中道改革連合等を待つ「政党交付金の減少」という課題
自民党はいまや衆院側で、最大野党・中道改革連合の6.6倍という圧倒的な議席を持っています。金曜日の高市早苗総理大臣の施政方針演説、ヤジがなくて非常に聞きやすかったという報告がSNSで多数見られている状況です。こうしたなか、日経新聞は社説で「中道は政策から立て直せ」と提言したのですが、正直、勝負はもうついているのかもしれません。そして、もっと切実な事情が、政党交付金の大幅な減少かもしれません。
目次
施政方針演説が行われた
高市早苗総理大臣は昨日、国会で施政方針演説を行いました。
第221回国会における高市内閣総理大臣施政方針演説
―――2026/02/20付 首相官邸HPより
演説の内容は高市総理が昨年、自民党総裁選に出馬したあたりから繰り返していた税・社保の一体改革や給付付き税額控除、あるいは今年の衆院選の公約にも掲げられていた食品に関する消費税の期間限定での減税などに加え、技術力、外交力、防衛力にも言及があるなど、高市カラーが強く出たものだったと思います。
これを素晴らしい演説と見るか、ツッコミどころたくさんと見るかは、読む人にお任せします。
著者などは高市総理の政策に深く賛同できる部分もある一方、給付付き税額控除は単なるバラマキではないか、といった観点からは強く警戒していたりもするわけですが、いずれにせよ、まずは高市総理のお手並みを拝見しようと考えている次第です。
高市総理の演説、ヤジがなくて聞きやすい!
ただ、この高市総理の演説を視聴していて気付くのは、その聞きやすさ―――、ずばり、「ヤジの少なさ」です。
Xを眺めていると、同じことに気づいた人は大勢いたらしく、「野党のヤジが聞こえず異例の静けさ」がXでトレンドを形成していたほどです。
もっとも、これを「異例」、などと言われても困ります。
ときとして高市総理の発言が聞こえなくなるレベルでのヤジは「国会の華」などではなく、民主主義の否定ではないかとすら思えるからです。
むしろこれを機に、国民の知る権利を阻害するほどのヤジは慎んでいただきたいとすら思いますし、また、ヤジを飛ばしたり国会で居眠りをしたり揚げ足取りをしたりする議員が次々と落選する時代が到来すると良いのではないでしょうか。
自民の議席は最大野党の6.6倍!
さて、衆議院の勢力図が正式に出て来ました。
衆議院ウェブサイト『会派名及び会派別所属議員数』によると、「自由民主党・無所属の会」が316議席と最大の会派となり(公認315議席+追加公認1議席+世耕氏1議席-議長1議席)、「中道改革連合・無所属」は当選49議席から副議長1議席を除いた48議席に過ぎません。
そして、連立与党入りしている日本維新の会が36議席で第3会派、これに「国民民主党・無所属クラブ」が28議席、参政党が15議席、チームみらいが11議席と続き、日本共産党4議席、残り7議席が無所属扱いです(議長、副議長のほか、純粋な無所属議員が5人)。
しかし、それにしても印象的です。
最大野党である中道改革連合がたった48議席しか勢力を有しておらず、316議席の自民党はその約6.6倍の差がついてしまっています。
しかも、自民党は本来ならば比例で14議席分多くの議席が得られていたはずで、中道改革連合の獲得議席は今より6議席少なかったのだと考えると、実力ベースでは自民330議席対中道改革連合42議席、つまり8倍近くにまで差が拡大するのです。
中道改革連合が党勢を立て直すにはどうすべきか―――。
日経「中道は政策から立て直せ」
選挙戦も結局は勝負事ですので、勝利や敗北には原因があります。その原因を正しく究明することなしに、次回の議席回復はありません。こうしたなかで目に付くのが、小川淳也氏が新代表に選ばれたタイミングに合わせ、日経新聞が先週金曜日に掲載した社説です。
[社説]中道は自民と競える政策から立て直しを
―――2026年2月13日 19:25付 日本経済新聞電子版より
日経新聞は「党の再生は前途多難と言わざるを得ない」などとしたうえで、「危機的状況を解党的な出直しに生かせなければ党の存続や失った支持の回復は難しいだろう」と指摘。あわせて「健全な野党の役割が重要になってくる」と述べています。
これについてどう見るべきか―――。
もう勝負はついた?
