え?メディアが「事実を見抜くプロ」!?
サッカー選手が女性を相手取って2億円の損害賠償を求めた訴訟を起こした件で、ひとつはサッカー選手から性的加害を受けたと主張する女性が告訴状に書いた住所が虚偽だった疑いが生じているようです。また、これを巡ってとある弁護士の方はメディアを「事実を見抜くプロ」などとしたうえで、「取材源とメディアを分断させる戦略が見え隠れ」し、「今後の同種の市民活動を萎縮させる懸念がある」、などと述べたそうです。
サッカー選手が女性を相手取って訴訟を起こした理由
『サッカー選手が損害賠償求め女性に2億円の賠償要求へ』では、アジアカップでサッカー日本代表を務めていたものの、女性(Aさんら)に対する性的加害が報じられたことで損害を被ったとして、サッカー選手がこの女性らを相手取って損害賠償訴訟を起こしたとする話題を取り上げました。
この件に関連し、日刊スポーツが19日付で、こんな記事を配信していました。
●●●●側が相手側女性2人に2億円超の損害賠償請求 代理人弁護士らが大阪地裁に民事提訴
―――2024年2月19日13時51分付 Yahoo!ニュースより【日刊スポーツ配信】
(※念のため、記事タイトルのサッカー選手の実名部分については伏せ字にしています。)
日刊スポーツによると、選手側の代理人を務める加藤博太郎弁護士らが19日、大阪地裁に相手側女性2人に対する民事訴訟を行ったそうで、訴状は午前11時半過ぎに受理され、損賠請求額は選手に関わる金額が2億円、トレーナーに関わるものが243万3131円――、などとしています。
また、取材に応じた加藤弁護士は、「日本のサッカー界にとって極めて大事な試合のなかで女性らが告訴を行い、週刊誌に報じさせた」と指摘。今回の提訴理由について、「報道が出てしまっただけで、社会的に抹殺される、選手生命も終わってしまうという状況」のなか、「一刻も名誉回復する必要があった」、と述べたそうです。
告訴状に記載された住所が虚偽だった?
ただ、この日刊スポーツの記事でもとりわけ興味深いのが、こんな記述です。
「2月初旬に民事訴訟の意向を示しながら提訴まで時間を要したことについては『先方が提出した告訴状の女性の住所が偽物というか、そこに住んでいなかった。住民票も取れなかった。その調査のために時間を要してしまった』と補足した」。
これが事実だとしたら、なんとも不可解です。
そもそも事実関係を振り返っておくと、デイリー新潮が本件を報じたのが1月末ですが、報道によれば、女性側が刑事告訴したのはそれより前の1月18日のこと、この女性らが「被害を受けた」と主張しているのはそのさらに以前の2023年6月21日未明のことです。
なんだか、「虚偽の告発をしたうえで、アジアカップの最中に週刊誌にこの件を報じさせことで世間的に大騒ぎさせ、このサッカー選手が日本代表から外れるなど選手生命が絶たれる」ということ「だけ」を目的として、最初から雲隠れする目的で虚偽の住所を告訴状に書いたのだとしたら、すっきりと辻褄が合いそうな気がしてしまいます。
もちろん、当ウェブサイトとしては、現段階で「真相はこうだ」、などと断定するつもりはありません。そもそもサッカー選手が女性らに加害行為を行ったのかどうかについては、現時点で私たち第三者にとってはよくわからないからです。
この点、「もしもこのサッカー選手が本当に暴行を行ったのならば」、それは許されざることですし、女性らには深く同情せざるを得ません。
しかし、それと同時にこれが単なる誣告(ぶこく)――それも、サッカー選手の選手生命を絶つことを狙った悪質なもの――だったとしたら、許されざることをやったのは女性の側であり、また、ケースによってはこれを報じたメディアの責任も問われるべき話でしょう。
とある弁護士の「事実を見抜くプロであるメディア」
さて、この騒動を扱った記事はほかにもあるのですが、それらのなかには、大変な違和感を覚えざるを得ないものがありました。同じく日刊スポーツが19日付で配信した、こんな記事です。
●●●●弁護士、●●●●側の2億円損害賠償請求に「今後の同種の市民活動を萎縮させる懸念」
―――2024/02/19 17:28付 Yahoo!ニュースより【日刊スポーツ配信】
※こちらの記事も、タイトルに出て来る人名を伏せ字にしています。
日刊スポーツによると弁護士(63)の方が19日、自身のXを更新し、サッカー選手側が女性らを訴えたことについて、次のように述べたそうです。
