「韓国凄い」論の勘違い指摘…鈴置論考で読む日本社会
鈴置高史氏が「韓国観察者」と名乗っていることはよく知られていますが、じつは鈴置論考の正体は「韓国観察」ではなく、「韓国という鏡に映った日本を観察しているだけではないか」、という点については、指摘しておく価値はあります。鈴置氏が12日付で公表した論考を読んでいると、韓国を議論しているとみせかけて、じつは日本を議論しているフシがあるからです。端的にいえば、大変有益な記事です。
韓国戒厳令を中継しなった日本のメディア
12月３日深夜、韓国で尹錫悦（いん・しゃくえつ）大統領が戒厳令を発し、６時間も経たないうちにそれを撤回するという椿事が発生したのですが、それ以上に個人的に衝撃だったことがもちろん、日本のメディアがこの問題に関し、ろくに解説すらできていなかったことです。
『韓国で戒厳令→すぐ撤回の騒動…日本のテレビはスルー』等でも取り上げましたが、英ＢＢＣなどがリアルタイムで韓国の戒厳令について中継したなかで、隣国である日本では、「公共放送」を自称するＮＨＫを含め、ほとんどのメディアがこの話題をリアルタイムで中継しなかったのです。
ただ、だからといって正直、あまり困りません。私たちはネット上で優れた論考を読むことができるからです。
韓国といえば、「韓国観察者」を名乗る鈴置高史氏が、ひとつの権威のようなものですが、『数字で見て日本にとり韓国との関係は本当に大切なのか』の冒頭でも見たとおり、その鈴置氏は戒厳令の直後に、さっそく、速報としてはかなり詳細な解説を公開しています
（ただ、著者としては鈴置氏が「韓国観察者」と名乗っているわりには、「韓国という鏡に映った日本を観察している人物」だと考えているのですが、この点については後述します。）
鈴置氏のタイムリーな論考
さて、今朝の『「税の取られ過ぎ」に気付いた国民がＳＮＳを手にした』では、冒頭、こう申し上げました。
「わが国は成熟した民主主義国であり、土台の民主主義自体は非常に健全です。何かあれば戒厳令を乱発したり、ろうそく片手に自分たちで選んだ大統領を辞めさせたりする国とは違うのです。」
成熟した民主主義国である私たち日本国の隣に、「民主主義」を装うわりには、戒厳令が出たり、市民がろうそく片手に大統領府前に集まったりする国―――。
このくだりでピンときた方は、鋭いと思います。
当ウェブサイトではしばしば鈴置論考を取り上げて来たのですが、その鈴置氏が12日、ウェブ評論サイト『デイリー新潮』にこんな記事を寄稿しています。
戒厳令が宣布されても「韓国すごい」「米国人や日本人より民度が高い」と誇る韓国人
韓国メディアが民度の高さを自賛する。尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領が宣布した戒厳令の下、市民が軍や警察に勇敢に立ち向かって解除させたから、というのだ。韓国観察者の鈴置高史氏はそんな報道に絶望的な劣等感を嗅ぎとる<<…続きを読む>>
―――2024年12月12日付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より
またしても、なんともタイムリーです。そして、大変に有益です。
記事表題だけでも何となく想像がつきますが、要するに、韓国内外で「韓国の民主主義は凄い」とする言説が流れており、それをひとつずつ丁寧に論破していくという、なかなかに意地悪な（笑）趣向の記事です。
じつは日本は戦前から５大国の一角を占めていた
鈴置論考で触れられている具体的な記事について、本稿ですべてを紹介することは控えますが（まさにこの丁寧さこそが鈴置論考の醍醐味です）、読んでいただければわかるとおり、「保守紙」、「左派紙」を問わず、「韓国の民主主義は凄い」という自画自賛の事例がこれでもかと出てきます。
「東アジアで最も民主主義模範国家と言われていた韓国」、なんて表現が出て来たときには、まったく、頭が痛くなります。
こうした「韓国凄いぞ」論の背景にあるのは、端的にいえば「先進国渇望症」のようなものですが、その正体については、リンク先の鈴置論考でかなりネチネチと触れられていますので、どうぞじっくりとお読みください。
ただ、先ほど「鈴置氏は韓国を観察しているというよりも、韓国という『鏡』に映った日本を論じている」という趣旨のことを指摘しましたが、このことがよくわかるのが、こんな趣旨の記述ではないでしょうか。
- 敗戦で自信を失った日本人も、経済復興するうちに取り戻したが、韓国人ほど有頂天にならなかった
- 戦前から「世界の５大国」の一角を占めていたので「元に戻った」に過ぎなかったからだ
- それに、いい気になって米国との戦争に突入し、墓穴を掘ったとの苦い共通認識もあった
この指摘には、ハッと気づかされます。
鈴置氏がこのように述べるのは、「韓国が千年以上にわたり、中国か日本の属国という地味な国だった」とする記述と対照させるためですが、この「日本は戦前からすでに世界の５大国の一角を占めていた」とする指摘は大変に重要です。
そして、韓国が「法律を軽んじる国である」、「民主主義は未成熟である」とする指摘の中ででてくる「日本との対比」こそが、まさに鈴置論考の正体が「韓国観察」ではなく「日本観察」であるという証拠ではないでしょうか。
