同士は懸案を抱えていても、国民同士は草の根レベルで仲良くなることはできないものか」、という気持ちを抱くのは自然な話です。
それでは、日韓両国の国民同士がお互い、未来志向で交流していくことはできるのでしょうか。
こんなことを考えていたところ、先週金曜日、ウェブ評論サイト『ウェッジ・オンライン』に、なにやら興味深い記事が掲載されていたのを発見しました。
「韓国併合」を今問い直す意味とは何か?
―――2022年12月9日付 Wedge ONLINEより
これは、東京女子大学・現代教養学部准教授の森万佑子氏が執筆・刊行した『韓国併合(中公新書)』という書籍に関する著者へのインタビュー記事です。森氏によると、本書の見どころは、韓国併合を巡って「朝鮮側の動向を、彼ら主体に描いてみること」にあるのだそうです。
記事には、こんな記述が出てきます。
「朝鮮半島は1910年8月から45年8月まで35年間、日本の植民地だった」。
韓国の言う「日帝支配」の実態が「植民地支配」だったのかどうかに関しては、当ウェブサイトとしては異論があるところですが、とりあえずその異論については脇に置くとしましょう。
歴史的に見れば、韓国併合は1910年のことであり、500年続いた朝鮮王朝が「大韓帝国」と名を改めた1897年10月以降、その「大韓帝国」は13年続いたことになります。記事によると、本書の焦点は、この13年間に充てられているとのことです。
大韓帝国の13年は北朝鮮の前史
非常に短い解説記事であるにもかかわらず、この「大韓帝国」の13年の歴史については要点が抑えられているのですが、これを一言で要約したものが、次の一文ではないかと思います。
「現代の北朝鮮の前史だったと思えば、理解できるかもしれません」。
すなわち、初代皇帝に即位した高宗や当時の大韓帝国政府は議会の開設を望まず、高宗は日本型の近代立憲国家ではなく、「中華の天子」を目指した、というのです。
この視点は、なかなかに興味深いものです。
たしかに北朝鮮において、金正恩(きん・しょうおん)やその前任者である金正日(きん・しょうじつ)、金日成(きん・にっせい)らを神格化するかの動きは、中華皇帝の権力の在り方と、非常によく似ています(もっといえば、習近平(しゅう・きんぺい)体制も、それを目指しているのかもしれません)。
そのうえ、森氏は韓国で「極悪人」とされている伊藤博文を巡っても、こんなことを指摘します。
「伊藤は自由主義的な政治志向だったと思います。完全に併合して植民地化すると、日本に膨大な財政負担がかかってしまう。それは避けたい。保護国として、韓国人自身が進んで近代化に協力してくれるのがいい、そう考えていたのでは。近年、進展している伊藤博文に関する日本史研究を見ると、『併合のブレーキ役』としての伊藤の像が浮かび上がってきます」。
こうした客観的な史料を読み解いていくのは、まさに歴史学者ならではの仕事ぶりです。
平行線というより対話自体が困難
そのうえ、森氏の著書の終章では、韓国併合に至るまでの日韓間の5つの条約・取り決めについての「日韓双方の最新の見解が並べてある」のだそうですが、これに関するインタビュワーと森氏のやり取りは、こうです。
「これを読むと、両国の歴史認識の違いがいかに大きいかわかりますね?」
「日本の歴史は史料に基づいた史料第一の実証史学ですが、韓国は違います。民族史学が優勢です。今の韓国にメリット、だからこう考える。歴史教育は、そんなナショナリズム涵養の領域なんです」
ということは、日韓間では歴史研究を巡って、史料の相互検証ができない、ということでもあります。実際、記事にはこんな指摘があります。
「日本には膨大な公文書や日記があるが、韓国側にはほとんどない」。
そこで、インタビュワーが「歴史議論はどこまでも平行線?」と尋ねると、森氏はこう答えたそうです。
「平行線というより対話自体が困難です。けれど少なくとも本書のような経過があったことは、日本の人たちに知っておいてほしいです」。
