前回の「衆院選序盤の選挙情勢分析」は正しかったのか
「自民党は単独過半数を維持できるかどうかが焦点、立憲民主党は解散前勢力から20議席上積みする情勢だ」―――。選挙序盤情勢についてはさまざまなメディアが報じていますが、本稿で紹介したいのは、「現在行われている」衆院選に関する報道ではなく、「前回の」衆院選に関する序盤情勢分析に関する記事です。結論的に言えば、この「序盤情勢分析」は、少なくとも自民党と立憲民主党については大外れでした。
衆院選の選挙情勢はどう考えれば良いのか
今朝方の『なぜ立憲民主党は「勝てないし勝つつもりもない」のか』では、(あくまでも前回の有権者の投票行動と主要政党の立候補者から判断して)立憲民主党が今回の衆院選で議席を大幅に積み増すとは考え辛い、とする仮説を提示しました。
その判断根拠の詳細については該当記事をご参照いただきたいのですが、大きなポイントは次の通りです。
- 衆院選の動向を決めるのは比例ではなく小選挙区であり、獲得議席は政党支持率と連動しない
- 日本共産党が候補者を立てると、その選挙区では立憲民主党は苦戦する傾向が認められる
- 日本維新の会が候補者を立てると、その選挙区では自民党は苦戦する傾向が認められる
- 前回立憲民主党が辛勝した41選挙区のうち22選挙区で共産党が新たに候補を立てた
- 前回自民党が辛勝した58選挙区のうち15選挙区で日本維新の会が新たに候補を立てた
- ただし自民苦戦が予想される15選挙区のうち8選挙区では共産党も候補を立てている
以上より、落選の危機にあるのは立憲民主党側で少なくとも22人、自民党側で少なくとも7人であり、自民から立民に7議席、立民から自民に22議席、それぞれ移転する可能性がある、ということです。すなわち差し引きで自民党が15議席伸ばし、立憲民主党が15議席減らす、という結論です。
前回(2021年)選挙の概要
じつはこの「自民党がプラス15議席、立憲民主党がマイナス15議席」というのは、実務感覚としてはさほど違和感はありません。というのも、実際に前回の2021年衆院選で自民党が失ったのが15議席、立憲民主党が失ったのが13議席で、1回の選挙ではこの程度の変動ならば生じる、ということでもあるからです。
また、自民、立民両島が失った議席は、ほぼそのまま、日本維新の会に行ったようなものだともいえます(2021年の選挙情勢に関しては、すぐのちほど、もう1度述べたいと思います)。
もちろん、「野党旋風」が生じれば、政権交代が一気に生じることもあります。
「民主党旋風」が吹いていた2009年のときは、民主党が合計308議席を獲得する地滑り的圧勝を遂げているわけですが、これは2005年の113議席と比べてじつに200議席近く増やした格好です。反対に自民党は2005年の296議席から2009年には119議席へと、一気に60%近くも減らしています。
ただ、こうした「野党旋風」が吹いていれば話は別ですが、果たして現在、こうした「旋風」が吹いているのかと問われれば、そこは微妙です。「各選挙区で選挙のたびに、毎回2~3万票以上の票が動く」という状況は、ちょっと考え辛いところです。
その数少ない例外が「野党間の選挙協力」などであり、2021年にはその「野党間の選挙協力」が上手く行ったために、むしろ立憲民主党は実力以上に議席を獲得したのではないか、といった仮説が成り立つゆえんです。
前回の「序盤情勢分析」
ただ、当ウェブサイトとして「自民党はむしろ微増、立憲民主党は議席を減らすかも」、といった話題を取り上げた前後で、各メディアがいっせいに、「選挙の序盤醸成調査」などと称して、当ウェブサイトの予測とは全く異なる予測を掲載したようです。
具体的な数値を引用することは控えますが、多くのケースで「自民党は過半数割れ」、「立憲民主党は議席を大幅に積み増し」、などと記載されているようです。
これについては、どう考えれば良いのか―――。
この話題の延長として、ちょっと面白い記事を発見しました。
自民減で単独過半数の攻防、立民は議席上積み・維新も躍進の公算大…読売衆院選序盤情勢
―――2021/10/21 10:14付 読売新聞オンラインより
先ほどの記事で、「当ウェブサイトでは(公選法が禁じる)人気投票に該当する可能性がある情報は、可能な限り、取り上げない」と宣言したばかりですが、ここで取り上げるのは読売新聞オンラインに掲載された、「衆院選の序盤の選挙情勢」に関する記事です。
ただ、ご安心ください。
記事の日付を良く見ていただければわかるとおり、この読売の記事は3年前の2021年10月21日付のものです。今回の選挙に関する予想ではありません。
ではなぜ、この記事を紹介するのかといえば、「メディアの報じる事前予測など、当たるとは限らない」という実例を示すためにあります。リンク先の読売の記事、趣旨を要約すると、こんな具合です。
