令和時代の結婚式の祝儀で「物議を醸す」渋沢栄一さん

結婚式の祝儀に渋沢栄一さん、これは相手に失礼だ―――。そんな主張が、ごく一部では出て来ているようです。ただ、一般的に三万円とされる結婚式の祝儀を、いつまでも福沢諭吉さんや聖徳太子さんに依存するのも無理がありますし、一万円札を使わなければ「割れる数」になってしまいますが、いったいどうするのでしょうか。こうしたなか、個人的に結婚式には良い思い出がないのですが、いっそのこと、コロナ後の結婚式は北海道スタイルも良いのではないかと思う次第です。

2024/07/14 0:01追記

書式設定で誤編集したため、「記事更新」と表示されてしまっていますが、記事内容については変わっていません。

渋沢さんを結婚式に包むのは「失礼」!?

新紙幣が発行されてから10日が経過しました(キャッシュレス生活を送る著者自身は、残念ながら、まだ新紙幣の現物を目にしていませんが…)。

こうしたなかで、『二十年ぶりの新紙幣を迎える日本』でも述べたとおり、新たな紙幣の「顔」は、一万円については『学問ノスゝメ』の執筆者で慶應義塾の創設者として知られる福澤諭吉氏から、実業家の渋沢栄一氏に交代することとなりました。

ところが、この渋沢栄一氏、実業家としても知られているだけではありません。

『ウィキペディア』によると、「妾が当たり前の当時としても異常な好色」とされ、生涯において少なくとも「妻妾を含めると総勢17人以上」の子供がいたとされていますが、さまざまなサイト等で調べても、正確な人数についてはよくわかりません。

こうした渋沢氏の経歴を踏まえ、X(旧ツイッター)では、「(不倫で知られる)渋沢栄一(氏が描かれた一万円札)は結婚式の祝儀としては不適だ」、といった趣旨のポストが相次いでいるようであり、『アベマタイムズ』もこれについて取り上げているようです。

「女たらし」コンプラ的にセーフ? “新紙幣の主役”に物議 結婚式では“福沢諭吉”を用意するのがマナーとの声も

―――2024/07/10 06:51付 Yahoo!ニュースより【ABEMA TIMES配信】

気に入らなければ、津田梅子さん×7で「素数」を演出しては?

もっとも、渋沢栄一氏の紙幣を祝儀にすることがコンプラ的に問題かについてのコメントは避けますが、それはさておき少子化の折、子だくさんの渋沢氏はむしろ「縁起物」、といった反論も生じているようです(この点についても、個人的にはノーコメント)。

あるいはどうしても気に入らない人は、まだ旧紙幣が流通している間は、祝儀は福沢諭吉さんや聖徳太子さんのものを使ったり、あるいは津田梅子氏や北里柴三郎氏の利用を検討したりすればよいのではないでしょうか(といっても、参萬円を津田、北里各氏で準備したら枚数が偶数になってしまいそうですが…)。

参考:聖徳太子氏

参考:福澤諭吉氏(旧)

参考:福沢諭吉氏(現)

(【出所」日本銀行)

この手の話、どこかのマナー講師さんなら喜んで飛びついてきそうな気もします。

なお、「どうでもよい」ついでに、ウルトラCで、津田梅子さん7名にご登場いただき、「割り切れない」かつ「素数」、というスタイルも素敵かもしれません(知らんけど)。

祝儀もペーパーレス化?

ただ、あくまでも個人的な感想ですが、結婚式の披露宴で祝儀(北海道以外の場合だと、一般には新札で三万円~、とされています)を包むというカルチャー自体、「ご祝儀のペーパーレス化」により曲がり角を迎えるという可能性はありそうです。

『festaria journal』というウェブサイトに2023年2月22日付で掲載されたこんな記事が参考になるかもしれません。

ご祝儀もキャッシュレスの時代?デジタル化するイマドキの結婚式事情を紹介

―――2023.02.22付 festaria journalより

同サイトによると祝儀のキャッシュレス化とは、結婚式の招待状に記載した専用のリンク・QRコードなどを使い、ゲストが事前に祝儀の決済を行うというもので、クレジットカードやデビットカード、各種電子マネーやQRコード決済などのさまざまな手段を活用可能、などとしています。

なるほど、これならたしかに、楽で良いかもしれません。

同サイトはメリットとして、主催者側は「現金の受け渡しが必要ないため、受付も不要」、「結婚式で大金を管理する必要がない」、招待客側は「祝儀袋や新札を準備する必要がない」、「欠席する場合などでも祝儀を渡すのが容易」、などとあります。

(※どうでも良いですが、「欠席する場合も祝儀を支払うことができる」というのは、果たしてメリットなのでしょうか?)