輸出管理適正化措置に見る「韓国との対話」の失敗例
この、「平行線というより対話自体が困難」のくだりを読み、個人的には思わずポンと膝を打ってしまいました。
たとえば2019年7月に、日本政府は韓国に対する輸出管理の厳格化(あるいは適正化)措置を公表しましたが、これについて発表した経産省『大韓民国向け輸出管理の運用の見直しについて』のページを読むと、その理由についてこんなことが書かれています。
「大韓民国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生した」。
これを著者なりに理解するならば、輸出管理の制度趣旨に照らし、「あってはならないこと」が発生し、これについて日本政府側が韓国政府側に説明を求めたところ、韓国政府側が「対話のテーブル」に着席すらせず、逃げ回っていた、という実情があったのではないかと推察されるのです。
実際、各種報道等によれば、輸出管理に関する政策対話は2016年6月に開催されたきり、それ以降は韓国側から対話の開催を拒絶されていたことがわかっています(『対韓輸出管理の厳格化は日本を守るために必要だった?』等参照)。
想像するに、日本政府は「不適切な事案」に関する具体的な証拠を掴んでいて、その証拠を韓国側に照会したところ、韓国側から誠意ある対応が取られず、対話自体が困難であったため、日本側はこれに対応するために対韓輸出管理の優遇措置のランクを引き下げる決定を行ったのでしょう。
といっても、韓国は輸出管理上、依然として「グループB」の優遇対象国ではあります。
韓国側は「(旧)ホワイト国」、すなわち現在の「グループA」に戻すことを日本政府に要求しているそうですが、日本をWTOに提訴するなどの韓国の不誠実極まりない対応を見る限りにおいては、むしろ韓国を「グループC」以下に引き下げても良いくらいではないかと思うのは、ここだけの話です。
いずれにせよ、私たち現代に生きる日本人は、「日韓関係改善が必要だ」とする一部の「日韓関係利権」に染まった人たちの雑音に晒されていますが、「韓国とは平行線というよりも対話自体が困難」という歴史学者の指摘に対してこそ、真摯に耳を傾けるべきかのかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
日韓では通訳は通じて居るのに言葉が通用しない。この事はいろんな場面で痛感しました。この研究者のインタビューでも再確認。
ご都合主義の権化だから、言葉は通じても話は通じないんですよね。きっと。
韓国は名実ともに、「グループA(America経済圏)」から「グループC(China経済圏)」への回帰過程なんですよね・・。
日本は、彼らを安寧の地から引き剝がし(下関条約)てはいけなかったのです・・。
日本人(普通の国も)の考える歴史:
史実(当時記録された史料)ベース
韓国人が考える歴史:
願望(後付けの創造/捏造)ベース
ですかね。こりゃ百万年経とうと歴史に限らず対話のテーブルに乗るはずないね。
(最近だとFCレーダー照射事件が良い例)
こんな世界に類例がない特殊な国は、遠くから当たらず障らずのお付き合いに止めるのが正しい。
岸田さん、外務省の小物どもの口車に乗って譲歩/関係改善など禁物に願いますよ。
誰でも知ってることをあえて書くけど
「平行線」は本来は数学用語で、同じ空間内にある複数の直線の関係性を表している。
日韓の主張が「同じ空間内」にあるのだろうか。
実数の空間には存在しなくても、複素数まで拡張すれば存在するのかもしれません。
屁理屈? いえいえ、韓国の主張が現実離れしてることの喩えです。
SF漫画で裏宇宙(アナザースペース)を「虚数空間」と呼んでたりするけど
なんかカッコいい。
空間では、同じ平面上になく交わりもしない直線が存在します。 このような2つの直線は「ねじれの位置にある」。
https://www.try-it.jp/chapters-621/sections-631/lessons-640/example-2/