- 読売新聞社は(2021年10月)31日投開票の衆院選について、19日と20日の両日、全国の有権者を対象に世論調査を行い、取材を加味して序盤の情勢を探った
- 自民党は公示前の276議席から議席を減らし、衆院で単独過半数(233議席)を維持できるかどうかの攻防だ
- 公明党は着実に積み増す見通しで、自公合わせて絶対安定多数261議席を窺う
- 立憲民主党は公示前の110議席から20議席ほど延ばす可能性がある
- 日本維新の会は大阪を中心に躍進する公算が大きく、公示前の11議席から3倍近くとなる勢いだ
- 日本共産党は公示前の12議席を上回る情勢だ
- 国民民主党は公示前の8議席を維持できるかどうかが焦点となっている
…。
実際はどうだったのか
この記述を読んだうえで、現実の衆院選の結果を確認しておきましょう(図表)。
図表 実際の衆院選の結果(2021年10月31日施行)
所属 | 議席数 | 変動・変化率 |
自民党 | 276→261 | ▲15(5%減) |
公明党 | 29→32 | +3(10%増) |
立憲民主党 | 109→96 | ▲13(12%減) |
日本維新の会 | 11→41 | +30(273%増) |
日本共産党 | 12→10 | ▲2(17%減) |
国民民主党 | 8→11 | +3(38%増) |
れいわ新選組 | 1→3 | +2(200%増) |
NHK党 | 1→0 | ▲1(100%減) |
社民党 | 1→1 | ±0(―) |
無所属 | 12→10 | ▲2(17%減) |
合計 | 460→465 | +5(1%増) |
(【出所】当時の報道等を参考に作成。なお、増減率は公示前勢力に対する比率。たとえば自民党は公示前276議席なので、15議席減少は減少率に換算して5%だが、立憲民主党は公示前109議席なので、13議席減少は減少率に換算して12%と計算される)
どうでしょうか。
ふたを開けてみたら、自民党は多少議席を減らしたものの、単独過半数(233議席)どころか、単独で安定多数の261議席を確保し、読売の予想を30議席ほど上回った格好です。
また、共産党が公示前勢力を上回るとの予測(実際には下回る)、国民民主党が現有勢力も維持できないとの予測(実際には3議席上積み)など、自民、立民以外の政党に就いても予測は外れており、予測通りだったのは維新が3倍以上に増える、という部分くらいだったのでしょうか。
いずれにせよ、読売の予想だと立憲民主党は130議席程度を確保するはずだったのに、ふたを開けてみれば96議席と、100議席の大台を割り込みました。公示前と比べ、20議席増どころか13議席減となり、これで当時の枝野幸男代表が引責辞任に追い込まれています。
メディアの調査はしょせんメディアの調査:選挙には必ず行こう!
何が言いたいのかといえば、メディアの調査は基本的に単なる予測に過ぎず、現実にそれと同じような結果が出るという保証などない、ということです。
そして、くどいようですが、そもそも選挙というものは「よりどりみどり、素晴らしい候補者群から自分の理想に最も合致した人物を選び出す」手続ではありません。むしろ「酷い候補者群のなかで、一番マシな候補者を選び出す手続」だと考えていただいた方が正確です。
食事にたとえていえば、たとえば先の大戦中などのように、食材の入手が困難を極める状況のなか、傷んだ食材の中からまだ食べられるものを選んで料理するようなものだ、と言い換えても良いかもしれません。
あるいは、もう少し踏み込めば、「この候補者を国政に送り込んではならない/この政党に多数を与えてはならない」という候補者・政党の躍進を防ぐための手続だ、という言い方もできます。
ですので、「今回の選挙、良い候補者がいないんです」、などと嘆くのではなく、まずは「一番酷い候補者は誰なのか」を特定し、その「一番酷い候補者」を落とすという目的で投票行動に臨んでいただきたいところです。
ちなみに2021年の選挙では、得票差が10,000票未満だった選挙区は全体で64選挙区ありましたし、1,000票未満に絞っても8選挙区ありましたので、これらの選挙区で投票率があと1%上がっていれば、選挙結果がひっくり返っていた可能性はあるでしょう。
いずれにせよ、棄権・白票は組織票を利するだけです。
選挙には必ず行きましょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
立憲に関しては、野党共闘(野合)の破綻、中身のないスローガン+トンデモ公約、酷いダブスタなどマイナス要素無視で、「単なる予測」というか「単なる願望」レベルではないか。出口調査すら大ハズレのメディアもあったと記憶している。
そもそも獲得議席を予測することになんの意味があるんや…?
