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若年層が期待する政党トップは自民、2位は国民民主党

若年層が自民党に次いで2番目に期待する政党は、国民民主党だった――。こんな調査結果が出てきました。『学校選挙プロジェクト』が先日オンラインで実施した第5回投票によると、10代と20代の12.1%が国民民主党を選んだのだそうです。これに対し自民党は2020年10月の第1回投票以来トップの座を守り続けていますが、初回は60%を超えていた支持をが徐々に減っているようです。

オールドメディアが主導した政権交代

政治についての情報をどこから集めるかは、じつは、私たちの投票行動に大きな影響を与える可能性があります。

ここで「もしも」の議論を展開してみましょう。

もしも日本でインターネットが禁止されていたら、どうなるでしょうか。

私たちが情報を集める手段が新聞、テレビに限定されていたとしたら、いったいどうなるでしょうか。

これについて参考になるのが、2009年8月の政権交代選挙の直後、同年9月10日に社団法人日本経済研究センターが公表した、『経済政策と投票行動に関する調査』と題するレポートです。

これは、ネット上で1000人を対象に実施されたアンケートで、「投票に際して最も重視したことについて判断する情報を主に何から得ましたか」とする回答と実際の投票行動を調査したものですが、情報源によって投票先に極めて大きな違いが見られたのです(図表1)。

図表1 情報源と比例区投票先の関係

(【出所】(社)日本経済研究センターのレポートのP7を参考に著者作成)

これによると「インターネット」と答えた84人に関していえば、自民党に投票した割合が34.5%で民主党の28.6%を上回っていたのに対し、「テレビの情報番組(ニュース番組、ワイドショーなど)」と答えた410人は自民党15.6%に対し民主党が55.6%でした。

ここまで極端な差がついていれば、「偶然」では済まされない違いだといえるでしょう。

また、状況はほかのオールドメディアに関しても似たようなものであり、たとえば「新聞・雑誌」と答えた228人についても、やはり自民党が20.6%に対し民主党が48.2%でした。この調査を信じるならば、2009年の民主党への政権交代が実現する最大の原動力はテレビ、これに次いで新聞・雑誌だったのです。

非常に雑な言い方をすれば、「民主党政権はテレビと新聞が作った」のであり、いわば、この2009年の総選挙は「メディア・クーデターの成功事例」と評しても良いかもしれません。

近年、影響力の低下が目立つオールドメディア

もっとも、非常に興味深いことに、新聞、テレビの利用時間は近年、下落の一途を辿っています。

当ウェブサイトでは頻繁に取り上げるとおり、総務省『情報通信白書』に掲載されている調査に基づけば、近年になるほど、また若年層になるほど、インターネットの利用時間は多くなり、オールドメディアの利用時間は少なくなっています。

図表2は2013年時点におけるメディア利用時間ですが、これによると若年層ほどネットの利用時間が多いものの、時間だけで見たらテレビが非常に長かったことがわかります。これに対し図表3に示した通り、2022年時点のものに関しては、40代以下はすべてオールドメディアの合計利用時間がネットを下回っています。

図表2 メディア利用時間(2013年)

(【出所】総務省『情報通信白書』データをもとに著者作成)

図表3 メディア利用時間(2022年)

(【出所】総務省『情報通信白書』データをもとに著者作成)

なぜオールドメディアの利用時間が減っているのかについては、諸説あろうかと思いますが、考えられる仮説の最も大きなものはハードウェアとしての限界です。

テレビの場合は「決まった時間でなければ放送を視聴することができない」(※リアルタイム視聴の場合)、「チャンネル数が限られている」(※地上波の場合)、「情報が双方向でなく、コンテンツを視聴した感想を他の視聴者と共有することが難しい」など、ネットと比べて使い勝手が落ちます。

あるいは、最近だとネットで4K画質(や8K画質)の動画なども増えており、最大でも2Kの地上波テレビはネット動画と比べて画質が劣っている、といった問題もあるかもしれません。

さらに新聞の場合は紙媒体であるという事情もあり、情報がすぐに古くなる、重くてかさばる、1日1回か2回の頻度でしか配達されない、家の中がすぐに古新聞でいっぱいになるなど、使い勝手ではどうしてもネットに劣るという特徴があります。

