米NGO自由度調査で日本は今年も圧倒的に高いスコア

今年も米NGOの「フリーダムハウス」(FH)が世界の自由度に関するスコアリングを公表しました。これによると日本の評点は100点満点中96点で、2016年以来、10年連続してG7で2番目に高いスコアを獲得しました。ただ、不思議なことにこのランキング、日本のメディアが大きく報じている形跡はありません。FHスコア、客観性が極めて高いにも関わらず、です。

FHスコア、日本は11年連続で96点!

最近、ほぼ毎年のように当ウェブサイトにて取り上げている話題があるとしたら、そのひとつが、米国に本部を置く非政府組織(NGO)であるフリーダムハウス(Freedom House, FH)が公表している「世界の自由度」に関するスコアリング(Global Freedom Scores)です。

これは、評価対象国・地域について、「政治的権利」(Political Rights)に関する評価項目10項目、「市民の自由」(Civil Liberties)に関する評価項目15個、あわせて25個の設問をそれぞれ4点満点で評価し、その積み上げで100点満点中、その国・地域の総合得点を示すというものです。

この評点、日本は今年も100点満点中96点と、非常に高い得点を記録しました。

2026年の評価対象は世界の208ヵ国・地域ですが、トップは100点満点となったフィンランドで、これに99点だったニュージーランド、ノルウェー、スウェーデンが続き、98点はアイルランド、97点がカナダなど7ヵ国で、そして日本は上位から5番目のバケットに位置していることがわかります(図表1)。

図表1 フリーダムハウス・世界の自由度評点上位国・地域(2026年)
ランキング国・地域評点
1位フィンランド100点
2位ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン99点
5位アイルランド98点
6位カナダ、デンマーク、ルクセンブルク、オランダ、サンマリノ、スロベニア、ウルグアイ97点
13位エストニア、日本、ポルトガル、スイス96点
17位ベルギー、チリ、ドイツ、アイスランド、チェコ95点

(【出所】Freedom House, Global Freedom Scores データをもとに作成)

日本は自由な社会

G7で比較しても…カナダに次いで高い評点

ちなみに上記図表1には掲載していませんが、同じアジアだと台湾が大洋州のマーシャル諸島やツバルなどと並んで93点と非常に高い評点を記録し、上位8番目のバケットに入っています。

また、G7だけで比較しておくと、図表2のとおり、日本は2016年以降、96点を獲得し続けており、G7中で見れば、カナダに続いて2番目です。

図表2 FH自由度ランキング・G7比較

(【出所】Freedom House, Global Freedom Scores データをもとに作成)

この図表2、日本の地位が非常に高いのが印象的ですが、これに対しG7諸国で圧倒的に低いのは米国であり、今年は昨年よりさらにスコアがさがりました。また、イタリア、フランスなども(世界の中では自由度が高いとはいえ)「日本と比べると」自由度が低い社会でもあります。

北朝鮮は世界ワーストではなかった!

一方、これに対して自由度が低い社会としては、「ロシア占領下のウクライナ」が100点満点中「マイナス1点」でワーストだったのですが、これら以外にも評点が低い国・地域として特筆すべき例に、チベット、南スーダン(ともに0点)、トルクメニスタン、スーダン(ともに1点)などがあります。

主要国について抜粋しておくと、こんな具合です(図表3)。

図表3 フリーダムハウス・世界の自由度評点上位国・地域(2026年)
ランキング国・地域評点
208位ウクライナマイナス1点
207位チベット、南スーダン0点
205位トルクメニスタン、スーダン1点
203位ガザ地区2点
202位北朝鮮、エリトリア3点
200位西サハラ、ミャンマー4点

(【出所】Freedom House, Global Freedom Scores データをもとに作成)

個人的には「北朝鮮が世界最悪ではなく、北朝鮮よりもさらに下位の国・地域がある」という事実にも驚きますが、ちなみに日本の近隣国だと中国が9点で191位、ロシアが12点で184位だったほか、韓国は83点で60位でした。

日本の評点を下げている4項目

いずれにせよ、日本が11年連続して96点という高い評点を獲得したのも驚きですが、ただ、なぜ100点満点ではないのかについては気になるところです。これについては「政治的権利」は40点中40点満点でしたが、「市民の自由」については60点中56点で、4つの設問で3点だったためです。

2025年版のレポートによると、具体的には次の4つの設問で満点を取れなかったそうです(カッコ内は意訳)。

  • D1 Are there free and independent media?(自由で独立したメディアは存在するか?)
  • F4 Do laws, policies, and practices guarantee equal treatment of various segments of the population?(法律、政策、慣行は、国民の様々な層に対する平等な扱いを保障しているか?)
  • G3 Do individuals enjoy personal social freedoms, including choice of marriage partner and size of family, protection from domestic violence, and control over appearance?(個人は、結婚相手や家族の規模の選択、家庭内暴力からの保護、外見の自由など、社会的な自由を享受しているか?)
  • G4 Do individuals enjoy equality of opportunity and freedom from economic exploitation?(個人は、機会均等と経済的搾取からの自由を享受しているか?)

