日本共産党の機関紙『しんぶん赤旗』を読むと、昨日投開票が行われた統一地方選の前半戦で、日本共産党が「大躍進」したかの印象を持つかもしれません。しかし、現実には新潟、福井、静岡、福岡、熊本の5県で、日本共産党の「空白区」が出現してしまったようです。
統一地方選の前半戦が昨日行われました。
これについてはさまざまな意味で、じつに興味深い結果が出たと思いますが、その最たるものは日本共産党の「躍進」でしょう。
愛知で議席空白を克服/道府県議選 大阪・吹田議席守る【※PDF】
―――2023/04/10付 しんぶん赤旗より
これによると、これまで「空白区」だった愛知県議会で下奥奈歩氏(元職)が当選したほか、大阪府議会では現職の石川たえ氏が議席を守り、千葉県議会では新人を含めた4人が当選するなど、「議席を倍増させた」、などとしています。
これだけを見ていると、なんだか共産党が大躍進したかの印象を抱くかもしれません。ちなみに『しんぶん赤旗』の現時点の報道によると、愛知県(+1議席)と千葉県(+2議席)以外にも、当選者が無投票1人を含め6人だった長野県(+1議席)で議席が増えたそうです。
しかし、その一方でこんな報道もありました。
共産党「県議ゼロ」相次ぐ 新潟、福井など計5県
―――2023年4月10日 3:31付 日本経済新聞電子版より【共同通信配信】
共同通信によると、日本共産党は道府県議選で公認候補の落選が相次ぎ、新潟、福井、静岡、福岡、熊本の5県で議席がゼロとなったのだそうです。これまで都道府県議会で議席がゼロだったのは愛知県だけだったそうですが、愛知で議席ゼロを解消したと思ったら、議席ゼロが5県に増えてしまったのです。
なんだか、じつに印象的です。
日本共産党といえば党首公選制を主張した党員を除名したことでも知られますが(『「党首公選制」提唱した党員を日本共産党が除名決定か』等参照)、それだけではありません。
「多様性を騙りながら異論を認めない」。「民主主義を騙りながら民主的な制度を認めない」。これが日本共産党の本質だったようです。現役の日本共産党の党員で党首公選制を求めたジャーナリストの松竹伸幸氏によると、同氏は6日にも日本共産党からの除名が正式決定されるのだそうですが、共産主義政党がいかに自由・民主主義社会において異質な存在であるかがよくわかるでしょう。「アベの独裁を許すな」?安倍総理は独裁者じゃありませんが…「アベの独裁を許すな!」――。ひと昔前、東京の繁華街を歩いていたら、こんなプラカードを掲... 「党首公選制」提唱した党員を日本共産党が除名決定か - 新宿会計士の政治経済評論 |
日本共産党の志位和夫委員長は直接選挙については「民主的ではない」などと主張(『直接選挙が「非民主的」?共産党の志位委員長の謎主張』等参照)。
また、宮城県議会で多選批判をした日本共産党の県議に、村井嘉浩知事が「その言葉を共産党の志位委員長に是非お伝えしたい」と返し、本会議場が笑いに包まれる、というエピソードもあったほどです(『共産県議が知事に多選批判→知事「志位氏に伝えたい」』等参照)。見事なブーメランだったからです。
宮城県の村井嘉浩知事に対し、宮城県議会で日本共産党の県議が2月、一般質問で「長くやり続けると、誰の意見も聞かなくなる」、「辞めた方が良い」と述べたところ、村井知事が「その言葉を共産党の志位委員長に是非お伝えしたい」と応じ、本会議場には笑い声と抗議の声が同時に上がったのだそうです。宮城県知事は「多選」ではあるが…ちょっとした話題です。宮城県の村井嘉浩知事といえば、2005年10月の宮城県知事選で当選して以降、09年、13年、17年、21年と5期連続・18年近く在職している人物です。もし25年10月の選挙に出馬すれば... 共産県議が知事に多選批判→知事「志位氏に伝えたい」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
「20年以上もトップに君臨している党委員長が民主主義を公然と否定した」、「民主的な党首選挙を主張した党員を除名した」、といったエピソードを見るだけでも、この日本共産党という組織がいかに民主主義にそぐわない組織であるかがわかります。
個人的には、その日本共産党が各地で議席を確保したことには意外感もあるものの、それでも「共産党フリー」県が着実に増えていることに関しては、注目に値します。日本共産党が支持層の若返りに失敗している(『100年を迎えるも組織の若返りに失敗する日本共産党』等参照)証拠だからです。
