健全な流通網の観点からも「転売ヤー」の規制は必要だ
昨日も当ウェブサイトで紹介した「転売ヤー」を巡っては、冷静に考えると、過去に当ウェブサイトで何度か取り上げたことがあることに気付きます。「令和のコメ不足」や「コロナ禍のマスク不足」騒動が、それです。そして、現代の日本の物流網は、私たちが思っているよりも脆弱(ぜいじゃく)かもしれません。転売ヤーは経済的には「正常に機能している流通網を混乱させて利益を得る者」と定義できますが、こうした行為に対する規制は必要ではないでしょうか。
転売ヤー問題とコメ不足
いわゆる「転売ヤー(てんばいやー)」と呼ばれる人種が話題となることが増えています。
これについては昨日の『転売ヤーの存在は「文化の問題」ではなく「経済問題」』で、転売行為に肯定的な記事を題材にしつつも、転売の何が良くないのかについての議論を展開してみました。
ただ、同記事を掲載したあと、よく冷静になって思い出してみると、当ウェブサイトで「転売行為」について触れたのは、これが初めてではないことに気付きました。
たとえば昨年9月頃に当ウェブサイトでもずいぶんと触れた話題のひとつが「令和のコメ不足」です(たとえば『自民党総裁選が始まれば「令和のコメ不足」は解決する』等参照)。
これについては当ウェブサイトでも提示したとおり、著者自身、少なくとも令和のコメ不足の原因は「本当に日本で食料が足りなくなっている」というものではなく、単純にテレビなど影響力の大きなメディアがコメ不足を繰り返し話題に取り上げたためだと考えています。
実際、例年だと需要が低下するはずの夏場、全国的にコメのPOS販売データが異常値に膨らみ、メディアが自民党総裁選の話題を取り上げ始めたあたりから、コメの販売量が例年と比べて逆に大きく低下するという動きを見せたことも、こうした仮説を裏付けていると考えられます。
コメ不足だけではなくコロナ禍のときにはマスク不足も!
しかし、現実においてコメ不足は全国的に発生したわけであり、しかも当時、eコマースサイトなどでは高額でのコメの販売が横行していたわけですので、いわゆる「情報弱者層」、あるいは「テレビ層」と呼ばれる人たちだけでなく、「転売ヤー」などもコメの買い占めに加担していた可能性はありそうです。
といっても、社会の話題が自民党総裁選に移り、テレビがコメ不足を取り上げなくなったこと、新米の流通が始まったことなどを受け、コメ不足はあっという間に解消してしまいました。これらの「転売ヤー」の皆さんのなかには、もしかしたらコメ在庫を抱え込んで立ち往生していたケースもあるのかもしれませんね。
実例がもうひとつあるとすれば、マスクでしょうか。
2020年2月から3月頃にかけ、全世界的に新型コロナウイルス感染症(武漢肺炎)が拡大しつつあったなかで、わが国ではマスク不足が全国的に生じたのです。
当時はマスク50枚数千円、といった具合に、破格の転売行為が横行していたのですが、これについては最終的には故・安倍晋三総理大臣が音頭を取ったマスクの無料配布(いわゆる「アベノマスク」)により、一気に収束してしまいました。
アベノマスクを巡っては諸々の批判があったことも事実ですが、物流面から客観的な事実を積み上げていくと、安倍総理の「アベノマスク」がマスク不足騒動を一気に鎮静化させたことは間違いなく、高額のマスク転売者らは在庫の投げ売りを余儀なくされたようです。
ただ、これらのコメ不足、マスク不足などの騒動で見るに、やはり、現代社会の流通網というものは、高度に見えて、あんがい脆弱(ぜいじゃく)なのではないかと思います。
転売ヤーの本質は?
これについて、Xなどではいわゆる「転売ヤー」を巡って、こんな趣旨の指摘がありました。
「『転売ヤー』は、たとえば『海外などで流通していて日本では手に入り辛いものを日本に持ってきている』というわけではなく、日本国内の流通網のなかで正常に流通しているものを不当に買い占めて値段を釣り上げ、不当な利得を得ようとしている者たちだ」。
個人的には、この説明が最もストンと腑に落ちます。
あるいは、もう少しわかりやすくイメージ的すれば、こんな具合でしょうか。
「国や地方公共団体が税金を使って整備した道路に勝手に検問所を作り、通行料を徴収している者たち」。
そして、これをもう少し経済学的に定義すれば、こんな具合だと思います。
「転売ヤーは経済的には「正常に機能している流通網を混乱させて利益を得る者」。
このあたり、昨日紹介した『Yahoo!ニュース』の記事では、「転売ヤー」を巡って、こんな記述が出ていたのを思い出します。
「モノを安く仕入れて、高く売る。これはビジネスの基本だ。<中略>転売は、小売店から新品を仕入れて販売する。<中略>犯罪ではない」。
「犯罪ではない」というのは、単純に「現在の法律では取り締まることができない」というだけの意味であって、その行為が経済社会全体に対し、何らかの問題を与えていない、という意味ではありません。
この点、たしかに転売行為と通常の商行為の線引きは難しいところがありますし、ある行為を犯罪として取り締まるためには、「こういうことをやれば犯罪になりますよ」、と、その要件を法律に書き込まなければならないため、転売行為を将来、犯罪として取り締まるためには課題があることも事実でしょう。
しかし、転売行為については本当にその製品・サービスを欲しがっている人に対し、正当な価格でそれらを手に入れることを妨げる(経済活動の妨害)という特徴もありますし、なにより、流通を機能不全に陥らせ、社会的なコストを高めるという面があることも否定できません。
その意味では、やはり何らかの転売規制に関する立法措置が必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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転売ヤーの利益を削ぐことで、転売ヤーの減少を促進する方針案を考えました。
利益を減少させるには、一律で転売者を認可制にして税金を掛ける方法があると思います。
新たな税金追加として財務省に取り組ませると、意気揚々と法整備が進むかもしれません。
誤用かもしれませんが…「毒を以て毒を制す!」
何をもって正常な流通とするかは、生産者が流通に関係しているかどうか、かも知れません。メーカー絶版のヴィンテージなら発掘して売ると言う手もあるでしょうが、メーカーが生産して卸売り小売りを通して販売している最中にそのフローに横入りするのは流通阻害ではないかと思います。
まー終局『国税庁』が“転売者”の所得把握出来る様に「個人間の商取引」も双方「個人特定出来る」仕組み造りに落ち着くンぢゃナイすかネ?
知らんけど
つらつら考えてみましたが、
「機会費用」
「合理的期待」
などがエッセンスなので、テンバイヤ対策は自由市場の根幹と対立するのですよね。
端的に言えば、需給ギャップが供給過多ならテンバイヤなんか息をしてませんから。
供給過小需要過多(あるいは安過ぎる)なのですよ。
こういうのをうまいことさばいてる実例は、会員制のバーくらいですかね。
暇なときとか、おとなしそうな人なら、店長判断で入店OK。
常連で忙しいときとか、ブログに書きそうな観光客なら、会員制を口実に入店お断り。
「不公平」
こそが公平な分配をもたらすということ?
左翼の教条主義者は怒りだしそう。(笑)