テレビの免許取消は難しいが…SNSは「規制せよ」?
コンプライアンス違反やCM離れによる財務基盤の悪化などは、放送局の免許を取り消す理由にはならない―――。こんな答弁が、村上誠一郎総務大臣から出てきました。これは、現在の放送法などの規定を読めば当然の解釈でもありますが、裏を返せば、法の不備でもあります。その一方で、一部政治家からは、SNS規制やネット規制などに関する暴論も出てきています。やはり、違和感を払拭することができません。
フジテレビ問題で免許取消が話題に!
当ウェブサイトでは『フジメディアの経営を不動産だけで支えることは不可能』などを含め、フジテレビの経営問題についてはときどき議論を展開しています。
個人的に、フジテレビをめぐる問題は現在、同社が設置した第三者委員会の調査待ちであり、現段階で軽々に取沙汰すべきものではないと考えている次第ですが、ただ、少なくともスポンサーなどがCM出稿を差し止めるなどしているなかで、一連の問題が同社の経営問題に発展していることは間違いありません。
こうしたなかで、ネットでちょっとした話題となっているのが、フジテレビに対する放送免許を剥奪することができるか、という論点です。ここでは『東スポウェブ』に4日付で掲載されたこんな記事を紹介しましょう。
村上誠一郎総務相 フジテレビ問題「放送免許を取り消すことはできない」答弁の〝法的根拠〟
―――2025年2月4日 22:11付 東スポWEBより
東スポによると、日本維新の会の藤巻健太衆議院議員は4日の衆院予算委員会で、フジテレビ問題に関連し、村上誠一郎総務相に「放送免許の取り消しはあるのか」と質問したところ、村上氏は「深刻なコンプライアンス違反」が放送法や電波法上の「免許取り消し事由には規定されていない」と答弁したのだそうです。
法の不備:免許取消事由は限定的
この答弁自体は、法の規定に従えば、ある意味では当然のものでもあります。
村上氏が述べた通り、放送局の免許取消事由としては、外資規制法違反などで「限定列挙」されており、今回のようなコンプライアンス違反自体が(事実だったとして)免許取消事由にはあたらないなど、法には一種の「抜け穴」がある格好です。
これに加え、村上氏は放送局が経営難になった場合の扱いについて、「免許取得時は」、放送業務を維持するに足る経済的な基礎を有していなければならないとも指摘しつつ、いったん免許を得たあとで(スポンサー離れなどで)経済的基礎を欠く状態になったとしても「免許取り消しはできない」とも述べたそうです。
こうした村上氏の答弁は、まさに現在の放送法の不備そのものでしょう。
自民党参院議員の提言は事実上の言論・思想統制
ただ、テレビ局はコンプラ違反があっても免許取消処分などにできない一方で、SNSなどネットに対する圧力は、徐々に強まってきています。とりわけ昨今、新聞社やテレビ局、官庁、あるいは与野党の一部政治家などからも、SNS規制が必要だ、などとする暴論が出てくるようになりました。
実際、先日の『権力者によるSNS規制論は危険』でも指摘したとおり、自民党の松川るい参議院議員は自身の公式ブログに先月26日付で『誹謗中傷大国ニッポン~そろそろいい加減にしよう~』というエントリーを投稿。次の①~④の提言を行っています(大意を変えない範囲で要約していますが、正確な文言は松川氏のブログを直接ご参照ください)。
- ①誹謗中傷したら、即座に発信した個人が特定できるようにする
- ②PV数を稼ぐビジネスモデルをやめる、または、PV数を稼ぐビジネスモデルを許容するのであれば、本人に取材もしていないような「こたつ記事」については、本人から申し出があれば即刻削除することを義務付ける
- ③オールドメディア(紙媒体、地上波放送局)は、ネット上の言説について、自身の独自取材や判断を厳正に行い、盲目的な後追い記事を書かない矜持を持つ
- ④ネット上の誹謗中傷について精神病や心理学などの専門家による解説を広く世の中に知らしめ、世の中の常識とする
ネットの影響力は高まることはあっても下がることはない
端的にいえば、極めて危険な思想です。発信者名を隠せば、まるで中国共産党やソ連共産党のそれとそっくりでもあります。
