【数字で見る】ネットが選挙にも大きな影響与える時代

先日もお伝えしたとおり、当ウェブサイトではここ数年、特定メディアなどの報道ぶりを批判する際に、名指しを避けることが増えています。その理由は無駄な訴訟リスクを負いたくないからですが、ただ、世の中的にはメディアなどを実名でバンバン批判している人も結構多いようです。そして、ネットの社会的影響力が強くなれば、必然的にネットの世論が選挙結果にも影響を及ぼすことが増えていくでしょう。

お断り:当ウェブサイトの運営

なぜ名指しを避けるようになったのか

先日の『たった1ドルで設けられる「スラップ訴訟除け」の威力』では、当ウェブサイトでここ数年、特定メディアや特定政党、あるいは特定政治家を批判する際には、可能な限り、名指しをしなくなった、という点について、その理由を解説しました。

正直、この記事を公開するかどうかは少し悩んだのですが、思い切って公開して良かったと思います。

著者がここ数年抱いていた「モヤモヤ」を、(少なくとも自分のなかでは)一気に解消することができたからです。

なぜ特定メディアや特定政党、特定政治家を名指ししなくなったのか―――。

念のため上記記事を要約しておきますが、現在の日本の司法は左派勢力に甘く、保守派の論客などに対しては厳しい、という傾向があります(※ただし、これは「事実」というよりも、著者自身の主観です)。

そして実際、特定メディアや特定政党、特定政治家が保守論客や一般市民をターゲットに、名誉棄損などで訴訟を起こしたり、刑事告発したりする事例が相次いでいます。もしそうした訴訟に巻き込まれたら、面倒であるだけでなく、精神を消耗し、疲弊することが懸念されます。

(※余談ですが、不思議なことに、高市早苗総理大臣に交代してからの自民党は、一般市民を訴えるなどと恫喝したりすることがピタリとなくなりました。)

今後の方針につきまして

こうした状況を踏まえると、やはりウェブ評論の世界でも可能な限り、自衛手段として、こうしたくだらない訴訟リスクは排除していかねばなりません。

とりわけ先日も報告したとおり、当ウェブサイトの最大の目的は「読んでくださった方々の知的好奇心を刺激すること」にあり、また、著者にとっての当ウェブサイトを運営するインセンティブは、読者の皆様に投票所に足を運んでもらうことにあります。

(※ただし、少なくとも著者が選挙に出る可能性は極めて低く、また、読者の皆様に対してどこか特定の政党への投票または不投票を積極的に呼びかけるつもりはありません。あくまでも「投票に行ってください」とお願いするだけです。)

妙な訴訟リスクをしょい込むのを避けつつも、こうした目的を達成するうえで大きな障害とならないならば、べつに「だれかを批判するときに、その批判対象をボカす」ことくらい、なんてことはありません。その分、実名批判は会員制の仕組みでやれば済む話だからです。

こうした状況を当ウェブサイトにて告白できた時点で、正直、かなり肩の荷が下りましたし、少なくともあと数年は、当ウェブサイトの運営を継続できそうな気がします(といっても、本当にあと数年もの間、当ウェブサイトの運営を続けられるという保証があるわけでもありませんが…)。

ただし、どうしても実名を出して批判しなければならないこともありますが(たとえば財務省や厚生労働省、総務省といった役所、あるいはNHKのような準公的機関など)、これらについては今後も節度を守りつつ、言論の自由の範囲内で批判を続けていくつもりです。

ネットが強くなる

ネットの社会的影響力の向上

もっとも、上記はあくまでも当ウェブサイトの話であり、世間全般にいえる話ではありません。そして、最近の個人的な「気づき」があるとしたら、やはりネットの影響力が日増しに強くなりつつあることです。

実際、当ウェブサイトのような、世の中に存在するのかしないのかよくわからないほどの弱小サイトであっても、意外な方から「読んでいるよ」と教えてくれることもありますし、なにより某国会議員などは当ウェブサイトをチェックして下さっているようなので、過度な批判は控えつつ、要点だけを伝えるという姿勢は間違っていないと思います。

