石破首相は悪気なく素直な人だからこそ始末に負えない
ウソもつけないほどに不器用な人には「世渡り下手」などのネガティブ印象も付きまとうものの、昔の人気映画に出演していた俳優にちなんででしょうか、あるいは昔話の影響でしょうか、日本人はこれらの人々を高く評価するのかもしれません。ただ、不器用で愚直な人が首相の立場から「言っちゃいけないこと」を次々と述べるのは、やはり感心しません。実際、NNN・読売合同調査だと、夏の参院選比例で国民民主党に投票したいとする割合が18%と、自民党の25%に迫っているからです。
目次
「自分、不器用ですから」
「ウソもつけないほどに不器用な人」。
読者の皆様は、これを良い意味で捉えますか?それとも悪い意味で捉えますか?
おそらく実生活で「ウソもつけないほどに不器用な人」といわれると、「愚直で誠実」という良い印象に加え、「世渡り下手」などの、非常にネガティブなイメージを同時に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
物事には両面ありますが、一般に「ウソもつけない不器用な人」は、その場を取り繕う器用なウソが咄嗟(とっさ)に出てこないという欠点があるものの、マジメで誠実、裏表のない人柄、という側面もあります。
その意味では、よくビジネスの指南書では「要領が良く、世渡りが上手い人」よりも、「愚直で素直、誠実な人」の方が信頼できる、などと書かれていることが多い気がします(あくまでも著者自身の印象です)。
ちゃんと統計を取ったわけではありませんが、想像するに、「ウソがつけない」人は「不器用」ではあるにせよ「愚直で誠実」であり、「世渡りが上手い人にいつも良いようにあしらわれている」けれども「最後は誠実な人柄でリーダーに選ばれる」、「大器晩成」、といったイメージを伴うのではないでしょうか。
むかし某著名俳優が大手保険会社のCMに出演した際、「自分、不器用ですから」とするセリフを述べたそうですが、同じ俳優が大ヒットした映画に出演したこともあってか、「不器用な人」とは「朴訥(ぼくとつ)な人」、という意味で、なんとなく、肯定的なイメージもあるのかもしれません。
昔話?学校?職場?愚直な人を評価する人は多い
そして、これと逆に「軽妙洒脱(けいみょうしゃだつ)」な人には、「要領が良い」、「スマート」、「世渡り上手」などの印象を伴うかもしれません。ただ、誰からも好かれる人である一方で、「どこかズルいことをやっている」、「本質を理解していない」などのネガティブなイメージもあるのかもしれません。
あるいは昔話だと、「正直じいさん」と「意地悪じいさん」がいて、「正直じいさん」はおむすびと引き換えに大判小判をゲットしたり、枯れ木に桜を咲かせて封建領主から褒美をゲットしたり、あるいは「意地悪じいさん」が何らかのペナルティを食らったりしているのを、私たちは幼いころから聴かされて育っています。
だからこそ、「愚直で正直であること」はすばらしいことだと私たちは思っているのではないでしょうか?
いずれにせよ、上記はあくまでもイメージ(しかも著者自身による勝手なイメージ)に過ぎませんので、これを一般化するつもりはありません。ただ、世の中には間違いなく、「不器用な人」、「愚直で素直な人」という人たちが存在します。
学校に通っていたころは、(その学校の規模にもよりますが)クラスにひとりやふたり、愚直で融通が効かない頑固者はいたでしょうし、会社や役所に勤めた経験がある方は、愚直に職務に邁進する人がいたと思い出すかもしれません。
正直、著者自身もビジネスマンですから、企業や役所にはさまざまな人がいなければならないことは理解しているつもりですし、また、世渡りが上手い人・下手な人、要領が良い人・悪い人がいることは事実であって、ときとして要領の良い人が要領の悪い人の手柄を奪っているのを目撃してきたつもりです。
したがって、こうした「愚直で不器用な人」を見かけると、私たちは本能的に、応援したくなるのかもしれません。
石破首相、ざっくばらんに「若いころ頂いた」「旅行券に変えたこともある」
さて、前置きはこのくらいにして、先週金曜日に新人議員らに商品券を配っていることが発覚した石破茂首相を巡っては、週末にいくつかの報道が出てきていますが、そのうちのひとつがこれかもしれません。
石破首相 10万円商品券→他でも配った 回数「両手で数えて足りるか足りないかくらい」国会ざわつく 若い頃はもらって「航空券に変えた」
―――2025/03/15 17:01付 Yahoo!ニュースより【デイリースポーツ配信】
デイリースポーツによると先週金曜日、つまり14日の参院予算委員会で、石破首相が商品券配布を「政治活動ではない」などとしたうえで、こんなことを述べた、というのです。
「私も若いころにいただいたことがありますが、右から左に色んなものに消えていきました」
「ホテルの旅行代理店で航空券にかえたこともよく覚えている」
…。
なかなかに、愚直(?)です。
そもそも石破首相の商品券配布については、当ウェブサイトでは『首相は違法性否定も…「不信任案可決」リスクも浮上か』でも触れたとおり、法的にはこれが政治資金規正法第21条の2第1項(※下記参照)にいうところの「寄附の禁止」に該当するかどうかは微妙と考えています。
政治資金規正法第21条の2第1項
何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して寄附(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対するものを除く。)をしてはならない。