とくに①については法的に厳格な開示手続をすっ飛ばして、情報発信者の実名を開示させる、というもので、訪日国家にあるまじき、きわめて乱暴で危険な考え方です。
また、②についても意味不明で、「PVを稼ぐビジネスモデルをやめろ」とは、もし「多くの人に見てもらうべき記事を書くな」という意味ならば、それは言論統制そのものであり、そして憲法第21条が保証する表現の自由に対する侵害です。
さらに③については、オールドメディアが報じるべき内容を政治家として規制するという考えであり、④についても政治家が認めた公式見解を「世の中の常識とする」ことで、いわば、思想統制そのものでもあります。
いずれにせよ、自民党政治家が「SNSを規制せよ」などといった極めて危険な考え方を提唱する一方で、テレビ局は深刻なコンプライアンス違反が発生しても放送免許の取り消しができないというのは、なかなかに理解に苦しむ状況でもあります。
ただ、SNSを中心とするネットの社会的影響力は、今後、高まることはあっても下がることはありません。
その意味では、SNS規制論はまさに「天に唾を吐く」ようなものでもありますし、また、テレビ局の問題報道に対し、それを罰することができないという状況についても、いずれネットでの批判に耐えられなくなってくるのではないでしょうか。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自民からSNS規制の論点案が出されたそうです。松川氏の主張と被るところもあるけど、ちょっと毛色が違うかな。
読売:選挙のSNS規制、自民が論点案提示…選挙運動名目の営利行為抑止へ情プラ法改正など
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20250206-OYT1T50013/
・「選挙運動」名目の営利行為への対応
・プラットフォーム事業者の責任の明確化
・情報発信元の本人確認の強化
・選挙期間中の違反行為の是正や処罰
・公職選挙法上の「インターネット適正利用」条項の厳格化
論点としてはわからんでもないですが、記事中でも規制のHowtoがはっきり書いてなくてよくわからないですね。各項目何をどうするか程度次第では言論への介入となりえるかもですね。
そもそもが電波法や放送法を改正してマスコミのコンプラ違反に厳しくしようという政治の流れは起きそうも無い中で、SNS規制の議論ばかりが進むのはアンバランスです。
とはいえ、マスコミもSNSで発信してるんで、報道が「偽情報」認定されて即日差し止めの措置を執られてしまうとか、そっちの未来は楽しそうです。(そもそも偽情報ってどうやって見極めるのよ)
どこぞの媒体でか「ソノ筋では高名な選挙参謀」的触れ込み(当方無明にて初見初聞)の方が、『(都度選管やら捜査当局やらに)どこまで大丈夫なのかどこから違反になるのか確認しながら選挙運動を展開している』程度には公選法は“どーともとれかねない”曖昧グレイなトコロも有る様ですンで、『SNS規制』も“規制したい側”が“高度な柔軟性を保ちつつ臨機応変に”適用出来る様に“緻密にガバガバ”な仕上がりを目指しているのではナイデセウカ??
知らんけど
名前を口にするのも憚られるかの首相氏が「SNS規制」と国会で答弁してから始まった自民内のSNS規制議論は意外と冷静で、それをマスコミが「SNS規制だー!」と囃し立ててるような図に見えてます(逆効果やないかいな・・・)。
この先どうなるかはわかりませんけど。
公選法のザル具合はヒドイもんで、だからそれをある程度明確化する検討は続いてたんですよね。それはそれで必要とも思います。
>“緻密にガバガバ”な仕上がりを目指している
合成の誤謬じゃないかなーとも思うんですが。
法律を検討する議員みんなが一律にやれることを縛られるなら議員自身にもメリットだと思うんですけど、縛られたくないって思いが邪魔するとか。わかんないっすけど。
野党に優しく自民に厳しい捜査当局にいいように使われてますけどね。
意外と捜査当局側にも「“政権(党)の走狗”視されたくない」的無意識が働いているのやもシレマセンな!?
