日本のメディアはしきりに「日韓関係改善」を唱えるが…
韓国では来週、国会議員(定数300)の総選挙が行われます。これに関し、現時点でどの政党が何議席を得るかについて予断すべきではありませんが、選挙結果次第では残り任期3年の尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領にとっての政権運営が厳しいものとなる可能性があり、さらには同政権が昨年3月に打ち出した自称元徴用工問題の「解決策」(※解決になっていない)の履行状況にも影響が生じるかもしれません。
目次
日本のメディア「日韓関係は改善した」
韓国の尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領といえば、日韓関係の「改善」に力を尽くしている政治家である、などといわれます。
(個人的にその見解には同意しないのですが)少なくとも日本のメインストリームのメディアなどは、間違いなくこの見方を支持していますし、いくつかのニューズメディアなどを眺めていると、普通に「尹錫悦政権下での日韓関係改善」、などとする記述を見かけます。
尹大統領演説 日韓改善の流れを不可逆的に
―――2024/03/04 05:00付 読売新聞オンラインより
尹大統領の決断で改善した日韓関係 「未来志向」根付かせるチャンス
―――2023年7月28日 15時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より
韓国大統領、日韓関係を「一段階飛躍」 25年国交60年で
―――2024年3月1日 12:19付 日本経済新聞電子版より
<社説>日韓宣言25年 関係をさらなる高みへ
―――2023年10月7日 07時15分付 東京新聞TOKYO WEBより
…。
現実離れした日本のメディア
いずれもなかなかに驚きます。
「日韓関係改善の流れ、不可逆に」。どうせ政権が変わったら韓国が約束をひっくり返すのに、なにが「不可逆」ですか。
「関係をさらなる高みへ」。日韓共同宣言の撤回を韓国の国会が全会一致で決議していることを無視して、なにが「さらなる高みへ」、ですか。
正直、日韓諸懸案は基本的にまったく解決していないのに、よくぞここまで現状を無視した記事を公表できるものだと思います(だからこそ、新聞部数も新聞広告費も急減しているのだと思いますが…)。
もちろん、すべてのメディアの論調が、「日韓関係改善」を謳っているわけではありません。なかには「日韓関係には依然として火種が残っている」という点を指摘する記事もないわけではありません。
ただ、傾向として述べるならば、日本のオールドメディアは総じて、「日韓関係は改善した」、などとする印象を国民に刷り込もうとしているかに見えます。
日本のメディアは総じて現実離れしている、というわけですね。
日韓諸懸案とは「韓国の対日不法行為」だ
さて、日韓関係について考える前に、当ウェブサイトでこれまでさんざん指摘して来た「日韓関係の特殊性」を、いちおう簡単に振り返っておきたいと思います。
日韓諸懸案としては、図表1のようなものが挙げられます。
図表1 日韓諸懸案の一例
(【出所】拙著『韓国がなくても日本経済はまったく心配ない』等)
これらに共通する特徴とは、日韓諸懸案とは、「韓国の日本に対する不法行為である」、という本質です。
そして、これらの多くは「二重の不法行為」です。すなわち日韓諸懸案の多くは、①「ありもしない罪状」をでっち上げて日本企業と日本国民を貶めたうえで、②法的にはまったく根拠がないこと(謝罪や賠償など)を要求するという、二重の意味での不法行為から成り立っているのです。
日韓諸懸案巡る韓国の「二重の不法行為」
- 韓国側が主張する「被害」の多くは、(おそらくは)韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものであり、最終的には「ウソの罪をでっち上げて日本を貶めている」のと同じである
- 韓国側が日本に対して要求している「謝罪」「賠償」などには、多くの場合、法的根拠がなく、何らかの国際法違反・条約違反・約束違反を伴っている
(【出所】当ウェブサイト作成。詳細は『【総論】韓国の日本に対する「二重の不法行為」と責任』等参照)
「ゼロ対100」の「日韓どっちもどっち論」と「韓国の特殊性」
そのうえで、韓国が日本に対して仕掛けている「二重の不法行為」の多くは、韓国(や日本のメディア)が「日韓どっちもどっち論」に持ち込もうとしている、という性質があります(ちなみにこれを、当ウェブサイトでは「ゼロ対100理論」と呼んでいます)。
ゼロ対100理論とは?
