X

【囚人のジレンマ】令和のコメ不足はメディアも煽った

最近生じている流通段階のコメ不足を見ると、コロナ禍が深刻化し始めた直後のマスク不足を思い出します。マスク不足も悪質な転売目的の個人事業者(いわゆる「テンバイヤー」)や、不安に駆られた個人による買い占めが原因だったと考えられますが、これはアベノマスク配布が決定打となり、価格が暴落して収束しました。現在のコメ不足も同様に、備蓄米を放出すれば一気に落ち着く可能性がある反面、新米の流通時期を控え、備蓄米放出が難しいという事情もあります。

コロナ禍で生じたマスク不足

コロナ禍のマスク不足と悪質な「テンバイヤー」

コロナ禍が深刻化しつつあった初期、2020年2月頃から深刻化したのが、マスク不足です。

なぜこのような状態が出現したのかといえば、マスクを大量に買い占めて不当に価格を釣り上げて転売する、ネット上で「テンバイヤー」などと俗称される者たちがいたためだそうです。

内閣府ウェブサイトに掲載されている2020年3月9日付『第317回消費者委員会本会議』で配布されていたPDFファイルの資料によると、当時の小売価格は7枚で約370円程度(つまり1枚約50円ほど)だったマスクは、「個人事業主等」を通じ、不当に高い価格で転売されていたとのことです。

ケースによっては「1,000枚10万円」(つまり1枚100円)、「50枚8,000円」(つまり1枚160円)、あるいは「900枚166,000円」(つまり1枚184円)など、マスク需要の高まりと品薄状態につけこんで、一般消費者に対し、「ボッタクリ価格」でのマスク転売が横行したのです。

ただ、当時、マスクの供給が極端に不足していたという事実は認められません。

同資料によると、コロナ禍を受けて2020年1月以降、同資料作成時点(おそらくは2月末から3月上旬ごろ)にかけてのマスク発売枚数は約20億枚で、これは2019年における販売実績(9.4億枚)の2倍以上に相当する、としています。

結局はアベノマスクで価格は暴落した

しかし、それでも当時、マスクの品薄状態が続いていたのは、「インターネット経由の転売等が横行し、消費者が供給不安から必要以上に購入する事態が継続」したため、などとあります。

そして、同年3月には『マスク転売に懲役刑も!日曜日に政令が施行へ』でも触れたとおり、『国民生活安定緊急措置法』という法律に従い、衛生マスクに対する転売制限が課せられるなどの措置が講じられました(5月には消毒用アルコールにも同様の転売制限が課せられました)。

ただ、それでもしばらくマスク不足は解消せず、たとえば都内の薬局などでも、マスクなどを求めて多くの方々が早朝から並ぶなどの光景も見られました(※これについては著者自身も目撃しました)。

データなどで見れば、中国産のマスク供給などが一時的に滞っているなどの事情もあったにせよ、当時、日本国民のほぼ全員に行きわたるだけのマスクが生産されていたはずであり、どうしてマスク不足が生じるのかが謎といわざるを得ない状況でした。

ところが、この状態が大きく変わったのが、4月下旬ごろです。安倍晋三総理大臣(故人)が主導し、政府が各家庭にマスクを配布したからです(いわゆる「アベノマスク」)。

【速報】「マスク値崩れ」の兆候』でも取り上げましたが、アベノマスクの配布が始まるかどうか、といったタイミングで、それまでネット上で50枚8,000円前後などで販売されていたマスクが大量に店頭に並び始め、「50枚3,000円」、「50枚1,800円」など、どんどんと値崩れし始めたのです。

想像するに、このマスク不足騒動を主導したのは、大きく「転売目的に溜め込んだ個人事業者(いわゆるテンバイヤー)」と「メディアが煽ったマスク不足報道に不安感を覚えた個人」らによる買い占めだったのではないでしょうか。

