北朝鮮で核施設強制動員か…北の同胞放置し続ける韓国

北朝鮮人民も「38度線の北側に暮らす大韓民国国民」では?

自称元徴用工問題を巡る、解決になっていない「解決策」が韓国政府から公表されて、早くも1年が経ちました。この「解決策」、さっそく各所で綻びが生じていますが、この点も正直、まったく予想通りです。ただ、この自称元徴用工・自称元慰安婦などの「歴史問題」を眺めていて抱く疑問があるとしたら、どうして今から80年前の出来事の追及に血道を上げるわりに、現在進行形で行われている「北朝鮮に暮らす大韓民国国民」に対する人権侵害を放置するのか、という点です。

自称元徴用工「解決策」から早くも1年

自称元徴用工問題――戦時中、日本軍が朝鮮人を強制徴用・強制労働させていたとされる与太話を多くの韓国人がでっちげ、日本企業を訴え、韓国の裁判所が違法な判決を下している問題――を巡って、韓国政府が「財団方式による解決策」を打ち出したのが、2023年3月6日のことです。

あれから、早くも1年が経過しました。

当ウェブサイトでこの1年あまり、さんざん警告してきたとおり、この韓国政府の「財団方式による解決策」は、さっそく破綻の危機に瀕しています。

韓国政府の(解決にもなっていない)「解決策」とやらを岸田文雄首相が「評価する」と述べてしまった(『岸田ディールで垣間見える「キシダの実務能力」の低さ』等参照)ことの影響などもあり、安心したためか、その後韓国の最高裁にあたる「大法院」が、続々と似たような違法判決を下しているからです。

報道等をもとに、自称元徴用工訴訟の大法院での被害企業を列挙すると、三菱重工業の5件を筆頭に、日本製鉄が3件、不二越が3件、日立造船が1件、合計12件の違法判決が確定している状況であり(図表)、これら以外にも下級審で多数の訴訟が係属中とされます。

図表 韓国大法院が下した違法な自称元徴用工訴訟の被害企業一覧
時点被害企業訴訟件数
2018年10月30日日本製鉄1件
2018年11月29日三菱重工業2件
2023年12月21日日本製鉄1件
2023年12月21日三菱重工業1件
2023年12月28日三菱重工業2件
2023年12月28日日立造船1件
2024年1月11日日本製鉄1件
2024年1月25日不二越3件

(【出所】報道等。なお、2018年10月30日の被害企業については、当時の社名は「新日鐵住金」)

さっそく破綻しそうになっている「解決策」

これらの判決の賠償金だけで、すでに韓国政府による「財団方式による解決策」の弁済原資が不足している可能性も指摘されるなか、先日はついに、日本企業の財産が韓国の裁判所の手により、不当に没収されるという事件も発生しています(『自称元徴用工が供託金引出し…日本政府の対韓制裁は?』等参照)。

それなのに、なぜか日本政府は韓国への制裁に踏み切っていません。

いずれにせよ、まさに、このムチャクチャな「解決策」を主導した「ウソツキ外務省」は、組織自体の解体に値するとさえいえるのではないでしょうか。

さて、こうしたなかで、韓国や中国などが日本に対し、「戦時中に強制徴用(ないし強制動員)をしていたではないか」、などと主張しているのを聞くと、ひと昔前であれば、「あぁ、私たち日本人は戦時中、本当に悪いことをしたんだなぁ」、などと素直に申し訳ない気持ちになった人もいたかもしれません。

ただ、「証言だけでは犯罪の証明ができない」というのは、この「歴史犯罪」についてもまったく同様に成り立つ事実です。彼らの多くは、「日本が酷いことをやった」という客観的な証拠をろくに提示できないことが多いことには注意が必要でしょう。

ただ、自称元徴用工問題にしても、自称元慰安婦問題にしても、自称「被害者」らの証言だけはやたらと具体的でリアルであるため、私たち日本人としては、「もしかして、日本は本当に酷いことをやったのではないか」、などと疑問に感じる人がいたとしても、そのことを責めることはできません。

北朝鮮で政治犯を核施設に「強制動員」

ではなぜ、彼らの証言はここまでリアルなのでしょうか。

もしかすると、『日本がやったこと』にされている人権侵害は、地球上のどこかで現に行われていることなのではないか」――。

これについては正直、著者自身にとっても長年の疑問点のひとつではあるのですが、これについて考えるヒントとなり得る事例をひとつ発見しました。

「北朝鮮、政治犯を核施設に強制動員…行けば3年で死ぬ」 脱北者が証言

―――2024/03/07 08:22付 朝鮮日報日本語版より

韓国紙『朝鮮日報』(日本語版)は7日、北朝鮮が最近、政治犯を各施設にも送り込み、「被爆」(※原文ママ、正しくは「被」ではなく「被」、でしょうか?)の危険性が高い労働に従事させていることが、脱北者の証言で明らかになったと報じました。

