ネットで「喰い尽くし系男」を擁護する意見が出る理由

「妻が餃子を40個焼いて大皿に盛ったところ、夫が30個食べてしまい、息子が3個、娘が4個しか食べておらず、3個しか残っていませんでした。一番悪いのは誰ですか?」これに対する答えはさまざまですが、「妻が1人10個ずつ合計40個のつもりで焼いたのに、ひとりで30個食べてしまう夫が一番悪い」という見方もできる反面、「体格の良い成人男性」と女性や子供に等しく10個ずつ提供するつもりで40個焼いた妻に対する違和感を表明する人もいるようです。

夕食の餃子、ひとりで30個食べる夫

Xを眺めていると、ときどき、さまざまな話題を目にすることがあります。

Xはユーザーによって表示する内容が変化するらしく、著者自身はどうしても政治、経済、外交、そして最近ではとくに税制や社会保障などに関するポストがとても多いですが、ただ、面白いもので、それ以外のジャンルに関する話題もしばしば目にします。

こうした話題のひとつが、「男女の食べる量の違い」という論点です。

Xなどネットのヘビー・ユーザーの方であれば、もしかすると1度や2度は見たことがあるかもしれないのが、こんなマンガです。

1コマ目

妻が餃子3個の皿を見て「なんで!?ナンデ3個!?

2コマ目

夫「だってママ遅いし~」(もぐもぐ)「冷めるともったいないじゃん

息子「僕まだ3つしか食べてない…

娘「私もこれで4つめ!

4コマ目

妻「40個って言ったよね!?普通ひとり10個でしょ?

夫「10個ずつも変じゃない?大人なんだから俺が一番いっぱい食うに決まってんじゃん

喰い尽くし系に対する批判?それとも男性に対する擁護?

これは、『ウーマンエキサイト』というウェブサイトに2021年6月3日付で掲載された『家族の食事を食い尽くす夫が嫌だ…解決策は成功する!?/食い尽くし系夫(1)【うちのダメ夫 まんが】』という記事に描かれていたマンガからセリフだけを抜粋したものです。

状況から判断し、奥様が餃子を40個焼いて大皿1枚に盛って出したところ、旦那様がひとりで30個食べてしまい、子供2人があわせて7個しか食べておらず、奥様の分が3個しか残っていなかった、という食事風景だと考えられます。

この手の「大食い」の男性を、ネット界隈ではいつしか「食い尽くし系」などと呼ぶようにもなったのです。

【参考】餃子

(【出所】農林水産省『うちの郷土料理・兵庫県味噌だれ餃子』ページよりダウンロード)

ちなみに(あくまでも私見ですが)少なくともこのマンガの執筆者の方は、この「喰い尽くし系」の男性を批判する意図で描いているものと見られ、その最初のエピソードが上記の「晩御飯の餃子」、というわけですが、これに関しネット界隈では異論も出ているようなのです。

ほかのページでは、子供の弁当用のハンバーグを食べてしまったり(同P2)、ご近所様からいただいた旅行土産の10個入りのまんじゅうをひとりで食べてしまったり(同P3)、挙句の果てにはダーゲンハッツのアイクスリームを奥様の分まで食べてしまったり、といった、なかなかに非常識なエピソードがあります。

そもそも体格の良い成人男性に対する栄養は足りているのか

これらのエピソードからは、たしかにこの旦那様が「食い意地の張った人物」であると判断せざるを得ないわけですが、少なくとも最初の餃子のエピソードだけに限定していえば、旦那様を擁護する意見も見られます。マンガに出て来る旦那様、「餃子10個じゃ足りないのではないか?」、などといわれているのです。

実際、絵で見る限り体格が非常によく、ほかのページのコマなどで確認する限りは、おそらく体重も80~90㎏程度、身長も170~180㎝程度と大柄です。

漫画を読む限り、旦那様は一般的なホワイトカラーのサラリーマンであろうと考えられるのですが、その一方で建設系の「肉体労働者」といっても不思議ではないほどの見た目ですし、その体格の良さから、学生時代はラグビーや柔道などの体育会系サークルに所属していた可能性もありそうです。

何が言いたいのかといえば、4コマ目で奥様が「餃子を40個焼いた」、「4人家族だからひとり10個ずつ」と叫んでいるシーン、旦那様が「大人なんだから俺が一番いっぱい食う」の部分は、じつは旦那様の発言が正論ではないか、といった可能性があるのです。

様々な視点が重要であることは間違いない

これについては奥様を擁護する立場からは「旦那様にはコメをたくさん食べてもらうことで(餃子を10個しか食べられないことと)釣り合いを取ってもらうつもりだったのではないか」、といった意見も見られるのですが、これも「足りない分をコメで補うのはおかしくないか」といった反論も出ています。

正直、奥様を擁護する立場、旦那様を擁護する立場などが入り乱れているようですが、少なくとも物事はさまざまな視点から見る必要があるという点について、強く意識できることは間違いありません。

その意味では、XなどSNSの空間は「世の中には様々な意見があり、様々な立場がある」ということを勉強することができるなど、大変有益であることは間違いないでしょう。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 農民 より:

     「成人男性のほうが食べる量が多い」「均等に分けるべき」どちらも一般論的には正論たり得ますが、個別事例で考えると「なんであらかじめ話しておかないのか、結婚後何年目で今発覚したことでもあるまいに」となっていまいます。尤も、当該作のシリーズでは後にしっかり話し合い、対策をすることで「ウチはこうやってます」がテーマのようで、性別叩きや晒し上げといったものではないのには留意が必要です。
     様々な視点や言い分があるというのも重要ですし、何よりも議論の前提を定めること、一般生活上での問題はまず正しさの主張よりも話し合う事が大切だな等々と思える事例です。話し合い=誤りを飲む事ではありませんしね。

