韓国の野党議員が「汚染水海洋放出反対」を叫んで来日したものの、肝心の東京電力役員との面会も実現せず、それどころか日韓議連との懇談も行われない見通しです。韓国の大騒ぎを無視し、日本が国際的な常識・基準・ルールに則って粛々と行動をする、という実例が、福島原発ALPS処理水海洋放出で実現するのだとしたら、これは画期的な話といえるかもしれません。
「汚染水」で濃度は172bq/㎥から172.001bq/㎥へ
以前の『福島「汚染水」でトリチウム濃度は約10万分の1増大』などでも紹介したとおり、日本が今後10年間で年間最大約22テラベクレルのトリチウムが含まれた「汚染水」を放出した場合、韓国の管轄海域に流入するトリチウムは、立方メートル当たり0.001ベクレル増える、という試算があります。
韓国メディアによると、今後10年間における福島第一原発「汚染水」の海洋放出により、韓国管轄海域のトリチウム量は約10万分の1増えるのだそうです。具体的には0.001ベクレル/㎥で、現在の韓国の海域における平均トリチウム濃度が172ベクレル/㎥であることを踏まえると、「現在の分析機器では検出が難しい程度の濃度」なのだとか。日韓諸懸案といえば自称元徴用工問題が有名ですが、それだけではありません。民主党政権禍の2011年3月に発生した福島第一原発事故の影響を受け、ALPS(多核種処理装置)での処理水が福一サイトに... 福島「汚染水」でトリチウム濃度は約10万分の1増大 - 新宿会計士の政治経済評論 |
現在の韓国の海域における平均トリチウム濃度は立方メートル当たり172ベクレルだそうですので、日本の「汚染水」放流により、これが172.001ベクレル/㎥になるのです。シミュレーションを行ったのは韓国の研究機関で、韓国メディアによると、これは「現在の分析機器では検出が難しい程度の濃度」です。
それにもかかわらず、韓国では日本のALPS処理水海洋放出計画に対する反発が広まっています。
本当にやってきたようだが…
こうしたなかで、福島第一原発の「汚染水」の海洋放出に強く反対する、韓国の野党に所属する複数の議員が訪日を計画している、などとする話題は、先日の『韓国野党要求に日本の公使「外交ルート通せ(意訳)」』などでも取り上げたとおりです。
福島第一原発の処理水の海洋放出を巡り、明日以降日本を訪れる予定の韓国の野党議員らが、それに先立ち、日本大使館を訪れて浪岡大介公使に抗議文などを手渡したのだそうです。ただ、浪岡公使は一行に対し、「日本政府は韓国政府に十分に資料を提供している」、「(不足する場合)韓国政府を通じて要請してくれれば資料を提供する」と述べたそうです。意訳すれば、「正式な外交ルートを通せ」、という意味です。菅総理の日韓議連会長就任後最初の仕事が「面会拒否」日本が計画している福島第一原発の海洋放出を巡り、韓国の野党などの... 韓国野党要求に日本の公使「外交ルート通せ(意訳)」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
その議員らが、本当に日本にやってきたようです。
訪日の韓国野党議員 IAEA報告書「日本の専門家も信頼していない」
―――2023.04.06 21:32付 聯合ニュース(日本語版)より
韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)の報道を総合すると、韓国の4人の議員らは6日、日本にやってきて、まずは東京電力本社前で垂れ幕を広げ、「汚染水」の放出計画を非難したようです。
これに先立ち、国際原子力機関(IAEA)は5日、ALPS処理水放出後の海水の監視体制を巡り、「信頼できる」と評価したのですが(詳しくは4月6日付の経産省の報道発表等をご参照ください)、「ともに民主党」所属の魏聖坤(ぎ・せいこん)議員は東電本社前で、次のように述べたそうです。
「日本の専門家も信頼できないと話していた。IAEAの権威は認めるが、すべてを信じて任せることはできない」。