もちろん、キャッシュレスの場合は決済手数料の負担が必要である、などのデメリットもあるようですが、それでも祝儀の在り方としては、なかなかに興味深いものです。

結婚式に良い思い出がない不幸な人も…

なお、わりとどうでも良い話かもしれませんが、著者自身は他人の結婚式に、良い思い出がありません。

大学を卒業したばかりのころ、年上の同級生からいきなり遠方の結婚式に呼ばれ、しかも人生初の結婚式で司会もやらされたことがあります(もちろん、交通費、宿泊費、司会の謝礼等もなしに、です)。当時、往復の新幹線代、祝儀、ホテル代など、あわせて10万円弱は、手痛い出費でした。

当時は著者自身もまだ常識をよく知らなかったのですが、あくまでも一般的な社会常識に基づけば、遠方の招待客には新幹線代やホテル代などの一部または全部を負担するものですし、また、結婚式の司会を友人に依頼するときには、2~3万円程度を謝礼として相手に渡すことが多いのではないでしょうか。

また、ちょっと社会常識が怪しい従妹の結婚式が4月1日(しかも平日)に行われ、閉口したことがあります。

4月1日は、会計監査業務に従事する公認会計士にとっては棚卸実査などを行う重要な日付であり、また、多くの企業にとっての期初の非常に大切な日でもあります。企業や役所では、多くの場合、この4月1日に人事発令が行われます。

このように考えると、結婚式とはめでたいものかもしれませんが、式を実施する日付によっては友だちや親戚からの信頼を失うものかもしれません。

会費制結婚式の勧め

なお、これまでにしばしば指摘してきたとおり、結婚祝いと披露宴の御礼は、別物と考えた方が良い気がします。

一説によると、北海道の結婚式は会費制が主流で、たとえば『マイナビウエディング』の次の記事によれば、これは主催者が一律で会費を設定し、ゲストが指定された金額を支払うスタイルなのだとか。

札幌など北海道の結婚式は会費制が主流! 費用やマナーを解説

―――マイナビウエディングより

新郎新婦側は「お車代」などの準備が不要である、ゲスト側は負担額が少なく気軽に参加できる、などのメリットがあるようです(ただし、『マイナビウエディング』によると、北海道外からの招待客には「お車代」をせめて半額渡す、などの事例があると記載されています)。

いずれにせよ、コロナ禍で一時、結婚式や披露宴というカルチャーは絶滅しかけましたが、最近になってコロナ前のようなスタイルの結婚披露宴なども復活しつつあるものの、もしかしたら今後、結婚式の在り方も変わっていくのかもしれません。

一万円札の主役の渋沢栄一さんも、まさか令和の時代に他人の結婚式に自身の肖像が主役を飾る時代が来るとは思っていなかったのかもしれませんが…。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 愛知県東部在住 より:

    歴史人物の評価について、常々自戒していることがあります。

    それは現代の道徳観や価値観、ましてや法律に基づいて判断を下してはならない、ということです。当たり前の話ですが、福沢諭吉にしても渋沢栄一にしても、江戸時代後期に生まれた人です。当時は妾を持つことも、庶子をもうけることもなんら法律に抵触する行為ではありませんでした。むろん当時にしても、褒められた事ではなかったと思いますし、本人にしても多少は後ろ暗い思いはしたかもしれません。しかし、江戸期から明治或いは昭和の初期頃までは、そういう時代だったのです。そう言うしかないでしょうね。

    現在の法律や価値観の基準を以て、その行為を非難することは些か潔癖症的すぎると思わざるをえません。歴史的人物を評価するには、もっと大局的な視点をもって望まねばなりません。その人物が生涯に於いてどれだけの功績をなし、後世にどれだけの貢献を与えてくれたのかを、総合的に考えて評価する事こそ重要ではないかと考えるものです。

    これでは、渋沢栄一が行った朝鮮半島初の国立銀行の設立、および鉄道事業その他各種の経済支援を続けた功労を無視し、単に自国の歪んだ民族観からという立場からのみ非難する、かの国の情報弱者たちの短絡的反応となんら変わらない態度である、と言われても仕方ないでしょう。

    1. ドラちゃん より:

      渋沢が「妾をたくさん持った」のは事実だが
      聖徳太子も普通に妾持ってたし、福沢は福沢で「遊郭通いの常連」だったらしいから
      今の時代で「完全に白」な昔の偉人は、ごく少数でしょうね

