「スポーツ中継」すら失いつつある?テレビ業界の苦境
新聞業界と比べてテレビ業界は、まだまだ元気があるようにも見えます。高齢層を中心にテレビ視聴時間は顕著に減っているわけでもありませんし、テレビ広告費も減少傾向にあるとはいえ、まだまだ1兆円台後半の水準を維持しているからです。ただ、若年層のテレビ離れは確実に進んでいるのに加え、気になる兆候もいくつかでています。そのひとつが、「スポーツ中継」の世界だというのです。
新聞業界の衰退はもう止められない
いわゆる「マスコミ」、「マスメディア」と呼ばれる業態の代表例といえば新聞、テレビですが、このうち新聞に関していえば、少なくとも「勝負あり」といえると考えられます。
というのも、新聞部数は長期的に凋落し続けており、回復に向けて反転する兆しすらないからです。
「夕刊フジが来年1月末をもって休刊する」。
「毎日新聞と産経新聞が富山県での配送を断念した」。
「東京新聞が23区以外での夕刊発行を断念した」。
新聞業界において、こうした休刊に関する話題には事欠きませんが、おそらく新聞業界の終焉の流れは、来年以降、いっそう加速していくのではないかというのが著者自身の見方です。
テレビ業界はまだまだ元気?
ただ、こうした新聞業界の凋落と比べ、テレビ業界については、まだその凋落速度は緩やかであり、一見すると、まだまだ元気です。
総務省『情報通信白書』などを見ていても、少なくとも高齢層に限定すれば、平日のテレビ視聴時間数は顕著に減っておらず(図表1)、また、テレビ広告費についても特に近年、低落傾向が認められるものの、まだ一定の水準を維持している(図表2)からです。
図表1 平日のテレビの利用時間
年代 | 2013年 | 2023年 | 増減 |
10代 | 102.5分 | 39.2分 | ▲63.3分(▲61.76%) |
20代 | 127.2分 | 53.9分 | ▲73.3分(▲57.63%) |
30代 | 157.6分 | 89.9分 | ▲67.7分(▲42.96%) |
40代 | 143.4分 | 134.6分 | ▲8.8分(▲6.14%) |
50代 | 176.7分 | 163.2分 | ▲13.5分(▲7.64%) |
60代 | 257.0分 | 257.0分 | ±0.0分(±0.00%) |
全年代平均 | 168.3分 | 135.0分 | ▲33.3分(▲19.79%) |
(【出所】総務省『情報通信白書』データをもとに作成)
図表2 広告費の推移(ネットvsマスコミ4媒体)
(【出所】株式会社電通『日本の広告費』データおよび当ウェブサイト読者「埼玉県民」様提供データをもとに作成)
こうした状況を踏まえると、「虫の息」状態に陥りつつある新聞業界とは異なり、少なくともテレビ業界については、もうしばらく命脈を保ち、お得意の偏向報道により「情報弱者層」を惑わし続けるのではないかと思います。
スポーツ中継の世界で生じている変化
ただ、足元では少しずつ、テレビ業界の基盤が侵食されつつあることもまた間違いありません。
こうした文脈で気になる記事がひとつあるとしたら、これかもしれません。
スポーツ中継「地上波テレビからネット有料配信」の止まらない流れ 価値が見出されるのは「世界レベル」と「地域密着」の両極に
―――2024/10/25 11:15付 Yahoo!ニュースより【マネーポストWEB配信】
これは、小学館『マネーポストウェブ』が25日付で配信した記事ですが、有料配信サービス(いわゆるVODのことでしょうか?)がドラマ、バラエティだけでなく、スポーツ中継の世界でも注目を集めている、というのです。
いったい、どういうことなのか―――。
『マネーポスト』が挙げるスポーツ観戦の事例のひとつが、アマゾンプライムビデオが日本ボクシング史上初となる7つの世界タイトルマッチを独占配信したことです。同記事では元朝日放送のプロデューサーで帝京大学文学部専任講師の木下浩一氏のこんな発言を取り上げます。
「今、世界を狙える若い日本のボクサーがたくさんいて、日本ボクシング界は最高に強い時代ですが、それがあまり国民に伝わっていない。有料契約する映像配信サービスや個別のコンテンツを購入するPPV(ペイ・パー・ビュー)が普及した影響でしょう」。
なんだか、面白い観点です。
記事によると木下氏は、近年、スマートフォンなどを使い有料の動画コンテンツを視聴するのが当たり前の世代がどんどん増えている、と指摘するのだそうです。