いずれにせよ、当ウェブサイトではメディア、政党などに対する批判の矛先が鈍ることがありますが、これは上述の通り、妙な法的リスクを避けつつ、言いたいことを効率的に伝えるというスタンスの表れだとご理解くださると幸いです。

もっとも、Xなどの言論空間を眺めていると、この当ウェブサイトのようなスタンスは、ちょっと慎重すぎるかもしれません。Xのユーザーを眺めていると、新聞社やテレビ局、野党や政治家を、実名を挙げつつ、かなり舌鋒鋭く批判している事例もあるからです。

口が悪い人だと政治家のポストに対し「バカ」、「アホ」、「マヌケ」といった罵倒語も交えつつ、かなり強い調子で批判している事例もあります(個人的に「バカ」、「アホ」、「マヌケ」はさすがに言い過ぎだと思いますが、SNS運営者がそれを許しているなら、これについて著者から申し上げることはとくにありません)。

ただ、それ以上に興味深いのが、現在のネット世論がすでに新聞社、テレビ局には統制できなくなりつつある、という点でしょう。

先日から申し上げていますが、著者が当ウェブサイトとツイッター(現在のX)で情報発信を開始した2016年当時といえば、まだまだ新聞、テレビの情報発信力は大きかったのです。

データで見るメディアの影響力の低下

こうした「メディアの影響力の低下」を、具体的なデータで、改めて見てみましょう。

総務省『情報通信白書』や『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』などによると、2016年時点では、ネット利用時間は10代と20代でこそオールドメディア利用時間を上回っていたものの、30代以上に関しては、テレビ視聴時間がネット利用時間を上回っていたのです(図表1)。

図表1 平日の年代別メディア利用時間(2016年)

ただ、当ウェブサイトを開始して1年後というタイミングでは、30代においてネット利用時間とテレビ視聴時間がほぼ均衡(図表2)。

図表2 平日の年代別メディア利用時間(2017年)

さらに、コロナ禍期の2020年に入ると40代においてもネット利用時間とオールドメディア利用時間がほおぼ均衡します(図表3)。

図表3 平日の年代別メディア利用時間(2020年)

直近データで見から予測する近未来

そして直近、すなわち2024年版で見ると、平日の年代別メディア利用時間数については、50代においてオールドメディアとネットがほぼ均衡しており、ちょうど2017年における30代と状況が非常に似ています(図表4)。

図表4 平日の年代別メディア利用時間(2024年)

ということは、早ければ今年にも公表されるであろう2025年のデータにおいて、50代のネットとオールドメディアの完全逆転現象が見られる可能性もありますし、さらに数年後には、60代においてすら、ネットとオールドメディアの逆転が生じる可能性が現実味を帯びてきているのです。

なお、この調査はあくまでも「利用時間」で調べていますが、とくに2024年の数値に関しては、なかなかに強烈です。オールドメディア利用時間合計と比べたネット利用時間は、50代で0.93倍ですが、40代以下ですべて1倍を超えており、30代で2倍以上、20代で4倍以上、そして10代だと6倍近くです。

2024年における利用時間倍率(ネット÷オールドメディア)
  • 10代…5.66倍
  • 20代…4.24倍
  • 30代…2.35倍
  • 40代…1.41倍
  • 50代…0.93倍
  • 60代…0.51倍
  • 70代…0.18倍

これに対し60代は0.51倍、70代に至っては0.18倍であり、このことから年齢による情報格差は今後ますます拡大すると思われる反面、ネットの成長力を思い出しておくと、60代も数年後にはネット利用時間がオールドメディアのそれと並ぶ可能性はかなり高いといえます。

選挙とネット

ネットは選挙にダイレクトな影響を与え始めた!

