今回選挙もSNS影響力がどこまで拡大したかに要注目
選挙戦が終盤を迎えているとはいえ、与野党ともに気を抜くことができない展開が続いています。ただ、著者個人としては、今回の選挙は2024年都知事選・衆院選・兵庫県知事選、あるいは2025年都議選・参院選に続き、SNSの社会的影響力がどの程度高まったか(=オールドメディアの社会的影響力がどの程度低下したか)を読むうえでの好機となると考えています。
目次
自由・民主主義のルールに反する三者
当ウェブサイトではこれまで何度も取り上げて来たとおり、私たちが暮らすこの日本という国は、自由民主主義国家です。そして、自由主義国家とは自由闊達な言論で、民主主義国家とは民主的な投票を通じて、それぞれ社会をより良くしていくという活動が許されている社会のことです。
著者が石にかじりついてでもこのウェブサイトを継続しているのも、日本の隅っこで読者の皆さまに社会をより良くすることの重要性を訴えかけるためでもあります。
ただ、当ウェブサイトで以前から繰り返している通り、これまでの日本では、ともすれば、こうした「自由主義」や「民主主義」の精神からかけ離れたような組織が、実質的な権力を持っていたというフシがあります。
すなわち「国民から選ばれたわけでもないくせに、やたらと大きな実質的権力や社会的な影響力を持ち、国民のためにならないことをしている者たち」がいるのです。
当ウェブサイトではその「自由・民主主義のルールに反する者」の代表例として、▼官僚機構、▼マスコミ、▼特定議員―――の三者を挙げてきました。
官僚機構
国民から選挙で選ばれていない。しかし、政府提出法案や、政省令を起草したりすることを通じて法令解釈権を握っているほか、財務省を筆頭に、何らかの強大な利権をしっかりと握り、下手な国会議員すら凌ぐ実質的権力を持っていることもある
マスコミ
国民から選挙金で選ばれていない。しかし、少数の企業で記者クラブなどを通じて情報流通を独占し、「報道の自由」または「報道しない自由」を悪用することで、自分たちにとって意にそわない政治家を落選させようとしたり、自分たちにとって好都合な政治家を当選させようとしたりする
特定議員
官僚、マスコミの両者にとって都合が良い議員。たいていの場合は特定野党の議員だが、まれに自民党非主流派議員のこともある。国民の意思で選ばれた与党などの足を引っ張ることが多い
腐敗利権の特徴
とくに官僚とマスコミが大きな問題
そのうえで、これら三者のことを、当ウェブサイトでは「腐敗利権」などと称することもあるのです。
この点、これら三者のうち特定議員に関しては、曲がりなりにも民主的な選挙で選ばれているため、「国民から選ばれていない」は少し表現として語弊があります(もっとも、「多数派を形成していない」という意味では「国民から選ばれていない」で間違いない、という考え方もありますが…)。
ただ、官僚機構とマスコミに関しては、これは間違いなく「選挙で選ばれた者たちではない」という特徴に当てはまっています(もう少し正確にいえば、特定議員はこの官僚機構とマスコミが世論を歪めた結果生み出した「鬼っ子」のようなものでしょう)。
そして、本来ならばそのような「選挙で選ばれたわけでもない者たち」がのさばるのは、自由・民主主義国家としてあるまじき話でもあります。なぜなら、民主的に選ばれたわけでもないくせに不当に大きな権力を持っているという状態は、たいていの場合、社会に対して悪さをなすからです。
もちろん、これらの三者「だけ」が問題だというつもりはありませんが、それでもだいたいこれら三者が日本の多くの問題を作り出してきたことは間違いありません。
ポイントは「共犯関係」…たとえば官僚+メディア
そして、この三者のことを、当ウェブサイトでは「腐敗トライアングル」と呼びますが、これにもちゃんとした理由があります。そこに「共犯関係」が成立しているからです。
「なぜ自由・民主主義国家であるはずの日本でこれら三者がのさばってきたのか」、という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、そのメカニズムは意外とシンプルです。これら三者(官僚・マスコミ・特定議員)は、構造の真ん中にいる「マスコミ」を介して共犯関係に立ってきたからです。
わかりやすいのが「官僚+マスコミ」、「マスコミ+特定議員」、という共犯関係でしょう。
たとえば官僚は「記者クラブ」という制度を作り、マスコミ記者という「ヤギ」を「飼う」のです。マスコミ記者は普段から官僚に飼いならされていて、だからこそ官僚にとって都合が良い記事を書いているのでしょう。「日本は財政危機だ」という財務省のプロパガンダを垂れ流している某紙あたりはその典型例です。
そして、「強すぎる与党」を嫌うのは官僚もマスコミも同じです。だからこそ、マスコミは与党の批判をすることはあっても、滅多なことで官僚を批判したりしないのかもしれません。
官僚機構+マスコミ
官僚は記者クラブでマスコミを支配する。マスコミは官僚が喜ぶ話題を垂れ流す。官僚もマスコミも「強すぎる与党」を嫌う。
メディア+特定野党でも共犯関係が成り立っている
その一方で、特定野党議員(あるいは自民党などでも非主流派の左派議員)などは、マスコミに気に入られるような行動を取ることで、マスコミから好意的に報じてもらい、それによって選挙で勝つ、という意味での共犯関係にあったフシがあります。
とりわけ特定野党の議員はマスコミが作り出した「問題」(最近だと「モリカケ桜」「統一教会」「裏金」あたりでしょうか?)を最大限利用し、予算委員会などの貴重な国会質疑の時間をこれらの「問題」の追及で浪費し、それによって仕事をしている気になっていたのです。
それをマスコミが「報道の力」によって好意的に取り上げ、結果的に特定野党(や自民党の非主流派の左派議員など)が選挙で実力以上に有権者から評価され、それによって選挙で勝ち進み、政治的に強いパワーを得ることにつながっていたのではないでしょうか。
マスコミ+特定議員
マスコミは報道の力を悪用し、特定野党や自民党の非主流派の左派議員らを当選させてきたし、これらの議員はマスコミに好かれるために、敢えてくだらないスキャンダル追及で国会質疑を空費してきた。
さて、この「腐敗トライアングル」と「共犯関係」、眺めていて何か気付く点がありませんか?
