国民民主が時事通信の政党支持率で立憲民主に倍近い差

石破首相の「商品券」問題は予断を許しませんが、これがなかったとしても今夏の参院選では自民党の苦戦が予想されるところです。ただ、それ以上に気になるのは、国民民主党の支持率がジワジワ上昇していることでしょう。とくに、時事通信が13日に公表した直近世論調査によると、国民民主の支持率は8%と、最大野党であるはずの立憲民主党に対しダブルスコア近い差をつけているのです。

衆院での不信任決議案の可能性は?

今夏の参院選では、自民党の苦戦が予想されます。

今朝の『河野太郎氏の「政治主導による年金改革」と国民の判断』では、本論の前段階として、石破茂首相自身が自民党の「1年生議員」ら15人に対し、商品券を配っていたとする話題を速報的に取り上げましたが、石破首相が自身の進退をどう判断するのか注目されます。

とりわけ衆院側では自公両党が過半数を制していないため、今回の不祥事疑惑は野党側にとっても内閣不信任決議案で一致できる「大義名分」となるかもしれず、そうなるとごく近いうちに不信任案が決議される可能性も否定できません。

本件について論じるべき点があれば、別稿にて議論したいと思います。

どのみち自民には逆風が予想される

もっとも、仮にこの件がなかったとしても、自民党には大変大きな逆風が吹く可能性は相応に高いといえます。「年収の壁」問題などで、勤労層や若年層を中心とする、少なくない有権者の反感を買った可能性が高いからです。

ただ、だからといって、自民党と公明党の連立与党が今夏の参院選で過半数割れするかどうかは微妙だ、というのが現時点における著者自身の見解です。

先日の『今夏の参院選で「自公過半数割れ」の可能性はあるのか』でも取り上げたとおり、参院には解散総選挙がなく、3年ごとに半数が改選される方式であり、前回・2022年の参院選では自民党が大きく議席を伸ばすなどしているからです。

実際、昨年秋の衆院選では自民党が比例代表での得票を4分の1ほど減らしていることから、それまでは自民党に投票していた層のうち、自民党に失望した人が、棄権したり、国民民主党・参政党・日本保守党・れいわ新選組に流れたりした可能性が高いと想定されます。

こうした想定が正しければ、これと同じ動きが夏の参院選で生じたとしても、自民党が昨年秋の衆院選レベルの得票を維持できれば、辛うじて与党の過半数割れは避けられる、というのが「数字で見た」分析であるといえるでしょう。

国民民主党の支持率がジワジワ上昇

ただ、ここでもうひとつ気になる動きがあるとしたら、非自民各党の動き―――とりわけ、国民民主党に対する支持がジワジワと上昇していることでしょう。

時事通信が13日に公表した直近の世論調査(3月7日~10日実施)によると、政党支持率で自民党は17.9%(前月比±0)とトップだったものの、国民民主党が8.0%(前月比+1.9ポイント)で2位となったことが明らかになりました。

石破内閣不支持44.1%、4ポイント増 支持横ばい27.9%―時事世論調査

―――2025年03月13日17時00分付 時事通信より

時事通信の調査で国民民主党が支持率で「第2党」となるのは、1月以来、3ヵ月連続のことであり、これに対して最大野党である立憲民主党の支持率は前月比マイナス1.2ポイントの4.2%に留まっており、まさかの「ダブルスコア」状態です。

もちろん、これは時事通信社という一企業が実施した調査であるため、これに全幅の信頼を置いてよいかどうかは別問題です。

しかし、時事通信以外の主要メディアが実施する調査でも、政党支持率で国民民主党が立憲民主党を凌駕するケースは散見されますし、なにより若年層(つまりSNS層、あるいは勤労層でしょうか?)を中心に国民民主党が圧倒的に支持され始めていることを裏付ける調査もいくつかあります。

また、時事通信の調査だと、衆院選が終わった11月以降、むしろ国民民主党に対する支持率は(多少の波はあれど)傾向としては伸び続けているのです。

国民民主党(と自民・立民)の支持率比較
  • 11月…5.5%(自民20.0%、立民7.5%)
  • 12月…5.7%(自民19.1%、立民6.7%)
  • 01月…6.6%(自民17.3%、立民5.1%)
  • 02月…6.1%(自民17.9%、立民5.4%)
  • 03月…8.0%(自民17.9%、立民4.2%)

(【出所】時事通信過去記事)

参院選で国民民主が比例1000万票を獲得すると…?

これが参院選に、どういう影響を与えるのかはまだわかりません。

当ウェブサイトの先日の議論では、「国民民主党が比例代表で1000万票の大台に乗せるようなことでもない限り、自公が過半数割れすることは考え辛い」、と申し上げたのですが、これは「国民民主の比例票が昨年秋の衆院選での617万票水準と大きく変わらなければ」、という意味も含んでいます。

しかし、ここに来て、国民民主党が立憲民主党の倍近く、自民党の半分近くの支持を獲得しているという調査結果が出てくると、やはり今夏の参院選の「波乱要因」として、国民民主党が本当に1000万票近くをかっさらう可能性を織り込んでおく価値はあるかもしれません。

いずれにせよ、石破首相の進退なども含め、政治シーンは目が離せない展開が続きそうです。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 匿名198x より:

    国民民主党の政策の全てがよいとは言えませんが、筋を通している、そう国民の目には映っているのではないかと思います。
    自民党は、約束破りの党。
    立民は、できもしないことを主張する党。

  2. DEEPBLUE より:

    石破岸田体制を完全に打破する為には、衆院選のような中途半端な負けでなく参院選でも過半数割れした方が良いかと。
    中途半端に生き残ったら噂されている岸田氏再登板でしょうから。

  3. CRUSH より:

    不信任は、ないでしようね。

    左側の人たちからすれば、役に立たない共産党や立憲民主党なんかよりよほど左寄りの政策を矢継ぎ早に実行している頼もしい石破を、急いでおろす動機がない。

    不信任で野党が大同団結するようなフリだけして、ガスだけ抜いて、なにか口実を設けて(自民党に恩を売りつつ)不信任しない、と予想します。

    とりま、今夜は帰宅時に巷で噂の財務省前デモに、野次馬しにいってこようかな。

    安倍晋三の献花にしても、現場に行かないとわかんないですからね。

  4. 元雑用係 より:

    自民党は 非改選議席>改選議席 なのですよね。
    今回の選挙で負けても勝ってる議席が残ってる。
    参院選って「安心してお灸を据える」人が多い気がするんで、結構負けが込む気がします。
    まあ、こちらでは「見限った」という意見も多く見られますが。

    腐っても第一党の地位が陥落する可能性は当面はほとんどないですので、現実的には自民党をどう生かすかを考えざるを得ないかなと思います。
    日本ではまだ野党のレベルが低くて、キャスティングボートを握る小政党がまともであるかどうかも運次第。勘違い系の小政党がキャスティングボートを握っちゃうとカオスです。ここが心配ですね。

  5. 普通の日本人 より:

    自公政権の惨敗は約束されたようなものですね
    行政能力の低さを理解している現政府は権力を離さないでしょうねえ(二度とないから)
    結果立憲維新との連立になるのかなあ
    中国の高笑いが聞こえるけどここを過ぎないと次に進めない
    スパイ防止法制定を政策として選挙で戦えば新たな展望が開けるんだけどねえ
    そんな政党が出てこないかなあ
    スパイ防止法を足掛かりに「日本の安売り法制度」を改善し本当の意味で強靭化をしてほしい

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