これらのうち、とくに設問D1に関しては、ずばり、メディア産業の問題です。

日本の個人や企業が協力し合い、FHスコアリングで96点という、非常に自由で公正な社会を作り上げているのは間違いないのですが、足を引っ張っているのが歪んだ偏向報道を繰り返すメディアと理不尽な税制を強いている日本政府(実質的には官僚)ではないか、といった疑問は拭い去ることができません。

記者クラブが問題

とりわけ、設問D1では、いわゆる記者クラブ制度の問題が指摘されています。少し長いですが、そのまま引用しておきましょう。

Freedom of the press is guaranteed in the constitution, and Japan has a highly competitive media sector. However, a 2014 law allows journalists to be prosecuted for revealing state secrets. Article 4 of the Broadcast Act gives the government the power to determine what information is “fair” and thus acceptable for public broadcast.

Under the traditional kisha kurabu (press club) system, institutions such as government ministries and corporate organizations have restricted the release of news to journalists and media outlets with membership in their clubs. In recent years online media and weekly newsmagazines have challenged the daily papers’ dominance of political news with more aggressive reporting.

In June 2024, The Asahi Shimbun reported that the Kagoshima prefectural police had raided a news site that was reporting on police operations. The local outlet, Hunter, reported that the police had called for the disposal of investigative material in an internal document.

ということは、日本はオールドメディアが独占している記者クラブ利権が消滅すれば、カナダと並び、世界でも最も自由な社会になれる(かもしれない)、ということでもあります。

報道の自由度と猛烈に矛盾する

検証容易なFHスコア

さて、このFHスコアリングを取り上げている理由はいくつかあるのですが、念のため申し上げておくと、当ウェブサイトとしてはこのFHスコアリングについて、「絶対的に正しい」、などと言うつもりはありません。上記日本に対する評価項目でも疑問を覚える項目がいくつかあるからです。

しかし、少なくともこのスコアリングには他の類似する調査と比べ、圧倒的に優れた点がひとつあります。

それが、「検証可能性」です。

上述の通り、FHスコアリングは各項目4点満点の25問の積み上げ方式で示されており、ロジックはシンプルで理解しやすいだけでなく、各項目について「なぜその評点となったのか」の理由がすべて開示されているなど透明性が高いのです。

すなわち、かりにあなたがその評点について「おかしい」と思ったとした場合は、その個別項目についての評点と、その評点が付されることになった論拠を読みに行けば、それが評価として妥当であるかどうかを検証することができる、というわけです。

自由言論の場を通じての異議申し立ても容易です。

日本のメディアが大好きなRSFランキングとは大きく矛盾

そして、この透明性の高さと対照的な調査が、日本のメディアが大好きな、パリに本部を置く「国境なき記者団」(reporters sans frontières, RSF)が公表する『報道の自由度ランキング』(Classement de la liberté de la presse)ではないでしょうか。

ためしにデータが入手できる2002年にさかのぼり、G7諸国(日本以外は米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア)とこの報道の自由度を比較してみると、とりわけ2017年以降は日本がG7で最下位にあることがよくわかります(図表4)。

図表4 RSFが発表する報道の自由度ランキング・G7比較

(【出所】reporters sans frontières, Classement de la liberté de la presse 過去データをもとに作成)

米国の自由度が下がっていること、カナダやドイツの自由度が高いことなどについては上記FHスコアとも整合しているのですが、日本の自由度が著しく低い点については、やはりどう考えても整合性がありません。ずばり、FHスコアとRSFランキングのどちらかがデタラメです。

ガボンよりRSFランキングが低い日本

ちなみにFHスコアリングとRSFランキングの不整合の証拠は、ほかにもいくつかありますが、そのひとつはRSFランキングにおいて、明らかに言論の自由度が日本より劣るのではないかと疑われる国よりも、日本のランキングが低い点にあります。

