新聞広告費がさらに減少…ネット広告費はさらに伸びる
株式会社電通は27日、『日本の広告費』の最新レポートを公表しました。これによると新聞や折込の広告費は前年比でさらに落ち込んだものの、テレビ広告については前年比プラスとなりました。ただ、これはいわゆるフジテレビ問題の影響を織り込む前のベースのレポートです。ことに、『月刊WiLL』でも指摘したとおり、テレビ広告の4つの要因(①企業側のコンプラ意識の高まり、②SNSでの炎上リスクの高まり、③テレビ広告の魅力の相対的低下、④一種のみかじめ料モデルの終焉)は、フジテレビだけではなく、他局にも波及し得るものです。
フジテレビ問題を月刊WiLLが取り上げる
先日発売されたオピニオン誌『月刊WiLL』2025年4月号では、山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士がフジテレビ問題を巡り、スポンサーが一斉に離れた理由について、少なくとも次の4つの要因があると指摘しているようです。
フジ問題でスポンサーが離れた理由
- ①企業側のコンプラ意識の高まり
- ②SNSでの炎上リスクの高まり
- ③テレビ広告の魅力の相対的低下
- ④一種のみかじめ料モデルの終焉
それぞれの詳細については、『月刊WiLL』の該当記事でも詳しく論じているほか、当ウェブサイトでも『民放ワイドショー「放送内容」がネット上で改めて物議』などで似たような趣旨のことを述べていますので、どうかご参照ください。
株式会社電通の最新レポート
さて当ウェブサイトではかなり以前から、そもそもテレビ・新聞といったオールドメディア業界を巡っては、そもそも広告費がひと昔前と比べてずいぶんと減った、とする話題を取り上げてきました。
こうしたなか、株式会社電通が27日、『2024年 日本の広告費』と題するレポートを公表しています。
原文は同社ウェブサイトにて読むことができます。
2024年 日本の広告費
―――2025/02/27付 株式会社電通ウェブサイトより
これによると日本の総広告費は7兆6730億円と3年連続で過去最高を更新したそうですが、媒体別にみてみると、それぞれ悲喜こもごものようです。
マスコミ4媒体(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)については全体として微妙に拡大しましたが、新聞については例外的に2.71%の減少となり、また、折込広告費についても5%あまりの減少を記録しています(図表1)。
図表1 広告費前年比較
媒体 | 2023年→2024年 | 増減 |
総広告費 | 7兆3167億円→7兆6730億円 | 1.05倍に拡大 |
マスコミ4媒体 | 2兆3161億円→2兆3363億円 | 1.01倍に拡大 |
新聞 | 3512億円→3417億円 | 2.71%の減少 |
雑誌 | 1163億円→1179億円 | 1.01倍に拡大 |
テレビ | 1兆7347億円→1兆7605億円 | 1.01倍に拡大 |
ラジオ | 1139億円→1162億円 | 1.02倍に拡大 |
ネット | 3兆3330億円→3兆6517億円 | 1.10倍に拡大 |
PM | 1兆6676億円→1兆6850億円 | 1.01倍に拡大 |
折込 | 2576億円→2442億円 | 5.20%の減少 |
(【出所】株式会社電通レポートをもとに作成)
いわば、新聞業界のひとり負け、といった状況でしょう。
ネット広告費は右肩上がり上昇が続いてきた
その一方で、インターネットが前年比1.1倍に増え、3兆6517億円と、マスコミ4媒体合計と比べて、なんと1.56倍(!)にまで達しています。
これについてネットとマスコミ4媒体を抜き出し、グラフ化しておくと、図表2のような具合です。
図表2 広告費の推移(テレビvsネット)
(【出所】株式会社電通『日本の広告費』レポートおよび当ウェブサイト読者「埼玉県民」様提供のデータをもとに作成)
これで見ると、マスコミ4媒体広告費はジリ貧傾向が続いている一方で、ネット広告費は、まさに右肩上がりであることがわかります。2020年にネット広告費がマスコミ4媒体広告費に追いついて以降、いまや完全に逆転され、その差は開くばかりです。
これをもっと露骨に示したものが図表3です。
図表3 広告費比較(2000年vs2024年)
媒体 | 2000年→2024年 | 増減 |
総広告費 | 6兆1102億円→7兆6730億円 | 1.3倍に拡大 |
マスコミ4媒体 | 3兆9707億円→2兆3363億円 | 41.2%の減少 |
新聞 | 1兆2474億円→3417億円 | 27.4%に縮小 |
雑誌 | 4369億円→1179億円 | 27.0%に縮小 |
テレビ | 2兆0793億円→1兆7605億円 | 15.3%の減少 |
ラジオ | 2071億円→1162億円 | 43.9%の減少 |
ネット | 590億円→3兆6517億円 | 61.9倍に拡大 |
PM | 2兆0805億円→1兆6850億円 | 19.0%の減少 |
折込 | 4546億円→2442億円 | 46.28%の減少 |
(【出所】株式会社電通『日本の広告費』レポートおよび当ウェブサイト読者「埼玉県民」様提供のデータをもとに作成)
本当の激変は来年度レポートで示されるのか?
ネット広告費は2000年時点で590億円に過ぎませんでしたが、これがいまや3.65兆円、つまり61.9倍に拡大する一方、マスコミ4媒体広告費は四半世紀で4割あまり減っており、なかでも新聞や折込広告費の落ち込みが大変に大きいことがわかります。
ただし、テレビ広告費についても、おそらく、今後は大きな落ち込みが予想されます。株式会社電通のレポ-トはあくまでも2024年までの時点のものであり、今年1月に発生したフジテレビからの大々的なCM離脱は織り込まれていないからです。
それに、先ほど挙げた4つの要因(①企業側のコンプラ意識の高まり、②SNSでの炎上リスクの高まり、③テレビ広告の魅力の相対的低下、④一種のみかじめ料モデルの終焉)は、フジテレビだけではなく、他局にも生じ得る論点ばかりです。
ことに、最近だといわゆる「ワイドショー」がコンプラ的にもSNS的にもスポンサー企業にとって耐えられなくなりつつあるようですし、フジテレビ問題でCMを撤収したスポンサーにとっては、「テレビCMに多額のスポンサー料を支払う」というのも、株主説明責任上、耐えられなくなりつつあることも間違いありません。
その意味で、本当の激変は、じつは来年度のレポートで示されることになるのかもしれない、などと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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ところで、この頃通勤中に気づくのは、電車内の広告が少ない事。求人とか限られたものしかない気がします。昔は雑誌広告など多数あったが殆どが消えたのでしょう。
首都圏では事情が異なるのでしょうが、当地関西では駅広告が完全消滅しています。開業医院や銀行支店広告は長く残っていましたが、コロナ自制時期でとどめが刺された感があります。大阪メトロ新大阪駅という一等地で駅広告が一斉消滅していたのに驚いて記録写真を撮ってあります。
ターゲット広告というネットのカラクリにすべてが巻き取られて、稼ぐ仕組み・儲かる理由が変わってしまいました。
広告媒体として、今後重要なのは個人データといかに結びつくかだと思います。AI時代は、すべてが最適化されるので、個人が活用しているデータベースに自社のコンテンツを載せられない企業は、そもそも競争にならないということになります。競争に参加できない。
このあたり、数年前にある大手の新聞社でプレゼンしたことがあるのですが、当時は、全く意味が分からなかったようです。
LMMを活用したビジネスは、様々あるので、今は理解しているかもしれません。
新聞広告費が減ったということは、新聞社は減った分をチラシを増やすことで補おうとするのでしょうか。