年間訪日客はすでに過去最多…そろそろ入国税の議論を

2024年11月の訪日外国人が318.7万人と、単月としては過去3番目に多い数字となりました。また、年間を通じた訪日外国人は現時点ですでに33,379,892人と、これまで最多だった2019年の31,882,049人を抜いています。観光客が増えるのは良いことかもしれませんが、ただ、それと同時にオーバーツーリズムの弊害にも目を向ける必要があります。増税が大好きなはずの財務省がなぜ入国税を言い出さないのかは謎ですが…。

訪日外国人、現時点ですでに史上最多

年間を通した訪日外国人が過去最多を更新したようです。

日本政府観光局(JNTO)が18日に発表した『訪日外客統計』の速報によると、2024年11月に日本を訪れた外国人は3,187,000人(※速報ベース)で、単月としては今年10月の3,312,000人、7月の3,292,602人に続き、過去3番目の多さでした。

また、今年1月から11月までの累計の訪日外国人は33,379,892人で、これまで最多だった2019年の31,882,049人を抜き、現時点ですでに史上最高を更新しています。

図表1は、今年1月から11月までの累計の訪日外国人を国別に集計したものです。

図表1 訪日外国人・国籍別内訳(2024年1月~11月)
人数構成割合
1位:韓国7,950,31523.82%
2位:中国6,376,89119.10%
3位:台湾5,553,19016.64%
4位:米国2,486,1467.45%
5位:香港2,397,8497.18%
6位:タイ1,002,1933.00%
7位:豪州807,7732.42%
8位:フィリピン710,1222.13%
9位:ベトナム581,1181.74%
10位:シンガポール554,9561.66%
その他4,959,33914.86%
総数33,379,892100.00%

(【出所】JNTOデータをもとに作成)

月次でグラフ化すると…300万人超えの月が多い

訪日客の出身国トップは韓国で、全体の4分の1弱を占めています。また、2019年では訪日外国人出身国の3割を占めていた中国の割合は下がったものの、それでも19.1%と2割弱を占めていて、これに台湾、米国、香港が続いています。

また、訪日外国人の月次推移をグラフ化しておくと、図表2のとおり、今年に関しては300万人を超える月が非常に多いことがわかります。

図表2 日本を訪問した外国人合計

(【出所】JNTOデータをもとに作成)

過去最多だったコロナ前の2019年と比べると、1月を除き、すべての月で2024年の訪日者数が2019年を上回っており、また、1月、2月、8月、9月を除いてすべての月で300万人を越えていることがわかります。

政府が掲げて来た「訪日外国人4000万人時代」もいよいよ到来、といったところでしょうか。

そして、多くの外国人が日本にやってくることで、経済効果が期待でき、地域活性化につながるとともに、世界中に日本のファンができることは、間違いなく日本の国益にプラスの効果を与えるといえるでしょう。

富士山コンビニ問題で思い出すオーバーツーリズム

ただし、それと同時に、観光客の「数」を追求する政策が行き詰まりを迎えつつあることもまた事実です。

各地でオーバーツーリズムの弊害が生じ、一部地域だとそこに暮らす人々の生活が脅かされる事例が生じているからです。

たとえば、山梨県で「富士山がコンビニエンスストアの上に乗っかっているかのように見える地点」が観光スポット化し、交通安全や騒音、ゴミなどの問題が生じている、などとする話題については、以前の『富士山黒幕問題と本質見失う批判』などでも取り上げましたが、これと似たような問題が各所で生じている可能性があります。

そもそも「コンビニに富士山が乗っかっている図」が見える場所は交通量の多い道路でもあり、外国人観光客らが狭い歩道に溢れ返り、一部には車道で写真を撮ったりするなど、地元民にも大変な迷惑が生じています。

また、そのスポットの近くにある医院では、私有地にもかかわらず多くの観光客が無断で入り込み、なかにはゴミをまき散らしていくケースもあるとされています。

ちなみに「富士山コンビニスポット」については、一部の自称有識者がそのようなスポットがあるならば有料の観光地化すればよいのに」、などと主張していたようですが、これもナンセンスです。「富士山コンビニ」は、そのような景色ができることを狙って建設されたものではないからです。

そして、もしも観光地化するならば、「誰が」「どうやって」その場所を観光地化するかを考えなければなりませんし、それが事業である以上、事業リスクを誰かが負わねばなりません。

その「誰か」とは、コンビニのオーナーでしょうか?地元の医院でしょうか?地元自治体でしょうか?

行政コストの負担の適正化が必要…入国税の検討を!

それよりも、地元自治体が選んだのは黒幕で目隠しをすることだったのですが(※最近はその黒幕も台風直前に撤去され、そのままになっているとの情報もあります)、観光客が押し寄せる経済効果は否定できないにせよ、やはり秩序維持に多大なコストを投じる必要があることは間違いありません。

こうした観光客の大量入国に伴う行政コスト負担の観点からは、やはり現在の出国税(2歳以上の出国で一人当たり一律1,000円)を廃止し、日本人と永住者以外の入国者に対し、数万円レベルの入国税を課すことが必要ではないでしょうか。

増税が大好きで「年収の壁」引き上げに全力で抵抗している財務省が、こうした「入国税」構想に後ろ向きなのは、何とも不思議な話だと思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. Masuo より:

    税収を増やしたい財務省様も、さすがに中国様、韓国様から頂くわけにはいかないんじゃないですかね。中国様、韓国様には配るだけだと思いますよ。シランケド

  2. 匿名 より:

    富士山コンビニは半ば諦めたみたいですね。道路の危険横断を防ぐガードレールを設置したようですが、すぐに跨げるようなものなので効果は薄いとのこと。
    こうやって少しずつ国民の方が「諦める」のを待っているんですかね、官僚さん。

    1. どみそ より:

      ローソンと富士山が「絵になる」から 旅行者が群がるのです。ローソンの屋根、建物をけばけばしい色、場を壊す看板を設置すれば わざわざ写真撮ろうと思う人はいなくなります。
      迷惑かけられてる 歯医者さんの看板をローソン屋上に設置させてあげたらよいのでしょう。
      世界に見られているあの建物の 広告価値は絶大ですよ。

  3. DEEPBLUE より:

    大蔵省には韓国にルーツの人が多いと大蔵省出身で帰化して国会議員になった人が昔暴露していましたなあ。

  4. どみそ より:

    外国人観光客が 国内で消費する物品の購入まで、
    消費税免税を与えるのは いかがなものでしょうか。
    免税は 国外持ち出し分のみに徹底していただきたいものです。

  5. カズ より:

    取材記者:「新設の国税」の呼称は?
    財務官僚:入国税(NEW国税)!
    ・・。

    m(_ _)m

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