「3位以下で落選→選挙違反で摘発」の流れとなるのか
「当選どころか2位も怪しくなってきたようだ」―――。現在行われている都知事選で、日本共産党などの支援を受けた、とある候補者が、無党派層に思った以上に浸透できずに苦戦しているとの話題が入ってきました。もちろん、選挙は水ものですので、結果は現時点で予想はできません。ただ、この候補者は落選するだけで終わりではないのかもしれません。今回の選挙で印象的なのは、選挙違反がますます露骨になっているからです。選挙違反は民主主義の破壊行為であり、犯罪です。絶対に許してはなりません。
目次
東京都知事選を制することのインパクト
当ウェブサイトでは普段、あまり地方選の話題は取り上げないことにしているのですが、七夕、つまり明後日に投開票を迎える東京都知事選については、しばしば取り上げてきたところです。
東京都知事ともなれば、やはり、権限も予算規模もかなり大きく(ちなみに東京都ウェブサイトによると2024年度予算における一般会計歳出総額は約8.5兆円です)、また、東京都の人口は2024年6月時点で14,177,173人で、日本の全人口の1割以上が集まっている計算です。
当然、野党側が推す候補者が東京都知事選を制すれば、野党にとっては勢力の大幅な拡大に向けた機運を醸成することにもつながりますし、(直接ではないにせよ)政権交代に向けての党勢拡大の追い風にできるとの目論見も生じて来るでしょう。
また、与党側にとっても、自分たちが推す候補者が敗退しようものなら、党勢の退潮の象徴ともなりかねません。
さらに、その惨敗の仕方によっては、政権を失うという事態をも懸念しなければならなくなる可能性もあるでしょう(とくに一部メディアは、自民系の候補者が落選したら、喜々として「国政への影響は避けられない」、などと報じるのではないでしょうか)。
一部陣営にとっては「困ったこと」になった
といっても、過去の東京都知事選では、1995年以降、自民党はほとんど独自候補を立てることができていません(石原慎太郎、舛添要一、小池百合子の各氏は元自民党所属の政治家ではありますが、いずれも自民党の都連などが主体的に擁立に動いたという形跡はありません)。
あくまでも個人的な印象ですが、かりに自民党が推薦(または支持)する候補者が都知事選で当選または落選したとして、一部メディアがさかんに宣伝するほどに、国政への悪影響がただちに生じる、というものでもないような気がします。
ただ、一部陣営に関していえば、なかなかに困った事態が生じつつあるのかもしれません。
今回、特定野党が推薦する候補者が、(あくまでも報道ベースによれば)かなり苦戦していると伝えられているからです。1位(=当選)どころか2位以下(=落選)、場合によっては2位にすら入らない可能性もある、とのことだからです。
もちろん、選挙は水物であり、最後の最後まで、どうなるかについては、正確には予測できません。
ただ、物事には「勢い」というものがあり、その候補者のこれまでの軌跡をたどることで、ある程度、その勢いを読むことはできるかもしれません。
この候補者、じつは過去には圧倒的な得票でトップ当選したこともあったものの、直近までの国政選挙で、得票数をどんどんと減らしていることもまた事実なのです。
2010年の参議院議員通常選挙では、立候補した東京選挙区(当時の定数は5人)で1,710,734票を獲得しましたが、これは投票総数6,097,768票のうちの28.06%に相当する圧倒的な得票で、しかも2位の候補者に2倍以上の差をつけ、圧倒的なトップ当選を果たしていました。
選挙では相当強かったわけですが、この圧倒的な得票が、選挙を経るたびに減っているというのも興味深いところです。
たとえば2016年の参議院議員通常選挙では、同じく東京選挙区(以降、定数は6人に増員)で1,123,145票と、相変わらず100万を超える圧倒的な票でトップ当選したのですが、得票数自体は前回選挙に比べて587,589票も減らしたうえ、得票率も18.05%と前回より10ポイント低下しました。
さらに、直近・2022年の参議院議員通常選挙では、東京選挙区での得票数は前回と比べ452,806票少ない670,339票、得票率も投票総数(6,295,764)の10.65%に留まり、しかも当選順位も自民党、公明党、日本共産党の各候補者に続く4位に留まってしまいました。
想像するに、東京選挙区は当選者数が6人ですので、この調子で票が減り続ければ、次回、つまり2028年の参議院議員通常選挙では、当選するために最低限に必要な得票数(約50~60万票程度)すら獲得できずに落選する、といったシナリオも現実味を帯びて来ているのでしょう。
