【G7】中露のわかりやすい反応
G7広島サミットにおける中露両国の反応が、大変わかりやすいものです。中国外交部は日本に対し「厳重に抗議した」のだそうですが、一方でロシア外務省も「G7の活動は世界の問題を悪化させる主因となっている」などと舌鋒鋭く批判したのだとか。これに加え、ロシア当局は中露両国が安全保障上の協議を緊急で実施するとも発表したようです。
中国がG7を舌鋒鋭く批判
G7広島サミット、が成功だったのか失敗だったのか。
これについて考えるうえで、大変にわかりやすい記事を発見してしましました。
外交部发言人就七国集团广岛峰会炒作涉华议题答记者问
―――2023-05-20 20:53付 中国外交部HPより
翻訳エンジンを参考に記載内容の前半部分を意訳すると、こんな具合でしょうか(ところどころ翻訳がこなれていない部分がある点についてはご容赦ください)。
- G7広島サミットの共同声明では中国関連問題を誇張し、台湾海峡情勢や東シナ海、南シナ海問題でも無責任な発言がなされたほか、海洋、香港、新疆ウイグル自治区、チベット、そして中国の核開発を巡り一方的な現状変更に反対し、いわゆる「経済的強制」をほのめかしたとされている
- G7は「平和で安定した豊かな世界に向けて」と主張しているが、その内容は国際的な平和を阻害し、地域の安定を損ない、他国の発展を抑制するものであり、国際的な信頼性はまったくない
- G7は中国の深刻な懸念を無視し、中国関連問題を操作して中国を中傷・攻撃し、中国の内政に対し重大な干渉を行おうとしているが、中国はこれに対し強い不満と断固たる反対を表明し、サミットの主催者である日本に対し厳重に攻撃した
- 台湾は中国であり、台湾問題の解決は中国人民自身の課題であって、中国人民が決定すべきである。「一つの中国」原則は、台湾海峡の平和と安定を維持するための指針である
- G7は台湾海峡の平和維持を主張しているが、「台湾独立」への反対には決して言及していない。国家主権と領土的な一体性を守る中国人民の強い決意、確固たる意志、強い能力を決して過小評価すべきではない
- 香港、新疆、チベットの問題は純粋に中国の内政問題であり、中国は「人権」を名目にした外部勢力によるいかなる干渉にも断固として反対する。G7は香港、新疆、チベットに関する問題で中国を非難するのをやめ、自国の歴史と人権侵害を深く反省すべきである
…。
中国共産党は中国人民の利益を代表していない
こんな具合で、文章はまだまだ続くのですが、この時点で、正直、「お腹いっぱい」になる人も多いでしょう。
口を開けば「中国人民」「中国人民」とおっしゃいますが、そもそも論として中国共産党は民主主義の手続を経て中国の政権を握った政党ではありません。想像するに、もし日本などの先進国並みの普通選挙が実施されれば、中国共産党は今すぐ政権から放逐されるに違いありません。
その中国共産党政権が、口を開けば「中国の内政問題」、「中国人民の決意」などと騙るのも、なんだか奇妙です。
ただ、中国外交部がG7に対してここまで舌鋒鋭く反応したという事実は、中国にとってよっぽど都合が悪かったという証拠でしょう。
実際、中国外交部の声明のなかには、こんな記述も含まれています。
- 中国は責任ある主要国として、国連を中核とする国際制度、国際法に基づく国際秩序、国際関係の基本規範を堅持し、国連の目的と原則に基づいていることを強調したい
- 国際社会は、G7が支配し、イデオロギーや価値観によって描かれる「西側のルール」を受け入れず、ましてや『アメリカ第一主義』や少数の国の既得権益に奉仕する「小さなサークルのルール」を受け入れないだろう。G7は反省し、方針を転換すべきだ
よっぽど都合が悪かったのでしょう。
ロシアもG7を「諸悪の根源」と批判
一方で、ロシアのメディア『タス通信』に目を転じてみると、やはりG7に対する舌鋒鋭い批判声明が、ロシア外務省から出ていたことがわかります。
G7 seen as key factor of aggravation of global problems — Russian foreign ministry
“It cannot represent interests of other centers of development, especially countries of the Asia Pacific region, South Asia, the Middle East, Africa, and Latin America,” it said<<…続きを読む>>
―――2023/05/21 22:07付 タス通信英語版より
こちらの記事はもう少し短く、ロシアの外務省が「G7の活動は世界の問題を悪化させる主因となっている」などとしつつ、「G7はアジア太平洋、南アジア、中東、アフリカ、ラテンアメリカなどの地域における利害を代表することはない」、などと決めつける、というものです。
つい数年前まで、ロシア自身がG8構成国だったという事実を思い出すだけでも、自国が追放されたらG7を「逆恨み」して「G7こそが諸悪の根源」と言い出すというのも、裏を返せば、ロシアが今回のG7に対しよっぽど不快感を覚えたということなのでしょう。
中露揃って、本当に、わかりやすい反応だと言わざるを得ません。
緊急協議実施
こうしたなか、タス通信にはこんな記事も出てきました。
Russian, Chinese top security officials to hold consultations in Moscow
―――2023/05/22 10:45付 タス通信英語版より
タス通信によると、ロシア安全保障会議報道部は中露両国が安全保障に関する協力の拡大などに関する協議を実施すると発表したそうです。ちなみにその狙いについて、中露両国は次のように明らかにしたのだとか。
Moscow and Beijing agreed to more intensively exchange information on extremism and attempts “to undermine constitutional order of the two countries from outside and to strip Russia and China of ability to carry out an independent foreign policy course that meets national interests.”