自分たちの側に100%の過失がある場合でも、ウソ、捏造、屁理屈などを駆使し、過失割合を「50対50」、あるいは「ゼロ対100」だと言い募るなど、まるで相手側にも落ち度があるかのように持っていく態度のこと。
(【出所】当ウェブサイト作成。詳細は『「ゼロ対100」が大手メディアに掲載される時代に!』等参照)
この「ゼロ対100」理論、私たち日本人の多くにとっては理解しがたいものではありますが、韓国のみならず、北朝鮮や中国、最近だとロシアなども好きこのんで使用するロジックでもあります。
とくに、「日韓間で諸懸案が生じるのも、日韓関係が特殊だからだ」、といった主張が提示されることもありますが、これも「歴史を反省も謝罪もしない日本の過失」を言い募るための屁理屈のひとつに過ぎません。
ちなみに優れた韓国観察者として知られる鈴置高史氏は、かなり以前から、「特殊なのは『日韓関係』ではなく、『韓国』だ」、と指摘し続けています(『「李朝の世界観」:鈴置論考で考える「韓国の特殊性」』等参照)。
日韓関係がうまくいかない理由は、「日韓関係の特殊性」ではなく「韓国の特殊性」に求められる――。これは、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏の重要な指摘です。では、その特殊性はいったいどこに求められるのでしょうか。鈴置氏の最新論考によると、それは中国への朝貢国としての歴史に加え、戦後、1948年に独立して育穗の韓国の歩みとも密接に関わっているのです。日韓関係「改善」論政権交代間際の韓国で深まる「関係改善期待」韓国で政権交代の日が近づいてきました。こうしたなか、日韓外交に関するここ数日の韓国... 「李朝の世界観」:鈴置論考で考える「韓国の特殊性」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
この「韓国の特殊性」という指摘には、思わず目からうろこが落ちます。
たしかに、「特殊」なのは「日韓両国」ではありません。政権が変わればすぐに国際約束を反故にしたり、在りもしない歴史問題をもとに国際法や条約を踏みにじったりする「韓国」の方だ、と考えた方が、はるかに筋が通っているといえます。
昨年3月の自称元徴用工解決策の「3つの問題点」
さて、こうした理解に立てば、昨年3月に韓国が打ち出してきた自称元徴用工問題の「解決策」が、本質的にはまったく解決になっていないことは明らかでしょう。
自称元徴用工問題――「戦時中、強制徴用された」などと自称する者たちが日本企業を訴え、韓国の裁判所が日本企業に国際法違反の賠償義務を負わせている、韓国の国を挙げた不法行為の問題――については、本質的な解決になっていないからです。
韓国政府の案は、韓国企業などから募った募金を韓国政府傘下の財団に集め、その財団が自称元徴用工らに第三者弁済する、というものですが、ここには少なくとも3つの問題があります。
それは、①韓国政府の案だと違法状態の解消にならないこと、②財源が枯渇する可能性があること、そして③韓国の国内政治状況次第で、状況は大きく変わる可能性があること――です。
まず1つ目の問題を確認しておきましょう。
現在、韓国大法院が下した違法な判決が放置されているばかりか、新たな違法判決が出て来ている、という状況にあります(図表2)。
図表2 自称元徴用工訴訟の被害企業一覧
時点 | 被害企業 | 訴訟件数 |
2018年10月30日 | 日本製鉄 | 1件 |
2018年11月29日 | 三菱重工業 | 2件 |
2023年12月21日 | 日本製鉄 | 1件 |
2023年12月21日 | 三菱重工業 | 1件 |
2023年12月28日 | 三菱重工業 | 2件 |
2023年12月28日 | 日立造船 | 1件 |
2024年1月11日 | 日本製鉄 | 1件 |
2024年1月25日 | 不二越 | 3件 |
合計 | 12件 |
(【出所】報道等。なお、2018年10月30日の被害企業については、当時の社名は「新日鐵住金」)
余談ですが、韓国メディアはこれらの日本企業を「加害企業」、自称元徴用工らを「被害者」などと呼んでいるようですが、これは間違いです。正しくは自称元徴用工らこそが「加害者」であり、これらの企業こそが「被害企業」でしょう。
財源も不足することは確実、そして政権次第で履行も不安定に?