そうなると、何が発生するのでしょうか。

真っ先に思い至るのは、選挙結果へのダイレクトな影響です。

オールドメディア、とりわけ新聞やテレビが世論を支配していた時代だと、その新聞やらテレビやらで垂れ流されている「報道」(※あれらを「報道」と呼ぶのもおこがましいですが…)に引きずられ、それによって投票行動を決める層が一定数存在していました。

しかし、近年、とりわけ特定政党の支持層が徐々に高齢層に固まってきており、これに対しとりわけ若年層は、旧来型のオールドメディアがあまり取り上げないような主張をする政党(たとえば日本人優先を掲げる政党や減税を掲げる政党など)を支持する、という傾向が生じているのです。

そして、その影響は、すでに出始めています。

たとえば、2024年の衆院選では、石破茂首相(当時)が率いる自民党は辛うじて比較第1党の地位を維持したものの、獲得議席は191議席とまさかの単独過半数(233議席)割れを起こす大惨敗となり、自公両党は少数与党状態で政権をなんとか維持せざるを得ませんでした。

この2024年選挙では、小選挙区の特徴から、比較第2党である立憲民主党が自民党に迫る148もの議席を得て大躍進しましたが、ひそかに「手取りを増やす」を掲げた国民民主党が28議席を得て日本維新の会(38議席)に次ぐ第4政党に浮上しています。

続く2025年の参院選では、「石破自民」は改選124議席(+補選1議席)のうちのたった39議席しか獲得できず、かといって最大野党である立憲民主党も22議席しか獲得できず、第3位には17議席を得た国民民主党が、第4位には14議席を得た参政党が、それぞれ急浮上しています。

これなど、オールドメディアが全力で応援した「石破自民」が有権者からはまったく支持されず、そっぽを向かれたという意味においては、まさに「ネットが選挙に影響を与え始めた事例」そのものでしょう。

選挙を経るたびにネットの影響力は増す?

そして、こうしたネットの影響力は、選挙を経るたびに増している感もあります。

今年の衆院選では、立憲民主党と公明党が事実上合体した中道改革連合が公示前の172議席から49議席へと3分の1以下に激減し、高市総理率いる自民党がまさかの単独3分の2を超える315議席を確保。

その一方で与党入りした維新(36議席)に続き国民民主党も28議席を得て第4政党の地位を維持し、参政党が15議席、チームみらいが一気に11議席を獲得するなど、(マスコミが注目していない)新興政党の躍進が目立ちます。

おそらくこの傾向は、今後もしばらくは続くのではないでしょうか。

次の大型国政選は、おそらくは2028年7月の参院通常選ですが(※場合によっては衆参同日選という可能性もなきにしもあらず、でしょう)、正直、ネットの影響力はまだ読めません。

ただ、それ以上に注目したいのが、2024年の総選挙と2026年の総選挙、実質的に感覚は1年3ヵ月ほどしか空いていない、という事実です。

その短い期間に、たとえば日本共産党は議席をどんどんと減らしており、2024年衆院選では比例7議席、小選挙区1議席とあわせて8議席を獲得したのに対し、今回は比例4議席の獲得に留まり、選挙区はゼロになりました(図表5)。

図表5 過去の国政選の状況(日本共産党・議席)

左派政党…得票で見るとさらに露骨!

ちなみに図表には参院選のデータも入っているのですが、とくに2014年衆院選で、比例で20議席を獲得したあたりが共産党にとってはピークだったのか、その後は完全に縮小均衡に入っている様子がうかがえます。

また、衆参は選挙制度が違うため、「議席」で見てもわかり辛いのですが、「得票」で見てみると、とくに比例代表は2014年衆院選あたりをピークに急速に落ち込んでいて、直近では最盛期の半分以下となっているのです(図表6)。

図表6 過去の国政選の状況(日本共産党・得票)

これも現段階ではあくまでも想像ですが、28年参院選における日本共産党の得票数は比例で200万を割り込む(場合によっては比例の獲得議席が1議席に留まる)、といった展開もあり得ます。

同様に、中道改革連合(または公明党+民主or民進or立民)についても、とくに比例代表における得票を減らしており、たとえば2024年衆院選だと合わせて1753万票だったのが25年参院選で1261万票、そして今回の衆院選では1044万票に減っています(図表7)。

図表7 過去の国政選の状況(中道改革連合または「公明党+民主・民進・立民」)

SNS戦略が明暗を分ける時代に!

