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「外国人は【ピッ】で空港から出られない」…本当か?

日本のインバウンド行政の問題点はいくつかあるのですが、日本の観光行政自体の問題と、個別の鉄道会社、免税店、タクシー業者などの問題については、きちんと切り分けて考えるべきでしょう。こうしたなかで、正直、日本の観光産業の問題点を指摘する記事を発見したのですが、どうにも賛同できない記述が多々あります。記事自体に、執筆者の方の主観や経験、印象などに基づいているのではないかと思われる記述が目に付くからです。

観光大国と化しつつある日本

日本はインバウンド大国

先日の『月間訪日外国人200万人突破も…観光振興の落とし穴』で取り上げたとおり、現在の日本は、立派な「インバウンド大国」です。

2023年6月の訪日外国人が200万人を突破しました。日本政府観光局(JNTO)の発表によれば、韓国(54.5万人)、台湾(38.9万人)に加え、米国(22.7万人)などが牽引する形で、引き続きインバウンド需要は旺盛です。また、1-6月の累計だと1000万人を超えました。この調子で推移すれば、今年を通じた入国者数は2000万人を超えることは確実です。ただ、一見すると堅調なインバウンド需要、なにか落とし穴はないのでしょうか?全体レビューついに200万人の大台を達成!ついに、200万人の大台達成です。日本政府観光局(JNTO)は...
月間訪日外国人200万人突破も…観光振興の落とし穴 - 新宿会計士の政治経済評論

日本政府は昨年10月以降、外国人観光客の受け入れを再開したのですが、それ以来、訪日外国人は、まさに「うなぎのぼり」に増えています。

日本政府観光局(JNTO)が19日に発表した速報データによると、、2023年6月の訪日外国人は2,073,300人で、コロナ前の2019年6月の2,880,041人と比べればやや見劣りしますが、それでもコロナ前の水準に近付いていることは間違いありません。

また、2023年1~6月、つまり上半期の累計入国者数は10,711,979人で、2019年1~6月の累計値である16,633,614人と比べれば、まだ本調子とは言い難いものの、コロナ禍最中の2020年~22年の同時期と比べれば、ずいぶんと回復したものです。

訪日外国人(単月)
  • 2018年6月…2,704,631人
  • 2019年6月…2,880,041人
  • 2020年6月…****2,565人
  • 2021年6月…****9,251人
  • 2022年6月…**120,430人
  • 2023年6月…2,073,300人
訪日外国人(1~6月累計)
  • 2018年1~6月…15,899,063人
  • 2019年1~6月…16,633,614人
  • 2020年1~6月…*3,946,972人
  • 2021年1~6月…****96,292人
  • 2022年1~6月…***507,630人
  • 2023年1~6月…10,711,979人

(【出所】JNTOデータをもとに著者作成)

日本の市民の足がパンクするオーバーツーリズム

もっとも、外国人観光客が戻ってくることが、日本にとって必ずしも良いことかどうかは微妙です。

もちろん、あくまでも一般論でいえば、外国人観光客が大挙して日本にやって来てくれて、さまざまなアクティビティを通じてたくさんのおカネを日本に落としてくれれば、サービス業を中心に、日本経済が潤うことは間違いありません。

これに加えて多くの外国人の方々が日本にやって来て、実際に日本を自身の目で見、耳で聞き、舌で味わい、五感で体験することで、日本に対する印象が良くなり、日本のことを好きになる人が世界中で増えることは、日本にとっては決して悪い話ではありません。

ただ、それと同時に現在の日本では、各地でオーバーツーリズムの問題も生じています。

実際、たとえば『「京都市民の怒り爆発」…観光目標数独り歩きのリスク』などでも取り上げたとおり、一部の地域ではホテル代の急騰に加え、市民の足である交通機関が殺到する外国人観光客により「パンク」するなど、日常の市民生活にも影響が生じ始めています。

