イジメと称した校内暴力拡散も「ネット可視化」の結果

ここ数日、中学校や高校など、全国のいくつかの学校における校内暴力などに関する動画がSNSで拡散されるなどの事態が生じているようです。とくに栃木県の高校の事案とされるものについては県警が「異例の早さで」捜査に動き出した、といった報道もあるのですが、これも考えようです。もしSNSがなければ、県警が動かなかった(あるいは最悪、握り潰されていた)可能性があるからです。ネット私刑を批判する論調もありますが、やはり行政の怠慢がネットで可視化されたという方が実態に近いのではないでしょうか。

ネットの可視化

このSNS社会を象徴するキーワードは、「ネットの可視化」だと思います。

当ウェブサイトにおいて普段から指摘している通り、この社会のSNS化が進むなかで、新聞、テレビといったマスコミ/マスメディア(あるいはオールドメディア)の社会的権威が急速に崩壊していることは、読者の皆さまもご存じのことと思います。

これについては、当ウェブサイトではこれまで、ダラダラと要因分析を行ってきました。

やれ、「新聞・テレビには媒体としての限界が生じている」。

やれ、「新聞・テレビの情報は溜めておくことが難しい」。

これらはどれも真理だとは思います。

とりわけ、新聞の場合は情報を「紙に印刷して物理的に人海戦術で配達する」というメディアであり、情報がネット回線で即時、全国/全世界のどこにでも届くという現代にはそぐわないシステムであり、淘汰されるのは時間の問題だ、というのはその通りでしょう。

情報はフローからストックに変わった

ここで出てくるひとつの視点が、「フローからストックへの変化」です。オールドメディアは情報を「フロー」と考えているフシがありますが、社会のネット化で情報が「ストック」に変化したのです。

これについては新聞がわかりやすいかもしれません。というのも、紙媒体は意外と嵩張るため、過去に配られた新聞を自宅にいつまでも溜め込んでおけるわけではないからです(著者自身の経験上、現代のわが国の代表的な家屋の場合だと、溜めておけるのはせいぜい1~2ヵ月分程度です)。

ということは、新聞の場合、情報は遅いし溜めておけない、ということです。

また、テレビの場合は電波を使って情報を送り届けるため、新聞と比べれば情報の速報性はかなり改善されていますが、ただ、放送された内容は(※HDDレコーダーなどで録画していない限りは)すぐに消えていくため、やはり「情報を溜めておけない」という点は新聞とよく似ています。検索も困難です。

これに対し、ネット空間では過去の情報が(すべてではないにせよ)ある程度はストックされていますし、検索も容易です。情報の使い勝手という観点から、新聞、テレビを中心とするオールドメディアがネットに負けるのは、歴史の必然なのです。

オールドメディアの影響力低下はネット可視化によるもの

ただ、オールドメディアの社会的影響力が低下している理由は、おそらくはそれだけではありません。

これが、「ネットでの可視化」です。

すなわち、誰かが「新聞(またはテレビ)がおかしな報道をしている」と気づいたときに、それを証拠付きでSNSに投稿することでその「報道のおかしさ」が「可視化」され、それを見た人も、「ああ、この報道は、たしかにおかしいね」と共感することで「バズ」が生じたりするわけです。

かかるバズのプロセスは、ネット化社会ならではの現象ではないでしょうか。

ただ、こうした「ネットを通じた可視化」が生じている分野は、メディア報道だけではありません。

レジ袋有料化など官庁がゴリ押しした政策のおかしさを訴える投稿は毎日のように見られますし、著者自身も含め、ネット上では多くのユーザーが「税社保取り過ぎ問題」、「社会保障費の無駄遣い問題」に言及するようになりました。

さらには、特定政党や特定議員のレベルの低さも広く知れ渡るようになりましたし、官僚機構、マスコミ、特定議員といった「トライアングル」構造についても、徐々に認識され始めているのではないでしょうか。

ネット可視化の影響は校内イジメ暴力に及び始めた

さて、こうした「ネットを通じた可視化」という事例は、社会のさまざまな分野に及んでいるように思えるのですが、その一例があるとしたら、校内暴力・校内犯罪です(余談ですが、世間では「イジメ」として知られている問題も、著者自身は「イジメ」ではなく、「校内暴力」ないし「校内犯罪」と呼称すべきと考えています)。

本稿では敢えて引用するのを控えますが、ここ数日、Xで校内暴力の動画が拡散されたのです。

「加害生徒が男子トイレ内で被害生徒に執拗な暴行を加えている」(栃木県の高校とされる事例)

「教室で男子生徒が教師に対し暴言を吐き、椅子を蹴り飛ばすなどの暴力をふるっている」(島根県の高校)

「老化で加害生徒が被害生徒に対し廊下で殴る蹴るの暴行を加えた」(大分県の中学校とされる事例)

正直、Xで見ていて、どれも驚くものばかりです。

これらは「イジメ」という言葉に矮小化して良いものではなく、いずれもれっきとした不法行為であり、ケースによっては明らかな傷害行為です。加害者は法に則って厳格に罰せられるべきでしょう(少年法とのかかわりもあるため、難しいかもしれませんが…)。

ただ、それと同時に、いくら加害行為が深刻だからといって、それをいきなりSNSにアップロードすることは適切なのか、といった問題提起をする人もいます。要するに、SNSに晒されることによって、加害者の特定が進み、社会的に罰せられるという、いわゆる「私刑」状態です。

これが、「加害者にも人権がある」、という考え方だそうです。

これについてどう考えて行けば良いのか―――。

行政の怠慢が生んだ「SNSを通じた告発」

あえて批判を恐れずに申し上げるならば、SNSを使っていきなり社会に加害行為を訴えかけるような事例が相次いでいる要因は、行政の怠慢にあるのではないでしょうか?