知らんスけど
新興勢力は叩かれる、ということでしょうか。(もちろん、それで消される新興勢力もあります)
Winnyの金子勇氏やメディアとネットの融合を目指していた堀江貴文氏がそうでしたしね。
因みに金子氏は日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)の職員で、こちらが本職だったそうです。
原子力と言えば、左翼勢力が最も否定するエネルギーでありますし、その点もあって更に叩かれたのでしょう。
堀江氏はある意味で図太さがあったので、今の元気で活動をしていらっしゃいますが…。
松川るい大阪比例区参議院議員は、エッフェル塔問題で自分にSNS攻撃を受けた人物で、自分のための法案に出すのですね。
折角、大阪比例区であればもっと地域のために活躍してほしい。
次の次の参院選はどうするのかな。
規制するならSNSよりテレビが先でしょう。
①誹謗中傷したら、即座に発信した個人が特定できるようにする
→誹謗中傷したら、即座に番組プロデューサや脚本家、その他、自称知識人などの個人が特定できるようにする
②PV数を稼ぐビジネスモデルをやめる、または、PV数を稼ぐビジネスモデルを許容するのであれば、本人に取材もしていないような「こたつ記事」については、本人から申し出があれば即刻削除することを義務付ける
→視聴率を稼ぐビジネスモデルをやめる。視聴率を稼ぐビジネスモデルを許容するのであれば(以下同じ)
③オールドメディア(紙媒体、地上波放送局)は、ネット上の言説について、自身の独自取材や判断を厳正に行い、盲目的な後追い記事を書かない矜持を持つ
→SNSは、テレビの言説に付いて、(以下同じ)
④ネット上の誹謗中傷について精神病や心理学などの専門家による解説を広く世の中に知らしめ、世の中の常識とする
→放送上の誹謗中傷に付いて(以下同じ)
今までどれだけ多くの人が、テレビの放送に傷つけられてきたか。
それでもテレビは規制しないんでしょうけど。
テレビもそうですし、新聞や出版業界も規制をすべきだと思います。
新聞や出版業界もテレビと同等、或いはそれ以上に特定人物を誹謗中傷しているのですから。
時としてその人物がメディアによる誤った情報を鵜呑みにした人物に殺害される事だってあるのですから。
確かに放送局は簡単に潰せないし造れないですから村上さんの発言は法の解釈も含めて正論ではありますが、近年の放送局を含め社会的責任が極めて大きい企業や官僚組織、あるいは政治家、政党にあって全く競争原理も自浄作用も働かず更新も無く反省もない。
変わろうとしない変われない者同士の末路が飛散でしか無い。
政治家政党が変わらない変われないのはソコまで国民有権者の政治参加意識ボルテージがアガッてへんからちゃいますン?
知らんけど
松川議員にこれを投げかけたら、誹謗中傷とされてしまうのでしょうか。
-威厳とは、名誉を得ているという事からではなく、名誉に値するという事からなる-
私はこれで特定されても全く困りませんが。
基準のよくわからない規制を敷いたとして、特定されても困らないような発言だけが残されるキレイナSNSになるか、特定されても困らないような婉曲な罵詈雑言に溢れるSNSになるか。
「どこまでが禁止事項になるの?」という質問は、そこまではセーフだと確認をしておきたい”違反スレスレを攻めたい人物”がする事が多いそうですよ。
「テレビを見る」という言葉はテレビ受像機でテレビ局が作るコンテンツを見ることを意味していた。つまり何で見るかと何を見るかが一致していた。
私が今自宅で見ているテレビは8年前に購入したものだが、すでにリモコンにNetFlixのボタンがある。
今テレビを買うとリモコンにはテレビチャンネル(1~12)以外に NetFlix, ABEMA, TSUTAYA, Hulu, U-NEXT, YouTube, PrimeVideo のボタンがついていてテレビ画面でネット番組を見ることが前提になっている。逆にパソコンやスマホでテレビのニュースも見れる。
このような状態でテレビ、ネットを分けて論じて意味あるのだろうか。
とりあえずどの食堂にも欠点がありますが、増長してる自民食堂を今のままにする事は自分はありませんね。
SNSを活用していた安倍元首相の支持層を完全に消し去ろうという事なのでしょう、今の自由「民主党」は。
ITツールを駆使し東京都都知事選を善戦した安野貴博氏が本日のBSフジプライムニュースに出演されます。
そういえば安野貴博氏をこの場に紹介してくれたこんとんさまはまだROMなのでしょうか
自民、公明、立憲は左翼政党です。
特に自民は中国共産党とはズブズブの関係で、過去においては中国共産党勢力から賄賂を貰った自民党議員がいたほどです。邪推ですが、自民が企業の政治献金を否定しないのは、中国企業からの献金が最も多いからでしょう。
アメリカが監視していると思しき中国企業、または追い出した企業は、日本国内では自由に経済活動を行っております。これを許している自民公明に中国企業からの多大な献金があってもなんらの不思議もありません。
SNSの規制については、中国共産党が言論に対する不満を持っている自民党内の所謂不満分子を焚きつければ、思うがままに言論を制御できるようになります。しかも自民、公明は立憲を加えることによって大増税の達成が可能です。結託しやすく、自民公明政権の不信任決議が出ることはありませんし、中国共産党に対しては完全無防備な政党であるところも共通項としてありますから、中国共産党はこれらの政党を如何様にも制御できてしまいます。
これを機に、自民、公明、立憲は国民経済の発展が全く無いまま、中国共産党が望む国の形に積極的に変えてゆくでしょう。やがては、そこに朝鮮半島が加わることになるものと思いますが、オールドメディアが考える東亜細亜が漸く完成するのかもしれませんね。
昔の言葉を借りれば、大東亜共栄圏が完成するといったところでしょうか。
しかし、あくまでも中国共産党を中心に据えた共栄圏ですから、「自由」はありません。
左翼が権力を握った国は、驚異的な加速度をもって落ちぶれて行くところを実感している
ところです。