「自民党に反対してるだけ」と野党酷評=橋下徹氏近著

選挙とはどの候補者・政党に投票すれば良いかという点もさることながら、「最も適切な候補者を当選させる手続」であるとともに、「もっとも不適切な候補者を落とすための手続」であること、そして選挙は「誰かにお灸を据えたり、鉄槌を下したりして留飲を下げる」ためのものではなく、私たちの未来を作るものでもある、という点を認識すべきです。こうしたなかで橋下徹氏が近著で立憲民主党を酷評したようです。

人気投票の禁止規制は一体どうなっているのか?

公職選挙法では、選挙期間中は人気投票を実施したり、その投票結果を公表したりすることは、禁止されている「はず」です。

ただ、ここで「はず」、と申し上げるのは、現実に新聞社、テレビ局などが「序盤の情勢分析」、「終盤の情勢分析」などと称し、各政党の獲得議席見込みを堂々と報じているという事実があるからです。報道機関はなぜか適用される法令の基準が緩いのですが、これも謎というほかありません。

もっとも、当ウェブサイトは残念ながら、いわゆる「報道機関」ではありませんし、メディア業界で法令を守らないことが常態化しているからといって、当ウェブサイトでもその点を真似するつもりはありませんので、現在進行中の選挙について、世論調査に基づいて議席数を云々することは控えます。

ちなみに先日より取り上げている通り、投票日前の報道記事については大事にクリッピングしておいて、選挙終了後に「答え合わせ」をするというのは、ウェブ評論上の醍醐味のひとつです。

たとえば、自民党は前回(2021年)の選挙では、議席を多少減らしたにせよ、安定多数というまずまずの議席を確保しましたが、当時も「自民党は過半数割れの攻防」、「立民は議席を上積み」などと報じられていたことを思い出しておくと良いかもしれません。

自民減で単独過半数の攻防、立民は議席上積み・維新も躍進の公算大…読売衆院選序盤情勢

―――2021/10/21 10:14付 読売新聞オンラインより

直前まで政党支持率で「野党の支持率は低い」などと述べていたくせに、選挙期間に突入すると「野党優勢」「自民苦戦」とか報じてしまうわけですから、メディアの調査というものは本当に不思議だと思わざるを得ません。

橋下氏「立憲民主党は幼稚園児より酷い」

さて、それはともかくとして、橋下徹氏といえば弁護士であるとともに、日本維新の会の事実上の創設者としても知られています。

その橋下氏を巡っては、良い面・悪い面とさまざまな評価があることは事実ですし、著者自身も橋下氏や橋本氏が関わった日本維新の会、おおさか維新の会などを手放しで絶賛するつもりはないのですが、ただ、「是々非々」という観点からは、ちょっと興味深いと思える記事がありました。

立憲民主党は「自民党に反対」してるだけで「民意を無視」している…橋下徹が明かす、野党が「全く選挙に勝てない」当たり前すぎる理由

―――2024/10/24 07:05付 Yahoo!ニュースより【現代ビジネス配信】

立憲民主党は「幼稚園児よりひどい」…橋下徹が酷評する、「万年野党」議員たちの身勝手すぎる振る舞い

―――2024.10.24付 現代ビジネスより

「幼稚園児よりひどい」とは、なかなかに踏み込んだ発言です(ただし、記事の中でその「幼稚園児よりひどい」の具体的な内容は確認できませんが…)。

2本の記事冒頭には「10月27日の総選挙で、日本人は自民党に『ある程度のお仕置き』をするだろうが、政権交代には至らないだろう」としつつも、記事のメインの部分は今回の選挙公示前の今年7月に発行された、橋下氏の『政権変容論』という書籍から抜粋したものだそうです。

なぜ、政治とカネであれほどの不信を生んだ自民党が、政権の座から転がり落ちることがないのか」。

なかなかに興味深い問いかけです。

野党は野党としての地位が心地よい?