コロナ禍の入国制限が昨年10月に撤廃され、現在の日本はさながらインバウンド大国と化していますが、これにより一部の地域では、オーバーツーリズムが問題となっているようです。とくに、とあるウェブサイトではJR嵯峨野線の大混雑を受け、「京都市民の怒りが爆発寸前」、などと指摘されています。ただ、観光客が殺到する京都で、市バスが大混雑しているとする問題は、すでに5年以上前から指摘されていたものでもあります。日本はインバウンド大国に!以前の『訪日外国人は189万人:「インバウンド大国」の日本』などでも取り上げた...
「京都市民の怒り爆発」…観光目標数独り歩きのリスク - 新宿会計士の政治経済評論

正直、現在の日本が生産年齢人口が急激に減少すると見込まれるなかで、また、半導体産業などの先端産業誘致などに向け、再び国家戦略の舵を大きく切りつつあるなかで、インバウンド観光を振興することが日本経済の成長のための「最適化戦略」なのかどうかは疑問です。

治安の悪化や不法滞在問題も!

これに加えて、素性の悪い外国人が大挙して日本に入国し、不法滞在状態となって定住するリスクもあります。

違法行為に手を染めるNHKを冷ややかに見る一般国民』などでも指摘したとおり、「公共放送」を自称するNHKが不法滞在という違法行為を正当化するかのようなドラマを制作し、放送していることからもわかるとおり、不法滞在は現在の日本にとっては大きなリスクです。

NHK問題の本質は、「不視聴運動を行ったとしても、NHKを倒産させることができない」という点に尽きます。NHK自身、放送法で受信料収入を事実上、保障されているからです。こうしたなか、例の「不法滞在を美談にする」というドラマの放送が行われたそうです。こうしたドラマを放送すること自体、違法性の疑いが極めて濃厚です。しかし、それと同時に、明らかに問題がある番組が放送されようとしていても、国民がその差し止めを求めることすらできないということ自体も、極めて大きな問題です。経済学で見た日本経済学の大原則...
違法行為に手を染めるNHKを冷ややかに見る一般国民 - 新宿会計士の政治経済評論

こうした視点から、『【宣伝】正論2020年5月号に論考が掲載されました』などを含め、数年前から当ウェブサイトや一部雑誌で主張してきたとおり、インバウンド観光客の「人数」を目標にすることには、著者自身は強く反対したいと考えており、その考え方は現在でも変わっていません。

もちろん、日本にとって「好ましい国」――たとえば不法滞在となるリスクが非常に低く、かつ、日本国内にも多額のおカネを落としてくれるような国――からの入国者は引き続き歓迎すべきですし、そのような国からやってくる人たちが日本でストレスなく観光を楽しんでくれるよう、行政としてもできる努力をすることは良いことです。

ただ、インバウンド需要を振興するという観点からは、行政としては「空港や駅施設などでの外国人のための案内を充実させる」などのハード面での対応を思いつくようですが、それと同時に、外国人に対してあまり過剰なサービスを行うあまり、日本国民の利便性を下げることがあっては本末転倒です。

有害な外国語メッセージ

さて、その本末転倒の典型例が、外国語メッセージでしょう。

たとえば、駅や鉄道で日本語以外にも英語(ないしローマ字)を用いるのは適切ですが、日英以外の言語を用いて案内をすることが正しいのかどうかは微妙でしょう。私たち日本人がまったく読めない文字で案内が流れて来るときには、正直、著者自身も辟易します。

たとえば空港から鉄道に乗り換える際などに、列車の発車時刻案内を見ると、日本語の表記がまったく見当たらず、どの列車に乗れば良いのか迷うことがよくあります。

国交省の『公共交通機関における外国語等による情報提供促進措置ガイドライン』によれば、情報提供に係る言語は日英を基本としつつも、「地域特性や外国人観光旅客へのホスピタリティの観点」から「韓国語や中国語等、英語以外の外国語でも情報提供を行うことがさらに望ましい」(同P14)などとされます。

(※余談ですが、このあたり、自公連立政権で長らく公明党が国土交通大臣の地位を占め続けていることとも影響があるのでしょうか?)

