支持率回復の一方で内閣不信任案を準備する立憲民主党
最大野党としての「責任の果たし方」は正しいのか?
当ウェブサイトで「定点観測」的に報告している内閣支持率調査の3月分がほぼ出そろいました。結論的にいえば、一部メディアを除き、内閣支持率は軒並み不支持率を上回り、回復傾向にあります。こうしたなか、立憲民主党の安住淳・国対委員長は今国会の会期末に向け、内閣不信任案を準備していると明らかにしたそうですが、はたしてそれは「今やるべきこと」なのでしょうか。
世論調査は定点観測が大事
いつも申し上げているとおり、基本的に当ウェブサイトとしては、マスメディア各社が実施している内閣支持率調査については、全幅の信頼を置くべきではないと考えています。
その理由としては、多くのメディアが採用している「固定電話による調査」という手法には限界があること、同じメディアでも調査の実施頻度、タイミングなどが安定しないことなどが挙げられます(※もっとも、最近だと固定電話だけでなく携帯電話も調査対象に含められているようですが)。
ただし、それでも、あえて世論調査を見る価値があるとすれば、「同一時点における複数メディアの調査」、「同一メディアによる異時点間の調査」を比較することで、内閣が指示されているかどうかを「傾向として」掴むことにあると思います。
こうしたなか、当ウェブサイトにて「定点観測」している、主要メディアによる2021年3月時点における内閣支持率調査が出そろいました(図表1)。
図表1 内閣支持率(2021年3月)
メディアと調査日 | 支持率(前回比) | 不支持率(前回比) |
---|---|---|
読売新聞(3/5~7) | 48.0%(+9.0) | 42.0%(▲2.0) |
時事通信(3/5~8) | 35.0%(+0.2) | 41.0%(▲1.8) |
産経・FNN(3/13~14) | 51.4%(▲0.1) | 42.8%(▲0.4) |
共同通信(3/20~21) | 42.1%(+3.3) | 41.5%(▲4.4) |
朝日新聞(3/20~21) | 40.0%(+6.0) | 39.0%(▲4.0) |
日経・テレ東(3/26~28) | 45.0%(+1.0) | 46.0%(▲2.0) |
(【出所】各メディア報道を元に著者作成)
一生懸命に不祥事を追及したのに…
当ウェブサイトで好んで引用する6つの調査に関していえば、時事通信と日経・テレ東の2つの調査を除き、いずれも内閣支持率が不支持率を上回っています。また、支持率が前回対比小幅低下した産経・FNNのものを除けば、支持率はいずれも上昇傾向にある一方、不支持率は軒並み減少しています。
一部のメディアや一部の野党が一生懸命、「菅義偉総理大臣の長男らによる総務省幹部への高額接待疑惑」「法案の字句誤り」などを追及していたにも関わらず、です。
こうしたなか、コロナ禍にも関わらず、相変わらず最大野党・立憲民主党の常套手段は「審議拒否」であり、しかも村田蓮舫代表代行や安住淳国対委員長らが、メディアが「審議拒否」と報じたことを「常套句」と逆ギレしているようなのです(『「審議拒否」報道に立憲・村田氏ら「常套句」と逆ギレ』参照)。
(※余談ですが、立憲民主党の最近の「看板政策」は「zeroコロナ」なのだそうですが、SNSや掲示板などでは「zero立憲民主」という表現を見かけることがあるのは気のせいでしょうか。)
選挙で勝ち続けた自民党
こうしたなか、その安住国対委員長を巡って昨日、こんな報道もありました。
内閣不信任案「準備したい」 立憲・安住国対委員長
―――2021年03月28日11時27分付 時事通信より
時事通信によると、安住氏は28日、NHKの番組に出演し、6月16日に会期末を迎える今通常国会で内閣不信任案を提出する可能性について、次のように述べたのだそうです。
「長期自民党政権に対するわれわれの考え方を伝える重要な方法は内閣不信任案がその一つだ。準備をしたい」。
「いまそれをやるか」――。
コロナ禍のさなか、最大野党である立憲民主党の「最大野党としての責任」の果たし方とは、本来であれば、政権与党をうならせるような法案を出して来ることではないかと思うのですが、それをせずにいきなり内閣不信任案というのも、何だか乱暴な気がします。
それに、大変申し訳ないのですが、この発言に対しては、大変な違和感があります。
自民党に長期政権を委ねて来たのは私たち日本国民の選択の結果です。
自民党が国民から「素晴らしかった」と絶賛されたから選ばれ続けたのか、それとも自民党に対抗し得る最大野党が国民から「素晴らしくない」と否定されたから選ばれなかったのかはわかりませんが、客観的事実のみを申し上げるなら、2012年12月以降、自民党は大型国政選挙で勝ち続けています。
図表2は、過去6回の大型国政選挙(衆議院議員総選挙3回、参議院議員通常選挙3回)について、自民党が獲得した改選議席数とその占有率を一覧したものです。
図表2 自民党の獲得議席数
選挙実施日 | 自民党獲得議席/改選数 | 議席占有率 |
---|---|---|
衆院選(2012/12/16) | 294議席(480議席中) | 61.25% |
衆院選(2014/12/14) | 291議席(475議席中) | 61.26% |
衆院選(2017/10/22) | 284議席(465議席中) | 61.08% |
参院選(2013/07/28) | 65議席(121議席中) | 53.72% |
参院選(2016/07/25) | 55議席(121議席中) | 45.45% |
参院選(2019/07/21) | 57議席(124議席中) | 45.97% |
(【出所】著者調べ)
内閣不信任案の覚悟は立憲民主党にあるのか?