その理由についての橋下氏の指摘、ヒトコトで要約すると、「野党としての地位が心地よいから」、ではないでしょうか。

記事の中で、橋下氏はまず、こう述べます。

もちろん『政策が自民党とすべて一緒』では、野党としての存在意義はありませんが、すべて反対というのもおかしい。『是々非々』の姿勢が大切だと思います」。

これが、すべてでしょう。

こんな橋下氏の発言に対し、立憲民主党や日本共産党あたりは「すべての法案に反対しているわけではない」、「賛成している割合の方が高い」と反論するかもしれませんが、これに対しても橋下氏はこう指摘します。

国政における法案の数は膨大です。政治的考えに影響されない手続き的な法案もたくさんあるので、当然それらについては野党でも賛成することになるでしょう」。

国民が野党の動向を注視しているのは、政治的考えが賛否に影響する重要法案についてです。このような法案になると、立憲民主党や共産党は必ずと言っていいほど反対に回ります」。

そのうえで、橋下氏はこう畳みかけます。

ここで野党がよく考えなければならないのは、自分たちが『絶対によくない』と思っている法案を自民党が出してきたとして、その自民党の支持率は、野党の支持率よりも圧倒的に高いという事実です。/つまり自民党の出してくる重要法案をすべて否定することは民意を無視することになる」。

これ、非常に大切な指摘です。

この短い記述に、日本の野党問題が凝縮されているからです。

他人に厳しく自分に甘い――それって野党だけじゃなくメディアも一緒では?

あるいは橋下氏の指摘に少し付け足しておくと、野党は無責任であり、不勉強であり、また、ダブルスタンダードでもあります。自民党がやると「裏金」で「犯罪」だが、自分たちがやると「単純記載ミス」で「自主訂正だから問題ない」―――。

勉強しないから専門知識もない。

他人には厳しいが自分には甘い。

余談ですが、こうした日本の特定野党の姿勢、なんだか日本のマスメディアとも通じるところがありそうですね。

そのうえで橋下氏は、自民党などが提出した重要法案の多くに野党が反対する理由について、こうも指摘するのです。

野党が重要法案において常に批判一辺倒なのは、自分たちが本気で『政権交代』できると思っていないからです。ある意味、『万年野党』であることに胡坐をかいている。そして常に『文句を言う立場』だから、好き放題言いっぱなしになれる」。

結局のところ、ここに尽きるのでしょう。

というよりも、いざ、自分たちが与党になってしまうと、2009年のときのように、却って大きなダメージを負ってしまうのです。だからこそ、野党としてはほどほどに勝ち、野党としての地位をほどほど維持しながらも絶対に与党にはならないというのが、現在の野党、とりわけ立憲民主党としてのスタンスなのではないでしょうか。

選挙は大事だよ!もっとも不適格な候補を落とすための手続でもある

ただ、橋下氏がいみじくも指摘した野党の振る舞いというのは、結局のところ、無責任な立場から好きなことを述べて快哉を叫ぶというレベルのものでしょう(※くどいようですが、同じスタンスは日本のメディアにも共通しているのかもしれませんが…)。

正直、当ウェブサイトとしては「どこの政党に投票してくれ」「誰それに投票してくれ」などと具体的にお願いしてきたつもりはありませんし、今後も(多分)そうするつもりはありません。

ただ、やはりお願いしたいことがあるとすれば、それはできるだけ正しい情報を集めたうえで、投票すべき先をご自身で判断し、選挙権を行使してほしい、という点にあります。選挙期間中を中心に、当ウェブサイトで常に次の3点のお願いをする理由も、そこにあります。

  • 納得できない報道をする新聞は、解約しましょう。
  • 納得できない報道をするテレビは、消しましょう。
  • 選挙では必ず投票しましょう。

とりわけ選挙は「最も適切な候補者を当選させる手続」であるとともに、「もっとも不適切な候補者を落とすための手続」であること、そして選挙は「誰かにお灸を据えたり、鉄槌を下したりして留飲を下げる」ためのものではなく、私たちの未来を作るものであることを、くれぐれもお忘れなきようお願い申し上げる次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 引きこもり中年 より:

    もしかして、立憲は自分達が政権与党にならないように、野党統一候補を出さなかった、というのは陰謀論でしょうか。
    蛇足ですが、立憲は、自分達が政権与党になったら、その後、また分裂すると思っているのではないでしょうか。

    1. 引きこもり中年 より:

      もしかして、立憲が政権与党になることに一番反対しているのは朝日新聞ではないでしょうか。

    2. 引きこもり中年 より:

