電動キックボード大手社長が厳罰化必要性指摘するが…
電動キックボードなどの危険な運転が問題となっているなかで、大手シェアリング事業者の社長は時事通信に対し、「一部の利用者が何度も違反を繰り返している」としたうえで、厳罰化の必要性などを指摘したうえで、「違反を繰り返しているのは本当に一部」、「(違反は)撲滅できる」と述べたそうです。甘すぎます。そもそも免許なしで乗れてしまうという、現行の規制上の在り方に問題があるからです。
目次
電動キックボードやモペッドなどが交通安全の脅威に!
当ウェブサイトではしばしば指摘してきたとおり、最近、東京などの歩道が危険な空間に変容しつつあります。
その大きな犯人のひとつが、電動キックボードや「モペッド」などと呼ばれる、新たな移動手段です。
さまざまな技術が発展し、電動の便利な乗り物が出現することは悪い話ではありませんが、ただ、それと同時にそれらの新たな乗り物が人々の交通安全の阻害要因になっては困ります。
以前の『発生が相次ぐ電動キックボードの「違法(疑い)事例」』などでも整理しましたが、自転車やキックボードなどをざっと分類すると、こんな具合です。
自転車
道路交通法上は「軽車両」の扱い。免許なしで走行可能、ヘルメット着用は「努力義務」。基本的には車道走行義務があるが(1)普通自転車通行可能標識がある場合(2)車道を安全に走行することができない場合(3)運転者が①13歳未満、②70歳以上、③障害者―――などの場合は歩道の走行可能
電動アシスト付き自転車
いわゆるバッテリー付きの自転車。時速24㎞以上になるとアシスト機能が働かなくなるなどの厳格な要件を満たしているものについては、道路交通法上は免許なしで走行することが可能となるなど、自転車とまったく同じく軽車両の扱い
電動キックボード(最高時速6㎞までの場合)
時速6㎞以下でしか走行できない場合、「特例特定小型原動機付自転車」に該当し、16歳以上であれば運転免許不要で運転できるほか、「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識が設置されている場合には歩道走行が可能(標識がない場合に歩道走行はできない)
電動キックボード(最高時速20㎞までの場合)
時速20㎞でしか走行できない場合、「特定小型原動機付自転車」に該当し、16歳以上であれば運転免許不要で運転可能。ただし、20㎞モードで歩道を走行することはできない
モペッド(ペダル付き原動機付自転車)
バッテリー付き自転車のうち、電動アシスト自転車の要件を満たさないもの。時速20㎞までしか出せなければ「電動キックボード」に準じて「特定小型原付自転車」に該当することもあるが、市販されているモペッドの多くはこの基準を満たさず、道路交通法上は「原動機付自転車」(俗にいう「原チャリ」)となる
電動キックボードに免許は不要:道路交通知識がない運転者が横行
上記を一覧にしておくと、こんな具合です。
図表 電動モビリティ等・まとめ
区分 | 法的な扱い | 免許の要否 |
自転車 | 軽車両(自転車) | 不要 |
電動アシスト自転車 | 軽車両(自転車) | 不要 |
電動キックボード(6㎞) | 特例特定小型原動機付自転車 | 不要 |
電動キックボード(20㎞) | 特定小型原動機付自転車 | 不要 |
20㎞以上で走れるモペッド | 原動機付自転車 | 要 |
(【出所】法令等を参考に作成)
東京の街を歩いていると、最近、これらのモビリティが猛スピードで、歩道上の歩行者を縫うように走っていたり、車道の左車線を逆走していたり、信号を無視して突っ切っていったり、スマホを眺めながら運転していたり、酷い場合は大人同士が2人乗りをしていたり、と、まさに無法地帯の様相を呈しています。
当たり前でしょう。
運転免許証なしに乗れてしまうわけですから、運転免許証を持っていない(≒道路交通法規に通じていない)者たちが大挙してこれらのモビリティを使用している可能性があるからです。
とある生活道路の危険な交通事情
ちなみに以前の『自転車「ながらスマホ」等罰則強化で歩行者の安全は?』でも指摘したとおり、11月以降、「ながらスマホ」運転に対しては厳しい罰則が科せられるとされており、これについては取り締まりの強化を期待したいところです。
ただ、明らかな違法行為(とくに電動キックボードやモペッドの危険運転)については取締が追いついておらず、私たち歩行者は日々、危険と隣り合わせで生きている状況にあります。
とくに著者自身の事情で申し上げるならば、近所に大変危険な道路があります。
この道路、全長はせいぜい30メートルくらいの短い道路ですが、都内有数の幹線道路と地元民が集う複合商業施設(スーパー、クリニック、保育園、公園、学童、タワマンなどが集積している施設)を結んでおり、歩行者が大変に多く、ここに自動車や自転車などが殺到するのです。
周辺施設の特徴もあり、歩行者のなかには高齢者や乳幼児、あるいはひとりで登下校する小学生なども多く、安全をちゃんと確認せずに割り込んでくる電動キックボード、モペッドなどがこれらの交通弱者に接触しそうになっているのを見ると、やはり不安になってしまいます。