買占め行動とコメ不足

囚人のジレンマ的に見た「買占め心理」

ただ、「テンバイヤー」の存在は論外として、「不安に駆られた個人がマスクを買い占めた行為」については、じつは、買い占めた人たちが一概に「悪い」とは言えません。

ここで思い出しておきたいのが、『人間の合理的な行動から考える「買占めをどう防ぐか」』でも説明した、「囚人のジレンマ」と呼ばれる著名な命題です(囚人のジレンマについては『【読者投稿】ゲーム理論と「韓国が協調できない理由」』などもご参照ください)。

仮に、こんな設例があったとしましょう。

設例

ある国は人口が10人で、この国の国民は毎日1人あたり1枚のマスクを必要としているが、この国では毎日12枚ずつマスクが生産されている

「人口が10人」、「毎日マスクが12枚生産されている」の部分に違和感があるという方は、適宜、「人口が10万人・マスクが12万枚」、「人口が10億人・マスクが12億枚」、などと読み替えてください。これはあくまでも「モノのたとえ」です。

自然に考えて、1日12枚マスクが生産されるのであれば、1日1人1枚、マスクが行きわたるはずですし、余った2枚を災害などに備えて社会全体で貯蔵することもできます。

しかし、この設例に、こんな条件を追加したら、どうなるでしょうか。

追加条件

この10人の国民はお互いにマスクを何枚買ったかという情報交換ができず、また、この国のメディアは『マスク生産が止まり、国全体でマスク不足が生じている』と報じており、あなたを含めた全国民はこの報道を信じている。

そして、このときにその国の国民は、次のA、Bいずれかの行動を取ることができるものとします。

  • 毎日、自分が必要なマスクを1枚だけ買い続ける。
  • マスクが手に入らなくなるのに備え、毎日3枚ずつマスクを買う。

もしあなたがこの国の国民だったら、どういう行動を取るのが合理的でしょうか。

行動Aが合理的なのに…人々は行動Bを取る

もし国民のすべてがAの行動を取れば、メディアが何をどう報じようが、引き続き、すべての国民にマスクが1枚ずつ行きわたり、在庫として2枚のマスクが残るはずです。したがって、全体最適の考えからすれば、個々人がAの行動を取ることが正解です。

個々人がAの行動を取った場合
  • マスクを1枚買える個人が10人
  • 売れ残ったマスクが2枚→社会全体で備蓄に廻る

しかし残念なことに、結論からいえば、もしあなたが経済合理的に行動する人であれば、Bの行動を取らざるを得なくなります。追加条件より、あなたは店頭に並んでいるマスクを見たときに、「いまここでマスクを買わないと、マスクが手に入らなくなる」と判断するはずだからです。

そして、社会全体でマスクが1日12枚しか生産されていないわけですから、国民10人全員がマスクを3枚買えるはず等ありません。早い者勝ちで10人のうち4人がマスクを3枚買い、残り6人はマスクを1枚も買えない、という状況が出現するのです。

個々人がBの行動を取った(あるいは取ろうとした)場合
  • マスクを3枚買える個人が4人
  • マスクを1枚も買えない個人が6人
  • 売れ残ったマスクは0枚

こうした考察からは、やはり物資の供給が不足していないはずなのに、流通段階で物資不足が生じるのは、メディアの影響というものを考えざるを得ないところです。

コメ不足もマスク騒動と類似:メディアなどが不安を煽る?