      毎度、ばかばかしいお話を。
      ハリス副大統領:「トランプ前大統領が悪い」
      立憲:「自民党が悪い」
      日米共通でしょうか。

  2. 元雑用係 より:

    >「他人に厳しく自分に甘い――」

    不公正(ダブスタ)がまかり通って世論形成にすら影響を与え、選挙結果にも反映される。
    そんな世の中はイヤですね。

    そんな流れに乗って、総裁選で何を言われたって謝る路線を選択した自民党。自爆路線を歩むことを選択した自民党。
    そんな自民党総裁が「赤旗の報道に憤りを感じる」とお門違いな逆ギレを演じたようです。
    情緒に流され、スジによって反論する立場は既に捨てているのに、なんと中途半端なことか。

    しばらく泥船で足掻くしかないですね。
    (笑)記号を付け加える気にもなりません。

    1. 元雑用係 より:

      変なコメントですみませんねー。
      現実のバカさ加減に最近シラケちゃってるんですよね。(笑)

    2. はるちゃん より:

      >自爆路線を歩むことを選択した自民党。

      仰る通り、誰の作戦か知りませんが、「裏金」による公認問題で騒ぎを大きくして野党やマスコミの格好の餌食になり、石破政権は自らを窮地に追い込んだように見えます。
      「裏金」議員を公認すれば批判はあるかもしれませんが、経済や安全保障で選挙の争点をずらす手もあったと思います。
      選挙結果は分かりませんが、今のところ自業自得という感じですね。

      1. 元雑用係 より:

        自業自得ですよね。

        >誰の作戦か知りませんが、
        さすがに合成の誤謬だとは思います。無職にならないために勝ち馬を必死で探したボーダー議員とか、お気に入りの孫を次期首相に持ち上げたかった実力あるいいオジさんとか、キングメーカーになりたかった前首相とかとかとか・・・意図せず皆で自らの首を絞めてしまったのかと。
        自民党が自壊するのは構わないのですが、政権党によって日本の民主政治の汚点が増えたと思えるのです。

  3. KN より:

    >投票日前の報道記事については大事にクリッピングしておいて、選挙終了後に「答え合わせ」をする

    当日の出口調査を含め、楽しみです。
    野合が進まず票が分散しそうなので、選挙区ごとにどのような票の動きがあったかも分析できそうですね。
    自民→極左以外の野党
    立憲→立憲以外の野党(主に極左?)
    にある程度票が流れると予想していますが果たして?

    白票を肯定するような見解はいただけませんね↓
    https://news.yahoo.co.jp/special/lets-vote/

  4. sqsq より:

    野党として「何でも反対」していて突然政権が転がり込んできた民主党。
    日頃の不勉強が祟った例:日雇い派遣の禁止。「日雇い」という言葉に発情したのかもしれないが、仕事には1日という超短期で終わるものがあることまで頭が回らなかったようだ。例えば引っ越し、イベント会場の設営、撤収、通訳。なんと選挙の投票会場の受付も日雇い派遣でやっていた業務の一つ。
    あわてて「こういう業務ならいい」という例外「こういう人ならいい」という例外を決めた。
    こういう人ならの中には年収500万以上の人で副業でやる人。昼間の学生。つまり夜間の学生はダメ、年収の低い人はダメ。
    ずいぶんとんちんかんなことやってるね。何をやりたかったんだろう。

  5. カズ より:

    >「幼稚園児よりひどい」

    スローガンからして「変よう・チェンジ!(変・ようちえんじ?)」なんですものね。

  6. あれれ より:

    少し変更して
    「石破氏が重要政策において常に批判一辺倒なのは、自分が本気で『政権獲得』できると思っていないからです。ある意味、『万年総裁候補』であることに胡坐をかいている。そして常に『文句を言う立場』だから、好き放題言いっぱなしになれる」
    とすれば、現政権の惨状も腑に落ちるような?

    1. とむ より:

      うまいっ!その通りだと思います

  7. めたぼーん より:

    立民の野田氏の、政権交代こそ政治改革、というスローガンに何か全員が乗っかっている気がしないのはそう言う事ですね。高給貰って、有権者から陳情を受けて、私はやったが、政府が悪いと責任転嫁出来るんですからやめられないですよね。

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