参院選については、2013年7月は自民党が「やや勝ち過ぎた」選挙であり、その後2回の選挙では、改選議席数に占める占有率は50%を割り込んでいますが、それでも自民党は参議院で最大政党であり続けています。
その一方で、衆議院については、毎回の選挙で6割を超える議席を獲得しています。衆議院は小選挙区主体であり、もともと議席数に圧倒的な差が付きやすいという特徴があるのですが、それにしても自民党が毎回安定的に勝利しているというのも事実でしょう。
そして、当たり前の話ですが、現在の議席の状況で、仮に立憲民主党が内閣不信任案を出して来たとしても、現在の勢力を考えるなら、それが可決される可能性はないと考えられます。
ただし、この内閣不信任案には、かなりの重みがあることも事実です。
というのも、日本国憲法の規定上は、内閣不信任案が可決(または信任案が否決)された場合には、内閣は10日以内に衆議院を解散するか、さもなくば総辞職するかを選ぶ必要があるからです(日本国憲法第69条)。
裏を返せば、党として内閣不信任案を提出する以上、「内閣に総辞職してもらうか、さもなくば衆院を解散して欲しい」という気概と覚悟を持っていなければおかしいはずです。
果たして、立憲民主党にその覚悟はあるのでしょうか。
立憲民主党への支持率の実態
そういえば、安倍晋三総理が現職の内閣総理大臣時代には、2014年と2017年に衆院の解散を決断しましたが、その際、一部のメディアや野党は「解散の大義がない」などと反発しました。この「大義がない」、何だか意味がよくわかりません。
自民党を批判して来たメディアが、旧民主党、旧民進党、現・立憲民主党が内閣不信任案を出す際にも、同じように「大義がない」などと批判していたならば、話はまだわかります。
しかし、「自民党については批判するが立憲民主党については批判しない」という一部メディアの姿勢は、一般の有権者・読者・視聴者からは理解され辛いのではないかと思う次第です。
ちなみに、各メディアによる政党支持率、とりわけ自民党と立憲民主党に対する支持率を比べると、最大野党であるはずの立憲民主党に対する支持率が伸び悩んでいるようです(図表3)。
図表3 自民党と立憲民主党に対する支持率
メディアと調査日 | 自由民主党(前回比) | 立憲民主党(前回比) |
---|---|---|
産経・FNN(2/20~21) | 39.1% | 8.9% |
読売新聞(3/5~7) | 40.0%(+3.0) | 6.0%(+1.0) |
時事通信(3/5~8) | 23.0%(▲2.5) | 4.8%(+1.0) |
(【出所】各社報道より著者作成。なお、前回比については判明するもののみ記載している)
ちなみに時事通信の調査では、立憲民主党に対する支持率は4.8%に過ぎませんが、それでも次の記事によれば、昨年9月の旧国民民主党との合流以降、「最高を記録した」のだとか。
内閣支持、35%横ばい 長男接待、対応不十分67%―時事世論調査
―――2021年03月12日17時03分付 時事通信より
これが、立憲民主党に対する支持率の実態なのでしょうか。
もちろん、上記図表3でもわかるとおり、似たような時点の調査であっても、メディアによって政党支持率は大きく違いが生じているため、これらの調査結果を「次回総選挙での議席数」を予想するのに使うべきではないでしょう。
しかし、どの調査でも「数倍の差が開いている」という点については間違いありません。
次の総選挙がいつになるのかはわかりませんが、個人的には立憲民主党が有権者に対して前向きな政策提言をアピールする政党に化けるのかどうかに関しては、かなり懐疑的だとだけ申し上げておきたいと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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いつもお世話になっております。
立憲が内閣不信任やりたがっているようですが、そんなヒマがあるのでしょうか?
民衆による選挙以外の方法で立憲等への不信任が何故できないのか、いつも疑問に
思っております。
さて、立憲が政権を盗ったら武漢ウィルスを無くすといっておりましたが、どの
ようにするのでしょうか? 例えば武漢ウィルスという言葉を無くす。
言葉狩りが好きな立憲等だから不思議ではありません。
まさか、西欧伝統のライ病患者に対する手段をするのでしょうか?
私の想像では日本在住している人間全てに対しPCR検査し、陽性になったら
全員隔離するのでしょうか? そして社会的な死を望むのでしょうか?
この方法はライ病患者に対する当時の事案を今日の考え方でもって立憲等が
政府に人権無視だと糾弾していた方法であります。 陽性判定率30%として
今の推定人口1憶2千万人として、30%36百万人をどこに隔離しようと
するのでしょうか? 非常に疑問が浮かびます。
>内閣不信任案の覚悟は立憲民主党にあるのか?
