これがイタリアなら「暴動」か?
今度は、KFCだそうです。ロンドンに向かう英ブリティッシュ・エアウェイズの機体でトラブルにより機内食が提供できず、「乗務員の機転により」、中継地であるバハマの空港にあったKFCでカーネル・バケツを購入し、それを乗客に提供したのだとか。ただ、12時間前後というフライト時間でチキンひとつというのもひもじい限りではないかと懸念されますが、いかがでしょうか。
インバウンド大国となったニッポン
コロナ禍の際中には、海外旅行など夢のまた夢。されど、海外との往来が(条件付きで)正常化されたらされたで、今度は円安や海外物価高のためか、日本人はなかなか外国に行けなくなってしまう…。
これが、昨今の実情なのかもしれません。
『日本を訪れる米国人が増加中…魅力高まる観光地・日本』などを含め、これまでしばしば指摘してきたとおり、現在の日本は「インバウンド大国」のようになってしまいました。要するに、日本にやってくる外国人の人数が、海外に出掛ける日本人の人数を大きく上回っているのです(図表)。
図表 インバウンドvsアウトバウンド
(【出所】日本政府観光局、法務省データをもとに著者作成)
このあたり、なぜ日本人が外国に出掛けようとしないのかについては諸説あろうかと思いますし、実際のところ、円安要因なのか、海外物価高のためなのか、あるいは単に日本人が海外旅行よりも国内旅行の魅力に目覚めたからなのかはよくわかりません。
ただ、ここで重要なことは、「事実として」、インバウンドがアウトバウンドを大きく上回っているということであり、また、日本人の出国者数がコロナ前と比べて半分程度にまで減ってしまっているということです。
いずれにせよ、海外旅行好きにとっては厳しい時代といえるかもしれません。
ただ、経済というものは、変動するものです。現在の物価上昇が経済成長を伴って持続すれば、賃金水準も上昇するでしょうし、そうなれば、日本人の購買力も再び回復していくはずです。問題はそれが「いつ」なのか、ということと、財務省あたりが増税などの余計なことをしないかどうか、などにもかかっています。
(※ただし、「経済成長のメカニズム」などについては、また別稿に譲ることにしたいと思う次第です。)
機内食とは?
さて、海外旅行に頻繁に出かけてきた人たちにとって思い出深いもののひとつは、機内食ではないでしょうか。
ジャルロイヤルケータリング株式会社のウェブサイトの『機内食のコバナシ』というページの説明に基づけば、気圧の関係上、人間の味覚は高高度では鈍くなるらしく、機内食はこうした環境変化を見越して味付けがなされているのだとか。
機内食の味付け
機内食はメリハリのあるはっきりとした味付けで調製しています。なぜなら上空に行くと、気圧の関係で人間の五感の一つである【味覚】が鈍感になるから。<<…続きを読む>>
―――ジャルロイヤルケータリング株式会社ウェブサイトより
同社によると、地上で1気圧だとすると、上空では0.8気圧にまで気圧が低下し、これにより塩味が約20~30%、甘味が約15~20%低下するのだとか。
「そのため、機内食はこの環境変化を見込んだ味付けをしています」
…。
ということは、あの美味しい機内食は、じつはかなり味付けが濃い、ということでしょうか?
これについて同社は、「ただ単に調味料を多く使用しているというわけではなく」、「食材本来の味の濃淡を際立たせるような調理・味付け」をしている、などと説明していますが、いずれにせよ機内食をそのまま地上で食べると、上空と比べて異なる味わいとなる可能性は濃厚です。
ブリティッシュ・エアウェイズでKFC一切れ!?