官僚機構+マスコミ。
マスコミ+特定議員。
どちらも、その真ん中に「マスコミ(マスメディア/オールドメディア)」がいることがわかります。
マスコミを中心とした腐敗構造
ということは、次の構図が成り立っている、ということでもあります。
官僚機構+マスコミ+特定議員
官僚は記者クラブでマスコミを支配する。マスコミは官僚が喜ぶ話題を垂れ流す。官僚もマスコミも「強すぎる与党」を嫌う。その結果、マスコミは報道の力を使い、特定野党・自民左派など政権の足を引っ張る議員らを当選させてきたし、特定野党議員もマスコミに好かれるためにスキャンダル追及を続けてきた。
この構図は、当ウェブサイトの発足とも密接にかかわっています。著者が2010年ごろから、まずは大手ブログサイトで、続いて2016年以降は当ウェブサイトを通じて、政治経済評論を行っているのも、結局はこの構図にひとりでも多くの国民が気付いてほしい、という思いがあったからです。
そして、大手ブログ時代から16年近い情報発信を通じて得たひとつの結論こそが、「日本をより良くするためには、こうした腐敗トライアングルの利権を壊す必要がある」、というものです(ダテに16年弱、ウェブ評論をやってきたわけではありません)。
構造が変わり始める?
レジ袋有料化や増税も腐敗構造から出て来た?
とりわけ官僚とメディア、特定野党は「国民から選挙で信を得たわけではない」という共通点を有していて、しかもとくに官僚とメディアはこれまで結託して、自分たちに都合が良い世論をでっち上げ、それらを積極的に垂れ流してきたフシがあります。
いわば、世論は自分たちが「つくる」ものだったのです。
ここでいう「つくる」は「作る」ではなく「捏造(つく)る」、という意味かもしれませんが。
たとえば官僚が新たな課金システムを思いついたとします。
何でも良いのですが、たとえば「環境を守るためにはレジ袋を有料にすべきだ」、といった理論だったとしましょう。すると、官僚やその子飼いの御用学者らがその重量税とやらの社会的効能を一生懸命に説き、それを新聞やテレビも喜々として流し、その結果、「レジ袋有料化やむなし」といった世論が捏造されていく、というわけです。
消費税の増税、所得税の控除額の引き下げ、法人税の損金算入限度額の引き下げ、社会保険料の増額、わけのわからない支援金制度の創設、あるいはNHK受信料や再エネ賦課金といった「税と名乗らぬ税」―――。
国民負担を重くする制度はたいていの場合、マスコミが官僚と結託し、報道しない自由を悪用して国民の知らないところで決められているか、もしくは消費増税のように大掛かりなものは、一生懸命に世論を捏造っているかのどちらかなのかもしれません。
社会のSNS化を予見させる現象としての「選挙」
ただ、これが根底から覆る現象が、現在進行形で発生しています。
いうまでもなく、社会のSNS化です。
最初にそれが誰の目にも巻きらかになったのは、2024年だったのではないかと思います。同年は東京都知事選と衆院選、そして兵庫県知事選があったからです。
とりわけ衆院選に関していえば、石破茂・前首相が率いた自民党が「石破ショック」で惨敗する一方、「手取りを増やす」がSNSで共有された国民民主党が、なかば自民党の受け皿となる形で公示前勢力を4倍にするなど大躍進。
続く兵庫県知事選も、地元メディアの報道ぶりにも関わらず、県議会からの不信任で失職した斉藤元彦氏に対する支持がSNSで拡大し、みごと、県知事に再選されました。
これらの事例は、「腐敗トライアングル構造」の真ん中を陣取ってきた新聞、テレビといったオールドメディアの社会的影響力が、いよいよ本格的な減退期を迎えたことを意味します。
オールドメディアの利用者は高齢者に極端に偏っている
もちろん、オールドメディアの支配力は、高齢者層を中心に、まだまだ根強いところではあります。
しかし、総務省などの調査でもわかるとおり、「利用時間数」で見ると、若年層(10代~30代)に関してはすでにずいぶんと前に、中年層(40~50代)に関しても最近、ネットがオールドメディアを上回っています。その結果、70代以上を除く全年代で見て、「ネット>オールドメディア」となったのです(図表)。
図表 平日のメディア利用時間の推移(70代除く全年代平均)
実際、世論調査等で見ても、最近だと年齢階層により支持政党などに明らかに大きな違いがあることが認められますが、これも高齢層はテレビ(や新聞)などに大きく影響を受ける反面、それ以外の年齢階層はSNSなどインターネットで情報収集しているという側面が強いからではないでしょうか。
そして、利用者層が高齢層に極端に偏って来て、若返りに失敗すると、オールドメディアもあと数年もすれば社会的影響力をほぼ失う、ということです。
腐敗利権構造の崩壊が始まる!?
