今だからこそ読んでおきたい「金言だらけの鈴置論考」
中国政府による日本国民に対する「脅し」が相次いでいますが、日本国民(とくにネット民)は、こうした「脅し」にはまったく屈することなく、むしろこうした「脅し」をおちょくっているフシがあります。自由・民主主義国民をSNSで脅すからそうなるのでしょう。ただ、こうした流れを見ていて気付くのは、韓国との対照性です。こうしたなかで、韓国観察者の鈴置高史氏が例の「韓国原潜保有」に関する続報を出してきたのですが、該当する論考を読んでいると、金言がちりばめられていることに気づきます。
目次
ネット大喜利でバカにされる中国政府
中国による日本の世論に対する脅しや揺さぶりが、ほぼ日本の世論から無視され、それどころか完全にバカにされ、コケにされている―――。
『ネット大喜利でオモチャにされおちょくられる中国政府』などを含め、当ウェブサイトではここ数日、中国に関する話題が非常に増えていますが、その理由は簡単で、中国をおちょくるネタが面白すぎるからです。
中国政府が発狂している理由は、高市早苗総理大臣が今月8日、立憲民主党の岡田克也・衆議院議員の「どういう場合に存立危機事態になるか」という軽率な質問に対し、「台湾有事」を挙げるなどしたためです(なぜ中国共産党や日本のオールドメディアが立憲民主党に文句を言わないのかについては謎です)。
ただ、中国政府や人民解放軍などがXにポストした画像には、ずいぶんと勇ましい内容が多いですが、そのわりに日本語の使い方がおかしいものもあります(図表)。
図表 日本語の使い方がおかしい画像
たとえば「頭を割られ血だらけになるのだ」のくだりについては、この書き方だと、主語が「14億の人民が~」、に見えてしまいますし、「粉骨砕身」は唐代の『永嘉証道歌(えいかしょうどうか)』に出て来たとおり、「自分の身を犠牲にしていっしょうけんめい働くこと」を意味するからです。
とくに中国は漢字の本場であるはずなのに、まったく違う意味で画像をわざわざ作ってポストしたことなどが日本のX民を歓喜させ、最近だと『中共プロパガンダジェネレーター』のようなものが出てくるなど、日本国民は完全に中国政府をおちょくり、バカにするモードに入ったのです。
いくらおどしてもまったく動じない日本国民に焦りも?
これは、正直、中国政府にとってはまったく想定外の現象だったのではないでしょうか?
しかも、中国政府側はいくら脅してもまったく動じない日本国民に対し、焦りを感じているフシもあります。
実際、中国政府・外交部の林剣(りん・けん)報道官がポストした画像は、これまでと比べ、微妙に色合いが変わっています。
What is laid out in the four political documents between China and Japan regarding the Taiwan question is the solemn commitment made by the Japanese government, and has legal effect under international law. There is no room for ambiguity or misinterpretation.