これを政治活動と見ることができるかどうかは微妙なところですが、法的にも言い逃れはできそうですし、金額、あるいは受領した15人の新人議員全員が石破首相に商品券を返していることなどを踏まえると、検察側もこれを立件・起訴したところで、せいぜい罰金刑くらいにしかできないのではないでしょうか。
首相に不器用さは要らない
なにより、もらった商品券(もしくは現金でしょうか?)をさまざまな用途で使ったことを正直に認めているという時点で、石破首相は下手にごまかそうとせず、あるがまま、ざっくばらんかつ正直に答弁を行っていると考えてよいでしょう。
(※余談ですが、石破首相は航空券もかつて、わざわざ商品券で買ったのでしょうか?それは海外旅行用でしょうか?少なくとも昔は、国会議員は国内線の航空券については国会に申請すればもらえたのではないかと記憶していますが…。)
まさに、冒頭のイメージ論でいうところの「誠実で愚直な人物」、ということです。
あるいは石破首相が「自分、不器用ですから」とカメラの前で語ると、なんとも朴訥なイメージが伴うのではないでしょうか。
ただ、結論から申し上げるなら、日本の首相に「愚直で不器用な人」は要りません。
著者自身のビジネス感覚で申し上げるならば、本来、国民にとっては、首相が愚直かどうか、不器用かどうか、要領が良いかどうかはまったく関係ありません。首相たるもの、国民経済の発展を実現するとともに、外交・安全保障でも国民の安全を守り続けることが必要だからです。
その両方が(中途半端ながらも)できていた稀有な人材が故・安倍晋三総理大臣なわけですが、残念ながら、石破首相はそのスタートラインにすら立てていません。
NNN・読売調査では参院選比例投票先の2位に国民民主党が!
石破首相、たしかに愚直で正直なのですが、「今それを述べてよいのか」、「今それを述べることで選挙にどんな影響が生じるのか」、などについては思いが至らないのでしょうか?
読者の方々からのお叱りも承知で申し上げておくならば、著者自身は自民党を中心とする政権が続くことを期待しています。その理由は簡単で、自民党以外の政党に、現状、経済と外交安全保障の両面から政権を担う実務能力があるとも思えないからです。
(※ただし、くどいようですが、当ウェブサイトではこれまで読者の皆様に対し、具体的な政党や候補者への投票を呼び掛けた覚えはありませんし、今後も可能な限り、そうするつもりです。)
しかし、石破首相(あるいはその周囲)のダメな答弁が続けば、国民の支持は自然と離れていってしまいます。
こうしたなか、昨晩公表された、NNNと読売新聞の共同世論調査の結果が印象的です。
石破内閣支持率31% 発足以来“最低”【NNN・読売新聞 世論調査】
―――2025年3月16日 22:00付 日テレNEWS NNNより
日本テレビによるとNNNと読売新聞が今月14日から16日まで行った世論調査で、今夏の参院選のうち比例での投票先を尋ねたところ、トップは自民党の25%でしたが、国民民主党が17%に近接し、最大野党であるはずの立憲民主党は11%にとどまっていたのだそうです。
- 自民25%
- 国民18%
- 立民11%
- 維新*6%
- れ新*5%
- 公明*4%
支持者こそ、石破政権の弊害に向き合うべきでは?
なんとも印象的です。
また、(当ウェブサイトでは普段、意識的に引用していない某メディアの調査では)国民民主17%、自民16%、という調査結果も出ているそうです。
もちろん、今夏の参院選まで国民民主党がこの勢いを維持し得るかどうかはまだわかりませんが、仮に今すぐ参議院議員通常選挙が行われた場合は、得票数で国民民主党が1000万票の大台に乗せ、参院選後に自公過半数割れ、といった可能性だって、決して夢物語ではありません。
もしも自民党支持層のなかに、「愚直な石破(氏)を支持する」、などとする考えの人がいるならば、正直、その人は石破氏が「愚直で素直であること」が決して良い効果をもたらすとは限らない、という点について、いま一度考えてみられてはいかがでしょうか?
いずれにせよ、石破政権下でどこまで自民党の支持率が落ちるのか(あるいは石破首相のもとでこれを回復することができるのか)については見極めるべき論点のひとつです。
しかし、自民党が敗色濃厚である証拠が次々と出てきているなか、「石破政権の弊害」に向き合う必要があるのは、間違いなく自民党支持層と自民党国会議員ではないかと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
![]() | 日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
石破総理にしても、彼を選んだ自民党議員にしても、個人個人は善意であり合理的な行動であったのでしょう。
でも意図しない悪い方向へ向かってしまう。
「合成の誤謬」なんて言葉がありますがまさにそれを地で行くような結果ですね。
言い訳は通用しない
二度と政府専用機に乗せるな
問われる国政を統べる才覚と英知の中身
顔もさほど美しくないから、それが逆に親近感を覚えるんでしょうね
トランプが石破との会談で
「私も彼のようにハンサムでありたいが、そうでない」と言ってたね。
この意味は;あんな醜男に生まれなくてよかった。
悪気なく素直に迷惑な贈り物(法律上グレーなもの)を送ってくる人のようですね。田中角栄なら家族の誕生日まで把握して受け取りやすい口実も作ってくれるでしょうに。
下地を造らず、唐突に送るのが石破スタイルのようで性格が出ていますね。愚直な送り方です。相手の事情を考慮しないので、15人からつっかえされる結果になったのかも知れません。細やかな心配りに欠けるので豪快な送り方は改めるべきかと思います。
またどこからともなく故安倍氏が出てきててワロタ
信仰対象なの?