それはともかくとして、日本企業の敗訴判決は、この12件に限られません。
韓国メディアなどの報道によれば、下級審で係属している案件がまだ数十件以上あるようですし、これらに関する判例が今後、ドシドシと出てくることは間違いないところです。
そして、2つめの問題点は、財源です。
韓国政府の案だと、財団は韓国企業などから寄付金を募り、その寄付金を財源として自称元徴用工らに賠償するのだそうです。
ただ、報道等によれば、財団の第三者弁済のための原資はポスコが拠出した40億ウォンですが、その反面、財団はすでに25億ウォンを賠償に充ててしまっているそうです(『韓国最高裁で日本企業は全敗訴…「財団」資金も枯渇か』等参照)。
ということは、現時点ですでに財源が枯渇し、不足に陥ることが、ほぼ確定しているということでもあります。
こうした問題点については、当ウェブサイトでは『岸田ディールで垣間見える「キシダの実務能力」の低さ』でも予言して来たとおりですが、より深刻なのは、3つ目の「韓国の国内政治」にあります。韓国では政権が変われば国際約束がほぼ間違いなく反故にされてきたからです。
韓国紙「野党圧勝見通し」
こうしたなかで、尹錫悦氏自身の任期は2027年5月まで、まだ3年残っているわけですが、少し気になる話題があるとしたらこれかもしれません。
「尹錫悦退陣論」噴出…「野党200議席」の見通しの中、総選挙を揺さぶるか=韓国
―――2024/04/03 08:39付 Yahoo!ニュースより【ハンギョレ新聞日本語版より】
記事は韓国紙『ハンギョレ新聞』(日本語版)が配信したものですが、これによると来週・4月10日に行われる予定の国会議員総選挙を控え、「汎野党圏200議席圧勝論」なるものが高まっていて、尹錫悦氏の退陣論が出て来ている、などとしています。
韓国の国会は一院制で定数300議席ですので、もし「汎野党圏」が200議席を取れば、全体の3分の2前後を「反尹錫悦派」が占めることにもなりかねず、尹錫悦大統領にとっての政権運営はかなり厳しくなることは間違いありません。
ただ、まだ行われていない総選挙の議席数を予測し、その予測をベースに「尹錫悦氏の退陣」を取りざたする、というのも、少し議論としては雑な気がします。
これに加え、そもそもハンギョレ新聞自体が「左派メディア」とされ、保守政権とは対決姿勢を示してきたことを考慮に入れると、ハンギョレ新聞が「汎野党圏が200議席を得て圧勝する」との予測を示したとしても、ちょっと「盛り過ぎ」な気がするのですが、いかがでしょうか。
とりわけ現在、最大野党「ともに民主党」の苦戦が伝えられているなかで、個人的には「来週の総選挙で尹錫悦政権の基盤が弱くなる」と予断して議論を進めることには、違和感を覚えます。
選挙結果次第では日韓関係に変化も?
もっとも、ハンギョレ新聞が指摘する通り、野党が躍進する事態ともなれば、政権運営自体が厳しくなるだけでなく、「3分の2の多数」による大統領の弾劾(大韓民国憲法第65条第1項但書)に道を開くことにもなりかねません。
なにせ、大統領の任期はあと3年残っているわけですから、今すぐ弾劾をしなくても、野党がじっくりとコンセンサスを形成して尹錫悦政権を終焉に追い込む、といったシナリオだってあり得ます。
もっとも、それを言い出せば、べつに韓国国会で野党が勝たなくても、大統領弾劾が成立することはあり得ます。実際、朴槿恵(ぼく・きんけい)元大統領の弾劾の際も、(韓国世論の圧倒的な支持があったとはいえ)与党内からの「造反」もあって弾劾決議が成立したことを忘れてはなりません。
いずれにせよ、個人的な感想だけを述べるならば、韓国で今後、どの政党が国会で多数を得るか、あるいはどんな政権が発足するかは韓国国民の選択の結果であり、私たち日本人としてそれに関与することは望ましいことではないと考えます。
ただ、それ以上に重要なことは、岸田文雄首相自身が「日韓関係を正常環関係に戻すためのものとして評価する」と述べてしまった自称元徴用工問題の「解決策」が、いつ、いかなるかたちで破綻するか、という点ではないかと思います。
そして、選挙結果では意外に早く、日韓関係に変化も生じるかもしれません。
とりわけ日本政府は韓国に対し、「ホワイト国復帰・レーダー照射不問・日韓通貨スワップ締結」という「3点セット」を与えてしまった格好ですが、おそらくはこれらも韓国側によるいつもの「食い逃げ外交」で終わる可能性が高そうです。
いずれにせよ、個人的には自称元徴用工問題の「解決策」については「破綻するか、しないか」ではなく、「破綻することは確定していて、問題はそれがいつ破綻するかだ」と考えているわけですが、問題の本質は、そこではありません。