こうした科学的事実を踏まえたうえで、本稿ではこんな衝撃的な話題を取り上げておきたいと思います。
British Airways serves KFC to passengers after issue with in-flight meals – ‘we had to wing it’
――― 2023/07/27 21:59付 sky newsより
British Airways apologise to passengers for serving KFC after ‘forgetting food’ on 12 hour flight
―――2023/07/29付 Independentより
『スカイニューズ』、『インディペンデント』などの報道によると、英ブリティッシュ・エアウェイズ社が機内のトラブルにより機内食の提供ができず、同機の客室乗務員は乗客に対し、カーネル・サンダースさんのバケツから直接、フライドチキンを配ったことが話題となっているようです。
問題のフライトは、カリブ海に浮かぶ英領のタークス・カイコス諸島からバハマの空港を経由し、ロンドンに向かう便で発生したそうです。
乗客のツイートによると、機内食が十分に冷えていなかったため、すべて廃棄せざるを得なくなり、乗務員はやむなくKFCでチキンバケットを購入して乗客に提供したものだ、などとしています(幸運な乗客は1切れのチキンを入手した、とありますので、ありつけなかった人もいるのでしょうか?)。
また、インスタグラムなどでは「ヴィーガンに対応していない」、「ハラル認証は取っているのか」、などのツッコミもでているのだそうですが、その一方で、BAの乗務員が機転を利かせてKFCのバケットを購入したことへの「称賛の声」もあるのだそうです。
ナッソー空港に、たしかにKFCエキスプレスがあった
ちなみにBAのウェブサイトでロンドン・ヒースロー空港(LHR)からタークス・カイコス諸島の玄関口であるプロビデンシアレス島(PLS)までのフライトを検索してみると、たしかにバハマ・ナッソーにある「リンデン・ピンドリング国際空港」に立ち寄るというルートが検索されます。
同空港のウェブサイトを確認してみると、フードコートに「KFCエキスプレス」(電話242-702-7294)がありますので、おそらくはこれが問題のKFCなのでしょう。
ただ、さすがに12時間前後のフライトで機内食がチキン1つというのは、一般論でいえば「ひもじい」かぎりでしょう。
もちろん、いくらイギリスでも、さすがにクッキーだの、クラッカーだの、ナッツだのといった「乾き物」くらいはあるような気がします(日本でいえば「おかき」のようなものでしょうか?)し、さすがにドリンクは搭載しているはずですので、チキンだけでなく乾き物とドリンク(できれば炭酸水など)で腹を膨らませれば、少しくらい、飢えは凌げるのではないでしょうか。
ちなみに先ほど引用したメディアの報道によれば、BAは機内食の提供ができなかったことにつき顧客に謝罪したうえ、乗客全員に対し、降機時にフード・クーポンを配布したのだそうですが、乗客にとっても「忘れられない旅行」になってしまったのではないでしょうか。
(※これがイタリアなど、食にうるさい国民性の国だと、機内で暴動が発生してしまうのではないかと懸念されますが…)。
機長と副操縦士への食事は別々
さて、先ほど取り上げたジャルロイヤルケータリング株式会社のウェブサイト『機内食のコバナシ』には、続きがあります。全部で6項目の記事が掲載されていて、2番から6番までは、こんな具合です。
- 02 ステーキの焼き加減
- 03 パイロットの食事
- 04 航空機の変更
- 05 オリジナルサービス
- 06 スペシャルなケータリング
たとえば「ステーキの焼き加減」と題した節では、牛フィレ肉はケータリング会社の工場で調理する際、機内で温め直せるよう、「絶妙な火加減とタイミング仕上げている」、などと記載されています。そのうえで焼き加減については客室乗務員が機内のスチームオーブンで再加熱する際に調整しているのだそうです。
また、パイロットの食事は乗客に提供されているものとは異なっており、機長、副操縦士などに対しては食中毒を防ぐ観点から、それぞれ別々のメニューが提供されている、といった話題も掲載されていて、これはこれで大変参考になります。
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なお、機内食が出るような便の多くは国際線ですが、少しリッチな方であれば、国内線でも上級シート(JALのファーストクラス、ANAのプレミアムクラスなど)に搭乗すると、機内食が提供されるようです。
もっとも、羽田-伊丹線のように、搭乗時間が短い便の場合は、機内食の提供も非常に慌ただしいようですので、やはりどうせ上級シートを利用するならば長距離路線(端的にいえば沖縄線など)が良いのではないかと思います。
ただし、著者自身はかつて、出張の際、長距離路線を狙って自腹でファーストクラスにアップグレードしようとしたところ、当該機の部品故障による出発の大幅な遅延により、ファーストクラス用の食事が廃棄されてしまい、やむなく(ファーストクラスの座席なのに)「クラスJ扱い」となってしまったのです。
結局、羽田空港に到着したのも深夜でしたが、その代わり、航空会社からは当日の食事代相当額が支払われたほか、終電が亡くなってしまったことに伴う、空港から自宅までのタクシー代(実費※上限あり)に関しても補償されました。
これはこれで、忘れられない旅の思い出、といったところでしょうか。
