公職選挙法に風穴を開ける!?日本共産党の配布チラシ

公職選挙法という法制度に、風穴を開けられても困ります。著者自身が10月10日に入手した日本共産党のチラシでは、「2024年10月27日の衆院選」という文言こそないものの、衆院選小選挙区の候補者名とともに「比例は日本共産党」と明記されていました。これは若干グレーではあるにせよ、公選法が禁じる公示日・告示日前の選挙運動に該当してしまう可能性が高そうです。

公開資料をもとにした議論

当ウェブサイトでは可能な限り、「客観的に誰にでも確認できる資料」をスタート地点に議論を展開することを心掛けているつもりです。

著者自身、ジャーナリストではなく、単なる「金融評論家」であり、当ウェブサイト上の論考もともすれば机上の研究が多くなるわけですが、その分、「現実世界から遊離したひとりよがりな机上の空論」とならないよう、思考過程については可能な限り可視化なければならないと考えているからです。

もちろん、当ウェブサイトの記事のすべてが「100%、完璧にエビデンスを整えて、一分の隙もなく構成されている」というものではありませんが(というか、自分自身で読み返しても、記事の記載は穴だらけだと思います)、ただ、「公開情報」をベースに議論を組み立てるというスタンスは当ウェブサイトの基本形だと考えています。

しかし、稀に、そうでない場合もあります。

とくに、著者自身がどこかに出掛けて取材をして事実関係を確認した場合や、偶然何らかの物的証拠を入手した場合に関しては、それらをもとに記事を起こすこともあります。

公選法に「風穴あける」日本共産党のグレーなチラシ

その典型例があるとしたら、これかもしれません。

図表 著者自身が入手した「物的証拠」の例(クリックで拡大)

 

(【出所】2024年10月10日に投函されていたチラシ)

この「物的証拠」、興味深いのは表面のトップに大きく掲げられた「東京1区から風穴を開ける日本共産党」という記述です。

このチラシ自体、ある意味で公職選挙法に風穴を開けたものであるといえるからです。ぜなら、公職選挙法上は、選挙運動は公示・告示日(15日)から投開票の前日(26日)までしか行ってはならないこととされているからです。

公職選挙法第129条

選挙運動は、各選挙につき、それぞれ<略>候補者の届出、<略>衆議院名簿の届出、<略>参議院名簿の届出<略>又は<略>公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない。

今回のチラシも、「2024年10月27日の選挙」と、具体的な選挙名を特定している記述があるわけではありませんが、それでも選挙区が特定されており、かつ、「比例は共産党へ」という文言も確認できることから、限りなくグレーなチラシといえるのではないでしょうか。

法に風穴を開けられても困ります…

このあたり、昨日の『大企業内部留保4%課税=社民党』の冒頭でも少し触れたとおり、「選挙運動は公示日前にはできない」という法的な制限を、メディアも野党も軽視し過ぎです。

また、明らかな選挙違反が行われても、(とくに野党側に関しては)検察も警察も、ろくに捜査を開始しようともしない、というのは、大変に大きな問題ではないでしょうか?

ただ、「事実上取締が行われていない」からといって、公職選挙法をはじめとする法に大きな風穴を開けられても困ります。

というよりも、日本共産党の候補者(やその支援する候補者)といえば選挙違反の常習犯です。

実際、最近も今年7月に行われた東京都知事選に立候補した前参議院議員の齊藤蓮舫氏(※立憲民主党を離党済み)の陣営を中心に選挙違反が相次ぎましたが(『「3位以下で落選→選挙違反で摘発」の流れとなるのか』等参照)、これもその典型例でしょう。

(※余談ですが、あそこまで露骨な選挙違反の数々に対し、まったく摘発すらされないというのは、検察当局を筆頭に、日本の官僚機構が野党と完全に癒着しているという動かぬ証拠ではないかと思う次第です。)

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 引きこもり中年 より:

    毎度、ばかばかしいお話を。
    マスゴミ:「自民党の公職選挙法違反は悪い違反。共産党の公職選挙法違反はよい違反」
    マスゴミとしては強い者が苦しむのを見て留飲を下げているのでしょうが、ならばマスゴミが苦しむのを見て留飲を下げるのもありでは。

  2. クロワッサン より:

    こんなチラシで事前選挙運動する日共が、自民党と旧統一教会や未記載問題で自民党を責め立てるところ、意味が分からないんですよね

    1. 引きこもり中年 より:

      毎度、ばかばかしいお話を。
      共産党:「共産党は明日の支配者層だから、何をしても許される」
      そういえば、「今のうちに殺しておいた方が、その人のためだ」と言った(オウム真理教の)政党(?)がありましたね。

