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処理水放出巡ってはメディアこそ最大級の加害者だった

新聞、テレビを中心とするオールドメディアこそ、じつは福島原発ALPS処理水放出を巡る「風評加害者」なのかもしれません。その証拠が、日経新聞に掲載された『科学を隠れみのにするな』と題する記事を含めた、科学を攻撃する記事です。科学を否定するオールドメディアにジャーナリズムを騙る資格はありません。

安全と安心の違いとは?

先日の『菅義偉総理大臣の置き土産:いよいよ処理水放出開始へ』でも取り上げたとおり、菅義偉総理大臣の「置き土産」とも呼ぶべき、福島第一原発のALPS処理水の海洋放出が、いよいよ24日に始まります。報道等によれば、放流開始は午後1時ごろを予定しているのだそうです。

ただ、これについてはやはり、不安を覚える人も多いでしょう。『処理水海洋放出「説明が足りない」のはメディアの責任』でも説明したとおり、科学的にはほぼ安全だとわかっていたとしても、やはり「何となく怖い」、「何となくいやだ」と思う人が出て来ることは、仕方がない話でもあります。

繰り返しになり恐縮ですが、これについてはいわば「安全と安心の違い」という論点です。

たとえば航空機の場合、事故率は極めて低く、とくに日本の航空会社は1985年8月の日航機123便の墜落事故以来、100人以上が搭乗する航空機の墜落事故を発生させていないそうですが、それでも飛行機は万が一墜落でもしたら死亡する可能性が高いことから、「安心できない」と思う人もいるでしょう。

一説によると「飛行機に乗っているよりも乗用車に乗っている方が、事故に遭う確率は高い」のですが、それでも飛行機を忌避して陸路での移動に拘る人もいます。北朝鮮の前独裁者である金正日(きん・しょうじつ)など、その典型例でしょう。

科学的に見て安全だが…「安心できない」人もいる

じつは、原発そのものも、「いったん事故が生じると破滅的な影響が生じかねない」という意味においては、航空機と同じようなものかもしれません。だからこそ、そうならないよう、人間は慎重にも慎重を期して運営しようとするのです。

ましてや今回のALPS処理水についても、「安全である」という証拠は、これでもかというほどに揃っています。

  • トリチウムは自然界にも存在するものであり、摂取しても人体に蓄積することはない
  • トリチウムから生じる放射線は空気中を5㎜しか進めず、紙1枚で遮蔽可能なほどに弱い
  • 福島原発から放流がされるトリチウム量は中国、韓国、フランスなどの核施設と比べ格段に少ない
  • 国際原子力機関(IAEA)という第三者が放流前、放流中、放流後のモニタリングを行う

…。

また、「海域の魚がトリチウムで汚染される」と懸念する人もいますが、「汚染物質が濃縮され人体に健康被害が生じること」を懸念するなら、トリチウムよりも、まずは水銀あたりを懸念する方が先ではないでしょうか。

ただし、科学的に見て安全だからといって、福島県に影響がまったくない、というわけではありません。

その典型例が、経済的損失、もっといえば「風評被害」です。

何となく「福島県って放射能汚染されている」、「福島県の農産物は口にしたくない」、などと思う人が増えれば、それによって福島県の漁業だけでなく、農業を含めたさまざまな産業に悪影響が生じます。

つまり、ALPS処理水(※「汚染水」、ではありません!)の放流による「物理的な被害」はほとんど生じませんが、「怖い、怖い!」と大騒ぎする勢力のせいで、「経済的な被害」が生じるのです。

オールドメディア自身が風評加害者だ!

では、いったい誰がその「加害者」なのでしょうか。

こんな記事を眺めれば、だいたい理解できます。新聞、テレビを中心とするオールドメディアこそが、その加害者の一角を占めているのです。

処理水放出、科学的根拠だけでいいのか 二極化する原子力の賛否

―――2023/8/22 10:29付 毎日新聞デジタル日本語版より

科学を隠れみのにするな

―――2023年8月23日 2:00付 日本経済新聞電子版より

…。

正直、「怒りで身が震える」という経験をすることは、滅多にありません。

しかし、ここに挙げた少なくともこの2つは、それ自体が風評加害記事です。「安全性」は科学的根拠によって裏付けられているのですが、その「科学」の方を攻撃することで、あたかも今回のALPS処理水放出が「棄権である」かのように装おうとしているからです。

逆に、科学的根拠によらずに、ALPS処理水の放出が「危険である」と、いったいどうやって説明するつもりなのでしょうか?まさか、「(記事を執筆した)俺様が心配だと言っているから危険だ」、とでも言いたいのでしょうか?

ジャーナリズム騙る資格なし

なにより、新聞社、テレビ局を中心とするオールドメディアは、記者クラブ制度などの特権を通じて官庁の情報を独占するなどし、国民の知る権利を不当に制限している勢力でもあります。また、現在でも少なくない国民が、オールドメディアの情報を政府発表などに準じて信頼していることは間違いありません。

このように考えていくと、オールドメディアは「記者クラブ制度」などの特権を不当に悪用し、むしろ風評被害を積極的にばら撒いている「加害者」そのものなのです。正直、福島県を含めた風評被害者は、これらの記事を掲載したことをもって、新聞社を相手取って損害賠償を請求しても良いのではないでしょうか。

いずれにせよ、科学を否定するオールドメディアに、ジャーナリズムを騙る資格はありません。

もちろん、今回の処理水放出を巡っては、オールドメディア以外にも、日本共産党を筆頭とする特定政党も、積極的に風評加害を担っていることは間違いありません。

ただ、そうであるならばこそなおさら、福島県を含めた「風評被害地域」の食品を積極的に買い求め、それらを積極的に食べることで、風評被害に打ち勝つ必要があるのではないでしょうか。