日本のメディアの問題に切り込む鈴置氏
ただ、それ以上に取り上げておきたいのが、『そろそろ韓国の本質を見抜け』の節にある、こんな趣旨の指摘です。
- 多くの日本人が「韓国は日本と同じと思っている」のは、日本のメディアが表面しか報じないからだ
- たとえば朝日新聞の12月５日の社説では「民主的選挙による政権交代を繰り返し、成熟した民主主義国家となった」と韓国を評している
- 年に３回も指揮権を発動し、挙句の果ては戒厳令まで宣布する国を「成熟した民主主義国家」とは、どこを見て書いているのか
…。
なかなかに、衝撃的です。
鈴置氏の言を借りるならば、じつは日本のメディアこそ、「韓国凄いぞ」論の「共犯者」だったのかもしれません。
鈴置氏の韓国観察が、「オールドメディアの『ふてほど』（※）」という日本社会の問題につながるというのは、なかなかに興味深い現象でしょう。
（※ちなみに『「情報支配力を喪失したテレビ」が流行語大賞で可視化』でも取り上げたとおり、「ふてほど」とは「不適切報道」を意味する用語だそうです。どうでも良い話ですが。）
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』（https://t.co/PKOiMb9a7T）。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
  | 自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で９冊目の出版をしました
 | 日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
日本のメディアはすでに韓国人に乗っ取られたと思えば 全てが理解できる。
民主主義の成立する要件として、真っ当な判断の出来る国民の数が一定の割合でいることが必要ということが分かったように思えます。
それは偽善や欺瞞、ダブルスタンダードを許さない価値観だったり、経済的に困窮してヤケクソの人たちが沢山いないことが必要になります。
今回の弾劾活動を見るに、幕末のええじゃないか運動っぽいなと思いました。大政奉還後はぴたりと止んだそうです。世直しというか煽てればどこまでも木に昇るなんと工作冥利に尽きる国民でしょう。
日本のオールドメディアは政府批判、日本批判。そのために中国、韓国、その他を使っている。
中国大躍進、それにくらべて日本はなんだ、
韓国すごい、もうすぐ日本を抜くぞ、それにくらべて日本の停滞ぶりはなんだ。
世界の車の趨勢はEVだ、それにくらべてトヨタは周回遅れだ。
インターネット出現前なら釈然としないながら「そんなもんなのか」と思ったろうが、今は違う。あっという間に反論が出てくる。しかもエビデンス付きで。
要するにオールドメディアは舞台の上で50年前のダンスを踊って嗤われている人たちなのだ。
韓国は英語教育やデジタルでは、日本を凌駕してますが、儒教に染まっている影響で、表面的には
中国のコピー的存在。仏教を棄てた国としても中国に似ている。先進国になるには、儒教の影響を
完全に排除するしかない。１４万８千光年かかるかも。
I WISH S.KOREA GOOD LUCK.
ニューズでは戒厳令が出された後の12月３日深夜に即反対派の市民が国会前に集まり、銃口を掴み兵士に食って掛かる女性の映像等が流されました。事前に情報が漏れていたかもしれませんが深夜にも関わらず何でそんなに早く集合できたの？、いくら興奮していとはいえ普通の人間が銃口を素手で掴めるのか？ と、不思議でいっぱいでした。
やっぱり「プロ市民」だったのですね。あれを以て市民が戒厳令を阻止した民主主義の勝利などと唱えそうな人がいるかも。
因みに、女性は兵士が向けた銃口を掴んで自分の胸から逸らすのは良いけれど、横に振って同志の方に向けていましたね。 「危ねー、上に向けて逸らしなよ。 こういう英雄的な人と一緒に行動すると自分が怪我しそう」と思ってしまいました。関係ないけど。
再掲です。
BSフジプライムニュースで鈴置さん眞田さんペアが月曜日に出演されていました。リアルのは見損ねましたが、ウェブで30分版2回分割で視聴できます。
鈴置さん眞田さんの２人のみのペア。ホントに久しぶりです。
デイリー新潮記事と合わせてご覧下さいませ。
やはり地政学的リスクのある場所では国をつくりずらいある意味では韓国は大正デモクラシーの段階を過ぎてその反動と戦っている最中なのだろう
>>戒厳令が宣布されても「韓国すごい」「米国人や日本人より民度が高い」と誇る韓国人
何て言えばいいのかな。
暴走した挙句にギリギリで交通事故を回避して「私は運転が上手い」と誇っているように思えます。
本当に運転が上手い人は「そもそもそんな事態に陥らない」のですけれど。
そもそも、日本のマスコミに御就職される方、あるいはよく出演する方は、その辺の国民より民主主義を理解していないのではないでしょうか？
だって、法律を平気で無視（放送法違反、不法侵入など）しますし。
自己評価が高すぎる韓国（人）
自己評価が低すぎる日本（人）
これは美徳の違い？ それとも教育界やメディアの影響？