非科学的なオールドメディアが見捨てられるのは時間の問題

ただ、個人的に最もしっくりくる仮説は、ネットの到来によりオールドメディアの底の浅さが露呈し、人々から見放されている、というものです。

メディア「エビデンスない報道をエビデンスで殴るな」』、『子宮頸癌巡る朝日新聞記事にコミュニティノートの指摘』などでも指摘したとおり、とくに日本のオールドメディアは科学や証拠を軽視し、あるいは正面から否定する態度を取りがちであり、だからこそまともな一般国民、一般読者からの支持を失っているのです。

これに対しネット空間では、コンテンツの数はそれこそ無限に存在しますし、それらの無数の情報から、人々は自分の頭で信憑性を判断しつつ、記事を探し当てて読んでいくのです。

こうしたなか、昭和生まれの世代と異なり、平成生まれ、令和生まれとなってくれば、自身が生まれたときからPCなどが身近にあり、とくに平成後期以降は「生まれたときからネットがあった」という世代でもあります。

ウェブ主自身を含めたオールド世代だと、やはり心のどこかで「新聞で取り上げられた」、「テレビで取り上げられた」、という情報に対しては何らかの権威性を感じる傾向があるのかもしれませんが、これに対し若年層は最初から新聞やテレビに権威性を認めていないフシもあります。

少なくとも活字や映像で情報を発信するという行為が、限られた一握りの人々の特権だった時代は、もう終わりました。ネット上では少なくとも文字情報に関してはSNSやブログで誰でも気軽に発信できますし、映像に関しても、スマートフォンで撮影してネットにアップロードすればだれでも簡単に動画投稿できるからです。

いずれにせよ、ネットがますます私たちの身近なものとなることで、オールドメディアが廃れていくのも時間の問題でしょう。

自民、維新、公明、立民…政党支持率を巡る変動

さて、こんな前振りはともかくとして、今朝の『時事通信でも支持率最低更新…しかし有力野党は不存在』でも取り上げたとおり、時事通信が16日に報じた最新世論調査によれば、政党支持率はこんな具合でした。

  • 自民…19.1%(前回比▲1.9)
  • 維新…*4.6%(前回比+0.7)
  • 公明…*4.1%(前回比+1.0)
  • 立民…*2.7%(前回比▲0.4)

これにれいわ新選組(1.6%)、日本共産党(1.1%)、国民民主党(0.9%)、社民党・参政党(各0.5%)などが続く、という格好です。

時事通信の調査で自民党が再登板以来の最低値を更新したといっても、野党勢が低支持率にあえいでいるなかで、正直、岸田文雄首相にとっては今すぐ解散総選挙を断行しても自民党が大敗を喫する可能性はさほど大きくないゆえんでもあります。

とりわけ最近だと最大野党であるはずの立憲民主党が、政党支持率では野党第2党であるはずの日本維新の会の後塵を拝することも多く、今回の時事通信の調査だと、2ポイント近い差がついてしまっています。立民は公明党にすら負けているのです。

むろん、政党支持率と実際の人々の投票行動は必ずしもリンクするものではありません。

ただ、自民党に対して否定的な報道姿勢を取りがちなオールドメディアの世論調査でも自民党が圧倒的トップという状況が続いているということ、なにより最大野党である立憲民主党が多くのメディアの調査で低支持率に沈んでいるという事実は興味深いところです。

自民がトップ、2番目は国民民主党…これってなに?

さて、これに加えて、ここでちょっと異なった「調査」についても紹介してみたいと思います。

  • 自民…35.3%(▲4.3)
  • 国民…12.1%(+2.0)
  • 立民…10.7%(▲1.0)
  • 維新…10.1%(+3.2)
  • れ新…*9.8%(+2.4)
  • 公明…*5.2%(▲2.4)
  • 共産…*3.4%(▲0.8)
  • 参政…*2.5%(+2.5)
  • N党…*2.1%(▲2.4)
  • 社民…*1.0%(▲1.6)
  • その他…7.8%(+2.4)

…。

自民党が35.3%と圧倒的な支持率を誇る一方、国民民主党が自民党に続いて第2位となり、続いて立憲民主党と日本維新の会がいずれも支持率2ケタ代、そのうえでれいわ新選組も10%近くの支持を集めている、という状況です。

