減税潰した石破首相の「強力な物価高対策」という寝言
報道等によると石破茂首相は「強力な物価高対策」を通じて政権浮揚を狙うのではないか、といった見方が出ているようです。石破首相が25日、官邸で公明党の斉藤鉄夫代表と会談し、予算成立後に「強力な物価高対策」を表明する考えを示したそうですが、それをいうなら国民民主党が掲げた「手取りを増やす」こそ強力な物価対策だったはずです。なにを寝言を言っているのでしょうか。
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SNS時代、関心が高いテーマは議論され続ける
SNSが発達したことで良かったことがあるとすれば、国民にとって関心が高いテーマが継続的に議論され続けることかもしれません。
新聞、テレビといったオールドメディアが言論空間を支配していた時代ならば、オールドメディアが「報道しない自由」を使って、官僚機構などにとって不都合な議論を葬り去ることができていた節があるのですが、現代社会では、そうではなくなりつつあるのです。
当ウェブサイトではこれまで何年もかけて、オールドメディアの退潮とネットの隆盛を予測してきたのですが、昨年の衆院選(10月)や兵庫県知事選(11月)あたりから、この傾向が非常に顕著になってきました。
SNSが選挙に大きな影響を与えるようになってきたのです。
それだけではありません。
衆院選で「手取りを増やす」を掲げた国民民主党が勢力を4倍に増やすという大躍進を遂げたこともあってか、SNSなどではその後も「税・社保に関するおかしな点」に関する議論が継続的に行われている状況であり、しかもそれらの議論は日々、さらに活発化しているフシがあります。
これに現実の政治の動きが報じられると、こうした議論が刺激を受け、さらに日々、さまざまな意見が生じている状況です。
SNS層と非SNS層の分断
ですが、それと同時に現在、社会で生じている重要な現象がもうひとつあるとしたら、それは「SNS層」と「非SNS層」の分断の深刻化ではないかと思います。
普段からSNSに接している人は多くの場合、なぜ日本経済が減税や社保の減免を必要としているのか、あるいは税や社保の使われ方が適正だといえるのか、といった議論を頻繁に目にしていることでしょう(賛否はともかくとして)。
もちろん、すべての日本国民が減税に賛成しているわけではありませんが、『国民民主躍進は「年金の壁」次第』などでも触れたとおり、少なくともいくつかのメディアの世論調査で見る限りは、国民民主党など減税を主張する政党が若年層から圧倒的な支持を集め始めています。
(※れいわ新選組などを「減税政党」と呼ぶのは少し違和感もありますが…。)
一方、これに対して高齢者を中心とする「非SNS層」では、「税・社保の取られ過ぎ」問題に対する関心はそれほど高くないようです。彼らが既得権益層だからなのでしょうか、それとも普段、SNSに接しておらず、SNS上の世論に対する意識が乏しいからなのでしょうか?
いずれにせよ、高齢層になればなるほど自民党、立憲民主党などに対する支持率が高いことも、また間違いありません。
SNSに無頓着な政治家もいる
こうしたなかでひとつ気になるのが、政治家のSNSに対するスタンスです。
著者自身が見たところ、政治家もやはり、(与野党を問わず)若年層ほどSNSを使いこなしている一方、高齢層、あるいは「大御所」と呼ばれる政治家は、あまりSNSに接していないフシがあります(※SNSが国民世論を100%正確に反映しているのかについてはとりあえず脇に置きます)。
そういえば、国民民主党の「手取りを増やす」を結果的に潰すことになった宮沢洋一・自民党税調会長は74歳と高齢で、たとえばXアカウント(@miyazawa_yoichi)についても普段から使用している形跡はありません。彼自身が参院選で当選した2022年7月11日以来、更新が途絶えているようです。
だからこそ、宮沢氏もSNS空間で減税に対する国民の強い期待の声に無神経だったのかもしれません。
また、同じような傾向は、もしかしたら石破茂首相を含めた自民党の現執行部にもいえるのかもしれません(※ただし、一般に首相は多忙でSNSをやるだけの時間が取れないため、石破首相本人がSNSを見ていなかったとしても不思議ではありませんが…)。
「強力な物価対策」?オタクら、減税潰しましたやん?
