日米首脳会談と中国外交部報道官「わかりやすい反応」
中国政府というものは、自国にとってなにか都合が悪いことがあれば、そのことを「それは自分たちの国にとって都合が悪い」とわざわざ述べてくれるので、本当にわかりやすい国だと言わざるを得ないと思います。日本政府だと「外国首脳の発言ひとつひとつにコメントはしません」などと逃げるところですが、中国政府にはこうした芸当ができないようなのです。
巷間では、中国のことを「油断ならない国」、「注意すべき相手国」、などと呼ぶ人が多いような気がするのですが、「中国ウォッチャー」のひとりとして申し上げるならば、中国という国はそもそも、そこまで賢い国であると言えるのかどうかは微妙だと思います。
その理由は簡単で、「反応がわかりやすすぎる」、という点にあります。
そのヒントは、たとえば中国の外務省に相当する「外交部」の毛寧(もう・ねい)報道官の発言で見るだけでも明らかかもしれません。
2024年4月11日外交部发言人毛宁主持例行记者会
―――2024-04-11 19:30付 中国外交部HPより
中国外交部ウェブサイトの4月11日付記事によると、NBCの記者は毛寧氏に対し、岸田首相が「米英豪3ヵ国パートナーシップへの参加が可能」などと述べたことに関して中国の見解を質問。これに関して毛寧氏は、次のような趣旨の内容を金耐えたのだそうです。
「米国と日本は中国の深刻な懸念を無視し、台湾や海洋などの問題で中国を中傷し攻撃し、中国の内政に重大な干渉を行い、国際関係の基本規範を著しく侵害した。中国は強い不満を抱いており、断固として反対している。これを厳粛に関係者に表明した」。
「日米関係は他国を標的にしたり、その利益を損なったり、地域の平和と安定を損なったりするべきではない。中国は冷戦時代の考え方を堅持し、小集団政治に従事する慣行に断固として反対し、紛争を引き起こし激化させ、他国の戦略的安全保障や利益を損なう言動に断固として反対する」。
「東シナ海と南シナ海における中国の活動は国際法を完全に遵守しており、非難の余地はない。釣魚島およびその付属島嶼は古来より中国固有の領土であり、中国の主権を侵害する不法行為に対しては断固として対応する」。
「米日両国は事実と真実を歪曲し、中国の領土主権を著しく侵害し、国際法と国際関係を統治する基本規範に重大に違反しており、地域の平和と安定に対する真の脅威である。中国は常に世界平和の構築者であり、世界の発展に貢献し、国際秩序の擁護者であることを強調したい」。
…。
なんだか、悪い冗談を見ている気がしてなりません。
中国の東シナ海や南シナ海における行動を見ている限り、中国こそが「国際秩序の積極的な破壊者」ではないか、といった疑念は払拭できないからです。
ちなみに産経ニュースに11日付で掲載された次の記事によると、毛寧氏の一連の発言は、岸田首相が11日の日米首脳会談による共同声明で、岸田文雄首相が台湾問題に触れたことに対する不満の表明なのだそうです。
中国が日米首脳会談に反発「中国を中傷、攻撃」 台湾言及も「粗暴な内政干渉」と主張
―――2024/4/11 18:19付 産経ニュースより
具体的事例として、産経ニュースは日米首脳会談で台湾問題に触れたことに加え、尖閣諸島が米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約第5条の適用範囲だと明記した事への反論が込められている、としています。
ある意味で、大変にわかりやすい国だと言わざるを得ません。
このあたりは日本の官房長官記者会見のように、「外国の首脳の発言のひとつひとつにコメントすることはいたしません」、などと誤魔化しておけばよいものを、こうやっていちいち不満を表明するということは、今回の日米首脳会談などが中国にとって、都合が悪かった、などと述べているようなものでしょう。
本当にわかりやすい国と言わざるを得ません。
いずれにせよ、巷間で唱えられている、「中国は狡猾で油断ならない国だ」、などとする俗説もあるのですが、正直、毛寧氏のざっくばらんでわかりやすい反応を見ている限り、中国がそこまで狡猾な国なのかどうか、疑念を抱かせるものであることは間違いないのではないでしょうか。
いずれにせよ、中国が油断ならない相手国であることは間違いないにせよ、少なくとも私たちが思うほどは「狡猾」な国ではないことは間違いないのではないか、などと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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今日という日に安倍晋三元首相が存命でないのは何か悪い冗談のような気がしてなりません。
日米、諸外国向けではなく、国内向けに発信していると思います。即座に反論しなければ、
中国国内世論が弱腰と批判を始めるのではないでしょうか?