魏聖坤氏のいう「信頼できないと話した日本の専門家」とやらの正体はよくわかりませんが、そもそも日本がこれから海洋に放出しようとしているものは「汚染水」ではありません。「ALPS」処理水です。
また、もしもトリチウム含有水のことを「汚染水」と定義するなら、韓国からは205兆ベクレル、中国からは907兆ベクレルもの「汚染水」を海洋に垂れ流している(経済産業省・2021年5月17日付『トリチウムの年間処分量 ~近隣アジア諸国・地域の例~』参照)ことこそ問題でしょう。
東京電力「本社前」で記者会見
ただ、聯合ニュースによると、彼らは「東電本社前で記者団の取材に応じ」た、などとありますが、アポなしで訪れて東京電力本社に入れなかった(あるいはアポを入れようとしたけれども東電側に断られた)のでしょう。実際、記事にはこうあります。
「対策団は福島第1原発の訪問や、東電の役員との面会を求めていたが実現しなかった。東電側が拒否したという」。
当たり前でしょう。
ちなみに魏聖坤氏は日本の専門家らがIAEAについて、「客観的かつ透明な情報ではなく、自分たちに有利な情報を公開しており、汚染水の海洋放出によって有害物質が人体に蓄積された場合の被害についての検討が抜けている」などと話した、と紹介したそうです。
また、尹永徳(いん・えいとく)議員も「IAEAの検証結果が信じられないというのではなく、検証の過程でわれわれが結果を信頼できるよう透明な情報公開が必要という意味」、などと述べたそうですが、「透明な情報公開」ならばすでに行われていますので、これもなかなかに意味不明です。
ちなみに聯合ニュースによると、議員らは「海洋放出を開始する正確な時期」、「汚染水の現状や分析結果」などを要求する公開書簡を東電の職員に手渡したほか、7日に福島原発周辺を視察し、「福島の地方議員や原発で働く労働者、被災者らと面会するほか、診療所も訪問する予定」、などとしています。
菅総理が会長に就任した日韓議連、面会を拒否か?
もっとも、菅義偉総理大臣が会長に就任したばかりの日韓議連との面会は予定されていないようですが、これも一種の「ガースー効果」といえるかもしれません。
『「汚染水問題」来日の韓国議員と日韓議連が面会拒否か』などでも取り上げたとおり、韓国メディアの報道によれば、日韓議連側は「ともに民主党議員らと面会するつもりは全くない」、「来ないでほしい」との立場を示していたようだからです。
韓国の野党議員らが日本にやってきて、福島県を視察する計画を立てているそうです。もっとも、これらの議員に対し、日韓議連側は面会を拒否する意向を示していると、韓国メディアが報道しました。日韓議連の会長が菅義偉総理に交代したことも影響しているのかどうかはわかりません。ただ、もっと重要なことは、「ともに民主党」が依然として韓国国会で多数を占めているという事実です。汚染水問題福島第一原発からのALPS処理水の海洋放出に先立ち、この処理水のことを韓国国内ではメディアなどが率先して、「汚染水」などと誤った... 「汚染水問題」来日の韓国議員と日韓議連が面会拒否か - 新宿会計士の政治経済評論 |
個人的にはこの議員らが日本の誰と会うのかについては興味深いところでもあります(だいたい想像できますが)。
ただ、それ以上に興味深いのは、韓国の野党議員が日本にやってきて大騒ぎして、それでも日本はそれを無視して国際的な常識・基準・ルールに則って粛々と行動をする、という実例が、福島原発ALPS処理水海洋放出で実現する、という点でしょう。
日本の現在の首相が「宏池会」の岸田文雄氏である、という点は、若干の不安要素ではありますが、それでも日韓議連を菅総理が抑えている状況は、議員外交を通じた「搦め手」が効かなくなったという意味では、韓国にとっては想定外だったのかもしれない、などとも思う次第です。
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いやぁ、政も民も同じ事やるんだなぁと。
元徴用工側が賠償要請 新日鉄住金本社を訪問