「2位どころか3位も…」!?政治家キャリアの終焉の可能性
だからこそ、この人物は、いったん離党したうえで東京都知事選に出馬し、あわよくば当選して自身の新たな政治家キャリアを作るとともに、もし落選したとしても、2位で惜敗したら、そのまま区割り変更後の衆院選に出馬するか、自身の失職に伴う参院補選で再び議員に返り咲くつもりだったのかもしれません。
だからこそ逆に、有権者からの目が厳しいのではないでしょうか。
あくまでも報道等によれば、この人物は「無党派層」には思いのほか食い込めておらず、それどころか、一部の調査では2位どころか3位に転落する可能性すら視野に入っているのだそうです。
もしそうなれば、この候補者自身にとっても政治家としてのキャリアが、今回の都知事選によって無事、終了を迎える、という展開もありそうです。
(元)所属政党にとっても、この候補者が日本共産党と密接に結びついてしまい、支持基盤である連合との関係を踏まえると、今後は候補者として使い辛くなりますし、また、得票が思った以上に伸びなかった場合は、衆院・東京26区への鞍替えという構想も頓挫する可能性が出て来るからです。
あるいは、10月の参院補選での再出馬となった場合も、情勢次第では落選の憂き目にあうかもしれませんし、2025年の参院選では東京選挙区での候補者調整に難航し、全国比例での出馬を狙うかもしれませんが、この場合も同候補者(というか所属政党)の求心力の低下は免れないでしょう。
あるいは、この候補者が所属していた政党にとっては、最近、得票数も低下し、無党派層からも嫌われているこの人物を、うまく「厄介払い」するきっかけが東京都知事選だったのかもしれませんが…。
選挙違反はますます露骨に!
これに加えて今回の選挙で印象的なのは、選挙違反がますます露骨になっていることではないでしょうか。
やはり、この候補者が日本共産党と結びついたこともあってか、事前運動、戸別訪問など、選挙違反のオンパレード状態です。
たとえばこの人物、告示日(6月20日)よりもかなり以前の段階である6月2日に東京・有楽町の駅前で、土砂降りの雨の中、屋根の下で雨宿りをしていた都民らを追い出し、その屋根の下の場所で街頭演説を行っています(『「びしょ濡れ聴衆」が象徴する政治家としての立ち位置』等参照)。
これについては告示日以前の選挙運動、すなわち公選法が禁止する「事前運動」に該当し(同第129条)、仮に起訴されて有罪判決を受けた場合には、1年以下の禁固か30年以下の罰金を科され(同第239条第1項第1号)なければならないはずです。
公職選挙法第129条(選挙運動の期間)
選挙運動は、各選挙につき、それぞれ第八十六条第一項から第三項まで若しくは第八項の規定による候補者の届出、第八十六条の二第一項の規定による衆議院名簿の届出、第八十六条の三第一項の規定による参議院名簿の届出(同条第二項において準用する第八十六条の二第九項の規定による届出に係る候補者については、当該届出)又は第八十六条の四第一項、第二項、第五項、第六項若しくは第八項の規定による公職の候補者の届出のあつた日から当該選挙の期日の前日まででなければ、することができない。
公職選挙法第239条(事前運動、教育者の地位利用、戸別訪問等の制限違反)第1項
次の各号の一に該当する者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第百二十九条、第百三十七条、第百三十七条の二又は第百三十七条の三の規定に違反して選挙運動をした者(以下略)
もしもこの候補者が一連の選挙違反で有罪判決を受けた場合は、公選法第252条第1項・第2項の規定により、基本的に、罰金刑に処せられた場合は裁判が確定した日から5年間、禁固刑に処せられた場合は刑の執行が終わってから5年間、公民権が剥奪されます。
選挙違反の通報の仕方
そして、以前の『選挙違反の通報方法を警視庁の窓口に電話で聞いてみた』などでも説明したとおり、著者自身が実際に警視庁に問い合わせを行ったところ、担当の刑事さんの反応から推察するに、選挙違反の通報がかなり相次いでいることは間違いなさそうです。
というよりも、私たち有権者の側も、もしも選挙違反の現場を目にすれば、それを積極的に通報するようにしたいものです。
幸いながら、選挙違反の通報は、スマホやネットで気軽に誰でも行うことができます。
たとえば110番通報だと通話料は無料ですし、ネットにつながる環境だと、たいていの都道府県警察本部において、ネット通報を受け付けています(警視庁の場合だと「匿名でも構わないので情報はたくさん寄せてほしい」とのことです)。
改めて、代表的な方法をまとめておきます。