公明・山口代表「国交相はこれからも重要」、継続を要望/自民党内は返還論

―――2023年7月18日 21:00付 日本経済新聞電子版より

それはともかく、いくつかの鉄道業者は「日本語→英語→中国語→韓国語」の順で案内を流しているようなのですが、この4つの言語をすべて対等に扱ってしまっているがために、日本語表記が消え、中国語と韓国語しか表示されていない、といった珍事が発生することもあるのです。

やはり、基本的に日本語は常に表示し、それ以外の言語を順繰りに表示する、あるいはいっそのこと日本語と英語のみで表示する、といった対策が望ましいと思われるのですが、いかがでしょうか。

疑問が多い、インバウンド観光記事

イタリア人に嫌われることを恐れる必要はないが…

いずれにせよ、著者自身としては、日本がインバウンド観光を振興することを全否定するつもりはないのですが、やはり最低でも、「▼人数目標を独り歩きさせない、▼できるだけ特定国に偏らせない、▼外国人への配慮を重視するあまり、日本人の市民生活に支障を生じさせない」――、などが必要だと考えます。

したがって、「外国人に嫌われないために、日本は行動を変えるべきだ」、などと主張する記事に関しては、正直、賛同しかねるのです。ましてや、「イタリア人に嫌われないよう、冬場のイチゴの生産を止める」(『イタリア在住者「3年ぶり帰国で気付いたヤバい日本」』等参照)などの必要性は、まったくないでしょう。

環境問題を熱心に主張する人は、得てして「数字」を軽視ないし無視する傾向があるようです。東洋経済オンラインに16日、「3年ぶりに帰国した日本人が驚いた『ヤバい日本』」と題し、「外国人が日本愛をキープしたまま帰国してくれるかどうかが不安だ」と主張する記事が掲載されていたのですが、「ヤバい」などというわりに具体的な数字はほとんど出て来ず、論旨も途中から記事の主題との関連性がよくわからなくなります。旅の思い出海外旅行に行く意味:欧州ドライブツアーの思い出著者自身の主観的な考え方で恐縮ですが、私たち日本...
イタリア在住者「3年ぶり帰国で気付いたヤバい日本」 - 新宿会計士の政治経済評論

さて、インバウンドに関連し、上記の「イタリア在住者が『ヤバい日本』と指摘する」という記事がその典型例ですが、個人的に賛同しかねる記事を目にすることが増えてきた気がします。ウェブ評論サイト『プレジデントオンライン』が配信したこんな記事も、その典型例かもしれません。

ほかの国なら「ピッ」で空港から出られるのに…「外国人向け切符」に大行列を強いる日本の残念なIT事情

―――2023/07/21 15:17付 Yahoo!ニュースより【PRESIDENT Onlineより】

5000文字弱の長文記事ですが、これは「観光戦略アドバイザー」の方が、「残念ながらインバウンドの受け入れ体制は不十分な部分が多い」、「このままでは、観光業が国の基幹産業になるのは難しい」、などと指摘するものです。

個人的体験や目撃事例、主観に基づく主張が多くないですか?

個人的に、「果たして観光業が国の基幹産業になる必要はあるのか」、という点で、そもそも賛同するのが難しい記事ではあるのですが、この点は脇に置きましょう。

この記事を読んでいて気づくのは、記事執筆者の方の持論、目撃事例、体験事例などをもとに、「日本の観光業はかくあるべき」などとする主張が、やたらと目に付くことです。

たとえば、「旅行の満足度を決めるのは空港」と題した、こんな記述です。

私はこれまでインバウンド戦略アドバイザーとして海外を含めた全国津々浦々をまわってきた。その中で感じているのは、その土地の第一印象は玄関口である空港が大きく左右すること」。

すべからく旅行者は、これから訪れようとしている土地に対して『期待値』というものを持っている。空港ではその期待値を裏切らないようにしなければならない」。

執筆者の方によると、「空港から初日の宿泊施設到着までの体験」が「訪日旅行全体の満足度に影響を及ぼすといっても過言ではない」のだそうであり、日本の成田空港に関しては「閉店中の店ばかり」で「寂しすぎる」、などと主張します。

果たして、「空港から初日のホテルまでの体験」が「訪日旅行全体の満足度に影響を及ぼす」とするデータでもあるのでしょうか?正直、あくまでも一般論として申し上げるなら、到着エリアで買い物をする人がそんなに多いとも思えませんが…。

もしもこの記事の執筆者のように、個人的な持論、体験だけでものごとを語って良いのなら、「山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士」も、個人的な持論、体験だけでものごとを語らせていただきたいと思います。