じつはこれ、マスメディアが実施する政党支持率ではありません。

CCCMKホールディングス株式会社が取り組む『学校選挙プロジェクト』が9月29日から10月31日の期間、10代と20代を対象にオンラインで実施した、「期待する政党」に関する投票の結果だそうです。

具体的な政策で国民民主党を評価する若者が多いらしい

『学校選挙プロジェクト』公式のnote記事は、次のリンクで閲覧可能です。

若者が期待する政党は「自由民主党」35.3%、「国民民主党」12.1%- 期待する理由は政権・政策への具体的な評価が目立つ-【結果発表】

―――2023年11月15日 17:29付 note『学校総選挙プロジェクト【公式】』より

『学校選挙プロジェクト』の分析によると、それぞれの政党への投票理由を要約すると、こんな具合だそうです。

  • 自民党…小野田紀美議員に期待する声が多く見られた一方、前回同様、消去法で選んだという声
  • 国民民主党…減税やトリガー条項凍結解除によるガソリン税引き下げなどの政策に期待する声
  • 立憲民主党…選択的夫婦別姓制度や同性婚の法制化などの多様性を尊重した政策に期待する声

なお、この『学校選挙プロジェクト』の「投票結果」をそのまま「若者の声」と捉えるには若干慎重であるべきですが、自民党への支持率が圧倒的に高いこと、その自民党支持率が年々下がっていることなどの点に関しては、オールドメディアの世論調査や実際の投票結果などとは整合しています。

第1回で60%を超える期待を集めていた自民党の評点が、年を経るごとに下がっているのですが、このあたりは要因として気になるところではありますが、それ以上に興味深いのは、国会では少数会派の国民民主党が若年層で自民党に次ぐ2位だったという点でしょう。

オールドメディアの調査でも支持率が圧倒的に低い国民民主党が、じつは若者からは意外と人気があるのだとすれば、その要因はいったい何なのか――。

やはり、玉木雄一郎代表自身を筆頭に、インターネット(SNS、ブログ、YouTubeなど)を通じた情報発信に積極的である、といった事情とは無関係ではないと思うのですが、いかがでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (21)

  • はい、私も世間では若者に当てはまりますが、自分の中で一位は国民民主、二位は維新、三位は自民(一部のリフレ派保守のみ応援) です。
    ザイム真理教やオールドメディア、共産立憲公明社民など既得権益層達は令和の日本には不要かと。

  • 極左政策を推進する立憲共産社民れは選択肢に上がらないです。
    ひたすら国政で足を引っ張って現実の問題から目を逸らして妨害しているだけです。
    不法滞在問題然り、安全保障然り

    そんな中で現実的な政策を言ってる国民民主や維新の支持が増えているのだと思います。
    最近の維新は政策や議員でゴタツイているのであれな状況ですが。

  • 少なくとも僕は今の自民党には投票しませんね。

    LGBTがその主因。
    これには反対の民意を明確に示さねば。
    (たった1票だけですが)

    だからと言って総合的な経済政策や外交はまあ取り立てて言うほどの失態はないから、今のままでOK。

    となると維新か国民。
    (第2自民党とは上手いこと言いますな)
    間違っても自称リベラルへの投票は、ない。

    LGBTさえなければ、岸田にはカリスマ無いけどノラリクラリ上手いことやってるから堅実な評価をしてあげるのですが。
    (なぜみんな、カリスマやブランドに帰依したがるのかなあ)

    ま、こんな感じです。

    別のところで匿名さんのコメントがありましたが、匿名で書くのは勝手ですが、HNではなく匿名で書くやつは嫌いなのでレスしたくないです。

  • 個人的な感想
    自民…35.3%(▲4.3) わかる
    国民…12.1%(+2.0) わかる
    立民…10.7%(▲1.0) まあ、わかる
    維新…10.1%(+3.2) わかる
    れ新…*9.8%(+2.4) 高すぎる
    公明…*5.2%(▲2.4) 高すぎる
    共産…*3.4%(▲0.8) 高すぎる
    参政…*2.5%(+2.5) まあ、わかる
    N党…*2.1%(▲2.4) わかる
    社民…*1.0%(▲1.6) わかる
    その他…7.8%(+2.4)

