AI進化で自己満足動画も発展へ

「もし日本の選挙制度が比例代表だったなら高市(総理)は辞めていた」といった妄想もさることながら、最近流行の兆しがあるのは、AI自己満足動画です。「パンダを嘆き悲しむ日本人」は「中国が望む日本人の反応」の典型例ですが、「イランのミサイルが米軍艦を沈める」というのもなかなかに雑です。AIの発展で「AI自己満足」も発展しているのかもしれません。

「日本が比例選挙なら高市は辞めていた」

完全比例代表でも政権交代は生じなかった可能性が高い』では、とある新聞が掲載した、「もし日本の選挙制度を勝手に変えてみたら高市早苗総理大臣が退陣に追い込まれていた可能性がある」などとする論説を追紹介しました。

これについては、繰り返しになりますが、やはりいろいろと発想がおかしいと思わざるを得ません。

現在の衆議院議員総選挙は小選挙区・比例代表並立制であり、得票数も選ばれる政党・候補者の側と投票する有権者の側が現在の選挙制度を踏まえて行動した結果であって、その前提のもとに行われた立候補・投票行動を、後日、まったく違う制度に当てはめたとしても、基本的には意味がありません。

ただ、冷静になって考えてみると、私たちは妄想の中では好き勝手さまざまなことができます。

架空戦記も度を超すとつまらない

こうした「IF」の議論で、ふと思い出したのが、架空戦記です。

架空戦記は一般に史実などをもとにしたフィクション作品などが多く、日本でも「もしも第二次世界大戦でXXだったらOOとなっていた」、といったたぐいの作品はたくさん見ることができます。

こうした架空戦記は、知的好奇心という観点からはなかなかに興味深いものです。

著者だって、「もしも1941年12月8日に日本軍が攻撃していたのが真珠湾ではなくウラジオストックだったとしたらどうなっていたか」、「もしも1904年の日露戦争で日本が最初から(朝鮮半島ではなく)樺太に侵攻していたらどうなっていたか」、といった観点から妄想を膨らませるのは大好きだったりもします。

(※これらの妄想が実現した結果について、もし読者の皆様の興味があるならばいずれ書き散らしても良いと思いますが、本稿で記すのはさすがに止めておきます。)

ただ、架空戦記も「日本の戦国時代の武将や兵隊が古代ローマ時代にタイムスリップする」といったものであったり、あるいは「ちょっとした判断ミス」、「ちょっとした作戦の遅れ」などをベースに思考を膨らませる分には面白いかもしれませんが、極端なものに関しては、個人的にはあまり好きではありません。

たとえば「1941年の日米開戦当日に現代日本の最新鋭の自衛艦や自衛隊機が大量にタイムスリップし、アメリカ軍をメチャクチャにやっつけてしまう」、といったものは、少し露骨すぎて興ざめしてしまいます。2026年の装備を持った軍隊が1941年の世界で無双するのは当たり前の話です。

イランのミサイルが米空母を撃沈?(多分AI動画)

こうしたなかで目に付いたのが、こんな話題です。

@iranin_arabic というXアカウントが2月26日付でポストした内容によると、「もしアメリカ人がイランに攻撃を仕掛けたら、イランは歴史上初めて空母を沈める国となるだろう」という文言とともに、おそらくはイラン製のミサイルが米軍艦に襲い掛かる動画が掲載されています。

おそらくはAI作成のものではないかと思いますが、「歴史上はじめて米軍艦を撃沈した」のはイランではなく大日本帝国である、といったツッコミどころ(※コミュニティノート付き)はともかくとして、なかなかに興味深い動画です。こうした「精神的勝利」が、AIのおかげで得られやすくなっているからです。

パンダ嘆き悲しむ日本人

そういえば、以前の『「パンダ中国帰国を嘆き悲しむ日本国民」の偽AI動画』でも取り上げたとおり、中国政府系のユーザーがSNSで「パンダがいなくなることを嘆き悲しむ日本人」という強烈な偽AI動画をXにポストして、Xなどで嘲笑を集めたことが思い出されます。

該当する動画、かなり露骨でかつ雑なAI動画です。

沿道に詰めかけた日本人が日の丸を振りながら泣きながら、中国が送り込んだ護送車(?)に入っていくパンダを見送る、という不自然かつメチャクチャなシチュエーションです(この時点でツッコミどころが多すぎて困ってしまいます)。

もちろん、一般道の真ん中にでっかい中国の国旗を描いたナンバープレートもつけていないトラックを停めていることや、背景の街の看板の文字がデタラメなあたりを見ると、マトモな神経をしていれば、誰もがAIフェイク動画だとわかります。

いずれにせよ、偽のAI動画が蔓延し、私たちがそれらに騙されるというリスクも高まっていることは間違いなく、警戒も必要ですが、それと同時にAI動画の技術が「AI的な自己満足」に利用される分にはほほえましいと思う次第です。

本文は以上です。

金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない

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読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    こういうどうしようもない情報のAI生成にも馬鹿にならない電力が費やされていると思うとひたすら頭が痛くなります。

  2. 陰謀論者 より:

     https://twitter.com/i/status/2023552809866850554
     個人的にはこちらの動画の方がフェイクであってほしいと願ってやみません。ミサイルや兵器でパレードするよりよほどおそろしいです。機械化小隊とかいうのはSFとかフィクションだけにしておいてほしいです。

  3. 農民 より:

     超鈍足ミサイルまでこらえたけど最後F/A-18がプカプカ浮いててダメだった。君らのとこのダミーは浮くかもしれんけどもさ。

     とはいえダミーは結構有用で、北朝鮮のハッタリ飛行場はさておき、ウクライナでもバルーンの偽ハイマースがまんまとロシア軍に徒労を強いたとか。札束で殴り合う近代戦では重要な要素です。宇宙世紀でも使ってたな。
     水に浮くかはともかく。

  4. 匿名 より:

    オナ⚪︎ーは身内だけに留めておけ

  5. 同業者 より:

    架空戦記と言えば、二見書房の第三次世界大戦シリーズが思い浮かびます。
    当時はお金が無くて買えませんでした。
    第二次世界大戦のそれは、小学生の頃に実際の戦史を読んでしまったので、全く興味がわきませんでした。何回やっても大日本帝国の敗戦が明らかだったからです。
    AI動画の普及で、中国共産党や某独裁国家のプロパガンダや脅迫が、ネット民の大喜利大会で盛り上がりそうです。

  6. 愛知県東部在住 より:

    米空母にミサイル着弾後、海上に放り出された艦載機が沈みもせず、ぷかぷかと浮いている場面がとってもシュールですね。(笑)

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