選挙違反を直接目撃した場合、あるいはその場所がわかる場合
→その場で110番をするなどして警察を呼ぶ、あるいはその場所を管轄する警察署の刑事課に通報する
選挙違反が行われた場所がわからない場合
→警視庁捜査二課・選挙係に通報する
インターネット上で選挙違反の証拠を発見した場合
→『情報提供先一覧』の『その他の事件・事故に関する情報提供』からメールにて情報を提供する
ネット通報の詳細
やはり、これらのなかで一番確実なのは110番通報であると思われます。
ただ、昨今のように、選挙違反の証拠がインターネット上にもばら撒かれているような場合は、むしろ、私たち個人レベルでも、警察の捜査に協力できる可能性があります。それが、ネット通報です。
東京都で行われている選挙に関連する違反をインターネットで通報する場合は、まずは警視庁の『その他の事件・事故に関する情報提供』のページにアクセスしてスクロールし、「件名」、「確認事項1」、「確認事項2」、「お名前」、「ご住所」、「電話番号」、そして「概要」を入力する画面を出します(図表)。
図表 通報画面
(【出所】警視庁ウェブサイト『事件・事故に関する情報提供』)
警察に通報するには上記のフォームをすべて埋める必要がありますが、その際、「確認事項1」については、東京都内のものであれば「東京都内の事件・事故に関する情報提供」にチェックを入れます(東京都外のものについては管轄の道府県警への通報をお願いします)。
そのうえで、「確認事項2」については「上記以外の緊急性のない情報提供」にチェックを入れ、さらに「お名前」「ご住所」「電話番号」を入力します。
ただし、名前を警察に知られたくないなどの人は、匿名でも構わないとのことですので、この場合は「お名前」欄に「匿名希望」、住所欄はお住まいの都道府県(たとえば「東京都」)を選んだうえで「非開示」とでも入力し、電話番号は「00000000000」とでも入力すれば、問題なく通報を受け付けてもらえます。
また、通報する際にの留意点は、「違反している証拠」を送ることです。
その際、たとえば自身が撮影した写真・動画などについては、メールフォームで添付することはできませんが、もしも現実的には問題の写真、動画などが投稿されたX(旧ツイッター)のポストなどがあれば、そのURLなどを、メールフォームに張り付けるのが最も現実的でしょう。
この点については警視庁の担当官も電話口で著者に対し、「(警視庁のメールフォームだと)画像や動画などを送ることはできないため、捜査当局の方から手繰れるように、Xのポストなどの客観的なURLがあると助かる」とおっしゃっていました。
ちなみに担当官によると、通報するにあたっては明らかな選挙違反である証拠を万全に整える必要はなく、単純に「これ、違反じゃないの?」と思う、というようなレベルでもかまわないそうです。
また、自分が直接、選挙違反の現場を目撃したわけではなくても、ネット上で投稿されている動画や画像、あるいは行動などを見て、「これ、選挙違反では?」と思った場合には、遠慮なく通報して良いのだそうです。
発見したら都度の通報にご協力を!
実際、著者自身も複数の政治家らによる選挙違反の事例を発見し、その都度、警視庁に通報しているのですが、なかにはポストを消して逃亡する者もいますので、とにかく警察に証拠をバシバシと集めることが必要であることはいうまでもありません。
選挙違反は私たちが暮らす民主主義社会を根底から破壊しかねない犯罪行為でもあるため、「選挙違反を許さない」という気持ちを持つならば、通報はむしろ一般市民の義務だともいえるでしょう。
ご賛同いただける方のご協力をお願い申し上げます。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
今回の東京都知事選挙は56人も立候補しました、そのため、マスゴミは全員を公平に扱うことができません。そのためか、記者クラブが立候補4人を選んで討論会を開催しましたが、もし、この4人のなかで5位以下に落ちることがあったら、この記者クラブの選び方に問題があったことになります。(5位以下と予想された候補が上がってくることか、4位までと予測された候補が落ちることになるのかは分かりません)
蛇足ですが、5位で落選した候補が、マスゴミの扱い方に文句をつけだしたら、どうするのでしょうか。
別に一位じゃなくても彼女は一向にかまわないのではないでしょうか。
2位は次点なので、万が一すごく早く総選挙があって都知事が鞍替えしたときの繰り上げ当選者になります。
そういう立場だと選挙違反摘発も若干手心があるかもなと思ったり。3位ならそういった政局に影響せず遠慮なくいける。
そんなとこかも。2位じゃなきゃダメなんです笑
