立憲民主党「パーティー禁止法案」はどこに行ったのか

泉健太代表の「3つの提案」に含まれていないパーティー禁止法案

例の立憲民主党の「パーティー禁止法案」、どうなったのでしょうか。立憲民主党はパーティー禁止法案を提出しておきながら幹部らのパーティーが続いているなどとして批判され、同党の小沢一郎氏からも「(同党幹部らは)頭がおかしい」とする批判が出たそうですが、そういえば泉健太代表も25日以降、Xで「パーティー禁止」に言及していないようです。

立憲民主党「パーティー禁止法案」巡る混乱

先日の『立憲民主党のパーティー禁止法案を巡る「混乱」は続く』でも取り上げた話題が、立憲民主党の「パーティー禁止法案」です。

個人的に、政治資金パーティーにはさまざまな歴史的経緯もあり、むしろ立憲民主党などの野党側にとっても都合が良い資金集め手段ではないか、などとは思いますが、同党のパーティー禁止法案は同党としてのパーティーからの決別宣言のようなものであり、その意味では同党のスタンスを尊重するのが筋でしょう。

ただ、このパーティー禁止法案を巡る同党の姿勢は、言行不一致の極みです。

経緯を簡単に振り返っておくと、立憲民主党自身が国会にパーティー禁止法案を出しておきながら、立憲民主党の議員もパーティーや朝食会、昼食会などを開催する予定であることが相次いで判明。おもにネットなどで同党に批判が殺到しました。

これに対し、当初は「自分たちの手を縛ると競争にならない」、「法律が(国会を)通ったら(パーティーを)やらない」などとして、ただちにパーティーを禁止するつもりはない、などとする立場を示していました。

小沢一郎氏も「頭おかしい」と批判

しかし、これも冷静に考えたら、おかしな話です。

「政治資金集めのパーティーを禁止する法案を国会に提出する」ということは、自分たちが「政治資金を集めるためのパーティーは禁止しなければならないことだ」と考えているからであるはずですし、自分たちでその法案を提出しておきながら、自分たちはパーティーを続けると宣言しているからです。

実際、同党のパーティーを巡る姿勢を巡って、なんと、内部からも批判が出て来ています。

小沢氏、立民幹部は「頭おかしい」 パーティー開催問題で批判

―――2024年05月28日18時24分付 時事通信より

批判したのは立憲民主党の小沢一郎衆議院議員で、国会内で28日、記者団に対し、「頭がおかしいのではないか」、「法案を出したのだから、その時点で(開催は)なしなんだよ」と述べたと伝えられています。

幹部のみパーティー自粛を表明

また、世間からの批判を気にしたのか、パーティーを予定していた立憲民主党の議員のうち数名はパーティー中止を発表。立憲民主党自身も27日の執行役員会で、「党幹部の政治資金パーティー開催を当面自粛することを確認した」と報じられています。

立民、幹部の政治資金パーティーは当面自粛 自身も開催予定だった岡田克也幹事長「国民に疑念、党として方針示した」

―――2024年5月27日20時10分付 東京新聞TOKYO WEBより

あれでしょうか。

批判されるまで、自分たちの言行が不一致を起こしているという点について、おかしいと思わなかったのでしょうか?

不思議でなりません。

しかも、「自粛する」のはあくまで「幹部のパーティー」であって、一般の議員のパーティーではなさそうだ、というのがまた興味深い限りでもあります。

泉健太氏はパーティーに言及しないのですか?

ただ、この一連の流れの中で、さらに興味深いのは、立憲民主党の泉健太代表がX(旧ツイッター)にポストした、こんな話題ではないでしょうか。

泉氏は政治資金規正法改正を巡って、立憲民主党と野党各党が▲企業・三泰献金の禁止、▼政策活動費の全面開示、▼政治家本人の連座制強化――の3点を中心に、修正を求めている、などとポストしたのです。

ここに「パーティー禁止」が含まれていないのは、興味深いところです。

もちろん、泉氏のこのポストは「立憲民主党と野党各党」が主語であるため、ここにパーティー禁止が含まれない理由は「パーティー禁止法案が立憲民主党の単独提出だからだ」、という説明は成り立ちます。

ただ、もしそうだとしたら、泉代表はもうひとつ、「立憲民主党と野党各党が求めている」内容以外にも、「我々はパーティー禁止も求めています」、と、ひとこと付け加えたら良いだけの話ではないでしょうか。

ちなみに5月30日までの時点において、泉健太氏がXでパーティーに言及したのは、5月25日付の次のポストが最後です。

いっそ「丸呑み」しては?