こうしたネット世論を、石破首相自身、あるいは現在の自民党執行部がまったく理解していないのではないか、という証拠があるとしたら、それはこんな話題かもしれません。
「強力な物価高対策」策定で政権浮揚を狙う石破首相 維新は歓迎も野党反応割れる
―――2025/03/25 21:10付 Yahoo!ニュースより【産経新聞配信】
産経(やそれ以外のいくつかのメディア)によると、石破首相は25日、公明党の斉藤鉄夫代表と官邸で会談し、来年度予算成立後に「強力な物価高対策を速やかに策定する」とする考えを伝えたのだとか(会談後、斉藤氏が記者団に明らかにしたそうです)。
これを見て、多くの人は真っ先にこう思うでしょう。
「強力な物価高も何も、『手取りを増やす』をぶっ潰したの、オタクらじゃないですか。なに寝言をいってるんですか?」
それをいえば、国民民主党が主張した「手取りを増やす」こそが「強力な物価対策」だったはずですが、そしてそれを(その意図があったかどうかは別として)自民、公明、維新の3党が寄ってたかって潰した格好ですが、いまさら「強力な物価対策」などといわれても、多くの国民は困惑する限りではないでしょうか。
産経によると石破首相は「検討項目」として、ガソリン税の暫定税率廃止、高騰しているコメ価格の抑制などを挙げたそうであり、これについて次のように述べています。
「自らの商品券配布問題などで内閣支持率が急落する中、6月の東京都議会選挙や夏の参院選に向けて政権浮揚を狙う」。
「年収の壁引き上げ」を潰しておきながら「物価高対策だ」などと言われても、それは結局、一時しのぎの選挙対策ではないかと疑われても仕方がない気がします。選挙に負けそうだから一時しのぎでバラマキを行うというのも、いい加減、無理があります。
今夏の政権交代は考え辛いが
さて、それはともかくとして、国民民主党が掲げた「手取りを増やす」、「年収の壁を178万円に引き上げる」は、結果的に自公両党と日本維新の会によって潰された格好となりましたが、これを巡ってはXユーザーなどであれば、リアルタイムでSNSで不満が噴出しているのを目撃したという方も多いでしょう。
「自民党の岩盤支持層だ」と自称していたはずの人たちでさえ、「次の選挙では自民党(の公認候補)を落とす」、などと息巻いている人さえいます。
もちろん、参院選は政権選択選挙ではなく、また、3年ごとに半数が改選されるという仕組みを取っていること、「受け皿」となり得る国民民主党も候補者選定に難航しているとみられることなどを踏まえると、次の選挙での有権者の選択によって石破政権を退陣させることは難しいでしょう。
しかも、今夏の参院選では、自民党は苦戦が予想されるものの、国民民主党などの候補者不足に助けられる格好で、辛うじて過半数を維持する可能性が高いです。
さらにいえば、何らかの拍子で衆参同日選になったとしても、選挙準備が比較的整っている大政党(たとえば自民党や立憲民主党など)に有利に働くため、「減税派」の一部が望んでいるような国民民主党を中心とした政権が出来上がる可能性は極めて低いです。
しかし、自民党がうまく今夏の参院選(や場合によっては衆院選)を乗り切れたとしても、今回の「減税潰し」に対する不満が有権者から忘れ去られることは考え辛く、もし自民党政権が税・社保の取られ過ぎ問題に無関心であり続けるならば、SNS空間を通じてその不満は増幅されていくでしょう。
したがって、石破首相が自民党総裁としての任期満了を迎える2027年9月、その次の参院選がある2028年7月、あるいは遅くとも2028年10月までに行われる衆議院議員総選挙に向けて、減税を提唱する政党が資金力などを身に着けたうえで、公認候補を着々と増やしていくと考えられます。
すなわち今夏の参院選を乗り切ったとしても、現在のように税・社保の軽減に消極的な姿勢が続くならば、自民党政権は、早ければ3年前後で瓦解してしまう可能性があるのです。
石破政権のスタンスが気になる
いずれにせよ、手っ取り早い物価高対策は「補助金」ではなく「恒久減税」です。
このあたり、現在の自民党が富裕層や中間層から搾取し、低所得者層にばら撒くという「バラマキ政党」と化しているフシがありますが、本当にこんなことを続けていれば、当ウェブサイトにて懸念する「数年以内の政権交代」が実現しかねません。
以前、当ウェブサイトに「物価高対策は減税ではなく補助金だ」などとする(若干支離滅裂気味な)コメントが寄せられたこともありますが、補助金だと所得制限などにより配られる対象者が限定される一方、恒久減税なら中所得者層以降にも広く恩恵が及びます。
石破政権が財務省の側を向くのか、それとも国民の側を向くのか。
気になるところです(※といっても、もうその答えはなかば出ているような気もしますが…)。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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物価高対策として、食料品日用品新聞代に使えるイシバ商品券とか配るといいんじゃないかな。
クマー
ハンカチ限定商品券とか
自民の悪い部分が全部でましたね。つまり、目先鼻先の国民騙し。支持率が下がると急に補助金や交付金を出しますよね。
「年収の壁を178万円に引き上げる」や、「手取りを増やす」はやっていい政策ではなくて、やっていなくてはダメだった政策なので、今更政治家が「私たちはやりますっ」て言っていても、最低限の仕事くらいしとけよ、としか思わない。それすら言えない政治家は問題外。
国民の経済的発展と安全を考えない政治家ばかりだね。
そんな中にあって、国民民主は本来の仕事をようやく始めようとしている集団なだけで、まだ評価する段階ですらない。(良い政策を発表するだけで評価されるなら小学生でも十分出来そう)
ここが一番まともに見える政党ということに絶望感が漂う。
by石川三区民(能登)。
生活苦・仕事苦・政治苦で石川3苦。
>来年度予算成立後に「強力な物価高対策を速やかに策定する」
その財源はどこから出てくるのでしょうか?