なぜ4年以上前の話をいま持ち出したのかといえば、最近、コメ不足が生じているからです。

東京都内のケースでいえば、主要な食品スーパーなどで、店頭からコメが払底しているケースが多く、コメを入手するにはかなり骨が折れる、といった状況が続いているのです。

(なお、著者自身の事情でいえば、コメは「ふるさと納税」で調達しているため、特段困っていませんが、これは特殊事例といえるかもしれません。)

ただ、これに関しては、果たして本当にコメ不足が生じているのか、ちょっとよくわかりません。時期的に見て、7月から8月の時期は、ギリギリで新米が流通し始める直前の時期であり、ということは、昨年収穫されたコメが流通しているはずだからです。

もしも現時点で生じているコメ不足が「収穫不足」によるものだとしたら、現時点でコメ不足が生じるであろうことは、遅くとも昨年秋ごろの段階で明らかになっているはずであり、逆にいえば、現時点で生じているコメ不足は、供給不足以外の原因によるものであろうと推測できるのです。

個人的には「南海トラフ地震」がトレンドにあがったあたりからコメ不足が慢性化し始めた気がしますが、災害への不安を煽るかのような報道をメディアが行っていなかったかについては、検証が必要なところではないでしょうか。

こうしたなかで、産経ニュースが月曜日に配信した記事に、興味深い指摘がありました。

「コメ不足」あおりすぎで品薄に拍車か 外食では深刻度低く、農水省「9月に解消見通し」

―――2024/8/26 14:27付 産経ニュースより

タイトルでもわかりますが、コメ不足が生じているのはおもに小売業が中心であり、外食産業ではコメの供給が不足しているという形跡はないそうです。

これについて、産経の記事では、こう指摘します。

マスコミが連日『令和の米騒動』などと過剰に報道すると、SNSで『コメが買えない』といった情報も拡散され、消費者の買い占めに拍車がかかった」。

この説明がコメ不足の正体を正確に言い当てている可能性は高そうです。

要するに、メディアなどが煽り、SNSなどを通じて人々の不安心理が増幅され、それが結果的にますます店頭からのコメ不足の原因を作っている、というわけです。このように考えていくと、マスク不足のときと、構造はそっくりに見えます。

備蓄米を放出すれば良いというものでもない

また、これに関し、大阪府の吉村洋文知事は、政府に備蓄米の放出などを求めたそうです。

「備蓄米なぜ出さない」大阪・吉村知事、コメ不足も慎重姿勢の政府対応に怒り

―――2024/08/29 11:17付 Yahoo!ニュースより【テレ朝news配信】

マスク不足がアベノマスクにより解消されたのと同じく、政府が備蓄米を放出すれば、それでコメ不足は解消されるに違いない、といった発想でしょうか。

ただ、この吉村知事の発想には、当ウェブサイトとしては賛同しかねるところです。

そもそも当ウェブサイト的な仮説によれば、このコメ不足はコメの供給量が不足していることにより生じたものというよりは、むしろマスコミ報道などが火をつけたようなものであり、そうだとしたらコメ不足の責任は政府にはありません。

また、例年だと9月頃から新米の流通が始まりますので、いまこのタイミングで備蓄米を放出すれば、コメの供給が過剰になったりしないでしょうか。

というよりも、大阪府知事という立場にありながら、メディアと一緒になって国民の不安をあおるような発言を行うこと自体、無責任ではないでしょうか。

さて、今回のコメ不足も結局のところ、以前のマスク不足と同じで、供給に不安はほとんどないにも関わらず、消費者がパニックになり、買い占めている、といった側面が強いのではないかと思います。

実際、著者自身の間接的な知り合いに独り暮らしの高齢女性がいらっしゃったのですが、その方のお宅では「コロナ禍で買い占めたマスクが数百枚のほか、ティッシュペーパー、トイレットペーパーが山のように積まれていた」、という事例を存じ上げています。

考えられる対策

ここで、先ほどのマスクの事例を思い出しておきましょう。

パニック的な供給不足を回避するためには、いったい何が必要でしょうか。

ここでは5つほど、モデルケースを考えてみます。

  1. 国民の間で、「他の人は何枚のマスクを買ったのか」という意思疎通が可能となる
  2. マスクの生産者が「『マスクの生産が止まった』というのは根拠のない噂だ」と発表する
  3. 賢明な国民が「合理的に考えてこの噂はウソだろう」と判断する
  4. 買占めに罰則を適用し、強制的な配給制を導入する
  5. 政府などが備蓄しているマスクを、一気に市中に放出する

