政党支持率で維新・立民の逆転現象が定着する傾向を見せています。こうしたなか、国民民主党の玉木雄一郎代表は18日、岸田文雄内閣や自民党の支持率低迷の背景について、「LGBT法の影響でいわゆる『岩盤保守層』が離れた」という可能性に言及しました。これは新鮮な、しかし重要な指摘です。なぜなら主要政党幹部や主要メディアは、「LGBT/韓国/増税」の「3点セット」にほとんど言及してこなかったからです。
岸田内閣「3点セット」
最近の内閣支持率の低迷については、「メディアによる世論調査自体が不正確である」とする可能性を除けば、基本的には「LGBT/韓国/増税」の「3点セット」が主要因ではないか、とする仮説については、昨日の『不支持率が支持率を10ポイント以上上回る=主要調査』などでも指摘したとおりです。
当ウェブサイトで「定点観測」している6つの内閣支持率調査のうちの4つが、現時点で出てきました。いずれも支持率が不支持率を大きく下回っており、時事通信のものを除けばいずれも10%ポイント以上の差がついています。ただ、産経・FNNの調査によると、岸田首相に「今すぐ交代してほしい」と答えた割合は23.9%で、自民党総裁としての任期が切れる来年9月まで首相として在任してほしいとの回答が59.9%に達したそうです。このあたりは有権者なりのバランス感覚なのでしょうか。今月の「藪医者の健康診断」当ウェブサイトでは以... 不支持率が支持率を10ポイント以上上回る=主要調査 - 新宿会計士の政治経済評論 |
どうして大手メディアはこの「3点セット」から頑なに目を背けるのでしょうか。
俗に「岩盤保守層」と呼ばれるようなインフルエンサーからも、LGBT法や対韓譲歩、増税などに対する批判の声が挙がっていることくらい、ちょっとネット空間を眺めていればすぐに気づくはずでしょう。
このあたり、本当に不思議です。
また、メディアによる世論調査記事を読んでいても、内閣支持率の低下要因については「マイナンバー」、「福島処理水放出」などくらいしか言及されていません。とりわけ左派メディアが「LGBT・韓国」を無視するのはなんとなく理解できますが、その左派メディアが「増税要因」を無視するのはよくわかりません。
正しくない分析からは正しくない処方箋
なにより、正しくない分析から出て来る答えも、トンチンカンなものとならざるを得ません。
もしも「支持率低下の要因はマイナンバーと福島処理水にある」とするメディア報道が正しければ、支持率を高めるための処方箋は、「マイナンバーをしっかり進めること」、「福島処理水で理解を得ること」の2点でしょう(実際、岸田文雄政権関係者からも、そのような発言が出ています)。
しかし、もしもこのメディア報道が正しくなかったとすれば、そんなことをやってもあまり意味はありません。
もちろん、たとえば保険証の不正利用を防ぐうえで、保険証を廃止してマイナンバーカードに統合する、といった動きは大変に好ましい話ですし、福島処理水については科学的に安全性が検証されているものであるため、科学的な判断に従い行動するのが正解でしょう。
しかし、それ以上に必要なのは、やはり「LGBT/韓国/増税」に関する説明でしょう。
もっとも、岸田自民党はLGBT法を、党内意思決定プロセスなどを無視して強引に成立させ、岸田政権は対韓譲歩(日韓スワップ、FCレーダー照射、ホワイト国など)も多くの国民の反発を無視して強行し、さらに増税に向けて暴走している状況を見るに、もう「手遅れ」ではないかとの懸念もあるのですが…。
政党支持率で維新が躍進
さて、現在のところ、内閣支持率と比べて自民党に対する政党支持率が大きく下落しているなどの兆候は見られませんが、その一方で政党支持率の世界で生じ始めている「地殻変動」にも注目しておく必要はあります。
最大野党であるはずの立憲民主党が、野党第2党であるはずの日本維新の会に、支持率の面で抜かれることが増えているのです。
実際、産経ニュースの次の記事によると、産経・FNNの合同世論調査で、維新の支持率は4ヵ月連続で立民を上回った、などと記載されています。