  2. Masuo より:

    私もこれ、Xで見ました。
    読んでみて「アホらし」と思いましたw
    こういう指摘って、一種の魔女狩りみたいですね。

    ご祝儀で渋沢栄一のお札を受け取った時に不快に思う方は、是非とも私がもらって差し上げますので、連絡が欲しいものです。

  3. 農民 より:

     このマナーについて常々思いますが、諸々割り切った方がうまくいくのに大事そうなもんですけどね。願わくは割れないでというのはそうだし、人様の門出に「もう割り切れよ」はあんまりですけど。
     ついでにいえば、割れることを恐れて一生を合わない相手と付き合うより、割れるべきは早めに割れた方が良い時代に思えます。

     そういえば先日、ご祈祷料として五千円が必要になった際、あまりの五千円札の入手性の悪さに驚きました。神様は別に千円札5枚でもお赦しくださるそうですが。
     言葉遊びは楽しいものですし、気遣い心配りは大切だと考える方ではありますが、それによって実害が出るようでは如何なものかなとも思います。

  4. 敗残兵 より:

    金の管理が出来ない駄目人間だった野口英世が千円札になったときも「この人選は笑える」と思ったりしたものですが、「渋沢栄一を祝儀にするのが失礼」だなどというセンスはそれこそ失笑ものですわな。

  5. めがねのおやじ より:

    渋沢栄一氏が子だけでなく庶子が多いからと言って、今の感覚でモノを言うのは、いかがなものかと思います。「結婚式の御祝に相応しくない」。私がいただくなら喜んで頂戴しますが(笑)。

    渋沢栄一氏のような産業や金融で国の富を築いた富裕層は、10人以上の子供が居ても当時は特におかしくないです(妻、後妻、妾さん等)。またその頃は新生児から乳児そして子供に成長する迄に、早逝してしまう子ーー結核、伝染病、栄養失調等、現代では考えられないほど多かったそうです。貧しい者は生涯妻を娶れないケースもあり、だから人口は幕末期から日清、日露戦争頃迄は爆増しなかった。

    別の著名人で例を挙げますと、松下幸之助氏はどうでしょうか。昔ほどの企業としてのネームバリューもパワーも失いつつありますが(失礼な言い方ご容赦下さい)、パナソニック(旧松下電器産業)は「最高品質・庶民に手が届く日本の電化製品」というものづくりを、切り拓いた企業で、その創始者が松下幸之助氏です(自分でも回りくどい言い方やなぁと思いますが、ご存知無い方もいらっしゃるから)。幸之助氏もそういう話はありますし、書物で刊行されてます。でも、それだからと言って、お二人の功績に何らキズが付く事はありません。

  6. はるちゃん より:

    コロンブスの像が植民地支配や原住民の弾圧批判により、米国各地で撤去されていますが、渋沢栄一が女好きだったから反対なんていうのは屁理屈ですね。
    隣の国では「過酷な植民地支配者」だった渋沢栄一の起用に反対している方々が多いようですが。
    渋沢栄一に限らず、以前千円札で登場した女好きで有名な伊藤博文は今回5000円札で登場する津田梅子と出来ていたのではなんていう噂もあります。

  7. 一之介 より:

    福沢諭吉さんで思い出しましたが
    前回肖像を使うときに、今回のように某国から文句たらたら言ってきてたのでしょうか?この方、某国をボロクソ言っておられましたが。まあ、今更、どうでも良い話しですけれども。あっ、伊藤博文さんも、、、そう言えば、日本のお札の肖像には某国と馴染みのある方が多いですが、これはある意味、意趣返しでしょうか?多分、日本国としては数限りなく恩を仇で返されても、哀れみこそすれ、たいして恨んではいないと思いますけれども。知らんけど。

  8. クロワッサン より:

    >こうした渋沢氏の経歴を踏まえ、X(旧ツイッター)では、「(不倫で知られる)渋沢栄一(氏が描かれた一万円札)は結婚式の祝儀としては不適だ」、といった趣旨のポストが相次いでいるようであり、『アベマタイムズ』もこれについて取り上げているようです。

    『多様性』とか『多様な価値観』というポリコレ棒でぶっ叩いて黙らせるSJWが出て来そうなもんですが。

  9. どみそ より:

    1万円札が渋沢栄一になると 発表されたのは 2019年。5年も前のこと。
    何をいまさら 騒ぎを起こそうとしているのか 理解できない。
    日本下げの人たちが 扇動しているようにしか思えない。
    騒ぐんだったら 5年前から騒げよ。

    1. 星のおーじ より:

      >>騒ぐんだったら 5年前から騒げよ。

      日本下げの人達に、先を読んだ行動をするなんて無理難題でしょう。。。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告