今回のコメ不足の事例でいえば、コメの生産量は不足していないという点については、じつは政府からしばしばメッセージが出ています。先ほどの産経の記事でもわかるとおり、農水省は新米が流通し始める9月頃にはコメ不足が解消するとの見通しを示しているのが典型例でしょう。

しかし、メディアや吉村知事のような立場にある人物がパニックを煽れば、こうした政府当局のメッセージもかき消されかねません。

そうなると結局、転売禁止令や備蓄の放出などが一番手っ取り早いのかもしれません。

冒頭で指摘した「衛生マスク転売禁止措置」は4番目のものに、「アベノマスクの配布」は5番目のものに該当します。実務的に見たら、結局、これが有効だ、ということになりそうです。しかし、コメに関しては、迂闊に備蓄を放出すると、買い溜めている者たちだけでなく、生産者にも打撃が生じかねません。

やはり個人的に期待したいのは、せっかくSNSが普及している時代なのですから、個々の国民が賢くなり、「コメ不足は一過性のパニックだ」と冷静に判断し(上記2)、また、SNSなどで情報交換をする(上記1)、といったところではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (30)

  • 一番米在庫が少なくなる時期+災害による購入需要増加
    マスコミ「米が売り切れるぞー!そらー買い占めろー!」

    っていう形でしょう。
    一部のマスコミはこの状況にかこつけて政府の農業政策を批判していますが
    昨年は不作だった訳でなく、正常に行き渡れば何ら問題がないのであれば、農業政策について批判するのはお門違いというものです。

    備蓄の放出については反対ですが、一定の見せ米的な政策は必要だったと考えています。
    豊川信用金庫の取り付け騒ぎの際に安心させるために見せ金を用意した事例があります。
    大々的に放出するのではなく、一部でも大量にある米を公開&放出して
    民衆の不安を無くす、という事は必要だったのではないか?と思います。
    米があるのに政府は隠している!と思われかねないからです。

    • 駅田様

      そうなんですよね。
      もしお米が不足するなら、昨年の秋には確定しているはずなんですよね。
      もし昨年秋にわかっていたなら半年以上も経過した今頃は他国のお米を政府や商社が手配しているはずなので不足するはずがありません。
      南海トラフ地震への恐怖があったにしろ、なんで「足りない」「入手出来ない」
      の風聞が広まったのか社会学者にでも調査していただきたいくらいです。

      なんとなく「造り出されたデマ」が集約されて発信源も特定されそうな気もします。
      事態収束のやり方には一考の余地がありますね。
      結局余るお米が無下にされないように気をつけないと。

  • 私は備蓄米を出すことに賛成です。
    流通が足りているのであれば、「出すフリ」だけでもいいと思います。
    (実際に出す必要は無い)
    要は、プチパニックを鎮静化して、正常な流通に戻すことが大事であり、そのために市場に「いっぱい出回るぞ~」とアピールする事は決して悪いことではないように思います。

    逆に頑なに出せないのが、何か出せない理由があるのか、変に勘ぐってしまいます。

    しかし、今も昔もマスコミはろくでもないですね。記事を売るためならば社会を混乱に陥れても構わないというような姿勢が垣間見えます。

  • 熱を冷ますため、備蓄米放出に賛成です。
    買い占め家庭には恐らく米が数か月分、買い溜めされているでしょう。備蓄米放出で買い溜め熱を冷まし、買い遅れた消費者に供給しなければなりません。備蓄米は古米です。この際に備蓄米を新米に更新することもできます。

    • >「備蓄米なぜ出さない」大阪・吉村知事、

      個人的にはあんましお米を食べないこともあって、米不足の実感はなかったのです♪
      ただ、この報道を聞いて、最初に思ったのは、政府の備蓄米の放出を求めている間にも、自治体の災害対応用のお米(というかパックご飯)を放出しないのかな?
      ってことでした♪