「そもそも選挙のたびに政権が不安定化し、国際的な約束をひっくり返してしまうような国と、その約束を守ることを前提にした何らかの合意を形成することの危険性」を、私たち日本国民がしっかりと認識することではないか、などと思うのですが、いかがでしょうか。
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>「そもそも選挙のたびに政権が不安定化し、国際的な約束をひっくり返してしまうような国と、その約束を守ることを前提にした何らかの合意を形成することの危険性」
新宿会計士様のおっしゃるとおりだと思うのです♪
また、台湾有事なんかを考えると、韓国が積極的に中国側につくかどうかはともかくとして、米国の足を引っ張ったりは十分ありえるだろうって気がするのです♪
そこまでじゃなくても、中国の顔色をみて知らんぷりを決め込むのは、韓国の立ち位置からみて仕方ないことなんだろうって思うのです♪
あたしの韓国観はこんな感じなので、大統領がどうとか以前の問題として、関係強化自体が、我が国に危険をもたらすように思うのです♪
最初から、敵対されると思えばそれなりに対処ができても、味方と思ってた者の裏切りにはどうしようもないのです♪
何回日本人は、韓国に騙されれば気がすムノカ?馬鹿なのか?あの国と仲良くすることが国益と思っている政治家やマスコミの連中多すぎます!。西岡力氏や鈴置氏のような外務省の息のかかってない人を国政や地方議会に送るしかないです。韓国が少しでもまともな民主国家になるよう誘導するのが日本の国益です。無理だと思いますが
心配しなくても世界一優秀な韓国人は自分で好きにします。
それは玉ねぎ男の大統領就任。
からの戦前戦後に関するあらゆることに対し「謝罪と賠償」を行うでしょう
国民は日本旅行しながら新たな案件作成に邁進します。
当然朝日毎日東京共産立憲共産令和社民も一緒になってね
>さらなる高みへ
賽の河原の話をしているのか、バベルの塔の話をしているのか、よくわかりませんでした。
どっちも崩れるやつや‼️
昔にアスカ・ラングレーが言ってた、
「これは決して崩れることのないジェリコの壁っ!」
みたいな。
(=強がって引用してるけど容易に攻略される代名詞)
蛇足)
そういえば以前から不思議なのですが、韓国&韓国人は難攻不落とか絶対防衛圏の意味で「マジノ線」という例えをよく使うのですが、ミリタリーネタとしては
「リソースを消費した上で、全く役に立たなかったマヌケアイテム」
の代名詞なのですよね、マジノ線て。
CRUSH 様
マジノ線 信じる者は 救われぬ
ルビコンと 知らずに越える 愚者揃い
>そもそも選挙のたびに政権が不安定化し・・
都合の悪くなった約束も、選挙で「ご破算に寝返られる」と考えるのが韓国の特殊性。
「選挙の度に民意を翻すこと」が正しい民主主義の在り方だと思ってるんですものね。
韓国では今の尹錫悦政権でさえ「親日派(=売国奴)」と叩かれるくらいですからね。
本来は前政権やあの伝説のノムヒョンあたりが韓国のスタンダードなのでしょう。
多分、次の政権は尹錫悦政権の反動で再び思いっきり反日路線になるかと。
そうなると(ただでさえ超高い)韓国を庇う難易度が更に急上昇してしまい、
かと言って裏切る事もできないオールドメディアが断末魔を上げそうですね。
まじめでひたむきな国民性で
平和を希求し技術で人類の未来を切り拓く
日本の姿勢共感し賛同する
世界の多くの国があるのです。
その一方で
有史以来ほぼ中国の属国で
パクリと他国技術で
せこく金儲けの点ではある程度うまくいっても
嘘捏造で日本に謝罪と金銭タカル
韓国のようなありようの問題国をどうして
その心根に見合った以上に相手にしてあげる
必要などあるはずないのは自明です。
まあ、朝日新聞はじめ、
嘘捏造まで加担しておきながら
いまだに反省せずドヤ顔通そうと記事を書く
いわば言論テロリストのようなものが
跋扈しているのが日本の偏向メディアですが、
その支持者の人達は、
ふつうにまじめに働き納税する
この日本を支える多数派国民良識層とは
すいぶん距離がある少数のそんなこんなの生きザマの
人たちだということがすでに見透かされているのです。
オウム真理教と同じ公安指定の日本共産党さんにしても
韓流政党である立憲民主党さんにしても
言葉を弄した日本の偏向メディアの記事だのみで
そのひとたちより遥かに上位にあるまじめな日本国民が、
少数そんなこんなの生きザマの自分たちの
画策に騙されるはずだという思い上がりは
通用しないということをご認識いただく
必要があるのになあと感じます。
日本人全てが愚かなのではありませんよ。韓国に騙され駄々に折れる現首相と米大統領が悪いのです。
アメリカ大統領は日本人が引きずり降ろせませんが、日本国の総理大臣は変えられます。