さらには、歩行者が幹線道路を渡るための信号の時間が短いなどの事情もあり、歩行者用信号が青になったとたんに多くの歩行者が渡り始めようとするのですが、すでに信号が変わっているにもかかわらず交差点に高速度で進入する車両も多いのが実情です。
該当する商業施設が完成してからこのかた10年以上が経過しますが、著者自身が知るだけでも自動車と自転車の接触事故を含め、年間コンスタントに数件の交通事故が発生しているのですが、最近では自転車、モペッド、キックボードなどが、接触事故などの交通事故の加害者となるケースが増えているのです。
該当する地点については申し上げませんが、都内など都市圏にお住いの皆さまも、おそらくは近所に似たようなスポットがある、という方は多いのではないでしょうか。
シェアリング大手社長が「厳罰化」求めるが…
こうしたなかで、ひとつ取り上げておきたい話題があります。
電動ボード、検挙高止まり Luup社長「一部利用者が何度も」 悪質違反には厳罰化の意向
―――2024/12/03 13:32付 Yahoo!ニュースより【時事通信配信】
時事通信は3日、電動キックボードを巡る「交通違反検挙件数が高止まりしている」、「危険性を指摘する声が後を絶たない」とする趣旨の記事を配信しました。
私たち一般人がすでに肌感覚で知っている話を、ついにメディアも取り上げるようになった、ということでしょうか。
ただ、記事の中で驚くのは、大手シェアリング事業者の社長の発言です。
この社長は「一部の利用者が何度も違反を繰り返している」としたうえで、悪質利用者に対する厳罰化などの対策を取ることで違反を減らせる、との見方を示したのだそうです。
そもそも、この業者が「何度も違反を繰り返している一部の利用者」とやらを特定しているのなら、その者たちに対する電動キックボードなどの貸出を止めれば済む話ではないでしょうか。
なんとも不可解です。
ちなみに時事通信によると、電動キックボードに関する規制緩和が行われた昨年7月から1年間で、検挙件数は25,156件にのぼり、うち55%は歩道を走行するなどの「通行区分違反」だった、などとしていますが、これは先ほど示した「歩道を走行するための条件」が周知徹底されていない証拠でしょう。
ちなみにくだんの社長は時事通信に対し、「違反を繰り返しているのは本当に一部なので、撲滅できる」と話したそうですが、現に危険な電動キックボードが野放しとなっているわけですから、「撲滅できる」、ではなく、「撲滅します」と宣言するのが先です。
いや、もう少し踏み込んでいえば、少なくとも電動キックボードに関しては、やはり運転免許の取得を義務付けるべきではないでしょうか。
正直、電動キックボード以外にも、自転車の危険運転(逆走や信号無視)、違法なモペッドの横行、横断歩道の手前で一時停止しない自動車の存在など、現在の道路交通の安全を阻害する要因は多々あるのですが、まずは電動キックボード自体をどうにかすることが必要です。
現在の政権がいつまで続くのかはわかりませんが、少なくとも一般人の安全はおろそかにして良いものではない、という点については、いくら強調してもし過ぎではない、と思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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車両区分のようなものがあるのであれば、それに則した管理も必要であると思います。
たとえば、販売された電動キックボードの車体に不具合があり度々事故が発生した、といった
電動キックボードそれ自体に問題が生じた場合はどうするのか。自動車ではリコールで
修理が可能ですが、電動キックボードの扱いはどうなるのかがわかりません。
条件が整っていないように感じています。
いつも楽しみに拝読しております。
人混みの狭い地元駅前商店街で、子供やお年寄りの傍を凄い勢いで駆け抜ける電動キックボードにはいつもハラハラしています。運転者はノーヘル、一方通行の逆走、信号や一旦停止の無視などまさに無法地帯の様相です。特に最近このLuupは、ナンバープレート付の電動キックボードで、駅前のメガバンクや公共施設の空きスペースなど良い場所にやたらと進出しています。
Luup社のHPを見ると、役員にはJALの元社長や元警視総監などが名を連ねています。車両区分の設定や駅前の好立地の確保など、何かしら政治的なバックがあって優遇されているような気がしてなりません。
電動キックボードはいつも飛ばす人が居てあれは規制しなければと思いますが、電動アシスト自転車は坂道でしか電動アシスト機能が使えなくて、車道を走るときは重すぎて(車体の重さは30kgはある)スピードなんて出せないですよ。
車道ではいつもロードバイクに抜かされます。
私も両方持っていますが電動キックボードは電動アシスト自転車より軽いので飛ばしたくなるので、これは法律で規制した方が良いです。