ガソリン暫定税率の廃止を含んだ速やかに策定できる強力な物価高対策があるのなら、来年度予算案に含めるのが、まともな政治でしょう。やっぱり石破氏は駄目だね。
政権浮揚が狙いだとすると、減税のように多くの人に恩恵がある対策よりも、商品券とか補助金とか特定の層に対して厚くバラまくみたいな対策になりそうですね
非課税世帯への給付金、燃料価格高騰に苦しむ企業(特に中小企業)への補助金とかとか、議員毎の支持者をターゲットにしたいろんなメニューが出てきて、ひとつひとつに事務経費がかかって、結果、効果が薄まるように思います
(´Д`)ハァ…
昨晩も徹夜でプラモを作ってしまった
寝不足なので国会で寝るしかない
寝言が出てしまうのもやむを得ない、ねばねば
「バラマキは厭わない理由」って、
財務省は集めるのが仕事
内閣府は配ばるのが仕事
「集・配」分離ってことなのかな?
・・・・・
政権浮揚を図りたい石破氏
政権不要を謀ってる財務省
・・。
集金配
選挙対策と言ったら金を配ることしか思いつかない。
地方創生も補助金ばっかり。
コミュ障の彼は人の関心は金でしか買えないと思っているのかもですね。
(おぼっちゃまくんのともだちんこ)
「金撒き議員」と「売国偽善政党」
いま日本でもっとも嫌われている2大キラーワードの組み合わせです
日々憎しみを集め続けていることに気が付かない「鈍感力」は亡国級の災害
>「強力な物価高対策」
徹底的に需要を抑え込んで、デフレに持っていく。
そうだ消費税大幅増税だ!
また非課税世帯のみにバラまきと予想
憲法改正は夢のまた夢。103万円の壁も同じ。
国民民主党が先の総選挙で掲げたシンプルで強力な経済対策(基礎控除178万円・ガソリン暫定税廃止)こそ、強力な物価高対策として理想的な答案だった
それにゼロ回答しておいて幹事長合意踏み倒しも居直り、歩み寄ってやったのにと不愉快なボケ
岸田の経済対策は口先だけで、やったとしても時機を逃し威力も焼け石に水止まりだった
石破の経済対策は口先どころか、猛烈な逆噴射と上記の格好だけのリップサービスさえない
運転している車の速度を上げます、でもアクセル踏まないし下り坂駆け降りるわけでもありません
とでも言うつもりだろうか 何がアクセルかブレーキか、その踏み込み加減も知らないと見える
総理も財務省も”財源不足”を何にでも使える便利な拒否理由だと思っていそうですが。実際には、ご機嫌取りに「国民のために〇〇をやります!」と白々しく言ったところで「ん?財源無いんでしょ?前の廃案は何だったん?」とツッコまれる、両刃の剣どころか柄が刃になってる棒なんですが。そんなこともわからない程なんですかね。
じぶんが言い出せば国民のため
ひとが先に口にしたら衆愚とポピュリズム
知恵と言葉をライバルに出し抜かれた政党は本当に見苦しいですね
そこに突っ込む発想も無いオールドメディアと付き合っていたので、首相といえど気づきも先読みも出来ないのでは….
石破首相は、起きながら寝ていますので……。
スリープラーニングでしたか?
簡単にできるのかと。
「誠心誠意、〇〇を尽くす」だの、「強力にXXを行う」なんてのは、もう聞き飽きて耳タコ
だぜ。
参院選までにコメの店頭価格が昨年同時期並みに下がらねば自民大敗は確実と思います。日本人の主食であるコメの高騰を何とかできない人たちが「強力な物価対策!!!~~」と唱えても、誰が信用するというのでしょう。
まずは、実績見せてね。
まだまだ下がる石破政権支持率
失言続出、自損事故の懸念
首相発言の全文文字起こしで再起不能は不可避か
質問を。日本の消費税というのは、全ての商取引に掛かる認識なんですが、仮に
原材料→商社→メーカー→卸→小売→消費者、だとすると1.1の5乗になり、各工程の歩留まりや効率を無視したとして、161%なので、61%が税金ってことになる???
これって官製インフレでは???
良くわかって無いまま書いてます。
詳しい方に説明頂ければ助かります。
あと、他の国との違いなど。
ググれば分かると思いますが、
ざっくり言って中間業者は仕入れ額を差し引いた利益分だけに課税されます。
トランプが「消費税は非関税障壁」という理屈もそれに依っています。
仕入税額控除というものがありまして、
A社…110円で売る
B社…110円で仕入れて220円で売る
C社…220円で仕入れて550円で売る
A社…課税売上100円、消費税+地方消費税=10円…①
B社…課税売上200円、課税仕入100円、消費税+地方消費税=20円-10円=10円…②
C社…課税売上500円、課税仕入200円、消費税+地方消費税=50円-20円=30円…③
①+②+③=50円
なので消費税額が無限に膨らむことはありません。
ありがとうございます。変な誤解をするところでした。
他の国も一緒ですかね?
石破:「物価高対策、ガソリンの暫定税率廃止を検討!」(`・ω・´)キリッ
林官房長官:「(石破の発言は)物価高の克服に取り組む決意を述べたもの」
検討の決意を述べるってなんだよな。
ホント馬鹿にしているとしか思えない。