維新の支持率、4カ月連続で立民上回る 差も拡大
―――2023/07/18 19:09付 産経ニュースより
記事によると立民への支持率は5.5%で前回の6.4%から下落する一方、維新は8.7%で、前回の9.3%からは低下したものの「野党で最も高い支持を集めた」そうです。
この点、立憲民主党の岡田克也幹事長は18日、支持率で維新に逆転されていることを巡り、「各社の調査にコメントする気はない」と述べるにとどめたそうですが、逆にいえば、なぜ自分たちに対する支持率が低下しているのかに関して説明するつもりはない、ということでしょうか。
産経によると、立民の支持率が維新を下回るのは4ヵ月連続のことであり、ポイント差は4月が1.6、5月が2.2、6月が2.9、7月が3.2――、と「徐々に広がっており、立民が浮揚のきっかけをつかめていないことが浮き彫り」となっている、などとしています。
さらに、今回の調査では、次期衆院選の比例代表の投票先に関しても、維新の11.4%に対し立民は7.5%にとどまったそうです。その差は3.9ポイントです。
朝日新聞の調査でも似た状況に
ただ、「産経の調査では保守政党に強く出るという性質がある」、「産経調査は信頼できない」、などと主張する人もいるかもしれませんが、この「維新>立民」という逆転現象は、他社の調査でも生じています。朝日新聞の調査などがその典型例でしょう。
自民支持率が28%に下落 20%台は20年6月調査以来 朝日調査
―――2023年7月17日 6時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より
朝日新聞は「統一地方選で伸長した維新は今回も引き続き勢いを保ち、野党第1党の立憲を上回った」、としていますが、それだけではありません。こちらの記事にも、「次期衆院選の比例代表での投票先」に関する調査が記載されています。
朝日新聞によると、自民が31%でトップを占めたものの、2位は維新で17%、続いて立民11%、共産5%、公明、れいわ各4%――などの順だったそうです。維新と立民の差は6ポイントで、産経・FNNの調査よりも開いています。
この点、あくまでも個人的見解を述べておくならば、維新は現在のところ、「国会での審議に誠実に応じる姿勢がある」という意味においては、少なくとも立民と比べて優れているは思うものの、自民党に代替し得る素晴らしい政党なのかどうかに関しては評価が難しい、というのが素直な感想です。
しかし、メディアの調査をそのまま信じるならば、もし今すぐ衆院選が行われた場合、少なくとも比例代表においては立憲民主党と日本維新の会の逆転が生じる可能性が濃厚であり、また、展開次第では維新が自民党の「岩盤保守層」にまで侵食するかもしれません。
移籍の動きは広まるのか
こうしたなかで留意すべきは、移籍リスクです。
『数字で予測する衆院選:大量移籍で維新躍進が可能に?』でも指摘しましたが、現状、小選挙区で維新が自民党を上回る議席を得るほどに大躍進する可能性は低いものの、立民から維新への大量移籍が発生すれば、話は変わってきます。
これまで当ウェブサイトでは、特定の政党が票を失い、他の政党に票が移っていた場合、選挙結果がどう変わったか、に関するシミュレーションを実施してきました。そのなかで、「維新が前回並みの立候補者数だったとして、最大野党になるためには、自民、立民両党からそれぞれ何票ずつ取って来なければならないか」を計算すると、その答えは2~3万票という、やや非現実的にも見える数値が出てきます。ただ、維新躍進のためにもう少し手っ取り早いアプローチもあります。それが立憲民主党の現職議員や候補者の3分の1程度が維新に移籍... 数字で予測する衆院選:大量移籍で維新躍進が可能に? - 新宿会計士の政治経済評論 |
「ボーダー選挙区」を中心に「立民→自民」という移籍が大量に生じれば、維新に大した「風」が吹かなくても、同党が大躍進する可能性が出て来るのです。2位以下との得票差が2万票以下の「ボーダー議席」は、自民党が58議席にも達するからです。