「今の学生たちは“お金がない”“アルバイトが大変”と言いながら、2つか3つはサブスクリプションに入っている。好きな時に観られてほとんどCMがないことに慣れてしまうと、地上波には戻れない」。
この視点は重要です。
要するに、いちど地上波から離れてしまうと、ちょっと元には戻れないよ、ということかもしれません。
そういえば、著者自身の知り合いのお子さん(高校生と大学生)の場合も、地上波のテレビはほとんど視聴しないらしく、ネットのVODサービスを楽しんでいると聞きます。
『マネーポスト』によると木下氏は、「20代で身についた視聴習慣は、30代、40代になっても変わらない」ため、「急速に変化が進んでいく」と指摘したそうですが、若年層中心にこうした変化が生じてくれば、従来はテレビの独擅場だったはずのスポーツ中継まで、VODなどに奪われ始める、ということです。
CMのないVODの強みが発揮か
そういえば、冷静に思い出しておくと、野球中継などのように攻撃と防御が入れ替わるルールの場合は、比較的CMも入れやすいのかもしれませんが、こうしたインターバルのないスポーツの場合だと、CMを入れると、視聴者側としてはストレスを感じるかもしれません。
実際、マネーポストの記事でも、こんな記述が出てきます。
「地上波でスポーツ中継が激減しているのには、放映権料が年々高騰しているという背景がある。無料放送の地上波はその収入を企業の広告宣伝費に頼ってきたが、広告収入でもネットに侵食されるなど、曲がり角に立たされている」。
現在、テレビ業界では「視聴者離れ、スポンサー離れ、クリエイター離れ」の「三重苦」が絶賛進行中である、とする説については、当ウェブサイトでもしばしば繰り返してきた論点です。
ただ、実際のところ、従来はテレビ局の牙城のように思われてきた分野がひとつひとつ着実に陥落するなかで、案外、テレビ業界も中身がスカスカなスポンジのように業界の弱体化が進んで来ているという可能性はあるかもしれません。
『マネーポスト』の記事はテレビ業界について、「大転換期の只中にあることはたしかだ」、と指摘していますが、「大転換期」と見るべきなのか、それとももっと踏み込んで「業界衰亡期」と見るべきなのかについては、微妙なところといえるのかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
ネットのVODサービス:「この放映権料なら、利益は見込める。
(視聴者数、再生回数、それによるCM料)」
テレビ:「スポンサーをかき集めてもこの値段では足が出る」
幅広く、あるいは一部に熱狂的に注目度が高い
試合をテレビで観ることは、今後少なくはなっても増える要素がありませんね。
昔はエンタメとしてスポーツ実況番組で古舘伊知郎のようなアオリが人気だったのかもしれないですが、今の視聴者が求めるようんな「純粋にスポーツを楽しみたい」となると、邪魔でしかないんですよね。氏の絶え間ない賑やかしは否定できない稀有な才なのですが、よくよく聞いていると中身は的外れだし。
すっかり過去の私もTV視聴していた頃、NHKで「ブラタモリ」は楽しめたのに「日本人のお名前」は全く楽しめないどころか苦々しかったものです。どちらも掘り下げれば日本の文化歴史に触れられる素晴らしいネタだったのに、前者はまとまっているのに対し、後者は氏のせいで軽薄で浅い下らない内容に成り下がっていたので。
かつて隆盛を誇った”万人ウケする浅い番組”って、今はもう悪手なんじゃないでしょうか。スポーツなんて完全に相性が悪い。バレーボールの”なんとか姫”とかダッセェニックネームを勝手に付けてジャニタレに無意味な感想を聞く実況なんて最悪で。
テレビの一家に一台の時代には家族のチャンネル権を奪うために、スポーツに興味の無い家族にも強制的に楽しんでもらうための「装置」が必要だった。(古舘氏など)
コンテンツ流通が一対一化した現在ではその装置は邪魔でしかなくなった。
専門分化してコンテンツ一つの視聴者数は減ったけど、真に興味ある人が見ているのでカネになる。一対N強制の電波はますますカネにならない。
なんか、そんなことをつらつらと思いました。
私も最後に見ていた地上波はブラタモリだったかも。もう数年以上見ていませんが。地質系の研究者が絶賛していました。内容は正確、地質に興味の無い人を掘り起こすのに最適だと。コンテンツ作成としてはあの方向でよかったのでしょうけどね。
いま競馬中継を見ていますが、出演者による馬券予想とか言う内輪が酷すぎますね。