Whichever… pic.twitter.com/PbIajwpYoE
— Lin Jian 林剑 (@SpoxCHN_LinJian) November 17, 2025
おそらく、どんなに激しい言葉で脅しても、日本国民に対してはそれらの脅しがまったく効かないばかりか、むしろ自分たちが日本国民からバカにされまくり、それが世界にバラ撒かれているという現実に、中国政府はかなり動揺しているのではないでしょうか。
おそらく放っておけば、そのうち中国政府は物事を曖昧にして逃亡するのではないかと思います。
マスコミの影響力低下+韓国の成功体験の大きさ
ただ、これに関しては、中国政府に同情するところがないではありません。
せっかく日本のオールドメディアを懐柔(?)し、日本のメディアを通じて中国に有利な世論を作らせようとしても、肝心の日本国民がオールドメディアのいうことを、ほぼまったく聞かなくなったからです(『現役層の熱烈な支持はオールド左翼メディア終焉の証拠』等参照)。
そして、著者がそう考えるには、理由があります。中国にはかつて、「経済制裁」で他国にいうことを聞かせるという意味では、大成功した前例があるからです。それが2017年の「THAAD制裁」で、被害を受けたのは韓国です。
じつは、韓国は中国にはほとんど逆らわないという特徴があります。
これを指摘したのが、みずから「韓国観察者」と名乗る、鈴置高史氏です。
当ウェブサイトではなんども指摘していますが、鈴置氏はみずからを「韓国観察者」と位置付けているものの、著者としては鈴置氏を単なる「韓国観察者」と見るのは不正確だと考えています。鈴置論考を読んでいくと、韓国という「鏡」を通じて、私たち日本の姿を、かなり正確に把握することができるからです。
鈴置論考は「韓国潜水艦論」の続報
その威力を実感できる記事が昨日、ウェブ評論サイト『デイリー新潮』に掲載されました。
結局「おあずけ」でがっかり…韓国の原潜計画 合意文書の“誤訳”に見る李在明の苦しい現実
―――2025年11月17日付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より
この記事はおそらく、日本のメディアが「米国は韓国に対し、原潜の自国製造を許可した」などと報じたことに対する、かなり強烈な(そして極めて精緻な)反論であり、あえて鈴置氏の意図を汲んで(やや乱雑に)要約すれば、「韓国の原潜計画は宙に浮いてしまった」、というものです。
というよりも、先日の『鈴置論考で読む「韓国原潜保有」』などでも紹介したとおり、鈴置氏は「韓国による原潜保有」報道の実態について、米国における造船業の実態や韓国資本が買収した米国内の造船ドックなどの話題、さらにはドナルド・J・トランプ米大統領の発言といった一次ソースをもとに、すでに詳しく解説しています。
鈴置氏の前回の記事を読んでいれば、「韓国の原潜保有」の実情が、単なる「韓国の資金を使った米国の産業への投資」に過ぎず、また、べつに米国が韓国に高濃縮ウランを売却する、といったものでもないことは明らかでもあります。
記事タイトルにもある「おあずけ」とは、韓国が期待していたのは原潜を「自国内で」建造することであるにも関わらず、ホワイトハウス側が出してきたファクトシートでは、肝心の「どこで建造するか問題」が明確に示されていない、と指摘するものです。
これについて鈴置氏は、なかなかに無慈悲なことを言い放ちます。
「韓国とすれば、ゲームがしたいのでスマホが欲しかったのに、ガラケーを与えられた感じです」。
一見マジメな論考のなかに、こういう「罠」を仕組んでくるあたり、鈴置氏はなかなかに意地悪ですね(笑)
金言がちりばめられた鈴置論考
さて、著者が鈴置氏を「韓国観察者ではなく日本観察者と呼ぶ方が適切ではないか」と考える理由は、鈴置氏の「韓国観察論」からは、日本の姿がかなり正確に浮かんで来るからです。そして、本稿でもそれが如実に示されている部分がいくつかあります。
「李在明政権の交渉上の挫折はもう一つあります。『日本並み』の権限を求めたウランの濃縮と使用済み核燃料の再処理です。いずれも平和的利用に限った権限ですが、それに違反して転用すれば濃縮ウランなどは核兵器の素材になります。このため韓国人は『日本は潜在的核保有国だ』とうらやんできました」。
この短い文章に、日米関係と米韓関係の違い(というか、米国の日本に対する見方と韓国に対する見方の違い)が凝縮されています。
信頼される日本と信頼されない韓国。
その違いがどこにあるというのでしょうか。
今回の鈴置論考では、『底の浅い民主主義』という一節に、こんな記述も出て来ます。
――中国が台湾への侵攻を企図しているのに、阻止しようと考えないのでしょうか、韓国人は。
鈴置:考えません。もともと朝鮮半島の歴代王朝は中国大陸の歴代王朝の属国でした。「中国には従う」のが当たり前なのです。
「中国には従う」、あるいは「中国には絶対に逆らわない」。
このくだりが、今回の「日本国民による中国政府イジリ事件」と見事に対照をなしているのです。
『韓国消滅』、是非とも読んでください
ただ、韓国が仮に「中国には絶対に逆らわない」のだとしたら、米国はどう考えるのでしょうか?