意訳すると「中露両国は過激主義や『外部から両国の憲法秩序を損ない、ロシアと中国が国益にかなう独立した外交政策方針を遂行する能力を奪う』試みについて、より集中的に情報交換することに合意した」、といったところです。
このタス通信の記事には「G7」の「じ」の字も出てきませんが、中露両国から「独立した外交政策方針を遂行する能力を奪う試み」がG7を意味することは明らかでしょう。
いずれにせよ、中露両国の反応を見ていると、今回のG7の評価はだいたい固まるのではないかと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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中国は日本の大使を呼び出して抗議したらしいですが、いつもなら「持ち帰って本国に伝えます」の反応だったと思いますが、今回は違ったようです。
中国、日本大使を呼び出し抗議 日本側「懸念への言及は当然」と反論
https://www.sankei.com/article/20230522-7GJALNFUEJJIBH4MXXFT4TPCEY/
さすがに想定内だった?
おっ、これはちょっと興味深いですね。ここでしっかりと反論したと言う事は、
日本政府は国家として次の手を既に打っている、と解釈しても良さそう。
さてさて、産経以外のメディアはこの件をどんな風に報じるでしょうか……?
垂秀夫(たるみ・ひでお)駐中国大使は率直な物言いで外務省、政府だけでなく中国政府や官僚からの信頼も厚い方のようです。
外務省のホームページによると、垂大使は大阪府出身。京大法学部卒業後の1985年(昭60)4月に外務省入省。中国大使館の1等書記官や公使、外務省領事局長や大臣官房長などを経て、2020年9月に中国特命全権大使の発令を受け、着任した方だそうです。
外務省にも骨のある方はいるのですね。
中露のリアクションがあまりにわかりやすいのは、口を国外に向けていて目は国内に向いているせいですね。「中国共産党は中国人民の利益を代表していない」ので、「あれが人民の利益になると人民に悟られてはならない」というところではないでしょうか。
中露の上層部の能力が低くて見透かされるようなことしか言えないだとか、カっとなって言わずにいられないなどではなく。「冷静に合理的にあんなザマを見せる」しかないのでしょう。
「朕は国家なり」ってなイタい迷言がありますが、中華人民共和国は中国共産党が国家だし、ロシアはプーチンが国家だし、って事ですね。
最近の中華人民共和国は「習は国家なり」かもですが。
>中国は責任ある主要国として、国連を中核とする国際制度、国際法に基づく国際秩序、国際関係の基本規範を堅持し、国連の目的と原則に基づいていることを強調したい
じゃあ選択条項受諾宣言をして、国際的な諸問題をICJで解決しろよm9(`・ω・´)、ですね。
習近平国家主席は、天安門事件とソビエト崩壊がトラウマになっているようです。
なので、自由や民主主義は無秩序の原因であり体制の崩壊と混乱を招くと心底思っているのでしょう。
習近平国家主席にとっては、共産主義よりも秩序の維持が最優先である、というところは右翼的な全体主義と共通するところです。
ただ、右であれ左であれ、全体主義の行きつく先は体制崩壊しかないのですが。
中国は専制統治で無ければ治まらないのは、何となく理解できます。それならば、中国国内だけでやって欲しい。チベット・ウィグル・満州は独立させ、台湾は放棄する。昔の三国志の頃の国土でやってればG7も目を瞑るはず。そしたらご褒美に朝鮮半島を中国に進呈するかも。
それから中国人や中国企業は日本に来て欲しくない。日本の国益をイナゴのように食い尽くしている。日本企業もいつ逮捕されるか分からない恐怖に怯えてないで、さっさと撤収して欲しい。G7で日本政府も対中強硬路線を表明した。言葉だけでなく実際の規制を米国並みに強化して欲しいですね。