      南海トラフ地震がいつ来るかわかんない中での放出は難しかったのかもだけど、そのための備蓄もある程度消費して回さなきゃいけないだろうし、良い機会だったんじゃないのかな?って思ったのです♪

      • 日本無宿様

        ごめんなさい。誤投稿です♪
        単独のコメントにするつもりが、日本無宿様への返信になっちゃいました♪
        (_ _;)

  • >考えられる対策

    (6)を付け加えるなら、懲罰的に、

    国民をマスク無しに曝した者たちを、
    国民にマスク無しで晒すことですね。(含むマスコミ)

    • 備蓄米放出の件。古米の流通は慎重にならざるを得ないのかもです。
      各戸に備蓄があるのであれば、すっかり売れ残りかねないからです。

      平成の米騒動時に緊急輸入されたインディカ米のようにですね・・。

  • 聞くところによると、9月半ば以降はその年の流通量の大半の米が出回り始めるそうですよ。
    ウチの米びつも残りが寂しくて嫁も頭を悩ませてたんですが、たまたま昨日近所のスーパーで1ヶ月分は買えたので難を乗り切ったと思っています。
    次に買うのは新米が出回り始めた頃だと思っています。

    • 元々需給は「やや」逼迫気味だったそうで、そこに最近小麦の値上げがあったので、パンから米に需要が移行した、みたいなことも聞きましたね。
      米がなくても他のものもありますし、一生米が食えなくなるわけでもないし、マスコミの煽りに乗って神経質になる必要もなかろうとは思います。

      農水省の公式HP見たんですが、米不足についての消費者向けメッセージ、今朝の時点では全然ないんですね。生産流通向けしかない。
      それもどうだかねぇ、と思います。

  • こんにちは。

    私は兼業農家で、先日無事お米(家で食べる分だけですが)を収穫しました。

    https://news.yahoo.co.jp/articles/a1fa8a3e4bbe581a022fa9d4eefdd1573deb1127←
    本当の問題はこの記事にあるのと同じだと私の父母は以前から言ってました。
    JAに行っても肥料や農薬を直ぐに買えない。最近はJAが「近くのホームセンターで肥料を買って下さい」と言ってます。しかも農機具の修理をまともに出来ません。

    それと春の田植えと秋の稲刈りの決定的な違いは春の田植えは多少雨が降っていても作業が出来ますが、
    稲刈りは田んぼがぬかるんでいると場合によっては重量のあるコンバインが動きません。またコンバインで籾(殻のついたお米の状態)を収穫する時雨が降っていたり籾が濡れているとコンバインの中で詰まり収穫できません(私は以前強行して何度も詰まらせました)。
    そんなわけで稲刈りが始まる頃は携帯で天気予報と常ににらめっこしています。

    それで秋は稲刈り→乾燥→籾すり(籾から玄米にする)順番なのですが、籾を乾かせる乾燥機の容量が稲刈りをした籾の量(田んぼが大きい)より小さいと例え稲刈りが出来ても乾燥を待たざるを得なくなりそれが稲刈りを遅らせます。

    それで先程の減反政策の影響でお米を作らなくなったことと、田んぼを他人に作ってもらう家が多いのですが何せ乾燥機の容量に限界があるため今回の台風10号みたいに雨が長引くと中々収穫したくてもできなくなりそれがお米の品質が落ちることに関わってきます。

    それに私の周りでお米を作っている年代が50代以上しか作っていなくて若い人は作っていません。これも減反政策の影響で、自分(親)が稲刈りで苦労をしてるから自分の子にはさせないといった家庭教育の影響もあると私は思います。

    秋の稲刈りはタイミングを一歩間違えると中々収穫が出来なくなりそれが精神目に悪影響を及ぼします。だから今稲刈りを待ってる農家の心境は自分には「明日は我が身」と痛いほど感じます。