アナウンス効果とかバンドワゴン効果という報道を聞いて投票する層が一定数存在するので、そこを動かしたいのかと。
今朝のテレビ東京の番組内で自民党は単独過半数を割り、公明党は議席を若干減らすだろうという予想を出していた。電話調査等の結果だそうだ。
れいわの公約は「消費税廃止」と「季節ごとに10万円配る」
消費税収がなくなった分はどうするのかな?10万円の原資は?
こういう政策をやるのには相当の議席が必要になるはずだが候補者何人立ててるの?
この政党、国民の知的レベルをかなり低い所においてるね。
福島在住ジャーナリストの林氏のツイートです。
重みを感じます。
TBSの自民単独過半数割れ見込み報道を受けて。
https://x.com/SonohennoKuma/status/1846537159236571293
結局、野党とマスメディアが結託したアジェンダセッティングに世論が踊らされ、選挙までも左右されている。
自民は箸の上げおろしでさえ叩かれ、野党は裏金やろうが外国勢力のプロパガンダに協力しようがスキャンダルにならない。
我が国の主権は、もはやマスメディア主権の報治主義になりつつある。
※「埋め込み」でやるとコメントが反映されないことが増えましたので、単なるリンク貼りでいきます。
現職大統領ジョー・バイデンの素行不審が日本では報道記事にならないのと同じ病理を感じます。
biden gaffe
biden frail
biden freeze
Youtube でこれらキーワードを使えば動画がたくさん得られます。どう判断するかは視た人が決めるのですが。
「米民主党は左で意識高いので正義、共和党は右で意識低いので悪」
FOX以外の米メジャーメディアとくっつく日本のマスゴミ認識はざっとこんなとこでしょうかね。
候補に確定してからメディアの異様なハリス推しが始まりましたが、素が酷いらしいんで逆効果にならんのかといらん心配をしてました。
曰く付きの郵便投票、今回は投票率が伸びていないそうです。(笑)
FOX NEWS のほかに Forbes もバイデンハリス政権に相当辛辣です。
それ以外 CNN を始めとして残りは、親トランプにあらば知能の低いれっとう民族と言わんばかり。勝手にしろですが、アメリカ主要メディアを妄信し崇拝までしている英語のできない国内メディア各社は論調をまるごとコピー。キミら新聞記者正体見破られているよ。
毎度、ばかばかしいお話を。
マスゴミ:「前回の衆院選序盤の選挙情勢分析を覚えているのはけしからん。同じ記事の使いまわしができないではないか」
まさか。
選挙後に、マスゴミの選挙情勢分析の答え合わせをしたら、面白いかも。
段取りのいいどこかのブログ主氏は既に予定稿を用意しているかも知れません。
【世相漫才】
「前回選挙当日の とある新聞社編集室」
デスク「今回の選挙こそ政権転覆実現だあ!
マスコミサマの力を思い知らせてやるう
いいか諸君!正しく野党勝利の数字を報告せよ」
部下 「はい! ・・ううっ!やべえ
出口調査正直に数字報告したら
デスク発狂 暴れまくる!」
トホホしかたない。いつものように・・・
デスク「ようしようし、ガッハッハ 」
~数時間が経過 結果判明~
デスク「・・・な なんで こんなバカなあ・・・」
「にゃんだとおお 出口調査も手を加えただとおお
ばっかもーん!」
部下 「だ だってええ~」
~チャンチャン♪ (^^); ~
(もちろん 漫才だからフィクションでえす)
*編集部の日常
デスク:調査報告の肝は「確度」じゃ!
部下 :はーい!「角度(かくど)」ですね。
カズさま ナイスです
(^^)/
マスコミ 「さあ、みんなでアベ叩きしよう!」
ひろゆきさん「おいらも手伝うよ」
#$% ボカスカ %&%&$
アベ記者 「負けた(><); ・・・・・」
正直現在の調査は対して当てにしないほうが良いです。
話半分で聞いておいたほうが良いでしょう。
自民党は党内票の取りまとめが上手くいっていないのでは?