- メディアの取材源のみを訴える訴訟は典型的なスラップ類型の訴訟です
- 事実を見抜くプロであるメディアが掲載しなければ表面化しなかった事案ですから市民だけを提訴する訴訟は取材源とメディアを分断させる戦略が見え隠れし今後の同種の市民活動を萎縮させる懸念があります
- 真実追及というなら、新潮側も合わせて訴えるのが筋で、取材源を守る立場である新潮の出方も、この訴訟では注目されます
…。
メディアが「事実を見抜くプロ」だ、というのは、じつに斬新な視点です。
当ウェブサイトではこれまでも『「事実を正確に伝える力」、日本の新聞に決定的に欠如』や『椿事件から玉川事件へと連綿と続くテレビ業界の問題点』などを含め、繰り返し指摘してきたとおり、少なくとも日本の新聞やテレビなどのメディアは、過去において何度となく、虚報を繰り返してきました。
雑誌社である新潮社がそうかどうかは別として、一般に日本のメディアが「事実を見抜くプロ」であるとの見解に同意する人は少数派ではないでしょうか。
「同種の市民活動を委縮させる懸念がある」
ただ、それ以上に興味深いのが、今回の訴訟に対する「同種の市民活動を委縮させる懸念がある」とする趣旨の記述です。
サッカー選手を刑事告訴した女性らが「市民活動家」なのかどうかはわかりませんが、虚偽の住所を告発状に記載したうえで、著名人の名誉と尊厳を傷つけ、その相手の社会生命を葬り去ろうとするような行動を「同種の市民活動」と呼んでいるならば、これはとんでもない話です。
ちなみに記事によると、この弁護士は続く投稿で、こうも述べたそうです。
「なお裁判所で仮に不当な訴訟と認められると、市民には払いきれない2億円という巨額な賠償請求であることを考えると<後略>」
「一般市民に支払いきれない巨額の損賠を請求する」と聞けば、個人的には『徹底検証「森友・加計事件」 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』という書籍を巡り、株式会社朝日新聞社が文芸評論家の小川栄太郎氏や版元の飛鳥新社に対して5000万円の損賠を求めた件を思い出してしまいます。
(※ちなみにこの件は2021年に小川氏や飛鳥新社に対し200万円の賠償を命じた判決が確定しています。)
いずれにせよ、本件のうち性的加害事件について、刑事的側面からは捜査当局の手に委ねられており、また、民事的側面からは司法の場で争われている状況ですので、事件そのものについて深入りすることは控えたいと思います。
ただ、本件についてはその「周辺論点」で、まだしばらく騒がれそうな予感がする今日この頃です。
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毎度、ばかばかしいお話を。
市民活動家:「正しいことをするためなら、告訴状に嘘を書いても許される。有名人なら訴えられた方が、清廉潔白であると証明せよ」
人は、法に触れない、または微罪かもしれませんが、みんな罪を犯しているのではないでしょうか。
裁判でどういう判決が出るかを無視すれば(あるいは、この後、どうなるかを無視すれば)、誰でも裁判に訴えることは自由ではないでしょうか。つまり、(極論ですが)裁判に訴えること自体に客観的な証拠はいらない、ということです。
告訴状の住所が嘘なら、名前も嘘(あるいは同姓同名)という可能性もでてきたので、もし裁判の展開が不利になれば、告発人が誰だか分からなくなるのではないでしょうか。
そもそも被害を受けたから告訴したんでしょ。萎縮する必要なんか何もないのでは。
告訴状に虚偽の住所を書いたら公文書偽造に当たらないのか。
このサッカー選手といい、某芸能人の件といい、被害を自称する女性は交友関係などを徹底的に洗われることになるでしょうね。
擁護できないほど不都合な情報が出たら、この女性たちは、そそのかしたメディアや活動家に使い捨てにされるでしょう。
訴状提出する時点で住民票添付しないんでしたっけ?確か戸籍は必要だったような
ちなみに運転免許証に記載されてる住所が実は一度も住んだことがない住所になってることはたまにあります
これは、交番で住所変更をするときに求める疎明資料が住所が出てくる書類であればなんでもよいからで
予定の住所が記載されてる転出証明書や電気、ガスの請求書なんかを元に変更したりしてると起こり得ます
そこでマイナンバーカードの出番ですが
何故官公庁が率先して活用しないのでしょうかね?