手取りを増やす
を訴える国民民主党
手取りを減らす
施策に邁進する自由民主党
高市早苗議員を応援するために自民党員になったけど、ご活躍の姿がさっぱり見えません。昭和・男子・高齢者が構成員の自民党内では、芽が出ないかーと、まことに残念です。
日本を変える、強くする、次の世代に残す。
全くもって賛成なんですけどね。
令和7年度予算が衆議院を通過したということは、減税に反対の立場を高市早苗議員もとられたということでしょうか。
今の日本を経済的に強くしたい、ということであれば、そのために行動「している人」を応援すべきなんだろうな、と思う次第。
また、高市早苗議員を応援することで自民党を支持すると、更に逆方向に進んでしまう政党。なかなか応援が難しいです。
高市早苗議員を中心に、危機感をもった自民党が保守政党になるのは、国民民主党が政権を取った後の話だろうな、と先の長いことを考えます。
>「ウソもつけないほどに不器用な人」
過去に主張してきたことや総裁選の公約を鑑みるに、その場の思い付きで話をしているから、自身の実行結果がその主張と異なって他人からはウソと捉えられる。
これは主観的にはウソと意識していないのだろう。
主観的には、「ウソもつけない」かもしれないが、客観的には「息をするように嘘をつく」だよね。
「石破首相は悪気なくウソをつく人だからこそ始末に負えない」とタイトル訂正した方が良いのでは?
昔、「ルーピー」って言われた首相がいましたねぇ~。。。
それはさて置き、今回の石破の発言は、危機管理の初動としては間違ってないと思う。どうせ追及されて分かってしまうんですから。
例えば、自民党の裏金問題も、変に隠し立てしないで、全部正直に話したうえで「何か問題がありますか?」って開き直ればよかった。法律的に問題ない(と思っている)のであれば、そうするべきです。隠すから暴きたくなり、そして新たなことが分かれば、「やましいから隠した」ってなっていく。
石破が意図してそうしているかわかりませんが、ネットで炎上したときの対処法としても、間違ってないように思います。ただ、それに世論が賛同するかどうかはわかりません。
増税を踏む気概がなしと
官僚どもも匙を投げ
これ以上国益を毀損する前に
さっさと辞めてもらいたい
多分、彼が近くにいる人だったら、「いい人」に見えてるんだろうなと思います。
目の前にいる人に愛想よくできる人。
でもそれだけ。自分の考えに芯がないからあっちこっちで発言がひっくり返る。
自分の発言に責任を負う概念がない人なので、信用できない人となってしまう。信頼できない。任せられない。
てな感じの人かなと思って見ています。
彼の支持者の属性は地方の高齢女性だそうです。(全ての人がそうではなく以下略)
政治家と芸能人の区別が付かない人々にとってはいいアイドルなんでしょうが、今後はそんな選択基準で選挙権を行使する有権者が減っていけばいいなと思います。
「愚直」という言葉は普通はいい意味で使うんですが、言葉通り「愚かで素直」と解釈すれば悪い意味にしかなりません。愚直な人は行動を読みやすいから利用しやすいです。彼の周りに集まっている中には、そういう利用したい人々もいるのでしょう。マスゴミも利用してきたと思います。
無害ならほっといてもいいんでしょうが、結果総理にまでなってしまうようだと有害ですね。
ガソリン暫定税率の廃止を自民執行部が決めたようです。理由は「選挙に勝てない」から。”財源”は予備費1兆円のうち7500億円を使って。2500億円は高校無償化に使うそうです。
須田慎一郎氏ネタなので話半分で。(笑)
しかし、選挙を意識してるんだったら、今ごろ減税とか言っても遅いでしょう。だいたい、野党に減税を求められ自民がイヤイヤ応じていれば、自民は単なる抵抗勢力にしか見えず、手柄は全部野党のものです。どうせ減税するなら自民が「喜んで」「進んで」「倍返し」の勢いで減税しないと自民の得点にはならないわけですよ。
それが「今ごろ」になって減税と言ったって遅いし、しかも基礎控除じゃなく暫定税率だけとか、”too little, too late”です。(日銀か?)
多分それやったって、有権者からは「どうせ世論調査で支持率下がったからだろう」と見透かされるだけでそれほど効果はないと思います。支持率対策でやるならサプライズなことをやらないと。
今の自民執行部にはサプライズを打てる人いないんでしょうね。沈みゆく泥船にしか見えない。