病院や食堂などのテレビもいずれ撤去される運命に…?

かつては病院や銀行、食堂、銭湯といった施設で、新聞、雑誌、テレビなどのサービスがあるのは当たり前でした。しかし、少なくとも著者自身が見ている限りでは、コロナ禍でとある病院は新聞、雑誌をすべて撤去してしまいましたし、また、資金面で新規投資が難しい中小・零細事業者にとっては、待合室などのテレビについても、壊れたら新調せず撤去する、という可能性が高いのではないでしょうか?

当時からオールドメディアは誤報ばかりだった

社会の変化は大きいといわれますが、その最たるものが、新聞、テレビなどのオールドメディアの退潮ではないかと思います。

著者自身が2016年に当ウェブサイトを創設するきっかけのひとつが、オールドメディアによる事実に反した報道です。

とりわけ某大新聞がリーマン・ショックの直後、企業会計に関する明らかに誤った報道(たとえば「金融庁は時価会計を停止する予定だ」、など)を垂れ流したことは、個人的に大きなショックでした。

だからこそ、著者自身は専門的な分野の情報を新聞、テレビなどに依存することのリスクを、わりと早くから認識してきたのだと思いますし、とりわけ専門的な分野についての情報については、自然と規制当局や会計基準設定主体などの情報を直接収集する癖をつけてきました。

もちろん、新聞、テレビなどの報道をチェックすることもありましたが、それはあくまでも「メディアが誤った情報を垂れ流すことで人々がミスリードされる可能性を減らす」という目的であり、それはメディア自身が想定しているメディアの使い方ではないのです。

新聞部数は右肩下がり:2024年は最盛期の4割に

ただ、2016年当時といえば、専門家らの間ではインターネットを使った情報収集が一般化しつつあったにせよ、通常の日常生活を営むうえでは、まだまだ新聞、テレビへの依存度は高かったのではないでしょうか。

じっさい、一般社団法人が公表している新聞部数を眺めてもわかるとおり、新聞部数(※朝夕刊セット部数を朝刊1部、夕刊1部の2部に分解した場合の部数)は、いまでこそ激減していますが(図表1)、2016年当時といえばまだ5369万部あったのです。

図表1 新聞合計部数の推移

(【出所】一般社団法人日本新聞協会データ【1999年以前に関しては『日本新聞年鑑2024年』、2000年以降に関しては『新聞の発行部数と世帯数の推移』】をもとに作成。なお、「合計①」は朝夕刊セット部数を1部とカウントしたもの、「合計②」は朝夕刊セット部数を2部とカウントしたもの)

いずれにせよ、当ウェブサイトが立ち上がったばかりのころは、「ネットをやらない人たち」、すなわち「新聞やテレビを主要情報源にしている人たち」がまだまだ社会の主流派であり、こうしたなかで「客観的事実を材料に、読者の知的好奇心を刺激するよう、透明な議論を組み立てる」という試みが異例だったことは間違いないでしょう。

ただ、時代もずいぶんと変わりました

2024年の新聞部数は3053万部と、最盛期の1996年の7271万部と比べて6割近く減ったからです。

テレビは高齢者の娯楽となった

そして、こうした変化は、新聞だけではなく、テレビにも及んでいます。

たとえばテレビ視聴時間(※平日、全年代)も2013年の168分から2023年には135分に減少。とりわけ10~30代のテレビ視聴時間が激減している状況です(図表2)。

図表2-1 平日の年代別メディア利用時間(2013年)

図表2-2 平日の年代別メディア利用時間(2023年)

(【出所】総務省の過年度の『情報通信白書』等を参考に作成)

そういえば、いくつかのメディアの世論調査結果などをみると、若年層を中心に、国民民主党の支持率が明らかに上昇しており、調査や年代によってはすでに同党への支持率が自民党に対するそれと完全に逆転しているケースすらあります。

これなど、SNSがいかに急速に普及しているかという間接的な証拠でしょうし、とりわけ若年層を中心に、いかに新聞やテレビが急速に社会的影響力を失っているか、という証拠でしょう。

食堂や病院、銀行、銭湯などでテレビが点けっぱなしに

さて、こうしたなか、X(旧ツイッター)で話題となっているのが、こんな趣旨のポストです。

食堂や病院、銀行、銭湯などでテレビが点けっぱなしになっており、仕方がないので情報番組などを視聴しているが、内容が酷過ぎる」。

これについては、心から共感せざるを得ません。

とりわけ若年層だと、そもそも自宅にテレビも設置しておらず、新聞も購読していない、というケースも増えているようであり(※著者私見)、こうした人たちがたまに何らかの機会でテレビを視聴する(あるいは視聴「させられる」)と、その内容に驚くようです。

ちなみに著者自身が暮らす地域の近隣の事例でいえば、緊急外来医院にも指定されている地域の(昔ながらの)総合病院では、たしかに待合室に天井吊り下げ方のテレビが複数台設置されており、待合室にいれば否が応でもテレビの映像と音声が目と耳に入ってきます。

また、昔ながらの銭湯、地元の食堂などでも同様に、テレビが点けっぱなしになっていて、おもにご高齢のお客さんがテレビの前を陣取って、テレビ番組を熱心に見ているようです。