あ、これ女性個人の救済や正義のハナシじゃなく、"市民活動"だったんですね……むしろちょっとくらいは萎縮しろよと思われているのでは。あと普通の感覚では、表沙汰にするのも憚れがちなセンシティブな問題なだけに、こうも報道が過熱し世間に遍く知られてしまう方が、被害を知られるわ事実性や人格を疑われるわで"被害者が"萎縮してしまうと思うのですが。活動家さんはそうではないんですね。
>事実を見抜くプロ
まぁ事実を見抜いた上でないと上手いこと事実を歪曲捏造はできないでしょうから、扱い自体には慣れているかもですね。正しく扱うかは懐疑的です。
>メディアの取材源のみを訴える訴訟は典型的なスラップ類型の訴訟です
>事実を見抜くプロであるメディアが掲載しなければ表面化しなかった事案ですから市
民だけを提訴する訴訟は取材源とメディアを分断させる戦略が見え隠れし今後の同種の市民活動を萎縮させる懸念があります
こんなこと言った時点で、この○○○○弁護士の、お里が知れたと言うべきでしょう。
メディアじゃなく、取材源を告訴するのは当たり前。警察に告発(誣告)した本人なんだから。大騒ぎにもっていったのは、メディア、週刊誌だとしても、ただ「(告発があったという)
事実を報道しただけ」と言い抜けることは可能ですからね。そこに「事実を見抜くプロである」の枕詞を冠するなんてのは、最後に出てくる「市民活動」に累を及ぼしたくないという、下心ミエミエという感じですね。
サイト主さんのご配慮を無視して、敢えて名を出せば、このはなし、伊東純也氏個人への怨恨とか、選手生命を絶ちたいといった思惑からでたものではないような気がしています。W杯の選手登録が締め切られた後、いよいよチームの仕上げという段階で、その中心選手に、たとえデタラメでも、こんな告発が為されたとしたら、一体どういう対応をチームないし、JFAがとるのか、なんか下調べでもされたような、いやな感触の残る事案です。
あまり関心ないですけど興味深いですなあ。
>>「同種の市民活動を委縮させる懸念がある」
よくは知りませんが、この手の言い回しへの
私のようなふつうの一般国民の感想としては
えっ?
市民を名乗るごね得活動家のみなさんが
萎縮することを懸念するのは、そのお仲間さんたち
だけだろうにそれがなんの懸念があるんだろう?
・・と素朴な感想を持つだけです。
>>スラップ累計の訴訟??
なんて、どこをどう間違えて豆腐の角に頭ぶつけたら
そんな発想が出てくるのかまったく不思議です。
スラップがどういうものかは、巷で
Dr.スラップ こと はっぴーさん
とか呼ばれているお方を思い浮かべてみれば
なぜかすぐにピンと来るものなのに?
と私は思いますがねえ。
"被害を受けた"女性がなぜ委縮するのか謎ですね。
当然、被害は証明できなければなりませんね。
そうでないと、美人局と区別がつかないので。
この件の自称被害者さんって市民活動の一環で訴訟だかマスコミリークやってたんですか?
「同種の市民活動を…」
ってそういう事ですよね?