「旅行全体の満足度を決めるのは空港に降り立ってから初日のホテルまでの体験」ではなく、「その国を離れる時の体験」です。ええ、そうに違いありません。きっとこの記事の記載は間違っているに違いないのです(もちろん、そんなデータも根拠も、まったく存在しません)。

余談ですが、「すべからく旅行者は」、の部分に関しては、「すべての旅行者は」、といったニュアンスで用いられているのかもしれません(なお、「国語の教科書などでは、『すべからく(須ク)』は本来、『~べし』とセットで『是非とも~するべきである』、という意味である」、といったツッコミはしないつもりです)。

それは余計なお世話では?

それはさておき、執筆者の方は、こうも述べます。

厳しい言い方かもしれないが、人材不足でお店がオープンできないのであれば、その店舗の努力が足りていない面もある」。

努力不足とは、なかなかに手厳しい指摘です。では、具体的に何をどう「努力しろ」、というのでしょうか。

それは、「▼時給を上げ、▼収益が高まるような商品ラインナップの差別化や陳列の工夫、▼オペレーション上の省力化」――などを図れ、というのです。

余計なお世話です。到着エリアや出発エリアで閉まっている店が目立っているというのは、個別店舗の話か、せいぜい空港経営の話であって、これを国全体の観光戦略と関連付けるには、いささか無理があります。

もしご自身で「閉まっている店舗をオープンさせる方法」をご存じなのであれば、こんな記事など執筆せず、ご自身がその「閉まっている店」を「時給を上げ、商品ラインナップや陳列を工夫」するなどしてオープンすれば良いのです(大変失礼ながら、この執筆者の方は、小売店舗を経営したことはあるのでしょうか?)。

さらに理解に苦しむのが、こんな記述です。

象徴的だったのは、中部国際空港セントレアにあった『ぐい呑み』の商品だ。国際線の搭乗エリアにある免税店にもかかわらず、日本語での説明しかなかった」。

『5300円(ぐい呑 金箔(きんぱく))』と書かれた商品を本気で売るならば、多言語表記にとどまらず、手にとって肌触りから使い心地までを体験してもらう必要があるが、ビニールでしっかりと梱包(こんぽう)されてしまっている。これでは売る気がないと思われても仕方がない」。

どうしてこれが日本の観光戦略と結びつくのでしょうか?

売り方は、あくまでもその「ぐい吞み」を販売している店舗の判断です。まさかとは思いますが、国土交通省・日本政府観光局あたりが、「ぐい呑み」の販売方法を小売店に指導しろとでもおっしゃるのでしょうか?

著者自身の主観で恐縮ですが、5,300円という値札を付け、金箔を施した高級品を、ビニールで梱包せずにそのまま陳列し、外国人を含めた不特定多数の人々が「自由に触れる」状態にしておくことの方が非常識という気もしますが。

ジャパンレールパス購入が不便なのは当たり前

さて、読んでいて困惑する個所は、ほかにもあります。その一例が、鉄道に加え、いわゆる「ジャパンレールパス」に関する記述です。

想像してみてほしい。ときに14時間にも及ぶ長いフライトを経て到着したあなたは、スイスイと進む日本人と再入国者専用レーンを横目に出入国管理の長い列を待ち、受け取った大きな預け荷物を携えて成田空港駅へ向かう。すると、大行列が待ち受けているのである」。

この「大行列」、おそらくその多くは、「ジャパンレールパス」と呼ばれる、おもに外国人旅行者を対象に販売されている周遊チケットを受け取るためのものです。

便利なはずのチケットのために、何十分、ときに何時間と並ばされるのである」。

この点で、事実誤認があります。

そもそもジャパンレールパス自体は、いったん購入すれば「便利でお得なチケット」かもしれませんが(※ただし、東海道・山陽・九州新幹線の「のぞみ」号や「みずほ」号は利用できないという制約はあります)、これはあくまでも「外国から日本を観光目的で訪れる方のみが購入できる特別企画乗車券」です。

JAPAN RAIL PASSとは?