こうしたなかで、自民や立民で当選できなかった「有名人」が維新に移籍する、といった動きは、少しずつ発生しています。そのひとつが、これでしょう。
日本維新の会、自民・河村建夫元官房長官の長男・建一氏を次期衆院選で擁立へ 東京6区
―――2023/07/19 05:00付 Yahoo!ニュースより【スポーツ報知配信】
日韓議連の元幹事長などを務めた自民党の河村建夫・前衆議院議員の長男である建一氏が、東京6区で維新から出馬するのだそうです。
なんとも節操のない動きだ、などと思う人もいるかもしれませんが、選挙もキャリア形成のプロセスととらえるならば、「当選すること」に注力しなければならず、その意味で、当選に向けた戦略としては、それなりに合理性があるものといえるのかもしれません。
玉木氏の正論
その一方、ちょっと気になる動きがあるとしたら、それは国民民主党でしょう。
国民の玉木雄一郎代表は18日の会見で、内閣支持率や自民党の支持率が低迷している背景について、「LGBT法の制定に伴う保守層離れがある」との推察を示したのだそうです。
国民・玉木氏「LBGT法で『岩盤保守層』離れた」
―――2023/07/18 12:01付 産経ニュースより
これは、なかなかに新鮮な情報です。そして、読売、朝日、日経、産経、共同、時事などのメディア、あるいは自民、維新、立民を含めた主要政党の幹部などからはほとんど聞こえてこない、しかし非常に重要な指摘でもあります。
産経によると、玉木氏の発言はこんな具合です。
「一つはLGBT法の影響も、いわゆる『岩盤保守層』に対してはあったのかなあと。減った分がどこか(別の政党に)に行っているというよりも『支持なし』が増えている」。
「支持率回復の焦点は経済政策だ。アベノミクスには色々な批判があったが、経済政策をやるんだというメッセージが明確だった。岸田内閣の『新しい資本主義』はいまだによく分からない。どういう方策で経済を元気にして、国民の賃金を上げていくのかという強いメッセージがない」。
まさかとは思いますが、玉木氏は山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士のウェブサイトでも読んでいらっしゃるのでしょうか?
LGBT法の影響で、いわゆる「岩盤支持層」の自民党離れが加速した可能性があること、アベノミクスは金融政策を中心に成功を収めたものの、増税に次ぐ増税で財政政策で失敗したこと、岸田首相の「新しい資本主義」が事実上の社会主義であることなど、は、当ウェブサイトでかねてより主張してきた内容でもあります。
ちなみに産経によると、玉木氏はマイナンバーカードを巡る政府の対応についても、次のように指摘したそうです。
「バグが生じることを前提にいかに円滑に透明度が高い形に直していけるかということが重要だ。『一個もミスをつくりません』ということを追及すると無限アリ地獄に陥って、岸田内閣の支持率低下に貢献するだけになっていく」。
これも、まったくそのとおりでしょう。玉木氏のこの日の発言は、いちいち正論です(※玉木氏自身が政治家として信頼できるかどうかは別として)。
岸田政権突然死は?
いずれにせよ、解散総選挙がいつ行われるのかはわかりませんが、岸田首相が6月という衆院解散の絶妙なタイミングを逃してしまったことで、維新にはかなりの時間的余裕を与えてしまいました。そして「LGBT/韓国/財務省」の3点セットで岩盤保守層の自民離れがますます進む可能性があります。
果たして岸田首相はご自身の総裁選(2024年9月)までに解散総選挙に踏み切れるのでしょうか。それとも事実上のレームダック化し、福田康夫政権や鳩山由紀夫政権のような「突然死」があり得るのでしょうか。
今後の展開からは目が離せません。
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岸田政権突然死は?