これは、今月4日に刊行された韓国統一研究院の研究総書『北朝鮮住民の家庭生活:国家の企画と国家からの独立』に収録された、2019年に北朝鮮を脱出した40代の女性・Aさんの証言に基づくものだそうです。

北朝鮮軍が管理する核基地は「放射線への被爆(※原文ママ)の懸念がある」として、若者が入隊を忌避しており、入隊した際にはさまざまな特典が与えられるものの、「そこで服務して戻った子たちは3年で死ぬ」、というのです。

こうした人員不足のためでしょうか、「政治犯」が被曝の危険性の高い核施設での強制労働に従事させられているのだとしたら、これは本当に深刻な人権侵害であり、ゆゆしき話です。

朝鮮日報はこれに関連し、米国の非政府組織である「北朝鮮人権委員会(HRNK)」が昨年10月、「核実験場を建設と維持・保守のために政治犯収容所の収監者らが動員された」との疑惑を提起したとも指摘します。

HRNKによると衛星写真に写った豊渓里(ほうけいり)核実験場と化成政治犯収容所(16号管理所)を結ぶ5.2キロの未舗装道路を根拠に、北朝鮮の政権が「完全にコントロールできる政治犯らを坑道建設に動員した可能性がある」、などと述べたのだそうです。

北朝鮮人民は韓国法では「大韓民国の国民」

こうした北朝鮮に関する報道を眺めていると、自称元徴用工や自称元慰安婦の「証言」のリアルさの理由が、現に北朝鮮で行われている人権蹂躙を念頭に置くと、何となく理解できるような気がしてなりません。

ただ、それ以上に理解に苦しむのは、韓国政府と韓国国民の態度です。

今から80年も前の、ありもしない「日帝強制動員」「日帝性奴隷」疑惑をでっち上げ、糾弾するのに血道を上げているわりには、現在進行形で行われている、北の同胞たちに対する凶悪な政権による人権侵害には完全に無関心を決め込んでいるわけです。

冷静に考えてみると、韓国の憲法的には、北朝鮮の人民も、れっきとした「38度線の北側に暮らす、大韓民国の国民」であるはずです。というのも、大韓民国憲法第3条には、「大韓民国の領土は朝鮮半島とその附属島嶼とする」、と明記されているからです。

もちろん、国際社会から見れば、北朝鮮を国家承認している国も多いわけですし、法的・経済的・外交的・軍事的に見て、そんな北朝鮮を韓国が自力で統合できるのか、という現実的な問題があることは否定できません。

しかし、あくまでも韓国の国内法に照らすなら、さしずめ「朝鮮民主主義人民共和国」は、韓国国民でありながら韓国政府に反逆するならず者たちの集団であり、韓国にとっては国家転覆をはかる者たちと同義ではないでしょうか。

それなのに、韓国はこの数十年の間、ときとしてありもしない出来事をでっち上げるなど、日韓歴史問題を提起することで、本来は韓国に対し、何ら害をもたらさないはずの国である日本を最大限苛立たせているわりには、人民を飢えさせながら核・ミサイル開発を継続している北朝鮮を放置し続けたわけです。

本来、韓国国民が日本に対し、敵愾心を持とうが、反日感情を燃やそうが、それは彼らの自由ではありますが、それと同時に憲法上「自国領」とされている地域の北半分について、個々の韓国国民がどう考えているのかについては尋ねてみたいところです。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 農民 より:

     被曝するのは言うまでもない前提で被爆までする危険性が高い、という趣旨の可能性。ヨハネスブルクで強盗に遭う確率150%(一回は必ず遭い、二回遭う確率が50%)みたいな。

     北朝鮮地域住民に対する韓国民の基本認識は気になる所です。統一後の奴隷扱い(国土は倍になり安い労働力が増えるので統一は大当たり、とか)のような言説も聞きますし、逆に日米などへ出ている同胞を「同じヘル朝鮮で苦しまずに抜け出したズルいやつら」というような目で見るというきらいも。本当に”民族の結束”などというものが存在するのか疑わしく感じます。統一がチャーハン化しているのは北のせいだけではないような。

    1. はにわファクトリー より:

      >同じヘル朝鮮で苦しまずに抜け出したズルいやつら

      アメリカ・カナダ・豪州移住に成功した韓国人が、俺たち勝ち組と故郷に残る同胞たちを嘲笑しているのはどうやら事実らしいです。

  2. 匿名 より:

    殴ってこない相手には強気。

  3. カズ より:

    >憲法上「自国領」とされている地域の北半分について、個々の韓国国民がどう考えているのか?