一部の学校は「校内暴力問題を握り潰している」などと指摘されているようですし、実際、イジメ被害者は進退窮まって、「最後の反撃手段」としてSNSを使っているフシがあるのです(昨年の夏の高校野球でもイジメ被害者側がSNSで校内暴力を「告発」したという事例がありました)。

やはり、学校という空間自体、警察などの捜査権が及び辛く、いわば一種の「治外法権」となっていた、という事情はなかったのでしょうか?そして、イジメ加害問題、校内暴力問題などが生じた際には、学校や教育委員会などはそれらを隠蔽し、被害者が泣き寝入りするようなことはなかったのでしょうか?

そして、社会のSNS化でこうした「闇の部分」に光が当たり、動画投稿というかたちで「ネットで可視化」されたに過ぎないのかもしれません。

ただ、それ以上に驚くのが、こんな記事です。

SNS時代を象徴か 栃木県警、異例の早さで対応 県立高の暴行動画

―――2026/01/08 07:45付 Yahoo!ニュースより【毎日新聞配信】

SNSで男子トイレ内の暴行が拡散した栃木県で、県警が「異例の早さで」対応している、などとする話題ですが、言い換えれば「SNSの可視化がなければ対応すらしなかった可能性がある」、ということではないでしょうか。

著者自身も、いきなりSNSに晒されることで、加害者が裁判などの手続を踏むことなしに、社会全体から晒し者にされ、一種の「私刑」を受けることが好ましいとは思いませんが、それでも「県警が異例の早さで対応せざるを得なくなる」という事実自体、これまでの行政の怠慢の証拠です。

そして、被害者にとっても、校内で犯罪被害を受けた場合、学校に相談するのではなく、警察に相談するのでもなく、まずはSNSに投稿することが最速かつ最も確実な自力救済のソリューションになってしまう、という状況を、行政こそ深刻にとらえるべきでしょう。

良し悪しの議論ではなく事実の議論

いずれにせよ、社会がSNS化していることは「良い」「悪い」の議論ではなく、「事実」の議論です。

官僚組織や一部オールドメディア、あるいは特定政党や特定議員らは、社会のネット化を悪いことであるかのごとく言い募っているフシもありますが(たとえば「SNSを通じたデマ拡散」、など)、著者に言わせればデマを拡散しているのは一部オールドメディアの方ではないでしょうか。

そして、SNSなどネットの世界では、良くも悪くも「情報の隠蔽ができなくなった」のです。

これにより官僚の既得権益や税金の無駄遣い、オールドメディアのおかしな報道や特定政党・特定議員の奇行・ダブスタなどが暴かれ、拡散することによって、結果的に国民に正しい情報が伝わってしまうのですから、これからの世の中は「情報の隠蔽ができない」という前提で行動すべきなのです。

これは、学校や教育委員会などにとっても、まったく同じことがいえます。

少なくとも学校がこれまで「イジメ」と称した校内暴力事件を隠蔽して来た事実はないのか、あるいはこれまでの『いじめ防止対策推進法』などの法制に不備はないのかについて、文部科学省など適切な官庁において、早急に全国的な調査を行うなどした方が良いと思うのですが、いかがでしょうか?

本文は以上です。

金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない

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読者コメント一覧

  1. 農民 より:

     古来より「お天道様は見てござる」と言います。それがSNSに置き換わった感がありますが、お天道様にもSNSにも見られているという意識を持ちたいものです。
     ただ、SNSを使って自らがお天道様になってやろうなどとは思ってはなりません。あくまで現代日本のお天道様は法律です。

  2. 丸の内会計士 より:

    カメラ画像からピクセルベースで距離が計測できるので(Lidar無しで)、そのうちリアルタイムで校内イジメの実況中継が行われるようになります。当然、犯罪の実況中継とか、クマの実況中継とか。
    本日、偶々、東急不動産HDの有価証券報告書を見たのですが、人権という用語で検索しましたら19件出てきました。一方で、ツムラの有価証券報告書を検索してみたところ人権という用語はゼロ件。HPを見たら人権について、ツムラ独自の聞き取り方法で人権DDを行っていますとありました。かなり苦しい感じです。
    実況中継が一般化すると、人権DDのエビデンスを実況中継してくださいとなり、今のうちにサプライチェーンを改めないと不味い感じがしています。

  3. 匿名 より:

    個人的には、晒上げもやむを得ないと思います。
    証拠保全として確実なのと、犯人がろくな処罰もなく社会に放流される問題がある。
    人を〇したり社会的に再起不能に追いやっても罰を受けなければ、間違った成功体験でより悪質な再犯の恐れがある、これが一番の問題です。
    犯人の顔と名前を公表し、一般人による自衛を喚起すると共に犯人の世間体にお陀仏になってもらうのは良い事だと思います。その程度のリスクも無しに悪事を成すな!

  4. トーシロ より:

    個人的には、短期的には学校が校則に「生徒が撮影した動画のSNS公開を禁止する」という動きを取りそうで不安です。
    そうするとSNSで反発は大きそうですが、最悪学校が訴訟に持って行き流れが逆流しかねないので、やはり慎重に進めていくべきでしょう。

    やはりまずは教員になんでもやらせず、事務員の追加や校内監視の一環で巡回を張るくらいでしょうか。

  5. 匿名 より:

    ある人が言うには学校の聖域化が進みすぎた結果と言ってました。学校という閉鎖環境が内向き化し隠蔽体質を持つようになったのは必然と言える。今後は学校や教師にやらせるのではなくいち早く警察に知らせる方向になるでしょう。そして実際にそういう方針に舵を切る学校が増えているそうです。

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