―――JAPAN RAIL PASS 公式ウェブサイトより

したがって、商品の特性上、「外国から日本を観光目的で訪れていること」が確認できなければ、販売できないとされており、行列ができるのはやむを得ない話です(実際、有人改札しか通れない「青春18きっぷ」しかり、「お得な切符」は何かと不便なものです)。

もしそれが嫌ならば、券売機で切符やSUICAなどの交通系電子マネーを購入するしかないのではないでしょうか(ちなみにJR東日本は外国人向けのSUICAも販売しています)。

また、記事の執筆者の方がご存じかどうかはわかりませんが、切符であれば多機能券売機でクレジットカードを使って購入することができます(※ただし、無記名式のSUICAカードにJR東日本系以外のクレジットカードでチャージすることはできませんが…)。

さらにいえば、最近だと外国でもiPhone8以上であれば、FeliCaが搭載されているという情報もあるようですので(※未確認)、この場合はApple PayにSuicaなどをダウンロードしてチャージすれば、外国の方でもおサイフケータイ機能を使うことができるはずです(まだ一般的ではないとは思いますが…)。

よって、「外国人は【ピッ】で空港から出ることはできない」とする記事タイトルには、ずばり「偽りあり」と言わざるを得ません。

しかも、記事執筆者の方が比較のために持ち出してくるのが、イタリア北部の都市・ボローニャの事例です。同市の空港モノレールでは、チケットをわざわざ窓口で買う必要がなく、クレジットカードをかざすだけで乗れてしまう、などとしています。

この点にも、違和感を禁じ得ません。たしかに現在、VISAタッチなどに対応している地下鉄は、世界各地で増えているようですが、その一方で現金払いのみにしか対応していない交通システムは、世界にまだ多数存在します。

もちろん、執筆者の方がいうとおり、日本の鉄道には、まだまだクレジットカードなどに対応していない窓口や会社が多いのも事実でしょうし、ジャパンレールパスもモバイル化できないものかという提言は「アリ」でしょう(ちなみにユーレイルパスはモバイル化が可能だそうです)。

ただ、もしも東京などの鉄道が、「世界の」主要観光地と比べて遅れていると主張なさるのならば、世界各都市のクレジットカード普及率などをデータ化して提示していただきたいところですし、一部の事例を、あたかも「日本以外の世界」の代表例であるかのごとく扱うという点には、やはり違和感があるのです。

英語が通じないことも旅の醍醐味では?

さらに驚くのは、「外国人専用のタクシー」である “Foreign Friendly Taxi” に関する、こんな記述です。

一見、外国人にフレンドリーなサービスなのかと思える。しかし、よく見てみると外国人旅行者が不便そうにしている。何が起きているかというと、台数が少ないのだ」。

それは、仕方がないでしょう。

京都などの一部観光都市では、ただでさえ運転手が不足しているわけですから、台数が少ないのは当然のことです。

もちろん、外国人観光客の多くは日本語を話すことはできませんが、それでも海外旅行は身振り、手振りで意思疎通を図るのが旅の醍醐味のひとつです。

たとえば私たち日本人が台湾に出掛けても、タイに出掛けても、香港に出掛けても、日本語は通じないのが一般的です(一部では通じるようですが…)。だからこそ、英語、カタコトの現地語、筆談などを駆使して現地で意思疎通を図ろうと努力するのです。

シンガポール、あるいはひと昔前の香港のように、英語が通じる国は、例外的でしょう。

いずれにせよ、あまり厳しいことを申し上げたくないのですが、この記事、日本の観光行政の問題点と、個別の会社・業者(たとえばJR各社や鉄道会社、タクシー業者、空港の免税店など)に関する問題点が混同されており、具体的に「誰が」「何を」「どうする」のかがまったく見えてきません。

評論を行うならば、少なくとも主語、目的語などを明確にしたうえで、筋道を立てることが重要だ、ということが改めて理解できたという意味では、有益だったかもしれません(山手線の駅名を冠した怪しい自称会計士自身にそれができているかという問題はありますが…)。

新宿会計士:

View Comments (38)

  • >「一見、外国人にフレンドリーなサービスなのかと思える。しかし、よく見てみると外国人旅行者が不便そうにしている。何が起きているかというと、台数が少ないのだ」。

    高速道路が渋滞したら「こんなの“高速”道路じゃない!」と高速道路の存在意義を否定するような発想ですね。

    そもそもフレンドリーとは友好的などの意味で、待ち時間無しを意味していないのでは?