大衆ウケのための演出なのかもしれませんが、最早この手法は古いと言うべきでしょう。
予想披露ではなく、現在の状態や過去ののデータなど情報を重視すべきだと思います。
予想をするのは視聴者に任せるべきだと思います。
「狭く深く」な番組は受難の時代かもしれませんね。
「ブラタモリ」や「タモリ倶楽部」のようなタモリ氏がメインの番組はまさにそれで、両番組とも幕を下ろしています。
タモリ倶楽部ではゲストの芸人に対して「お前うるさいよ」とか「サシで説教してやる」といった、ブラタモリでは決して見せない言動をタモリ氏は見せていましたね。
当方、初老ですがテレビを持っておらず、有料チャンネルを3つほど契約してます。
CM無いし、好きな時に見れるし、とても快適です。
一時期は、世の中の流行り廃りがわからない、仲間との会話に付いていけるか、などの不安もありましたが、マスコミが作る流行り廃りは偽物だとわかったし、時事等はネットで十分に情報収集可能でした。(今のところ困ってません)
NHKに受信料払うくらいなら、いっそテレビは捨ててしまって有料チャンネル契約した方が、良い生活を送れると思います。(持論)
同感です。”流行り”を逃してしまっても、後でネットで調べればすぐに分かると言う点も
あるでしょうし、同好の士はブームが過ぎ去ってもネット上ならすぐみつかりますしね。
私はリアルタイムでは「鬼滅の刃」を全く見ていなかったのですが、
原作が完結した後に電子書籍で一気読みして大いに楽しみました。
流行にわざわざついていく必要がなくなったのはとてもありがたい事です。
> 流行にわざわざついていく必要がなくなったのはとてもありがたい事です。
わかります。
私も「コードギアス 反逆のルルーシュ」を最近になって一気見して悦に浸っておりましたw
>「地上波でスポーツ中継が激減しているのには、放映権料が年々高騰しているという背景がある。
この部分は正しい。
ただしこの放映権料を負担しているのはスポンサーだ。
その見返りにコマーシャルを流せるが、これも別途有料。
ワールドカップアジア予選のアウェー戦を放映できないのはスポンサーが放映権料を負担する価値がないと思っているからだろう。
VODから地上波に視聴者を取り戻すためには、CMをなくせばよい、ということでしょうか。
それだと、NHK が大盛況のはずですが。
BSニュースの廃止はNHKにしては英断だと思ったことがあります
スポーツ中継の途中であろうと1時間に1回ほぼ必ず番組と無関係のニュースを挟み込む、cm以上に押しつけがましくて不快です。
より見る人が多いnhk総合では未だに同じようなことをやってるから全体では意味はなかったのですが…せっかくcmを流さなくてよいというアドバンテージがありながら、このように自らなげ捨てるような真似をしているのです。
60代は一日4時間テレビ見てるって?
働き盛りの40代50代も
一日2時間以上見てるって?
ほんまかいな、そんなにヒマあるのか
オリンピック中ならいざしらず
まあ、晩酌片手にナイター中継ならほぼ毎日だが
本でも読めよ
朝、時計代わりにテレビをつけている部分が大きいのでは?
いつも楽しみに拝読しております。
私はラグビーファンで、マイナースポーツのためそもそもテレビ中継かありませんでした。なので10年ほど前からJsport On Demandを契約しています。
見たいものを見たい時に見られる上に、CMなし、録画配信なら早送りもできるので、とてもテレビ中継で見る気にはなりません。今日のニュージーランド戦も地上波中継があるようですが、外出から帰ってからゆっくり録画配信を楽しもうと思っています。
日本国内で放映していないアウェイ開催サッカーを中東とか台湾とかからVPNで視聴する方法があるらしいですね。放映権独占されてない国ではFIFAやAFCが自分で流しているが、多少のカネを払ってそれを日本で視れるのだそうです。視たいものがあるならちゃんとカネを払って視る。簡単な話です。
「リアルタイムで見ている人の割合=視聴率」 なんだから、地上波テレビに一番向いているジャンルは、ドラマでも報道でもなくスポーツ中継のはず。
そのスポーツ中継で、有料チャンネルに負けているということは、もう末期症状。
私はEテレを見ています。
子供と再勉強と言いますかそうだったのかあ 的な
それとNHKニュースも。
大きく傾向(メデアの)を見るために
月1000円程度のサブスクだと思えばOKでしょう
小さい子供のいるところはこんなものかなあ