その答えが、これです。
「2018年に『米韓同盟消滅』という本を書いて米韓同盟のもろさに警鐘を鳴らしたのですが、なかなか信じて貰えませんでした。まだ日本には、冷戦時代の常識で世界を見ている人が多いのです。/米韓同盟は日米同盟と比べ、極めて脆弱です。何しろ共通の敵が無いのですから。米国は中国を主要敵に定めました。しかし、韓国は絶対に中国を敵に回しません」(※下線は引用者による加工)。
こうした金言がちりばめられているのが、鈴置論考の魅力でもあり、価値でもあります。そしてそんな鈴置論考の末尾に、こんな記述が出て来ます。
「韓国人の現在の心情を描いたのが『韓国消滅』です。是非、お読みください。韓国の民主主義の底の浅さに驚くと思います」。
これは、当ウェブサイトからもお願いしたいと思います。
もし当ウェブサイトをご愛読いただいている方の中で、鈴置氏の『韓国消滅』をまだ読んでいないという方がいらっしゃれば、この機に是非、通読していただきたいと思う次第です。
本文は以上です。
金融評論家。フォロー自由。雑誌等の執筆依頼も受けています。 X(旧ツイッター) にて日々情報を発信中。 Amazon アソシエイトとして適格販売により収入を得ています。 著書①数字でみる「強い」日本経済 著書②韓国がなくても日本経済は問題ない日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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当方の Youtube おおすめに近頃出現した隣国のおじさんチャネル、言語能力に優れており、間違いなく優秀なかたなのでしょう。正面から正論で斬り込むブレない発言は、韓国世情の把握に役立ちます。紳士蟻さん、顔出しなしでいいから、Youtube 進出してもらえないものなんでしょうか。現地報道記事を邦訳し続けてくれて大いに参考になります。日本語化しても伝わってくる思考の歪みっぷり。歪んだ伝声管こと日本の新聞を通さずに知ることは重要です。国内報道界にも似たような文体を繰り出してくる新聞社がありますが、とてもフシギだ。
鈴置氏でも書けないのかも知れませんが、米韓同盟消滅の後に韓国が原潜で核攻撃したい相手は日本でしょう。
DEEPBLUE様
「攻撃したい」というよりは、「攻撃するぞと脅して、金をまきあげたい」のが韓国の本音ではないかという気がします。
韓国の目的は、竹島支配の強化と日本への威嚇でしょうね。
高市さんは既にトランプ大統領に確認の電話をしていると思いますが。
いつもは傍聴者に同意です。
恐らく日本を恫喝する為のツールが核搭載の原潜のつもりだったんだと思います。米国もそこは理解してるから。米韓同盟は韓国側の何処かの失態で崩れると思います。その前に保有したかったのが正直な感想でしょう。とりあえず建造できたら、最悪は核燃料を中共やロシアや北朝鮮から調達するつもりだったのだと思います。
速報!
未確認だけどさw
中共がXにサーバー攻撃仕掛けて、Xが使えなくなった事態になっています。
戦術兵器のsns攻撃が効いてる証です。
中共はもうやれる選択肢が無くなってきてますね。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13322387743
大騒ぎですわw
報道ソースはコッチね。面白黒くなってきたね。水面下の戦争w現代はsns使った戦争が主流なるのかもね。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d28be790d9d45228d319cf7e83062783d8e180b7
【原潜賭け流し(げんせんかけながし)】
原子力潜水艦の自国建造を目指して、その賭け金として米国の投資要求200億ドル/年に応じるも、その賭けは無慈悲にも流されてしまったこと