先週金曜日は、日本共産党の結党100周年の記念日だったのだそうです。ただ、その日本共産党は近年、党勢の退潮に歯止めがかからないとされているのですが、それと同時に、時事通信の報道だと、機関紙『しんぶん赤旗』の購読者は、2020年時点で依然として100万人ほど存在するのだそうです。この政党が「結党200年目」を迎えられるかどうかは、日本国民が賢明であるかどうかにかかっているのかもしれません。組織政党の退潮が続く先日の『過去7回分の参院選比例で振り返る「民主党系の凋落」』では、参議院議員通常選挙のうちの比例代表... 100年を迎えるも組織の若返りに失敗する日本共産党 - 新宿会計士の政治経済評論 |
また、日本共産党といえば「アンパンマンなどの政治利用」がネットを通じて拡散された政党でもあります(『あの日本共産党、今度は「アンパンマン」を政治利用か』)が、こうした順法意識の低さも、日本共産党の「大躍進」の背景にあるのかもしれません。
今度は「アンパンマンの政治利用」でしょうか。日本共産党の市議が投稿した動画に出てきた「アンパンマン」、そのクオリティの低さもさることながら、どうも『それいけ!アンパンマン』公式サイトに記載されているコンテンツ利用ルールに提唱しているのではないかとの疑念は払拭できません。ツイッターを含めたSNSは非常に便利なツールであり、文章だけでなく写真、動画などであっても簡単に投稿することができます。このため、たとえば政党関係者が支持者に対し、みずからの活動状況などを動画にして投稿する、といったことも、と... あの日本共産党、今度は「アンパンマン」を政治利用か - 新宿会計士の政治経済評論 |
いずれにせよ、社会のインターネット化が進むと、情報がより自由に流通するようになり、また、新聞・テレビなどのオールドメディアによる官僚機構や特定野党の擁護が国民に通用しなくなってくることで、社会は少しずつ変化していくのでしょう。
(※なお、統一地方選にかんしてはほかにもいくつか気になる話題がありますので、それらについては別稿で議論するかもしれません。)
View Comments (8)
なりふり構わず候補者を擁立してた勢いは何処に・・?
「無投票当選の増加 = 共産党の衰退」って構図ではないのかと。
*人員も資金も限界なのかもですね。
立憲民主党さんもなかなかで、選挙直前の小西文書問題は影響なかったとか…
そうかもしれません。
岩盤支持層はそのまんまですし、変わりようが無いのかも知れない。
ああ…一度でいいから「この人に託したい!」って人に投票してみたい。
昨日の奈良知事選は、ヤフコメの大多数が言っているように、高市さんではなく、自民党の「いつまでおるんやてめえら(2Fと元知事と県のなんとか会長)」の敗北です。
お世話になります。地元兵庫県議会議員選挙の結果は、定員86で以下の通りでした。
前回 今回
自民 31 ↘︎ 24
公明 12 ↗︎ 13
共産 5 ↓ 2
立民 4 → 4
維新 4 ↑ 21
国民 1 ↓ 0
無 22 → 22
この後、自民党や維新に合流する無所属もいますから確定とは言えませんが、共産党はたったの2議席!
高齢者の動員もパワー無かったし、先ずは何よりやってる事が出鱈目なんで、有権者も愛想つかせたのでしょう。もう戻りませんヨ。
維新は大躍進ですが、どうしても橋下氏との関係が強そうで、そうなると親中ですから、未だ投票はしたくないですネ。
私は無党派層なので、特にどこの政党の候補でも良いのですが、感覚で決めるのではなく、NHKなどが行っている候補者のアンケートを自分でもやってみて、一致するものが一番多い候補に投票しています。
結果として、共産や立憲の候補に投票することはないです笑
今までアンケートが択一式ならそれができて、文章だとできなかったのですが、今回chatGPTが公開されたことで変化しました。各文章間の類似度が簡単に判定できるようになったのです。今まで定性的にしか選べなかったものが定量的に評価できるようになった。これは大きい変化です。
別に自分で回答を用意してそれと比較しなくても良く、これと比較したいという文と比較すればいいのです。つくづく良い時代になったものだと思います。
日本共産党からの社会批判は全部ダメって訳ではないのですが、あれ系の批判をちゃんと出来る野党が育っていないのがダメなのであって、日本共産党の議員が各都道府県議会に一名は居た方が良いって訳ではないんですよね。
共産党の岩盤支持層の高齢者がどんどん他界してる影響かも?60年安保で学生だった世代はもう80代だし
日本共産党にしろ、立憲民主党にしろ、中央が足を引っ張っているんだよなぁ。
地方議員は、地味によい仕事をすることもあるので。
でも、京都は何とかしないとあかんですね。。