  2. 裏縦貫線 より:

    類似の話題で「出産で入院中の奥さんに出された食事を旦那が食べ尽くす」というのがありました。こちらは全く理解も擁護もできません。

  3. 匿名 より:

    私は、子どもに沢山食べさせてあげることを一番に考える親になりたかったです…
    子どもが食べられるのであれば、子ども2人で20個20個で構わなかったです…

    1. hiro より:

      餃子でも唐揚げでもハンバーグでもちょっとした大人なら
      「自分で買って食べることはできるが、子どもはそうはいかない(出されるだけ)」

      と考えると、「子どもがたくさん食べてそれで満足するならよいのでは」
      と考えられるあなたは素敵な親であると思います。

  4. 元雑用係 より:

    この場合は旦那が一般的成人男性に期待される社会的成熟度に達していないという事実を、奥さんや家族が受け入れて対策し一件落着、となったようですね。

    いやーしかし、これを機会に旦那自身も未成熟な部分があることを自覚してもらった方が、将来的にも対外的にもベターだったんじゃないのとも思います。
    ま、よそ様のご家庭のことですけどね。
    マジレスでした。w

  5. 詭弁学園 より:

    ふと、炎上した牛角の女性半額キャンペーンを思い出しました

  6. 雪だんご より:

    状況をもっと詳しく知らないと結論は出せませんね。

    男性は元から大食いで、妻はダイエットして欲しかったのかも知れない。
    大皿ではなく個別の皿に分けると男性がキレて暴れ出すのかも知れない。
    コミュニケーションを取りたくても何らかの理由で不可能かも知れない。

    実在するかどうかも不明なとある一家の夕食光景ですから、
    これ以上のデータを得る事は多分不可能でしょうが……

  7. foo より:

    個人的には、この物語に登場する夫婦がどの様な家庭環境で育ったのか、に考えが及んでします。
    大家族の中で育ったのか、一人っ子であったのか、兄弟姉妹が多い中で育ったのか、或は、
    比較的に裕福な家庭で育ったのか、はたまた、比較的に裕福ではない家庭で育ったのか。
    状況は様々。

    実体験として残っているのは、自分の親も友人の親も「昭和」の親はいつも子供が先でした。
    子供が満足そうな顔をしているのを見て、ニコニコしている。
    おなかいっぱいになったか? と。
    平成、令和の親が如何であるかは知りません。

    しかし、今は20世紀の「昭和」ではなく、21世紀の「令和」でありますから、考え方が違って当然でありましょう。夫婦関係は契約だとすることもあるようですから、話し合いによる取り決めが最善の解決策になるのではないかと思います。
    極論かもしれませんが、「昭和」では夫婦別姓などといった声を聞いた記憶はありませんが、「令和」になってからは夫婦で別性を名乗れないのは大問題だと、なりました。
    便利、不便程度の事で大問題になり、且つ、家族制度が崩壊する中にあるのですから、それを考えますと、ある種の契約書、ホワイトリスト、ブラックリストのようなものに基づく行動をすれば解決されるのではないかと思います。

  8. CRUSH より:

    団体生活をしたことない奴、というだけに思いますねえ。

    家族団欒でも、全員が揃っていただきます唱和してから食べ始めるとか直箸しないとか残さず食べるとかは、団体生活の初歩教育かと思います。

    こんなもん、親戚と数十人で揃って飯を食うとか、学生寮や独身寮で他人とごちゃ混ぜでワイワイ飯を食うとか、接待やその練習としての社内懇親会なんかを体験顔してたら、その場その場で「掟」が自然発生してコンフリクトを経て、落ちつくところに落ちつくもんだと思ってましたが、はて。

    こういうお父さんのいる食卓だと、家族みんなが各々スマホを見ながら黙々と食事するようになりやしないか、心配ですわ。

    テクニカルに言えば、個皿に分けてサーブするとか、あと40個を在庫しておくとか、問題を回避解決する手法はあるかと思いますが、このお父さんの考え方を変えてもらうのが一番安上がりですね。

  9. 攻撃型原潜 より:

    >夫「10個ずつも変じゃない?大人なんだから俺が一番いっぱい食うに決まってんじゃん」

    「人口が1桁多いのに平等って変じゃない? 我が国は世界一人口が多い(最近2位になったが)ので、世界中の領土と資源を一番占有してよいのにきまってるじゃん」と言いいながら、魚でも何でも根こそぎ採り尽くすどこかの国を連想しました。

  10. 転勤族 より:

    男性の食べた餃子30個(750g 餃子1個25gとして計算)は体格の良い男性であれば違和感ないレベルだと思います。
    奥さま・子どもの餃子3・4個(75g~100g)は、餃子メインなら少ないです。

    男性は自分の食欲を満たすことだけに意識があり、配偶者・子ども(の食欲)に対する配慮がなされていないと見えます。
    社会性が欠如しているこの男性は生きづらいだろうな。

  11. 匿名 より:

    急にこれ系のマンガが増えましたよね。依頼されて描いてるのだと思いますがどれもまったく同じ展開でようするに男が悪いと言いたいだけのもの。働く苦労も知らない、責任を持たない者の妄想に感じます。

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