宅配業者はタワマン向け宅配で「時間チャージ」検討を
タワマン問題を巡って、日経ビジネスが5日、非常に興味深い問題提起を行っています。タワマンへの荷物の配送が、配送業者にとっては大変大きな問題になっているというのです。なんでもタワマンへの配達では、配達員は住民とは異なる入り口を通り、警備室で受け付けをするなどの必要があるほか、業者専用のエレベーターを使用しなければならないなど、長い待ち時間が発生するのだそうです。これ、宅配業者側が「荷物の受取人が特定タワマンだと荷物1個当たり500円をチャージする」などの仕組みを導入しても良いかもしれません。
目次
都心のマンション価格は高止まり
先日の『日銀利上げ後も意外と底堅い首都圏中古マンション市況』でも取り上げましたが、とりわけここ2~3年、首都圏の中古マンション価格が急騰しており、たとえば東京都内などで子育てをする世帯にとっては、なかなかに大変です。
著者自身の感覚で恐縮ですが、たとえば夫婦プラスお子様2人、合計4人の家族だったとすれば、理想をいえば70平米前後の面積が必要です。
しかし、2024年9月のデータでは、東京都内のマンションの平米単価は104.64万円であり、70平米の物件を購入したければ、平均して7000万円以上を支払わなければならなフわけであり、これはなかなかにハードルが高い話です。
もちろん、同じ都内でも地域を選べばもう少し安く買えるかもしれませんし、「首都圏ならばとりあえずどこでも良い」という人であれば、埼玉県、千葉県、神奈川県など東京都の周辺地域を選んでも良いのかもしれませんが、それでも通勤時間が短い方が良いという人は、どうしても都心物件に住みたいのではないでしょうか。
ファミリータイプの供給がほとんどない→タワマンが増える理由
こうしたなかで、著者自身はじつはもう12年以上、「首都圏の物件マニア」を続けていたりするわけですが(笑)、首都圏の物件にもうひとつの問題があるとしたら、「物件自体が供給されていない」という問題でしょう。
たとえば東京都内の都心にも近い某地区の場合だと、供給されている物件はワンルームマンションが中心であり、面積で見ても平均20平米前後(狭いケースだと15平米以下)、広くても30~40平米程度という物件が多く、この地区で70平米以上の物件となると、供給自体がない、というケースが多いのです。
このため、東京都心部でありながら、小学校は1学年1クラス、といった事態が普通に発生し得ます。
なにせ、家族連れが住める物件がほとんどないのですから。
こうしたなか、東京都内、大阪市内などの都心部で最近、ニョキニョキと増殖している物体があります。
そう、「タワーマンション」です。
タワーマンション、あるいは略して「タワマン」には法的な定義はないようですが、一般にメディアや不動産情報サイトなどで「タワマン」と呼ぶときは、地上20階建て以上の高層集合住宅を指すことが多いようです。
たとえば不動産情報サイト『アットホーム』の『タワーマンション・高層マンションを探す』というページで特集されている「タワーマンション・高層マンション」は、「地上20階以上」の建物のこととされています。
そして、タワマンの場合だと、都心部にありながらも家族連れが暮らせるような70平米程度のサイズの物件が見つかります(といっても、地方に暮らす著者自身の親戚からは、「70平米はウサギ小屋」と指摘されてしまいましたが…)。
多く温場合、お値段もそこそこお手頃です(※といっても、最近では価格高騰が激しく、10年前に4000~5000万円程度で買えた物件が、今だと億前後の値段で売りに出されているケースもありますので、一概には言えませんが…)。
したがって、現実問題として「これから家を買って都心に暮らしたい」という人は、好むと好まざるをかかわらず、タワマンを選ばざるを得ないのです(多くの場合、幼い子供を保育園に預けながら夫婦共働きでダブルインカム状態とならざるを得ないようです)。
意外と暮らしづらい?タワマン経験者談
ただし、そのタワマンには、さまざまな問題が生じていることも事実でしょう。
ひとつは「大規模修繕をどう乗り切るか」、という問題ですが、それだけではありません。
このあたり、正直、タワマンに住んだことがない著者自身としては、話を聞くと「あぁ、そうなんですか」と思うくらいですが(むしろディスポーザーや食洗器、広くゆったりしたバスルームや洗面所、ホテルのような外廊下などは憧れの対象だったりします)、実際にタワマンに暮らすと、そこまで良いものでもないようです。
タワマンといえば景色が良く、共用設備なども整っていることが多いとされますが、現実にタワマンに暮らしている人からは、本当にさまざまな不満を聞くことができます。PTAや保護者会などの会合で漏れ伝わる不満としては、次のようなものがあるようです。
外に出るまでに時間がかかる。
とくに上層階に住んでいる人は、玄関からエレベーターホールに歩く時間、エレベーターホールでエレベーターを待つ時間、エレベーターに乗っている時間、エレベーターからエントランスホールに歩く時間を合わせると軽く5分以上かかることもある。
風が強い。地震で揺れる。
上層階だと風が強く、また、ちょっとした地震でも大きく揺れる。また、ベイサイドタワマンの場合、台風が来ると円買いが酷い。
騒音が問題となりやすい。
タワマンは思っていたほど防音性能は高くなく、上層階の足音や隣人の話し声、喧嘩の音、ピアノの音量などが気になり落ち着けない。また、飛行機の音、遠方の緊急自動車のサイレン音などが意外と響き、気になる。
なるほど、参考になります。