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比較的、自民は腐っても鯛だ!との主張が多かった新宿会計士様にこれを言われるようになってしまったのが、今の自民党の現実なのかな、と。
思ったより自民党は負けるかもしれませんね。
安倍さんがいなくなった自民なんて、もともとこんなものか。
ネット社会の前では敗れるしかないかも。
>楽しんご様
サイト主様は「腐っても鯛」の表現や印象は持ってないと思いますよ。
むしろ他の政党が腐り切って食えなかったり毒が入ってる中で、仕方なく不味くても生きていくために雑魚でも食べるしか無い(選挙投票)という主張だったかとw
決して過去の実績で自民党を評価してるわけではなく、現在の選択肢として最もマシな方法を提示してるだけだと理解しています
でしたらもはや日本国民からしたら、維新や国民で十分ですんで、自民食堂で食わなくても良くなりましたね。笑
政府の支持率がいろいろみても30%ぐらいあるのはやはり代わりになる人が浮かばないのが大きいですね、安倍さんがまだ活躍しているとしたらもう15%を切っているのではないかと思います
自民党は保身が一番で次は俺がという人がいない状況が本当に嘆かわしいです、まあ出来そうもない人がなりたいといっても困るのですが
岸田さんは最悪としても次誰がなるといいのかはっきりしていないのが問題ですね、安倍派が代表を決めれない状態なら菅さんを担いでいけば簡単に岸田さんの支持率は崩れていくのではと思いますが菅さんは萩生田さんを押しそうなのでそうもならないのでしょうか
どちらにしてもきちんと経済を活性させてくれる人が来ないと、物価高が続き実質賃金が低下して消費が落ちていくのなら、プッシュアップ型のインフレもアメリカのインフレが落ち着いて円安が落ち着いていくと輸出だめになり内需で伸ばさないとダメなのに内需はボロボロになっていてGDPもさがり、またデフレに沈んでしまいます、いまの減税が経済の伸ばせるチャンスと思うのですが
維新にしてもこの人に首相になってほしいと思える人がいませんし、自民党で干された高市早苗さんでも合流すれば面白いことになるかもしれません
日本維新の会、マスコミでは支持率アゲアゲですが、こらアカンわ。『元自民党・河村健夫氏の子息・建一氏が日本維新の会から立候補』だって(^^)v。親と子では別人格というが、あの親をみんな知ってるからねー。日韓議連の重要幹部で、日本が貶めに遭っている時、韓国議員とニヤニヤ笑って歓談してた。ロクでも無い政治家でした。
その子息の建一氏は自民党から比例区で2回も落選している懲りない人(笑)。この人は、ハズレでしょう。もう推薦や公認貰えないからか、維新の会に移った。こんなの推薦や公認したら、「維新の会は寄せ集めでいいのか」って責められるよ。
「LGBT法の制定に伴う保守層離れがある」と玉木雄一郎氏は語ったそうだが、その通りで、しかし立憲民主党や共産党が増えたわけではなく、支持政党ナシが増えたのです。こんな事だから、政治に無関心層が増える。あ、岸田氏は無関心が増えた方が波風立たなくて良いのか。昼行燈め。
政治はゼロヒャクではないよ?
河村がダメ→維新はダメ が通用するなら、
岸田、麻生、茂木、鈴木がダメ→自民がダメ も通用するよね?笑
自民党が腐った結果、下野に繋がった宮沢喜一政権も宏池会でしたね・・・。結局、マズいとか添加物ありそうとかあっても選ばなければ白紙委任なのです。
野党の「玉木」にも分かることを自民党の政権幹部は分かってない。
もう二度と自民党に投票することはないよ。
何十年もの「党費」が無駄になって愕然とする。
燃え尽き症候群かな?wwwwww
2世議員は3バンと呼ばれる地盤、看板、鞄を引き継ぐと言われますが親の悪名も引き継ぐようになりました。
タロウ、ショウタロウ、タカコ、ケンイチのブランドは菅源太郎に迫るものがあります。
日本のマスコミはリベラルが基本ですので、アメリカ民主党は批判しないと思います。
また、財務省の期限を損ねると何か不味い事があるのかも知れませんが、財務省も批判はご法度のようです。
なので、岸田首相の支持率下落の原因は、アメリカ民主党の指示によるLGBT、韓国への理不尽な譲歩や、財務省主導による増税であると言えないのだと思います。
また、マスコミの言い分を真に受けていると思われる岸田首相は、自分の頭で考えることが出来ない方なのでしょうね。
×期限
〇機嫌
でした。
失礼しました。