すると、いったい何が変わるでしょうか。
あくまでも想像ですが、こうなってくると、先ほど指摘した「共犯構造」、たとえば「官僚機構+マスコミ」が崩壊します。官僚がマスコミを使って世論を誘導する、といったテクニックが使えなくなるのです。
『レジ袋有料化的な愚策はSNS時代にゴリ押し不可能に』などでも取り上げたとおり、レジ袋有料化などは科学的に模倣的にも根拠を求めることができない愚策中の愚策ですが、これと似たような政策をあと数年後にやろうとしても、ネットの反発が強すぎて、おそらく実行できないでしょう。
あるいは、構造が崩壊するのは、それだけではありません。
「マスコミ+特定議員」の構造も同様です。
あくまでも想像ですが、一部の政党では「マスコミフィルター」が剥がれたことで、有権者の「憎悪」ともいえる感情―――有権者のなかでもとりわけ若年層や中年層に顕著な感情―――に直面し、戸惑っているのではないでしょうか。
この点、一般論ですが、敗色濃厚になって来ると、選挙事務所は雰囲気が悪くなっていくことが多いといいます。
現在は選挙期間中なので、政党や候補者の具体的な名称を出すことは控えますが、じつはとある政党に所属するとある候補者の事務所の前を通りがかると、日に日に雰囲気が沈鬱になっているように見受けられるのです(※これは著者の主観です)。
その候補者は過去にも小選挙区で落選したり、当選したり、を繰り返しているのですが、今回の選挙に関してはその候補者が落選した回と雰囲気が似ているように思えるのは気のせいでしょうか。
もちろん、小選挙区はほんの数百票差で当落が変わったりするため(『選挙に行こう…ほんの数百票差でも結果は大きく変わる』等参照)、選挙戦が終盤を迎えつつあるとはいえ、与党も野党も、まだまだ気が抜けない展開が続くことは間違いありません。
ただ、これも現時点ではあくまでも想像ですが、今回の選挙は、なおいっそう、SNSの社会的影響力の高まりを予感させる現象が多く生じるのではないかと思います。
2024年都知事選・衆院選・兵庫県知事選、25年都議選・参院選、と、選挙は回を重ねるごとにオールドメディアの影響力の低下とSNSの影響力の向上が顕著にあらわれていますが、今回の選挙も、SNSで愚直に有権者と対話した候補が勝ち、そうでない候補が負けるという現象が生じるのではないでしょうか。
個人的には、自民党がどこまで議席を伸ばすか(あるいはまったく伸ばせずに失速するか)もさることながら、立憲民主党と公明党の合体で生まれた「中道改革連合」が比較第2党(≒最大野党)の地位を維持できるかも注目点と考えています。
ただし、この論点については、深く議論し始めると、選挙予想とも直結してしまう可能性があるため、開票開始時間以降に論じたいと思いますが、じつはこれに関してはすでに現時点で「予定稿」を作成しています。
もしお時間があれば、2026年2月8日(日)午後8時以降、当ウェブサイトを訪れてくださいますと幸いです(この「予定稿」を当ウェブサイトで公表するかどうかについては直前に決定したいと思いますが、おそらくよほどのことがない限りはそのまま公表すると思います)。
本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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新聞は世論にあらず。
新聞記者というエゴイズム表現者、8%選民思想にのぼせたエリート意識が打ち砕かれる。
小泉大臣が覚醒したとのことですが ぜひ 「レジ袋有料化」は失敗だったと
本人の口から言ってもらいたいものです。これは 本人よりむしろ そう言わさせた メカニズムを明らかにすることが重要。考えられる要因は 気候変動を利用して 儲けようという世界的なトレンドに便乗した 国内的勢力(マスコミ 御用学者 官僚 企業 国連至上主義者)にあると思われる。