>このあたりは日本の官房長官記者会見のように、「外国の首脳の発言のひとつひとつにコメントすることはいたしません」、などと誤魔化しておけばよいものを、
ただ、いわゆる日本軍慰安婦問題や自称元徴用工問題での事実誤認が国際社会に広まった結果を考えると、全く対応しないのも駄目なんじゃないかと。
日本企業に実害が出ても、結局様子見してますしね。
毎度、ばかばかしいお話を。
中国:「日米比3か国首脳会談への反論も、日米首脳会談の時と同じである」
ありそうだな。
蛇足ですが、南シナ海問題があるので、日米比3カ国首脳会談への中国の対応は、もっと分かりやすいのではないでしょうか。(福田(元)総理が、批判しだしたりして)
毎度、ばかばかしいお話を。
朝日新聞:「日米同盟一本足でよいのか。習近平皇帝に朝貢すべきだ」
これって、笑い話ですよね。
報道によれば日米がフィリピンに提供するとした新たな社会発展協力、検分するとどれも前向きで。そしてすべてが中国をいらだたせる内容のようです。朝日が反対するならそれが正解だ。伝統芸が発揮されるかで判断できるでしょう。
毛寧氏の会見内容は、「後ろめたさの裏返し」ですね。
世界を「中国」と、国際を「中華」と読み換えれば、しっくりきます。
きっと、中国社会では「沈黙=肯定」だと見做されるのでしょうね。
中国の反応は定期の範囲を超えないですよね。狡猾とは言えないですね。
ところでネット陰謀論界隈では、
「岸田は米国に行っていない。飛行機を降りる映像は横田基地で撮ったモノだ」
米軍と日本政府が協力して岸田氏が訪米したフリを演出しているという、地球平面説並みに愉快な分析が信じられているようです。
・・・それでいいのか?(笑)
ルトワック氏だったか、
「ソ連は戦略以外はすべてダメ」で「中国は戦略以外はすべて油断ならない」的なコトを云っておったげな…
それにしても昨夜だか日本のメディアで”日本はアメリカにお伺いを立てなければなにもきめられない/自主性主体性がない”とかいう「中国の指摘は真剣に受け止めなければ云々」…必死やなあ、とシラケて眺めとりました
中国の言うことを真に受ければ「ついに日本外交が自主性回復」とか言うのでしょうかね。
やれやれ。
>”日本はアメリカにお伺いを立てなければなにもきめられない/自主性主体性がない”とかいう「中国の指摘は真剣に受け止めなければ云々」…必死やなあ、とシラケて眺めとりました
このコメント、誰が言ったか分からないけれど、今、世界で、アメリカにお伺い立てないでやっている国ってあるのかな?
EU、NATO加盟国、反米国すら、アメリカの顔色見ながら、やっていますよ。
自主性主体性の中身を言ってみよ、と言いたい。
日本一国で、中国ロシア北国、どうやって対峙出来るというのか?
例え、日本が核武装しても同じ事。
飲酒状態体験メガネっていうのがあります。
(メガネだからといって某首相とは関係ありません)
メガネというよりはゴーグルに近い形態で、周囲環境が歪んで見えてしまうものなのです。
価値観の違う社会で生まれ育つと、いつも飲酒状態体験メガネをかけた状態になってしまうのか、或いは飲酒状態のふりをしないと生きてゆけないのか、或いはそのブレンドなのかなぁ?
とつらつら考えました。
本人がなまじ頭が良くて2番目だとすると辛いだろうなぁ。
中国は「狡猾」ではないけれど、「恥知らず」で「何でもアリ」ではあると感じます。
要は荒くれもの(しかも内政下手)なので、国民に向けて強気アピールを繰り返さないと
どうにもならないが、「まともではない」手段を取れる怖さはある。
どちらかと言えばアメリカの方が「狡猾」と言う表現に相応しいと思います。
建前上は言論と思想の自由を保障しつつ、それでいて「最大多数が決めたんだから
この方針で行く!誰にも文句は言わせない!」を貫き通せるのだから。
ただし、宗教やポリコレのデメリットも受けている様ですが……
威圧か懐柔か、中国外交にはこの二つしか選択肢が無いようです。
何れにしても相手を従わせることが目的です。
伝統芸ですね。
過去日中友好で盛り上がった時代もありましたが、日本はこれからもずっと東アジアの国々との友好などという美辞麗句に胡麻化されないよう気を緩めてはいけません。
中国って何か他国と揉め事を起こしたとき大抵は「責任は全て相手にある」の一言と共に自分達が行った行為を全く逆の立場にして発表しますよね?それを見る度に「ああ、また中国側に原因があるんだな」と思ってしまう。逆効果ですよね。