ここまでの急激な落ち込みは、単純に支持層が若返りに失敗しているというだけのことだけでなく、総合的なSNS戦略の失敗、ということでもあるのでしょう。

いずれにせよ、本稿では選挙を例にとって、ネットの影響力についてざっと振り返ったのですが、別にこれは選挙に限った話ではありません。

選挙で選ばれない権力者を監視?裁判官マップの可能性』などでも取り上げたとおり、最近では裁判官についての口コミを投稿するサイトなども立ち上がっているほか、財務省や厚労省、総務省といった「実質的な権力者」に対する批判的な意見も広がりつつあります。

もちろん、一部の官庁や政党などではSNS規制の強化などが取りざたされているやに聞き及びますが、しかし、これも裏を返して言えば、ネットの社会的影響力がそれだけ強まっている、ということでもあるのでしょう。

著者自身、この自由な言論空間を、私たち日本国民は大切に守り育てていくべきだと思いますし、また、当ウェブサイトも冒頭に述べたとおり、やや舌鋒が鈍ることもあるかもしれないにせよ、ネット空間の片隅でひっそりと情報発信を続けたいと思う次第です。

本文は以上です。

金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない

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読者コメント一覧

  1. はにわファクトリー より:

    新聞社サイトも「ネット遮断審査」の潜在対象であるはずです。

  2. Sky より:

    私見で述べさせていただくならば、野党勢力のSNS戦略云々ではなく、国民からみた情報接点であったマスコミ・メディアに替わり、それ以外の選択枝が高齢者以外の国民広くに利用されるようになった。に尽きると感じます。
    マスコミ・メディアが従前から続けてきた自勢力にとって都合の悪い情報の排除、ボカシ、自勢力にとって都合の良い情報の強調、継続、といった情報操作が白日の下に曝され、広く知れ渡り、それを知った国民はそんな彼等彼女等から発する情報は信じず疑いむしろそれらの逆に真実があると気づいたからです。
    そんなマスコミ・メディアによって実力以上に情報操作された旧野党勢力など今後再浮上する事は有り得ないでしょう。
    一つ気をつけたいのは、マスコミ・メディアを十把一絡げしてはならない事。先日の事故以来、マスコミ・メディアの報道をワッチしています。サンケイ新聞は孤軍奮闘と表現しても過言ではないぐらい追跡報道していました。読売新聞は普通かな。ATMとNHKは同レベルにぼかした上で僅かな報道。他の民放TVはワッチ対象外。という所感を得ました。サンケイ新聞は事業規模が小さく読売や朝日より脆弱ですがこの新聞社は生き残ってほしいと願っています。NHKはATMと同レベルの左派メディアだなぁと改めて感じ入りました。

  3. カズ より:

    >ここまでの急激な落ち込みは、単純に支持層が若返りに失敗しているというだけのことだけでなく、総合的なSNS戦略の失敗、ということでもある

    そもそも、
    「エコーチェンバーのしくじり」を理解してるネット世代は、
    彼らのネガツイ(悪口合戦)にアクセスしたりしないのです。

    時間は有限。生産性皆無。内容が ”無いよう” だ!・・ってね。

  4. 引きこもり中年 より:

    ネットも(無視できないほど)選挙に大きな影響を与える要素の一つになった、ということで、もし、ネットの影響力を(相対的に)低くできれば、よいのではないでしょうか。(もちろん、その方法は未だ(?)に見つかっていませんが)

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