    • 私は、立民、れ新、公明、共産、社民 べらぼうに高すぎると思いました。
      これら無くなったら日本の政治はかなり良くなります。と本心から思っています。

      • 同意します
        自民・維新・国民の3党を中心に
        政策議論を詰めて頂き、立法をして頂く方が国益になると思います。

        そのためにも先ず次回国政選挙で第一野党の立場を立憲から維新または国民に替え、質問時間の配分を決める権限を立憲から取り上げる必要があると思っています。

        • 仰るとおりです。
          まず何をおいても立民を第一野党から引きずり降ろさないといけませんね。
          確か?多重国籍?の方が二番手ではダメなんですか?って言ってましたね。
          それと、政権党において一番の問題連中を書き忘れました。
          自民党宏池会。これも壊滅させないとあきません。

  •  各党今のままでいるわけではありませんが、時間経過とともに自民党はやや不利になっていき、野党各党は有利になっていく、ともとれますね。この学生らも社会に出て現実を知り、夢想家には投票できない(-立共れ)、さらに消去法で(+自民)、となっていくという予想もまたできますが、その点でも国民民主は強そうかな。
     ……その中ですら取り残される社民党よ。

  • 国民民主の期待度は、与党と手を組むべきところは組み、そうかと言って批判すべき点や対案もきちんと出すなど、是々非々の政治姿勢が評価されているんじゃないですかね。

    アタオカ政党である立憲・共産などに辛辣なのも、常識人であれば好ましい態度ですし。

  • 「心は女」という男が女風呂に入ってつまみ出されたらしい。
    テレビの討論番組で片山さつきがこのような事態を危惧していたが立憲民主党の長妻は青筋立てて「そんなことには絶対ならない」と言っていた。
    彼どうすんだろうね。

    ところで「心は女」と主張する前記の人、今までどっちの風呂入ってたんだろう? 素朴な疑問。

  • 岸田政権の外交安全保障おいては、前々前政権からの継承を粛々と進めていて評価は出来ると思います。敵基地攻撃能力の保有決定や先だってのフィリピンとの合意なんかも。
    内政でもメディアの減点(しか報道しない)方式査定の中、揚げ足を取られまいとの言動でなんとかやっているとは思います。 (LGBTはちょっと・・・)
    そのせいか、意欲や熱量が乏しく映る気がしてならないが。

    小選挙区の候補者によっては消去法で自民となる選挙区もあるだろうし、解散に打って出て結果次第では公明切って維新国民に手を突っ込んで改憲政権を目指すのも一考。

  • 私は大阪の人間ですので維新を応援していますが日本維新の馬場代表はどうもよくわからないです、国民民主の玉木さんの言っている経済政策が分かりやすく理にかなっていると思います
    出来れば日本維新は国民民主を飲み込んで、経済対策は玉木さんに従う形で、日本維新の代表か共同代表に玉木さんを持ってくるぐらいの事をしていくと、野党は少し固まって支持率もぐっと上がるのではないかと思います、是々非々の日本維新ですからそれくらいの事をしてもらいたいです
    とりあえず数の勝負となれば勝馬に乗りたい政治家も多いと思いますので立憲民主でも現役の衆議員や絶対勝てそうな人に関しては受け入れるとして、踏み絵をして取り込み数を増やす動きをしてほしいです、自民党を追い詰める状態で少しでもなってほしいです
    たぶんそんな動きをするのが馬場代表の一番の仕事ではないかと思います 
    それで選挙の投票率を上げるためマイナンバーを使ってスマホで投票できるようにしてほしいですね
    投票率が上がると国民のほうを見て政治をしないとダメになってきます
    今の自民党は投票率が上がるのが一番怖いと思うので
    高齢の議員もほとんどいなくなるのではと思います

  • 政党支持率の調査の正確性について。
    この政党支持率は、オールドメディアが直接電話をしたものでなく下請け会社がしていると思われる。
    以前、私の家には『どの政党を支援していますか』という電話が入ってきました。無作為にしているのかと思いきや何かの電話帳というか名簿CDで調べたもののようで選挙の度に一か月前ぐらいから何度か来ていました(音声ガイダンスで)。
    出口調査も同じようにして報道しているように思う。出口調査も本当にするのは大変です。みんな下請けが同じ手順で調べたのではないだろうか。
    昔と今の報道番組の作り方は大きく違っており、今ではバラエティーに力を入れ低コストで簡単に作れるようなことしかやらないように思う。

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