このあたり、当ウェブサイトの読者の皆さまのなかでも、現実にタワマンに暮らしているという方がもしいらっしゃれば、是非ともその実情を教えて下さると幸いです。
今度は「タワマン配達問題」
さて、こうしたなかでタワマンに関連し、日経ビジネスが5日付で配信した、こんな記事が目に留まりました。
タワマン地獄にはまる配達員 1棟で4時間超えも「別料金もらいたい」
―――2024/11/05 06:00付 Yahoo!ニュース【日経ビジネス配信】
簡単にいえば、宅配業者がタワマンに苦慮している、という指摘です。
タワマンは多くの場合、セキュリティに関するルールが厳しい上に「業者用のエレベーター」の待機時間が長く、住民不在時の再配達の問題に加え、駐車スペースが限られているなどの不都合もあり、さらに1回の配達で30分以上かかることもある、といった指摘です。
素人発想からすれば、タワマンなんて、いちど受付を通れば、上から下まで順番に回ればすぐに配達が終わりそうな気がします。
しかし、日経ビジネスによると、あるタワマンではたった1個の荷物を配達するのに済箇所のセキュリティをクリアする必要があり、ある宅配大手が比較的セキュリティの厳しいタワマンで作業の流れを調べたところ、1個の配達になんと30分(!)もの時間を要していたのだとか。
日経ビジネスの記事では、最近、タワマンによっては管理組合が主導して「置き配」を認めたり、宅配ボックスを増設したりするなど、宅配の負担を減らす努力をしているケースもあると紹介します。また、不動産デベロッパーによっては屋内配達にロボットを導入する実証事業に取り組むなどの事例もあると紹介しています。
ただ、こうした努力がすべてのタワマンで行われているわけではないでしょうし、タワマンによってはこんな手間がかかるようです。
「タワマンへの配達では通常、配達員は住民とは異なる入り口を通り、警備室で受け付けをする。この際、警備室から配達先の住民が在宅か不在かを確認する」。
「在宅であれば、台数が限られる事業者用のエレベーターを利用することが多い。このエレベーターは他の宅配会社や清掃業者、修理業者などと共用のため、しばしば長い待ち時間が発生する」。
「配達先のフロアに着いても、戸数が多く、広いタワマンでは配達先を探すのに時間がかかる。この一連の流れを、配達先の数だけ警備室での在宅確認から延々と繰り返さなければならない」。
…。
別料金を取れば良いのでは?
正直、あくまでも個人的な感想を申し上げておくならば、宅配業者やフード・デリバリー業者としても、配達にかかる平均時間に応じて、そのマンションに別料金―――たとえば「時間チャージ」など―――を取ればよいのではないでしょうか?
たとえばヤマト運輸の料金表だと、荷物は発着地に応じて料金が細かく変わるようですが、現在のところ、「受取人の住所がタワマンであるかどうか」に応じて料金が変わることはないようです。
しかし、これにたとえば、「荷物の送り先が宅配業者の指定するタワマンの場合は配送料にプラス500円」、などとやれば、コストを適切に転嫁することができるかもしれません。各宅配業者やフード・デリバリー業者は、たとえば「特定集合住宅チャージ」とでも称して別途料金を徴収する仕組みを設けることはできないものでしょうか。
とりわけ働き手が不足し、宅配業者にとっても荷物を送り届ける負担を減らすためには、タワマン側において何らかの対応をすることが自然な発想でしょう。
このあたり、正直、タワマンに住むのはその人の自由なわけですが、それと同時にタワマンに暮らすことのコストを外部業者に押し付けるのではなく、内部化する仕組みがあっても良いのではないか、などと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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>また、ベイサイドタワマンの場合、台風が来ると円買いが酷い。
…塩害か!
久しぶりに悩んでしまった。
長女がタワマンに住んでいます。戸建てにすればエエのに、と思いましたが、干渉したらアカンわ、と思い黙って居ました。
今回、駐車場のリフトを点検すると、管理組合より回覧板が来ました。2ヶ月ほど実家の駐車場を使わせて、と依頼が有りました。モチロンOKです。2ヶ月程経ってから、いつから使う?と長女に聞いたら点検は中止になった、との事。理由は他の人は駐車場を見つける事が出来ない、でした。感想はですね~。
リフトが故障して車の出し入れが出来なくなる、、、、。以下省略。
ワガママやでぇ。
イタイ目に会わなわかれへん。
(僻みと言われるのを覚悟してですが)タワマンに限りませんが、実際に使って(あるいは、住んで)みれば、色々な問題がでてくるものです。今後の日本は、既にあるものを使いやすいように、いかにメンテナンスしていくかという、これまで考えてこなかったことが重視されるのではないでしょうか。
4人で70平米は窮屈な感じがします。田舎暮らし、お薦めです。
ゲルさんの地方創成ではありません。m(_ _)m
いい加減(ネット)通販自体に課税すべき時期に来ていると思います。タワマン以外でも交通インフラ損耗や環境負荷を少なからず生じさせているわけですし、応益負担の観点から導入の余地は十分あると思います。
低層マンションでも、エレベーターが無い建物では上階まで荷物を持って上がり、さらに不在でまた持って降りるのは、配達員の方は大変だと思います。
1階の郵便受と同様に宅配ロッカーを設置するのが一つの解決策ですが、重量のある物や嵩張る荷物が届いたとき、ご高齢の方や体の不自由な方が自室まで持って上がれるかと考えると、もう一工夫必要かなあと思います。