(※ただし、これもちゃんと調べたわけではないものの、若い人ほどテレビに一瞥もくれず、スマートフォンとにらめっこしている、というケースが多かったようですが…。)

このあたり、多くのメディアの世論調査などにおいて、高齢層における立憲民主党に対する支持率が、それ以外の層と比べて顕著に高いことを思い出しておくと、やはりテレビ(や新聞)が高齢層の投票行動に深い影響を与えているという可能性は疑っておく必要がありそうです。

新聞、雑誌は徐々に消滅…テレビもその後を追う

ただ、逆にいえば、オールドメディアが若年層にも見てもらえる可能性があるとしたら、いまや病院・銀行の待合室や地元の食堂、銭湯といった公共の場くらいしかなく、しかも、これらの場所も次第にテレビが撤去されるケースや新聞の購読、雑誌の購入などをやめるケースが増えているのではないでしょうか。

実際、先ほど例に挙げた病院の待合室の事例でも、過去には新聞、雑誌のラックがあったのですが、コロナ禍の時期にそれらが撤去され、現在でも新聞、雑誌コーナーは撤去されたままであり、だだっ広い空間に備え付けられたテレビの映像と音声のみが響き渡り、人々はスマホを一心不乱に見つめている、といった具合です。

「全国各地の病院、銭湯、食堂などにおけるテレビの設置状況」といった公的な統計データは見当たらないため、確たることは申し上げられないにせよ、あと5年から10年もすれば、全国各地の公共の場からのテレビ撤去事例は増えていく可能性が高いです。

テレビにも耐用年数があるため、現在使用されているテレビが壊れて映らなくなると、施設運営者(病院、食堂、銀行、銭湯など)はそのテレビを更新せず、撤去してしまう可能性があるからです。

とくに資金面で新規投資が難しい中小・零細事業者にとっては、「待合室のテレビ」は真っ先になくしたい設備ではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 引きこもり中年 より:

    「病院や食堂などで、テレビを流していても誰も(?)文句を言わない」という前提が崩れたとき、テレビは撤去される可能性がでてくるのでしょうか。(「食堂や病院などで、テレビを流していないと誰かが(?)文句を言う」で、テレビは撤去されないかもしれません)

  2. 裏縦貫線 より:

    「待合室一箇所につき1契約」とか言って受信料を徴収し始めたら、一気にテレビ撤去が進みそうです。

    1. 引きこもり中年 より:

      食堂のテレビのNHK受信料分を、食事の代金に(明記して)上乗せしたら、一気にテレビ撤去が進むかも。

    2. KN より:

      それより先にホテルやマンションで撤去されると思う。

  3. あいぴ より:

    今は、電車と同じで多くの方はスマホ見てますね
    文字放送が普及したので音声無し流しっぱなしがほとんどですが、たまに音声アリのところに出くわすと、邪魔にすら感じます
    とは言え、待合室は年配者が多いので無くすまでには至らないのかと思います

  4. sqsq より:

    先日テレビを見ていたら、ある作曲家がかつて畠山みどりに曲を提供したなどという話題とともに写真が出てきた。
    妻:「このひとまだ生きてるの?」
    私:「いゃ~、もうなくなってるだろう」「ちょっとWikiで調べてみる」
    私:「ぎゃ~、まだ生きてる。85だって」
    これぞ「テレビとネットの融合」

  5. 匿名 より:

    そうですね。自分の地元でも大きめの総合病院位しかテレビは存在してませんね。クリニックはテレビてよりモニターて映画やらを流してますかねえ。
    銭湯は客の為にてより、番台に立つ従業員の為にテレビを置いてる感じですね。

  6. sqsq より:

    「高齢者とテレビ」の話題。
    やることなくてテレビの前で一日過ごす高齢者を想像しているとしたら、ちょっとステレオティピカルかな。

    「何で観るか」ではなく「何を観るか」だと思う。
    必要な情報がテレビでしか得られないならテレビで観る。BSテレ東の朝の「日経FT」、株とFXをやるのでその情報と世間との同期のために録画してコマーシャルを飛ばしてみている。
    放送大学の番組、一応大学のカリキュラム。知的好奇心を刺激するものが多く、録画してみている。例えば「東部ユーラシアと中国の歴史」全15回、「数学の歴史」全15回、「身近な統計学」全15回、「歴史と人間」全15回。
    NHKBSで平日昼間に放映しているハリウッド映画。アマゾンプライムでみるとネット、録画してテレビで観ればテレビなのか。そもそも見たことのある映画ばかり。テレビの前に座って全偏みるようなことはない。録画しておいて好きな場面だけを見る。例えば「ゴッドファーザー」私の好きな場面は冒頭の葬式屋がゴッドファーザーに娘の復讐を依頼するシーン、それとラスベガスでモーグリーンとマイクがやり合うシーン。ハリウッドの役者ってうまいな~と感心しながら観る。

  7. セクシー○○ より:

     病院はテレビを止めてお経を流しましょう。アンケート用紙は遺言用紙に。
    患者が減りそうな気がします。半分マジです。ごめんなさい。m(_ _)m

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告