いずれにせよ、著者自身はスーパーで福島県産食品を見かけたら、積極的に購入することにしたいと思いますし、また、「不適切な報道を繰り返すメディアにはカネを払わない」、「選挙では必ず投票所に足を運び、不適切な政党には絶対に1票を投じない」、を徹底することが重要だと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (34)

  •  一次産業従事者としても個人での風評被害対策には大賛成ですし、震災後から今に至るまで福島や近県産のものはむしろ優先して購入しています。今年も白桃美味しかったです。
     ……置いていればですが。
     風評被害の難点はここで、個人では躊躇無く買うのですが、仮に私が小売店経営をしていたらどうか。おそらくは「売れないかもしれない」として取り扱いを躊躇うことになるでしょう。
     この懸念が小売にあると、店頭取り扱いが減って消費者側にも「(危険だから)取り扱えないのかも」といった雰囲気として伝わり、生産者側にも価格低下や生産量の調整といった影響が出ます。「忌避はするけど安ければ買う」というような塩梅の層も居ることでしょうし、とりあえず少なめに発注して売れそうなら応援セールをしてみるとかやりようはありますが。生産量は直前に決まるわけではない。

     日頃から「色形が悪いくらいなら全然買うよ捨てないで」からの「安くしてくれるんでしょ」コンボを頻繁に見る身としては、色々考えさせられます。
     マスコミは「我々は消費者に考える要素を与えるだけです」とか逃げそうですが、おそらく流通全体へ与える影響、しかもそれが個々人の意思に無関係に暴走することなど、考えちゃいないでしょう。

  • それとなく親中的な傾向のある両紙なんですよね・・。
    スポンサー様の意向には逆らえないってのでしょうか?

    日系新聞であるとか侮日新聞と揶揄される所以ですね。

  • 店頭に陳列されてる魚が、「福島沖産」と掲示があれば、独り身のボクですが3匹ぐらい買います。

  •  ちょっとズレるが
    「毎日」の環境問題記事はほとんどがバイアスがかかっている

    ①しろくまは22世紀には絶滅する危険性がある(論文)
    ②しろくまの実数は増えている
     しろくまが減ったのはパンダやクジラと同じ人間の乱獲によるもの
    毎日の場合は①のみを報道していたずらに危険性を煽る傾向にある

    「日経」めちゃくちゃな記事も多い
    「日経」で煽って「東テレBIZ」で火消
    マッチポンプ的傾向が強いのではないかと思う
    参考
    新聞とテレビの関係
    https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/461abb4221e3993cd3edf5cfb28bb7b58347df9d&preview=auto

  •  自分はオカルト話が大好きなのですが、「オカルトは主観の問題であり科学(客観)的に語るべきではない」という変な哲学を持っています。主観である以上他者にどうこう言われる筋合いはないけれど他者に押し付けることもできません。
     一方、科学は客観ですから場合によっては他者に押し付けることもできると考えます(科学万能論もひとつの迷信ですが、それであっても、です)。

     何が言いたいのかというと「(科学が保証した)安全」は「科学」であり「安心」はオカルトだということです。

  • 新聞社、テレビ局は「放火魔」ですね。
    火のないところに火をつける。
    くすぶり続ける火を大火事にさせる。
    科学的に安心なら、応援団として
    福島の食品の安心キャンペーンが
    ジャーナリズムの使命でしょ

    >日経新聞に掲載された『科学を隠れみのにするな』

    日本経済新聞は、思い込み記事作成が得意なのは、昔から理解できるのですが
    今は中国に対して反論記事を載せるべきでは、中国進出を煽った責任もあるんだから・・

  • ALPS処理って何?
    トリチュウムって何?
    という人がほとんどでしょう、ネットで調べればわかりやすく解説しています。
    新宿会計士様もトリチュウムに対して解説されてます。
    しかし、残念ながらTVや新聞でそのような解説はありません、これが政府批判につながるものであれば何故ダメなのかを誇張や捏造を交え繰り返し解説するのでしょう。
    マスコミや特定野党は風評を加速させることで政府や原子力政策を批判したいがための確信犯です。
    そこに風評被害の被害者に対する思いやりは全くありません。

  • 原発事故からずっと一貫して報道機関は害を流し続けて来ました。
    出鱈目委員会は出鱈目でしたが、失敗を責められてバツが悪い通産省は再生エネルギーへ向かって大暴走、そして今に至る。今我々の目の前に広がるものが「反原発の姿を借りた翼賛体制」という醜態であるのは間違いないところです。

  • 科学的であるという事 京大理学部 齊藤 颯氏
    https://sci.kyoto-u.ac.jp/ja/academics/programs/scicom/2015/201602/04

    一部要約
    科学的とは2 つの特徴で説明できると思います。
    1つ目は、その方法が同じならば、いつ・どこで・誰であったとしても、同じ答えや結果にたどり着くことです。これは再現性という性質です。
    2 つ目は、原因と結果の関係がきちんとあるということです。これは因果関係という性質です。

    非常にわかりやすいです。再現性があり、客観性があり、論理的に因果関係も考えにくいとされている処理水放出について、メディアが「主観」で否定するならば、それは「風評加害」の流布としか考えられないです。

    ※因みに、私も私の家族も震災直後から福島県産の農産物・海産物を積極的に食べています。
    10年前なので記憶だよりですが、確か福島県が率先して全量検査後に出荷するという対応をしてくれたおかげです。当時、全量検査後に出荷された農産物・海産物は、他県産・他国産よりも余程安全・安心度が高いという「科学的」な判断のためです。

  • 共産党もこんなことを言うようでは
    「空想から科学へ」どころか空想から妄想へだねw
    マルクスが草葉の陰で泣いている。

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