結論から申し上げると、立憲民主党と公明党が母体となって設立された「中道改革連合」を巡っては、正直、もう「勝負があった」と見るべきではないか、というのが著者自身の見解です(なお、「中道改革連合」は名称として長いのですが、本稿では敢えて「中道改革連合」で通します)。
というのも、『衆院選はSNS時代本格化と護憲リベラル拒絶感の表れ』でも少し述べたのですが、今月の衆院選は、端的にいえば国民の左派政党、あるいは「護憲リベラル」的なものを、国民が国会から追放した出来事だったと見るのが妥当だからです。
衆院選については、表面的には「自民党の圧勝」という側面があることは間違いないものの、すでに『【衆院選議席数】左派政党壊滅的敗北に見る時流の変化』や『衆院選の実態は自民大躍進というより立民への退場勧告』などで指摘したとおり、その実態は中道改革連合を中心とする左派政党の一方的な敗北です。
そう考える根拠が、得票です。
中道改革連合は事実上、衆院側の立憲民主党と公明党が合体してできた政党であると考えられ、選挙における得票状況を検証するには、前回、またはそれ以前との比較が必要です。
比例の得票数は減る一方
ただし、選挙区における得票数は、各地で立てる候補数にも依存するため、小選挙区主体の衆院選について過去との比較を行うのは単純ではありません。
そこで、比例代表(参院選の全国比例、衆院選のブロック比例)における合計得票数でグラフ化してみたものが、次の図表です。
図表 過去の選挙結果(比例代表・得票)
これで見ると、「立憲民主党+公明党」、あるいは2016年参院選の「民進党+公明党」、あるいは2014年以前の「民主党+公明党」は、回による多少の変動はあれ、傾向としては票を減らしてきたことがわかります。
公明党(図表の青い領域)に関しては、だいたい毎回基礎票を獲得している様子がうかがえるものの、その票数もジリジリと減ってきていたのですが、それだけではありません。
民主・民進・立民・中道改革連合(図表の赤い領域)に関しては、傾向として、党名を変えたり(2016年参院選)、新党を結成したり(2017年衆院選)したら、一時的に得票がやや伸びる傾向があるものの、その効果も限定的であることがよくわかります。
これについては、ちょっと踏み込んだことを申し上げておくと、社会のSNS化と整合する動きだといえるでしょう。
社会全体でSNSを使う人が増え、新聞、テレビなどのオールドメディアから情報を入手する人が(若年層と中年層を中心に)激減し、結果的に「マスコミバリヤー」が通じなくなって、SNS民に不人気な中道改革連合議員が猛烈な勢いで落選していった、というのが実情に近いのではないでしょうか。
資金不足は大丈夫なのか
もちろん、今回の衆院選は、「勝者総取り」という小選挙区制度の怖さが大きく出た選挙だったという言い方もできるのですが(すなわち、選挙制度が異なる参院選だとここまで極端な差がつかなかった可能性もあるのですが)、それは単なる結果論に過ぎません。
そういうルールだと国会議員も有権者もわかっていながら選挙を行い、こういう結果が出たのですから、これもやはり有権者の意思に他ならないのです。
それよりも党勢の回復に向けて、もっと実務的な問題があるとしたら、それは「兵糧攻め」かもしれません。衆院選の結果、中道改革連合に交付される政党交付金が激減するからです。
総務省『政党助成制度』によると、政党交付金は「政党に所属する国会議員の数と、前回の衆議院議員総選挙、前回と前々回の参議院議員通常選挙の際の得票総数」によって決まります。具体的な計算式は次の通りだそうです。
政党交付金=(国会議員の割合×50%+前回衆院比例代表の得票割合÷8+前回衆院小選挙区の得票割合÷8+前回と前々回の参院比例代表平均得票割合÷8+前回と前々回の参院選挙区平均得票割合÷8)×政党交付金の総額
この計算式に出てくる「得票割合」は実際の得票率とは異なりますが、便宜上、「得票割合」を得票率で代用して計算すると、中道改革連合に交付される金額は約26.3億円、参院側の立憲民主党が約19.9億円、公明党が約11.1億円で、3党合計で約57.2億円です。
これに対し、解散総選挙がなかった場合、立憲民主党には約71.2億円、公明党には約21.2億円、合計約92.4億円が交付されていたため、単純計算で政党交付金は約35.2億円減少する計算です(ちなみに同じ計算方法で自民党は約149.2億円です)。
この「年間35.2億円の減収」は、たしかに手痛い打撃です。
そして、衆院選が先延ばしにされればされるほど、資金不足が響いてきて、場合によっては2028年参院選もまともに戦えない可能性があるほか、もし2028年に衆参同日選などに持ち込まれでもしたら、中道改革連合は資金不足で完全に行き詰まってしまうかもしれません。
その意味でも、同党を含め、資金源という側面からも、選挙には注目の余地があるといえるのかもしれません。
本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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年間にして600万円が支給されてきた” とのこと
約120人の前職が落選したから、これだけで7億円強
新聞が社会から追放されつつあることに記者が気が付いているのでしょうか?
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新聞社においてはどこも政治部が一番えらそうにしているんでしょう。でも、可視化されてしまった実体に目をやれば、単なるイきりのおっさん、おばさんがふんぞり返っているだけじゃないか、そう知れてしまった、みんなに分かってしまったのです。だれがこの先新聞におカネを払うでしょうか。
もう既に個人主義がメインになりつつあって組織票も徐々に機能しなくなっている可能性が高いですね。
弊社労組も某非自民候補を推してましたが
だから何?って反応ですし、講演会への紹介名に堂々と故人の名前書く人も多数居ますから。