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自民女性局30数人がフランス外遊し、松川るい氏のエッフェル塔の前でのおちゃらけ写真が公開され炎上中。彼女等は、何航空の何クラスでフランスまで行ったのでしょうね。欧州の先進国だったら国会議員30人以上が日本を訪問して東京タワーの前でおちゃらけ写真撮ってたら暴動でしょ。
なお、コメントの中には、無駄使いという通り一遍の批判ではなく、以下のような大人の指摘もあったので紹介させていただきます。
-------今フランスで第一に視察すべきは、暴動の中心となった移民コミュニティの実態だ。警察権力も入り込めないという報道もある。こうした実態を国会議員が自らの目で確認することは決して無意味とは思えない。警察当局の見解を伺うことも大事だ。また、前回の総選挙で伸張した右派が次回更に伸張することは確実と思われるので、こうした勢力との情報交換を行うことも悪くはない。とくにルペンはNATOとの関係について一家言ある人だから、欧州の集団的安全保障をめぐる情勢変化が極東に及ぼす影響を考えるのも重要な論点だ。
しかし、少児化対策というのでは、視察の意味があるのだろうか。
この投稿を見て喜ぶのは反日本的な国、不安になるのは同盟的な国、憤慨し失望するのは日本国民。反日本国は、こんなミーハーな国会議員が30人もいると分かれば安心するし、同盟的な国は、こんな国と仲良くしていて大丈夫かなと考え始めるし、日本国民は自国の将来がとても心配になる、はずです。
いずれにせよ、国益を多いに損ねた事は間違いないですね。日本国民にとっては、このような議員の存在そのものが災厄です。
官邸で親戚一同の忘年会をやる首相の御令息。おフランスへ行って舞い上がってミーハー写真をネットで世界中に配信する女性国会議員御一行様。
日本を虎視眈々と狙っている国がいるとすれば、今だ!、と思うかも知れない。
日本の感覚からすると、これはかなり問題があることでは無いか?と思います。
自社で提供するものについて、その供給過程の流れ(チェーン)に於いて、仕入れから供給まで自社の管理規準が及ばないものを顧客に提供することは、ちょっと考えられないことです。仕入れにも厳しい規準があり、それに応えられる業者を選定しているはずです。もし、ナッソーで買ったチキンが偶々運悪く食中毒を起こすようなことがあれば、誰が責任を取るのか?この場合、ナッソーのKFCに責任を取らせる事は難しい。
この場合の基本的な対応は、機内にある乾きものと飲み物を全部提供することしか無かったように思います。あとは、乗客に我慢してもらうしか無いでしょう。
また、ナッソーで乾きものを買えば良かったか?それも、無しでしょう。顧客に提供するモノを一従業員の個人判断でどうこうするということは、本来無しのことでしょう。
これが、重大な危機の場合はどうか?という事は、今回のケースとは別に考えることではないかと思います。
(別に英航空会社に限りませんが)トラブルが起きた時に、限られた予算で、どう事態を大げさにしないのかで、その会社の力量が図れるのではないでしょうか。(もちろん、今回のKFCチキンが上手くいったのかは、別の話です)
アメリカからの帰国便の機内食に「ざるそば」があった。
日本食をしばらく食べていない日本人乗客には好評。
大韓航空はそれをまねしてか韓国料理を出した。みんなで「コチジャン」をつかうものだから機内がすごいにおい。
ラバウル基地からソロモンに向かう零戦のパイロットにはいなりずしとサイダーが支給されたとか。サイパンから日本に向かうB-29の搭乗員にも弁当が支給されていたけれどそれがフライドチキンだったとか(うろおぼえ。まあ毎日同じということでもないのだろうけど。)。
ステ-キな思い出もいいのですけど、ダイエットだと思えば、堪えられる。・・のかな?
”鶏肉は、太りにくい” ってことだし・・。
基本的には、Yクラスの機内食は「エサ」、Cクラスでようやく「ファミレス並み」(Fクラスは使ったことないので不明(;.;))と心得ているので、機内食にはさほど期待してませんが、それでもキャリアごとに違いや特色があるのは確かです。その昔、AYを使った際にはトナカイのシチューが供されたりなど、お国ぶりも表れたりしますので、それはそれで面白いですね。
で、BAはというと......他に選択肢がなくてどうしてもという場合を除いてまず使いません。一番の理由はLHRが大嫌いであること(特に乗り継ぎは最低)ですが、やはりイギリスの会社なので、機内食にまるで期待できないことにあります。いかに「エサ」であるにしても、やはり少しでもマシなものを頂きたいとは思いますので。
なので、もしかしてもしかすると、量的にはともかく、元々の機内食よりもKFCのほうがマシだったりする可能性もあるのではないでしょうか。なにせBAですから......
僕が日本の航空会社で同じことをされたら文句言ってますね。
なぜモスチキンでないのかと。
鶏「イギリス料理はちょっとな……」
なぜか茶と菓子になるとハイレベルなので、それを併せればなんとか。
航空会社の機内食に当方はケチをつけないタイプです。
若いころ年長氏、今は政府中枢で活躍中=当時は博士課程、が「エスタブる」なる造語を使っていました。会社の金で飛行機乗って空港ラウンジで上流ぶる連中を揶揄してそう言っています。今ではご当人がエスタブった階級ですのでまあ古い笑い話ですが。
自分はいつも海外渡航するときには空港待合では片隅に、座席はなるたけ機体後部を選んで会社幹部が移動中など分からないよう極力目立たないようにしています。