否決される前提での時間稼ぎなんじゃないのかな??
内閣不信任決議案が否決された場合には提出議員は失職するとかにすれば良いのにと思うのです♪
・・・・・自分の投稿を読んだ感想だけど、平気で議員の「失職」なんかに言及してるのに愕然としちゃったのです♪
今の立憲を見てると、政治家がただ政局のためだけに動いてて、国民とか国家を蔑ろにしてるように感じてしまうからなんだけど・・・・・
そうやって政治への不信が、民主主義への不信に変わってしまわないかと、自分でもちょっぴり怖いのです、
中国共産党は日本の政治家を見ていると民主主義は駄目だと益々確信するのでしょうね。
民主主義が衆愚政治に陥らないような対策は無いのでしょうかね?
マスメディアやサヨクの皆さんは、「政治への不信」の醸成は自民党の専売特許であって、自分たちは全く関係ないと思い込んでいます。自民党に咎無しとは言いませんが、野党の体たらくこそ「政治への不信」を増幅しているだなどとは露ほども思っていません。
これだけ取り上げても、日本の野党がいかにダメダメであるか、むしろ民主主義を破壊するものであるか、解ろうというものです。
ちなみに、慣例として、提出された内閣不信任案の審議は最優先事項として扱われ、他のすべての審議は止まるようです。審議中の法案は、継続審議とされない限り、会期末で廃案となります。その意味では、審議を妨害するという意味での武器にはなるのかもしれません。
国会は党争じゃなくて、協議をするところ。
何でも反対でいいのなら誰にだってできる。
代替案もない反発は民心に見透かされてる。
あなた達を支持する理由がないのだと・・。
党争をやめて協議しませんか?
拒議を続けて党葬にしますか?
・・。
立憲、共産の選挙に向けたお題目は、「政権交替すれば良くなる」だと思います。
良くなる根拠が有る訳じゃ無く、今を悪い事にして、その責任を自民党に押し付け、悪い自民党が変われば良くなるといった「幼稚な論理」です。
自民党をより悪く印象付ける為の内閣不信任案カードです。
内閣不信任案は、否決されるでしょうから、野党は内閣不信任案も出さずに政権批判を続けたと言われた時の為のアリバイ作りで、もし解散しても任期の残りは少ないし、コロナ危機の最中に総選挙する自民党は、無責任だとでも言うつもりでしょう。
野党の、卑怯なやり方だと思います。
> 立憲、共産の選挙に向けたお題目は、「政権交替すれば良くなる」だと思います。
枝野代表は昨日の記者会見で「菅内閣では感染の再拡大を防げないから政権交代が必要だ」などと申しておりました。「バカじゃねーの?」としか思いませんでした。改めて、日本の民主主義の最大の敵は立憲民主党であり、それを甘やかし続けたマスメディアであると確信しました。サヨクの知的劣化は止めようがないようです。
龍さま
>「バカじゃねーの?」
同感です。
これを追従する連中も「バカじゃねーの?」だと思います。
チラ裏な内容で失礼します。
3/24だったか、民間の調査会社らしきから世論調査の電話がありました。ランダム宛ての機械音声です。当記事に照らせば、日経テレ東からの受託だったのでしょうか。
今日、良い天気で仕事を終えて清々しく帰宅したところ、長野県補選野党統一候補:羽田のビラがはいっていて台無しにされました。掲げる政策内容は、どれも私が純粋に反対する内容、「市民の声」とかいう共産党員の声(現政党の自己責任論は辛いとかコロナでもっと現金ばらまけとか絶対神PCR検査教とか)はどれも共感不能という素晴らしいものでした。
こんな時に不信任で遊ぶ連中が擁する羽田が長野から当選してしまった場合には、皆様には心よりお詫び申し上げます。孜がもてはやされるくらいの土壌だから行っちゃいそうなんだよなぁ……憂鬱。
良し悪しは別にして、立憲民主が不信任案を出そうというのは解散風が吹いてないとの判断からだと思われます。総理が解散に慎重な考えを示したことから「あっまだ解散で自民党が有利になるわけじゃないんだな」って判断なのでしょう。
解散について嘘をついていい とは言うのですが、安倍総理はあまりそういうことをしなかった印象ですが、菅総理はどうなのでしょう。野党が安心して緩んだところ仕掛けてくる可能性はあると思うんです。
自民党二階幹事長は「不信任案が提出されたら総理に解散を進言する」と明言したようですがハテサテ…
まーリッケンを煽ってるんでしょーけど
確かに総理が解散へ前向きでない理由の中には(都議選都知事選との運動期間の被りを嫌がる)公明党への配慮も有るとの観測もありますから、不信任案の提出は公明党の意識を衆院解散へ引っ張る材料にナランコトもナイでしょうがネ
ガソリンをプールに貯めようってくらい非常識漢のちびっこギャング安住のこと、不信任案出したとして解散となれば「このコロナ禍に!」と大騒ぎする気満々でしょうが、リッケンは準備できてなさそうですから枝野に判断デキルヤイナヤ?