  3. カズ より:

    彼らにとっての日本国民は、もれなく課金党員か非課金党員です。
    彼ら曰く身内に対する活動は、公選法の及ばざるところなのかと。
    (=_=)=3

    1. ベル より:

      「課金」という表現がいいですね。
      現実の世界を相手にしているのではなく
      コンピュータゲームをしているみたいです。

  4. ベル より:

    変な趣味なのですが、次点で負けそうな候補者の選挙ボランティアに行っています。
    国政選挙、地方選挙の双方の経験がありますし、
    候補者も立憲民主党、共産党、保守系無所属、革新系無所属の経験があります。
    なお、過去にボランティアをした候補者は全て落選していますw

    共産党の選挙ボランティアにも行きますが驚愕してしまいます。

    歳を取ることを髪の毛に白いものが混じるなどと表現しますが、
    髪の毛で表現しますと………

    なんと選挙事務所にいる人の髪の毛がほとんど真っ白!
    黒い髪の毛の人はまぶしいくらいに目立ちます。
    (黒色がまぶしいというのはおかしいのですが)

    去年に私が選挙のチラシ折りをしていた際、
    2時間ほどで関係者が総勢15,6人が出入りしていました。
    その中で髪の毛が黒い人はたった3名でしたw

    うち、一人は現役の議員、もう一人は30歳くらいの方、それに私でした。
    30歳くらいの方は選挙事務所にパートで雇われている方のようでしたので
    ボランティアや運動員だけをみると髪の毛が黒い人(私だけ)は
    一割くらいしかいなかったということになります。

    こんなことをするのも彼らがすっかり老いてしまい追い詰められているからかもしれませんね。

  5. 農民 より:

     路傍の汚物をつい見てみたくなる感覚でポスター画像を見てみましたが、共産党の勘違い(というかミスリード)がよーーく滲み出ていて、汚物なんてレベルじゃありませんでした。

    >「自民党の政治はもう無理!限界!」。だけど「誰がやっても政治は変わらない?」そんなことはありません~~
     別にもう無理でもないし、共産党を始め野党がやっちゃったら変わらないどころか悪化が確定的なので、自民党が勝ち続けているだけです。そもそも「共産が伸びれば変わります」と書いてあるだけで「良くなります」とは書いていないのが予防線スゴイ。

    >新しい政治へ風穴を開けます
     風穴は倒す対象に開けるものであり、本来の意味は物理的で物騒なものです。”新しい政治に”風穴開けちゃいかんでしょ。

    >最低賃金1500円
     ウチ、今年はもう死ぬ気で賃上げしたのです。それが時給1500円。周辺では豪農でももう少し安いくらい。こんな零細経営者の死ぬ気の努力を最低ラインにしちゃうのですか……辞めてもらって規模縮小しかないです。からの

    >農家を支援し、コメの安定供給・食料自給率を向上
     最低賃金1500円のせいでこんなん無理だよ。そもそもコメの自給率は100%だからもう上がらないよ。120%分くらい作っておかずは諦めてコメ食え?農家も以外も干からびるよ。

    >父が過労死、3年かけて労災を勝ち取り、命と健康を守るには団結して戦う必要性を痛感
     守れてないよ。

     掻い摘みましたが、全項目にわたって反論したくなる内容なのはもはや狙っているのかと。低質ではあるものの頭の体操に良いですね、共産ポスター。

  6. 世相マンボウ_ より:

    まあ、日本のあまりに言論の寛容は
    オウム真理教と同じ公安指定の共産党を
    政党とまで認めてあげている優しさです。(^^)

    この問題でも明らかにアウトな日本共産党なのですが
    ただ、荒れた学校で校舎のガラス割る不良グループに
    それはだめだと諭しても
    「センコーの奴らと他の生徒みんなが悪いんだ」と
    態度を改めないのと同じ構図かと感じます。

  7. 元雑用係 より:

    公選法違反と思しき多数の現象が放置されていますが、今まで摘発していないからという理由かどうかはわかりませんが、捜査当局は放置。
    実は隠されたマスコミのお祭ネタ予備軍なんですよね。あるとき突然、自民党議員のその行為を「法令違反だ!」と採り上げて少しでも盛り上がればめっけもの。後はメディアスクラム+お祭。
    メディアが騒ぐと捜査当局も過去の公平性は置いといて、なんか対応しなきゃならなくなる。
    このサイクルもいい加減鬱陶しいです。もっと大事な問題にエネルギー使えよと。
    マスコミが健在なうちは続きますかねー。マスコミのせいもあるけど、マスコミ報道を真に受ける層の問題でもあるんだけど。

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