たとえば、2025年ランキングで日本は世界180ヵ国・地域のなかで66位でしたが、これはコートジボワール(64位)、ウクライナ(62位)、ガンビア(58位)、モーリタニア(50位)あるいはガボン(41位)などと比べても低い値です。

しかし、RSFランキングで日本(66位)より上位なのにFHスコアは日本を大きく下回っている事例としては、FHスコアが60点以下の国・地域に限定しても7ヵ国・地域に達しています(図表5)。

図表5 RSFランクで日本を上回るのにFHスコアで60点以下の国・地域
国・地域RSFランクFHスコア
アルメニア34位54点
モルドバ35位60点
ガボン41位25点
モーリタニア50位38点
ガンビア58位51点
ウクライナ62位51点
コートジボワール64位46点
日本66位96点

(【出所】Freedom House, Global Freedom Scores 2026年データおよび reporters sans frontières, Classement de la liberté de la presse 2025年データをもとに作成)

FHスコアで96点の日本がRSFで66位に留まり、日本より圧倒的に評点が低い国(たとえばガボン、25点)が日本よりも高い41位―――。

なんだか、メチャクチャですね。

FHスコアを無視する日本のメディア

さて、まじめな話、RSFとFH、どちらも正しいということはおそらくあり得ない話であり、もっとぶっちゃけたことをいえば、「少なくともどちらかはウソをついている」のです。

では「ウソをついている可能性が高い」のはどちらでしょうか。

実際、日本では首相を筆頭に、政治家を批判する書籍は書店で平積みになっていますし、新聞、テレビなどのオールドメディアも、あることないこと書きたてて与党を舌鋒鋭く批判している様子を見ると、RSFのランキングが信頼に値するものであると考えるのには無理がありそうです。

ただ、もっと直接的な証拠があるとしたら、「報道」にあります。

じつは、このFHスコアリング、著者自身はかなり以前から、スコアリングの中身そのものだけでなく、それが「どう報じられているか」にも注目してきました。

これについて昨日(日曜日)日本時間午後8時過ぎ時点でグーグル検索の「NEWS検索機能」を使い、「フリーダムハウス」で調査したところ、驚くべきことが判明しました。この2026年FHスコアリングを話題として取り上げた日本語メディア記事は、次の2つしか見当たらなかったのです。

自由度格付け、台湾はアジア2位 日本に次ぐ=米フリーダムハウス

―――2026/03/20 16:11付 中央通訊日本語版より

フリーダムハウスは、コソボとアルバニアを「部分的に自由な」国に分類している

―――2026年3月5日09:00付 indeksONLINE日本語版より

中央通訊は台湾メディアで、表題からもわかるとおり、「台湾がアジアでは日本に次いで2番目に自由な国・地域となった」と伝えるものであり、また、下の “indeksONLINE” は調べてみたらアルバニアのメディアだそうです(なぜ日本語版があるのかはわかりませんが…)。

少なくとも日本の「5大全国紙」や通信社、あるいはNHKなどで検索を掛けても、(日曜日夜時点では)ただの1件たりともヒットしませんでした。

客観性と検証可能性がないRSFランキングは喜々として取り上げる日本のメディアが、客観性と検証可能性を兼ね備え、日本のスコアが非常に高いことを示すFHスコアリングの話題をいっさい無視する―――。

不思議ですね。

日本のメディアは崩壊する

そういえば、『「巨人・米国の耳元で囁く日本」を再構築する高市総理』では、高市早苗総理大臣が訪米でかなり大きな成果をあげてきたことに加え、あたかも米国という「巨人」の耳元で囁きつつ、米国をコントロールしようとするという意味での、いわば、安倍晋三総理大臣の頃の地位を回復しつつあると述べました。

ただ、この記事も基本的には、首相官邸ウェブサイトやホワイトハウスウェブサイト、あるいはXなどの情報をもとに組み立てたものであり、新聞、テレビの記事についてはほとんど参考にする部分がありませんでした(まったく皆無だったというわけではありませんが…)。

「日本は世界的に見ても極めて自由度が高い社会だ」という調査結果を(なかば意図的に)無視し、「日本の報道の自由度はガボンよりもコートジボワールよりも低い」とする恣意的で検証困難な調査結果を毎年大々的に報じるマスメディア―――。

もしかすると、現在日本社会で起きているのは「巨大な利権集団」であるマスメディアの崩壊なのかもしれません。

本文は以上です。

金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない

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読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    アメリカが下がったという話だけはしてたりするのがまた…

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