いずれにせよ、パーティー禁止法案を巡って、立憲民主党は「フェードアウト」モードにでも入っているのかもしれません。個人的な予想では、国会会期末までにこの法案が廃案となれば、「ほとぼりが冷めた」とばかりに、立憲民主党の各議員は大っぴらにパーティーを再開するのではないか、などと見ている次第です。

ただ、ここでふと思ったのですが、もしも自民党側がこの立憲民主党の「パーティー禁止法案」を「丸呑み」したら、いったいどうなるのでしょうか。

もしかして「パーティー禁止はケシカラン」などと大騒ぎするのでしょうか?

個人的に、ちょっとだけそれを見てみたい気もするのですが…。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. KN より:

    簡単に廃案にせずに、興味あるフリをして塩漬けにしてイジり続けることはできないのでしょうか。

  2. いつもは傍聴者 より:

    今国会の会期末に、立憲民主党は、パーティ禁止の政治資金規正法改正案を廃案にすることを目ざして、自由民主党は継続審査にすることを目ざして、立憲民主党は、そうはさせじと同法案を取り下げるのでしょうかね?

  3. 匿名 より:

    立憲民主党はルールを守ってパーティーでしょ

    自公がカルトなのは宗教を運動員、貧しい人を殺す勢いのお布施で金掛けない選挙の癖に私腹を肥やしてるところ

    あんたらは疑惑中の自民党パーティー批判したことあるのか?

    買収選挙不正選挙は自公カルトの常套手段

    頭膿んでないかい?変更過ぎるよ

    1. KN より:

      匿名さん
      立憲民主党の法案は「悪いパーティーを禁止する」ではなく「パーティーそのものを禁止する」ものなので、あなたの主張は詭弁です。

    2. 新宿会計士 より:

      読者の皆様へ

      ご自身の見解と異なるコメントだという理由で公序良俗に反する罵詈雑言コメントを書き込んでいるケースが検出されましたが、そのようなコメントは当ウェブサイトの品位を貶めることに繋がる行為ですので、厳に謹んで下さい。

      かかる罵詈雑言コメントが酷い場合には、さらなる措置を講じます。

  4. 匿名 より:

    偏向過ぎるの間違い

  5. 匿名 より:

    創価学会公明党と自民党の極悪ぶりを知ってください

    20年前にここまで酷かった

    https://blog.goo.ne.jp/c-flows/c/624cb8339ed1fc0cde656a88f1cbbd46/0

  6. 匿名 より:

    自公政権の正体四十程の記事を読む事で↑

    いかに異常な関係かを知れます

    1. 新宿会計士 より:

      読者の皆様へ

      ご自身の見解と異なるコメントだという理由で公序良俗に反する罵詈雑言コメントを書き込んでいるケースが検出されましたが、そのようなコメントは当ウェブサイトの品位を貶めることに繋がる行為ですので、厳に謹んで下さい。

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  7. hiro より:

    他人がすれば浮気、自分がやると「ロマンス」

    与党がすれば「悪いパーティー」、野党ががするのは「会合」・・

  8. 匿名 より:

    立憲民主党は法案作る前から予定していたパーティーだったし予定通り開いた、これで最後だからとでも言えばまだ言い訳たちそうかな…。
    しかし万が一パーティー完全禁止法案が成立したらどう守っていく気だったんだろうか?
    自分らのはパーティーじゃない、夕食会ですとか言葉遊びするんですかね?記載漏れとか言ってたみたいに。
    いまだにマスコミに協力してもらえばそれがやっていけるとか思ってるとしたら逆にもう凄いですな、普段どんな情報を取り入れて生きているのかと…

  9. クロワッサン より:

    立法に携わる者の遵法意識が問われる二重国籍問題を突かれたら、

    差別だヘイトだと論点を逸らして被害者コスプレした蓮舫が代表を務めたようなグループだから、

    まともな価値観の人間なんてグループから弾き出されて当然なんじゃないですかね?