「平行な直線」はそもそも同じ平面になければならない。
ひょっとしたらやまいぬの書き込みに対する反論なのかも知れないのでレスします
(勘違いなら失礼)
>「平行な直線」はそもそも同じ平面になければならない。
上記の一文は「空間内にある複数の直線の関係性を表している。」よね。
日本人などにとって歴史は サイエンス なのに対して、韓国、中国にとっては政治の道具、現政権の正当性を裏打ちするためのもの。
全く違う尺度で測る事象のすり合わせなんて不可能だと思います。
李氏朝鮮末期から大韓帝国の成立を朝鮮人は授業で習ってないのか?と思うわ。日本を批判する前にお前んとこの王様は何をやっていたんだ?と思う。
韓国の歴史に対する態度を分析することは、歴史学者としてはかなりの分野違いであることは間違いないです。ただ、歴史学を正常に発展させるには、明らかに間違った形に凝り固まった韓国について釘を刺す作業は必須です。
基本として、歴史というのは利害関係から離れて中立で見ることで始めて示唆がえられるものであると考えます。だから、まだ利害関係が残るうちは雑音が多過ぎて学問にならないんだと思います。
利害関係を離れて、結果の悪かった行動は素直にさけ、結果のよかった行動は今後の政策に生かす。それが「歴史に学ぶ」ということだと。
韓国は、上層部が自らの保身のために、施政権を外国に売ってしまうとしまうという、歴史上まれに見る失態をしでかしています。
要するにそれがあまりにも非常識な失態であるがゆえにそれを中立的に認めることが出来ず、「歴史学の研究」そのものが始められずにいます。
ドイツがナチスのせいにするのと同じで、韓国は日本のせいにすることで歴史から逃げています。まあ、どちらも救いようがないですね。中立的に反省出来ない場合、多分似たような事態に対して対応出来ないような気がします。韓国に関して言うと、中国に国を売ってしまう可能性(あり得そうでしょ)
「(韓国との歴史議論は)平行線というより対話自体が困難」という見解が、歴史分野の専門家による学術的な調査検証の結果として、論理的かつ客観的なものの見方として示されたことは、大きな意義があると思います。
今後の日本の韓国に対する姿勢を考えるうえで、非常に有益な論拠を与えることになると思います。
森万佑子准教授の説明は、なかなか斬新な切り口だと思います。伊藤博文公は、K国では残忍卑劣な政治家、悪者だと描かれますが、実は朝鮮併合反対派でしたよね。でも総督府のトップになり、暗殺された。しかし実は穏健派だったんだろう、、そんな気がします。
日韓の輸出管理で、「あってはならないこと」とは何だったのか?北朝鮮や中東の核開発にシノギを削っている国。この繋がりが怪しいです。下手したら、日本まで反社に指定されてしまう!K国とはもうマトモな付き合いは出来ませんので、洗いざらいの半分くらい、公表してもいいのでは?どうせ日本の悪口言うだけだし。付き合う気無いっちゅうの!
日本の歴史はヘロドトスの「歴史」で、韓国の歴史は司馬遷の「史記」って事なんでしょうね。
地理的には東アジアに位置する日本の歴史感覚が西洋に近いのは何故かについては、研究すると面白そうですが。
>地理的には東アジアに位置する日本の歴史感覚が西洋に近いのは
>何故かについては、研究すると面白そうですが。
東アジアの儒教的考え方では日本のように色々な自然災害が多い国では自然現象の因果関係を論理的に考察して対処出来ないと滅んでしまうからでは?
日本が儒教的で主観的・観念的な物の捉え方・考え方にどっぷり浸からなくて幸いでした。
朝鮮は演義を正史と勘違いしてるのですなw
朝鮮半島は日本本土防衛のための、前哨陣地でしかなく
別段直接統治しなければならない場所ではなかった
直接統治の結果、前哨陣地を守るための前哨陣地として
満州に向かうことになり利権の衝突から対米戦に至ってしまった
アソコは、積極的に関わる場所ではありません