など一部においては十分頷ける点はありますので。
現時点で投票先を決めていない浮動票も十分に多いでしょう。
その段階で過半数だなんだ、って大した意味はないですね。
『あの夢よ!再び!』
マスコミ各社は2009年の成功体験が忘れられないのでしょうね。
ちょっと調べればすぐにわかることを頑なに報道しないで誘導するから、今後益々マスコミの権威は落ちていくでしょうね。自業自得。
オールドメディアが少しでも寿命を延ばしたいのなら
「民主政権再び」はある程度の効果があるでしょうね。
ただ、そもそも立憲民主党に「本気で政権交代を目指す」意思があるのか
どうかは大いに疑問ですし、仮にあったとしても無理ゲーに見えますが……
*悪夢の民主党政権
民主党:夢なら覚めないで!
有権者:夢なら覚めて欲しい・・。
前回の総選挙報道は、語り草で酷かった。
もう何回も書いてますがあらためて書いておきますと、
選挙期間を通して野党優勢の伝聞報道。
投票日の20時を回り選挙速報特番が始まっても同様。
出口調査の結果でもそうなのだという。
過半数を割ってどうすんのさ自民党、という論調でコメンテーターが話し続ける。
当確の出方は、遅い。
当確の出方は、そうは言っても五分五分で推移。
日付が変わる頃まで見てもテレビの論調は変わらず。
テロップも自民党惨敗のまま。
で、肌感覚と合わないけど奇妙だなあと寝て、朝起きたら「自民党絶対安定多数」のテロップ。
「はあ?」
朝のニュースでは、事実は事実として報道しつつも、準備されていた予定稿は自民惨敗の論調のものばかりで、番組進行とちぐはぐ。
腰が抜けそうでしたね。
そのあとも注意して観察してきましたが、壮大に業界全体で空振り三振したことの総括や反省は見たことないですねえ。
勝手連的に「出口調査には特定野党に入れたと応えよう」運動みたいなのもあった様な…
いつもホラ話しか書かないはにわのことですので、信用してもらえないと承知で発言します。知り合いの大正生まれの大老人は朗らかな大笑いをする憎めない人物、その大老人がいつかの選挙の時こう発言してしました。
ワシは出口調査でインタビューを受けたかった。社会党に票を投じたとTVカメラに言ってみたかったのに、声を掛けてもらえなかった。悔しい。
あのときは前日の土曜日に多摩地区の某市役所で期日前投票したのですが、18才から有権者になったのでセーラー服を含めて学生さんも多数。
コロナ対策として、五人づつの進行だったから庁舎の外まで大行列。
で、NHKの腕章をつけた若いアンちゃんがズーーーっとスマホをカチカチいじってる。
その脇にクリップボードを持ったジャージのアルバイト?君が困った笑顔で立ち尽くしていて、5分に1人くらいで出てきた人に声をかけてましたが、たいてい袖にされて会話できず。
あんな不真面目でヤル気のない取材では、なんにも生データなんか集められないよな、と奇妙に納得したものでした。
場所を特定したらサボってた個人まで特定されてしまうから、武士の情けで伏せておきますけれど、民法と違って視聴料を取ってるくせにアレだとケツを蹴ってやりたくなりましたな。
前回の結果が出る前の報道や今回の序盤調査って自公と立憲に関してはほとんど同じ数字なんですよね。
当たるか外れるかは置いといて、野党第一党をこの数字で良しとするって、勝ちのラインが低すぎやしませんかマスコミの方々
これだと自民党が分裂でもしない限りは政権交代できないんですが…
>全国の有権者を対象に世論調査を行い、取材を加味して序盤の情勢を探った
電話世論調査の精度があまりに低いことを自覚しているためか、「取材を加味して」 いるんですね。それじゃあ、電話世論調査って、意味あるんでしょうか?
読売新聞は今回も 「取材を加味して」 いて、ただし今回は 「自公で過半数」 と予想していますが、それって前回の逆張りしてるだけじゃないの?(笑)
「選挙報道記事のクオリティの低さに涙が出らあ。
こんな新聞記事はタダ読みで十分だ」
寅は放言した。
電話ではなく対面調査方式の時事通信世論調査。
議席予想ではありません。
石破内閣支持28%、発足時最低 比例投票先、自民26%・立民10%―時事世論調査
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024101700714
>選挙後に期待する政権の在り方を尋ねたところ、「自民党中心の政権継続」が45.3%、「野党中心の政権交代」が27.5%だった。
内閣支持率はかなり低めに出てますが、「わからない」が18P増で41%、判断保留が最多だったそうです。
自民の比例は厳しいかもですね。
記事の下方の画像リンクに政党支持率があります。
自民が微減、公明・れいわが伸びてますね。立憲と国民はそこそこ。
公明の伸びは自民ではない与党だから? 党首交代効果?