    権利も無いのに債権者の如く振舞うのが、彼らのデフォルト(初期設定)。
    所有権を主張するだけで、管理意識なんて、これっぽっちも無いのかと。

    1. KY より:

       >所有権を主張するだけで、管理意識なんて、これっぽっちも無いのかと

       「日本から文化財を取り戻したニダ!」と自慢して(取り戻す事実自体が目的でしかない)その後はガラクタ扱いするのですからマジで管理意識なんてないのでしょう。
       竹島も占拠だけして島はゴミ捨て場同然になっていると言いますし。

  4. クロワッサン より:

    >しかし、あくまでも韓国の国内法に照らすなら、さしずめ「朝鮮民主主義人民共和国」は、韓国国民でありながら韓国政府に反逆するならず者たちの集団であり、韓国にとっては国家転覆をはかる者たちと同義ではないでしょうか。

    時折り報じられたりする韓国の国会議員における前科持ちの割合とかを考えると、北も南も、保守も革新もならず者だらけなんじゃないですかね?

    朴槿恵政権打倒と文在寅政権成立の立役者とされる民主労総なんてのもかなりのならず者っぷりですし。

    1. クロワッサン より:

      ぶっちゃけ、

      「ルールは守るものではなく守らせるもの」とか、

      「約束を守るのは弱者や愚者のする事であり、約束を破って自らの力を誇示する事は立派な行為である」とか、

      姿形は人間でも中身は人間じゃない証拠なんじゃないですかね?

      フジテレビの番組スタッフも含め。

      1. 田舎の一市民 より:

        クロワッサン様
        >フジテレビの番組スタッフも含め。
        野党やマスゴミ界隈の連中も加えてやってください。
        与党も大概問題はありますが
         なんというか「何じゃお前ら」と感じる面々に共通するのは、他者に対する優しさや配慮があまりに足りない、先人が築いた礎の基に生かされているという感謝の気持ちがない、思慮が浅く、根拠もなく自分は優れてると思い込んで謎の自信だけは持ってる。
        といったところですよね

        要は自分のことしか考えていない
        それを見透かされてることに気づかないフリをしてるんだと思いますが、下手したら本当に気付いてないかも知れません。

  5. 雪だんご より:

    そりゃあまあ、韓国人だって全員が全員世間知らずと言う訳じゃないでしょうし、
    ある程度以上の知性の持ち主は「北朝鮮との統一なんてやらない方が良い夢物語」だと
    わかっているでしょう。ただ、それを口に出したら危険すぎるし百害あって一利なしなだけで。

    そもそもあの国は自国を「ヘル朝鮮」と呼んではばからない国民が多いそうなので
    (日本人が言う「日本はオワコン」よりよっぽど説得力がありますし)、
    とてもとても”北の同胞”を助ける余裕なんかないでしょう。

  6. 漢字について より:

    >正しくは 「被爆」 ではなく 「被曝」、でしょうか?

    日本のマスゴミも 「被爆」 という表記を使うので、今では変換候補に 「被爆」 も普通に出てきますね。もちろん、「さらす=曝」 だから 「さらされる=被曝」 が正しいんですが。

    戦後、日本のマスゴミは、勝手に 「常用漢字外の漢字を常用漢字で置き換える」 ということをやってきました。
    「遵守」 を 「順守」 に、「義捐金」 を 「義援金」 に置き換えるくらいは、まだいいけど、「輿論」 が 「世論」 になって、読み方も 「せろん」 になったり、自分たちで 「障碍者」 を 「障害者」 に置き換えておきながら、最近になって 「害」 の字を使うのは差別的だからと 「障がい者」 にしたり。

    ちなみに 「常用漢字」 の基準を守って書かなければならないのは、義務教育の教科書と公文書だけで、新聞などで使える漢字を制限するものではありません。
    それなのに、以前は多くの新聞が人名にも適用して、「橋本龍太郎」 を 「橋本竜太郎」 と表記するなんてこともやっていました。

    1. 漢字について より:

      >「常用漢字外の漢字を常用漢字で置き換える」

      正確には 「常用漢字外の漢字を、同じ読み方の常用漢字で置き換える」 です。
      なお、「被=~される」 という意味なので、「被爆=爆発される」 となってしまい、意味を成しません。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告