    というか、フレンドリータクシーの運転手が英語だけ出来て例えばウクライナ語が出来なければ、ウクライナ語しか出来ない外国人にとっては「フレンドリー」じゃなくなる訳ですが、筆者は何故ツッコミを入れないのか。

  • 観光産業が、国の基幹産業になるはずもないし、なってもいけないでしょう。
    観光業で有名なギリシャでは、GDPの20%、雇用の20%を占めているとのこと。

    >観光業はギリシャの国内総生産(GDP)の約20%を占め、5人に1人を雇用する経済の主要なけん引役だ。
    引用:https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-greece-tourism-idJPKBN29402W

    この観光業に頼ったギリシャは、ユーロに留まれるか否かの境界を彷徨続ける経済弱者の国であり、その他有力な産業が無いものだから、就業者に占める公務員の割合は40%以上だと言われています。公務員にでもしなければ就業場所が無いからだし、公務員になっても仕事が無いからブラブラしているという記事を読んだことがあります。ギリシャが国家破産するのではないかと騒がしかった時期です。

    しかも、観光業は世界情勢に左右され易いですから、コロナの影響を受け、
    >>ギリシャ政府は今年(2020年)の経済成長率をマイナス10%前後と予想し、
    という信じられない経済状況に陥るという脆弱な経済産業基盤になるのです。

    このPRESIDENT Onlineの記事を書いたのは、観光コンサルタントをやっている人のようですが、こんなコンサルに乗っていたら、本質から逸れた施策ばかりをやることになり、有力なコンテンツ、つまり、USP(Unique Selling Proposition)を持った観光地開発は出来ないような印象を受けますね。

    そもそも、表示がどうのなんて重要なことでしょうか?
    自国語の無い国に来ているから、異国情緒を味わえるのではないでしょうか?
    観光開発と言えば、標識がどうのとかトイレがどうのとかの枝葉に直ぐに目が行き、本来のUSPのあるコンテンツ開発に目が行かないのは、何か日本人の問題点でのような気がします。
    そしてそういう枝葉にお金を使い、本質のコンテンツ開発には、お金が無いと言って十分な投資をしない、だから、肝となるものに思い切った投資をする外国投資家に観光地を買収されてしまうのではないでしょうか?

    コンサルで本質的なコンサルできる人は、日本には少ないのではないのかな?

    • 以下、少し話を広げます。
      尚、これは、ざっくりしたデータとざっくりとした考え方によるものですから、数字と考え方の精密な議論には応じられませんので、予めお断りしておきます。
      「俯瞰してみた」という感じの話です。

      観光白書(本編・資料編)によれば、
      日本の観光産業のGDPに占める割合は、約5%で金額は約28兆円(2019年)。
      日本の製造業のGDPに占める割合は、20.7%で金額は約113兆円(2019年)。
      製造業のGDPに占める割合は、製造業の海外移転による国内空洞化が起こる前は、約30%でした。
      日本は、製造業の約10%を国内から失ったことになり、これは、例えば、2019年データを仮定的に援用すれば、製造業で約56兆円のGDPを失ったことになりますが、製造業の他産業への波及効果の大きさから見れば、その2~3倍はGDP全体で失っていると推測されます。これは、150兆円程度になりますから、工場の海外移転が無ければ、日本のGDPは、今、730兆円から800兆円程度になっていたのではないでしょうか?
      そうすれば、
      今頃、観光立国がどうのと、高々僅か3~5兆円のGDPを稼ぐために、看板の言語表記がどうの、スイカのピッ!がどうのと、チマチマとした、自称?コンサルタントの細かい話を有り難がって聞く必要も無かったでしょう。
      ※ 尚、コンサルタントと評論家は、明確な資格制度がある訳ではなく、自分でそう自称すれば、そういう職業として活動できると巷間言われていることから、自称?と付記しました。

      • 長すぎるのと極論すぎ
        言いたいことあるなら、短く簡潔に!
        半分くらいにしてみよ!誰も読まないよ、こんな文章笑

        • こういう方が、チマチマしたコンサルの格好のお客様になるのかな?或いは、こんな人が多いから、チマチマ枝葉末節をさも有り難そうに言うコンサルが生業として成り立つのかな?
          これ、未だ長いですか?