  10. taku より:

     立憲民主党がどうなろうと、日本の大勢には影響がない。
     自民党が、国民の意向を見誤れば、総選挙で負けかねず、国政が混乱する。
     今なすべきことは、政治資金規正法の改正に向けた与野党の修正協議で、自民党が出した案を批判することだ、と私は思う。国会に呼んだ専門家が良い意見を提案しているのに、全く反映していない。
     国民の自民党への批判が、都知事選における小池敗北ぐらいで収まるなら良いけれど、それはあまりにも楽観的すぎる観測(蓮舫も大嫌いだけど…)。岸田退陣でも、大丈夫なのかすら心配。

  11. 駅田 より:

    見事なブーメラン芸に毎度感服します。

    世襲を非難しながら世襲候補出す
    裏金を厳しく非難してるのは裏金を作っていた議員

    嘘をつける人が政治家でいていいのか?ととある立憲民主の議員が言っていましたが
    どうして二重国籍の嘘をついてきた方が議員を続けられるのでしょうか?

    自民党がいくら酷かろうと、対立する野党第一党がこの有り様では
    国民の不幸です。

    一般の新聞やテレビで二重国籍問題など果たして取り上げられるのでしょうか?
    ネットメディアだけでしょうか?
    野党の不都合は報じないマスコミに価値はありますでしょうか?

  12. 雪だんご より:

    今回の立憲民主党のグダグダっぷりはあまりにも見事過ぎて、いっそ
    「わざと支持率を下げようとしている」のではないかと疑いたくなる程です。

    (アンチ自民の)野党支持者はこういうのを批判しませんからねえ。
    少しでも野党を批判したら自民党支持者だと見なされるのを恐れているのでしょうか?

  13. 日本人です より:

    何故政治家は金が欲しいのか?つたない私の考え
    地元での政治活動費用が一番多いのかなとの印象が有ります
     事務所運営費、秘書、選挙費用(ビラ貼り等)
    地元からは顔を出せ、祭りに祝儀、慶弔費、等により顔つなぎと御用聞きを求められる
    ここで宗教、労働組合、活動家がバックにいる場合相当程度上記費用は不要となる
    つまり議員個々の事情は異なり政治活動費用が違う
    パー件規制だけをすれば良いと言うものではない
    先ずは外国勢力の排除を今回の政治資金規正法を盛り込むのが良いと思っています。
    違反者には議員席はく奪でしょう

  14. deinei より:

    まあ、2009年から始まった民主党政権で既に、企業団体献金廃止は立派にマニフェストに含まれてましたけどね。
    これは埋蔵金の財源を気にせずに達成できる公約でしたが、なぜか民主党政権が倒れるまで放置されてました。
    ちなみにその時の民主党幹事長が、今話題になってる岡田克也です。
    要は「自分が与党の立場だとパーティ券の収入はおいしいので、野党の時だけ有権者にアピールして集票に利用する」というのが立憲議員の本音ではないでしょうか?

    1. KY より:

       本気で「政治とカネの問題」を解決する気など立憲民主党には更々無いからこういうダブスタなスタンスを平気で取れるのでしょう。
       所詮は自民の政治資金を枯渇させたいと言う下劣な目的しかありません。

  15. ドラちゃん より:

    政党禁止法だったら凄い話なのに
    単に宴会禁止かいな
    つまらん話だ

  16. WindKnight.jp より:

    「選挙互助会」は伊達ではないなぁ。
    入管法のときもそうだけど、統制が取れてないんだよね。
    こういう人たちに政権が渡ると、混乱して碌なことにならないのは、証明されているわけで。

  17. カズ より:

    ・能登半島災害時における党幹部現地入り
    ・禁止法案提出後のパーティー開催(未遂)
    ・「5年で政権獲得を目指す発言」の撤回
    ・党幹部によるパーティー開催の禁止措置

    鑑みれば泉代表に際立つのは、統率力の無さと小沢氏へのレスポンスの良さ。
    パワーバランス的には【小沢氏>福山体制時からの党幹部>泉氏】なのかな?

    ・・とも思ってたら、泉代表って福山氏の元秘書やったんやね。ふ~ん・・。

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