  • 大阪の吉村知事の発言には口をあんぐり開けてしまいましたが、アベノマスクの成功事例を考えると、「それなりの根拠はある」のかもしれません。
    ただ、この話は、メッセージの出し方が大切であって、吉村氏のように「政府が悪い」というアピールに使うだけの騒ぎ方は愚策であると思っています。知事個人には利益に繋がるとの判断かも知れませんが。

    政府が期日を指定して「備蓄米の供給量を増やす」というメッセージさえ出せば、実際に供給量が増えていなくとも、騒ぎは収まりそうですが。

    メディアは絵を欲しがって、「売り切れた棚」を撮っていきますが、実際には流通量が薄くなっているだけで流通しています。スーパー2~3件に調査に行ったのですが、入荷数は若干減っているものの、商品は毎日入ってきているようです。ただ、品薄にして値上げをしているあくどいところもあったようで(注:入荷直後に、特別な棚を用意して煽り文句を付けて高値設定で販売していた。直ぐに売り切れたが、しばらくしたら補充された。意図的かは不明だが……)ため、正に米騒動といった感じになっていますね。

    政府からは9月から新米が出回るというアナウンスを出しているので、これで十分なのではないか、と、個人的には感じています。9月に入れば騒ぎは収まるのではないでしょうか。

  • >いまこのタイミングで備蓄米を放出すれば、コメの供給が過剰になったりしないでしょうか。

     なるでしょうね。米農家への補償に本来かからないはずの多額の税金を使っても良いというのであれば、まぁ。補償額自体だけでなく事務費も中々な額になり、米農家の資金回収も本来の売上日より遅れに遅れで生活に支障も出て、私には時間的にも効果的にも冗長に思えますが。
     この冗長というのが実に影響が大きい。新米はダブつきのせいで本来価値より安く少なく消費され、結局は備蓄米を間に合せで売ったがために浮きそうな分だけ新米が備蓄米にまわされる。消費タイミングや価値の変化があるため、プラマイゼロにはならないように思えます。

     この点アベノマスクも本来は無駄なのですが、実に効率が良く"目的に対して"はコスパが良く、何よりも即効性が凄まじかったのだと感じさせられます。
     マスクは新マスクとか古マスクとかで基本的には価値が変化しませんし。

  • 「合成の誤謬」という経済言葉があります。
    一人一人の行動としはは合理性があろうとも、それが社会全体へと拡大されるととんでもない悪影響を及ぼすことがあるという自戒を込めた言葉であると理解しています。一軒一軒の家が米不足に備え、まとめて普段の数倍もの米を買いだめなどしたら、日本全体では一時的とはいえ、米不足が生ずるのは、ある意味仕方のないことでしょう。

    私が今回米不足パニックが起きているらしいという噂を耳にしたのは、関西に住む親戚の叔母から、米がスーパーの棚から消えているのであちこちで40kg買い集めた、という連絡が嫁の母親に入ったときです。確かお盆の直前頃だったと思います。盆休み明けにいつも利用している米穀店に行っていつも通りの銘柄米を10kg購入しようとしたところ、その量の玄米がないと告げられ少々慌てました。

    しかし翌日には入荷できるという話でしたし、今後も我が家の分は確保してくれると云ってくれたので、今でもそれほど心配していません。むろん翌日には、いつも通りに新潟産こしいぶきを10kg購入できました。

    農水省に拠れば昨年の米作況指数は101でしたから、米市場の需給関係からすればそれほど不足することはないと考えています。昨今の物価上昇からすれば多少の値上げはあっても、米不足に陥ること自体異常なことではないかと考えています。

    けれども作況指数がかろうじてプラスというのも、なんだか心許ないような気もします。もう少し増産していただき、余剰分は輸出に回せるぐらいの余裕ある体制を整えるべきだとは思うのですが、昨今の農家の跡継ぎ問題などを考えると、これもまた難しいことなのかと些か暗澹たる気持ちになってしまう今日このごろです。

1 2 3