          • そうじゃなくて、読む方の気持ちも考えないと読んでくれないよ、って意味ね。
            新宿会計士さんのコメント欄はメモ帳じゃないんだよ。
            現実は見ないと、sns時代は生き残れませんよ?
            あなたのコメントが校長先生の長話みたいな扱いでいいならいいけどさ。

          • 当ウェブサイトでは同一記事内での複数ハンドル名の使い分けを禁じています。

          • 他人の心配してないで、自分の意見を言えるように勉強しなさい。
            このサイトがメモ代わりになるようなら、価値ある内容のあるサイトだと言う事。
            あなたの感じたことを皆んなの意見のように言っしまう無意識の自信の無さは?
            兎に角、他人の意見に意見を申し述べる時は、ちゃんとした自分の論拠も書くのが思考力のある証。
            それから、キチンとした言葉違いをしないと、ね。

    • さよりさま

      >観光産業が、国の基幹産業になるはずもないし、なってもいけないでしょう。
      おっしゃる通りだと思います。

      私はマスコミが「インバウンド大合唱」をするのを読むたび、「敵国」が手っ取り早く操る手段を手に入れたいのではと邪推してしまいます。

      海外向け観光業が日本の主要産業になる→「敵国」から大挙して押し掛ける→日本経済が「敵国」観光客に依存するようになる→言うこと聞かないと観光締め上げるぞ!と恐喝

  • 「努力した者が全て報われるとは限らん しかし…… 成功した者は皆すべからく努力しておる!!」

     ターゲットが外国人であればこそ、ゴシック体で「Sake Cup」と書かれているより、草書風で「ぐい呑み」と書かれている方が、喜ばれそうなものですけどね。ビニール包装は過剰にも思えますが、商品保護と最近では防疫のイメージ作りとして安いコストだと思います。
     データありませんけど。

  • 海外旅行先であまりにも日本語案内が充実していると、上客としてもてなされているというより、観光客相手→鴨葱&ぼったくり?と思ってしまいます。他国のかたは自国語の表記を見て、どう感じるのでしょうか。

  • ジャパンレールパスの問題はJRに染み付いた体質かもしれないね。
    東日本大震災の時、駅を閉鎖、行き場のない乗客を締め出した。

  • 同じ論理ならば、「欧米では、日曜日に店が休みになるが、あれも観光客にとって不便を強いるものなので、努力不足であると考えられる」と主張できますね。

  • >「韓国語や中国語等、英語以外の外国語でも情報提供を行うことがさらに望ましい」

    時々見かける:外国人観光客家族と駅員のお互い困惑した光景。ただでさえ忙しいのに。
    外国語表示で解決することがあるなら駅員の負担が減るのでは?

  • 香港は漢字(繁字体)なので日本人には助かる。
    「厠」という案内に助けられた。

  • いろいろと的を得ない指摘や意見もあろうが、つまるところ外国人を観光で入れて、
    トータルで日本人が益するところが大きいかどうかが問題である。そのあたり個人
    経営者は別として、地方や国は計算できているのだろうか。

    あと、韓国をはじめとする同じ自由主義国家の人たちは別としても、相互主義が
    成り立たたない、中国やロシアの人たちとは、観光客を含めて、どこかで一線を
    引く必要があると思う。

    特に中国は問題と思う。今後、西側から締め出される中国は、日本に、あの手
    この手で依存を深めることは必定と思われる。下手をすると知的財産から土地から
    何から何まで盗まれる。

    こんな懸念のすべては、日本の国家意識の薄さに起因する。何しろ、戦後80年以上
    が経過し、ウクライナや台湾のような現実を目の当たりにしてなお、憲法改正や
    スパイ防止法が話題にすら上がらないのですから。

    • 歳取れば誰も指摘してもらえないだろうから、代わりに私が言ってあげるね!
      あなた、出羽守記者と一緒でブーメランだぞ笑
      あなたの文章はマスゴミと同じレベル
      不安を煽り現実的な対案を出さないんだよね!
      自分を振り返れ、アンポンタn...おっと...

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