首長の場合、
『当選者と同数の票を獲得してくじの結果落選した人がいた場合は、当選者の辞職等で任期中に欠員が発生した場合繰り上げ当選の対象になります。』
ということのようです。
>うまく「厄介払い」するきっかけが東京都知事選
先日紹介した江崎道朗氏の動画では、小池氏に対抗馬を出さない自民党も同じ構造だと言ってました。
ところで、これは2年前の麻生氏のインタビューだそうです。↓
https://x.com/mi2_yes/status/1808389707606511805
前回の自民党総裁選で河野太郎候補が石破茂と連携したことについて2022年のインタビューで、麻生太郎副総裁「政局がわかってる人が秘書官にいれば石破の部屋に入っていこうとしたら、止めるでしょうね。『石破の部屋には行っちゃいかんですよ』って。石破がついたら増える票もあれば減る票もある」
—
1+1=2にならないケース。
あの特定候補は表明後いの一番に共産党本部に挨拶に行ってました。カメラを入れて。
常日頃ツイッターのアンチのアカウントをブロックしまくるなどで、アンチの存在を頭からは消し去っているかのようですが、頭から消し去るのではなくてアンチの存在を受け止めてどうするか考えないと、一位じゃなきゃダメな選挙は勝てないんじゃないですかね。
次の総選挙で大田区あたりの新選挙区を狙ってるらしいですが、小選挙区なんですよね。
下にコメントさせていただきました。
m(_ _)m
↓↓↓↓
>石破がついたら増える票もあれば減る票もある
彼って、選挙における負け参謀。
居るだけで勝ち筋を失くす御仁。
「彼が憑いたら負け」は、もはやジンクス。
八方美人だし、結果論ばかりだしね・・。
今風に言うと「逆神」というのでしょうか。
アンチの多い人や団体にはそれなりの理由がある・・・
逆神様と呼びなさい
仮にも神様に対して無礼であるぞ
政治家の最低限の責務「説明責任を果たす」
高齢女性候補の現職の方も、この記事の方も、
討論会から逃げてばかり
一度だけ出席しましたが元市長の方に論破されてからは逃亡戦略に切り替え
都民に判断基準を示そうとしないのはどうなんでしょうね
組織票に頼る選挙なんて政治離れしか生まないと思いますが
3位でも十分良いのではないでしょうか?
3番手に入れば大したものですよ。メダリストです。
その後はしらんけど。
件の某候補者も、やたら沢山スポンサーがついているもう一人の2~3位候補も、
1位以外は相当マズいんじゃないですかねえ?
前者はいい加減政治家としての寿命が尽きそうですし、元所属していた党と
疎遠になって実質的に共産党所属になってしまうのはかなり危険でしょう。
後者はあれだけお金をかけたのに結果を出せなかったら「許される」のか?
と言う素朴な疑問が……スポンサーだって対費用効果は重視するでしょうし。
一番手だと、文句なしの「ウイナー!」
二番手だと、衆議院に転進の目が残る、「セカンドウイナー」
三番手だと、共産党へ転身の他はない、「ダメだぁ・リスト」
*その後だと、お豆さん(THEえんどう)なのかもですね・・。
R4は実に奇妙な前例のない立場で選挙戦に参加していると思う
初手、手口バラエティ豊かな事前運動(個人演説・支援者のポスター貼り動員等) 続けざまに応援団のによる別訪問やむしろ逆効果な超ニッチ支持層への過剰なリップサービスと一般有権者の逃避
やる事なす事裏目に出て、演説内容も逐一ツッコミの嵐
特に応援団が酷すぎた 後ろ弾を乱射しているかのような公選法違反行為の数々で候補者本人の実力やコネの残念さを証明してしまった 落選請負人は叩っ切ってやるのY氏から貧困調査官のM氏に交代したようだ
2位でも3位以下でも、投票日前後どちらのタイミングで摘発されても面白くおいしいばかりか、どう転んでもネタになってマスコミの要介護5相当の支援を受けられる良いご身分だ
さきほど、秋葉原駅で最終日の街頭演説を見送ってきました。
老婆心ながら、選挙運動期間中と投票日とでは、規制されてる内容が違うらしいので、
「これは書くな」
てのがあれば、新宿さんの護身用として通知なさっておくのがよいかと。
ぼくも詳しくわかってないのですが、
「えっ、そんなことまで?」
投票日当日はいかん、とか。
都市伝説の流布であったならゴメンナサイです。
CRUSH 様
お気遣いありがとうございます。
当ウェブサイト開設以降、都知事選を3回、大型国政選挙4回経ていますので、公選法対策におけるそれなりのノウハウはあるとは思いますものの、新たな読者の方も増えていますので、違法行為とならぬよう、最大限留意したいと思います。
引き続きのご愛読並びにお気軽なコメントのほど何卒宜しくお願い申し上げます。