2018.11.12 10:47
https://www.sankei.com/photo/story/news/181112/sty1811120004-n1.html
>ただ、それ以上に興味深いのは、韓国の野党議員が日本にやってきて大騒ぎして、それでも日本はそれを無視して国際的な常識・基準・ルールに則って粛々と行動をする、という実例が、福島原発ALPS処理水海洋放出で実現する、という点でしょう。
>日本の現在の首相が「宏池会」の岸田文雄氏である、という点は、若干の不安要素ではありますが、〜
『韓国の“大統領”が日本にやってきて大騒ぎして、それでも日本はそれを無視して国際的な常識・基準・ルールに則って粛々と行動をする』って事をやれないのが岸田文雄ですからね。。。
以前から指摘されてきたことですが,
韓国人があのような行動を取るのは,
河野談話を代表とする日本側のこれまでの対応にも責任の一端があります。
甘やかすことで飴をもらえることを学習させてしまったからです。
国際ルールを原則とする対応をして,一切特別扱いしない。
それが,結果として日韓友好に近づくのではないでしょうか。
更新ありがとうございます。
菅前総理は流石「仕事人」ですね。
この訪問団のような人々は、不都合な科学的根拠を完全に無視します。これは日本でも「一滴の水」や「九条があるから日本は安全」と主張する人々と、同じ次元にいると感じます。
以下はついむしゃくしゃして書いたものです。興味や関係のない方は読み飛ばして下さい。
◇◆◇◆◇
言うまでもありませんが、現在のところ、この宇宙は10次元か11次元でできているとの解釈が有力です。今回の訪問団はかなり古い概念の三次元であると思い込んでいる、極めて珍しい人々です。
にわかには信じられないほど基本的な知識がないにも関わらず、放射能汚染水云々を語ること自体恥ずかしくはないのでしょうか。
おそらく放射線の定義や性質すら知らないのでしょう。放射線の種類や発生メカニズムすら知らない人々なのだと思います。
いやもしかしたら、電磁波の性質や4つの力すら知らないのかも知れません。
現代社会でそのような無知な人々がいること自体信じたくないのですが、一部の人々が無知であることは、残念ながらいくつかの観測データから推測できています。
この訪問団は明らかに様々な面で資質に欠けています。政治的立場もあるとは思います。ただ致命的なことに、知識や知能が有意なレベルを超えていないと感じました。
◇◆◇◆◇
思いっきり趣味の話をしていまい、申し訳ありませんでした。
m(_ _)m
あまりにも科学的根拠を無視する姿勢を、許容することができませんでした。アルプスの技術や得られたデータを否定することは文明社会を否定するに等しいと感じます。
自分にとってそれは、人類の科学技術に対する冒涜です。またアインシュタインやホーキンズをはじめとする多くの偉大な先人達に対する冒涜でもあります。
つい、むしゃくしゃしてしまいました⋯⋯
>科学的根拠を無視する姿勢
これは日本を含め、文明国であってもかなりの割合でいます。特に放射性物質やウイルスなどは目に見えないものなので、ある程度知識がないと直感的に脅威の度合いが理解できず、「安全」ではなく「安心」を求めたら、いくらでも難癖をつけやすいというのはありますね。不安を煽って存在感を誇示したい勢力に、政治利用されているのです。
KN様、コメントありがとうございます。
おっしゃられる通りかと思います。
否定するにせよ肯定するにせよある程度の知見が必要です。ハードルが高いことも多く、自分自身趣味程度に少し調べるぐらいです。
扇動者はあえてそこを狙ってくるという印象です。
たとえ反証された事実があっても、それを知らないか知りたがらない人々へ、何度も大きな声で自分の主張を繰り返します。
理論モデルや検証方法、引用元の提示すら行いません。
そういった姿勢を取る人々が世の中には数多くおり、それが風評や世論を作ることが多いと感じます。
>現在の韓国の海域における平均トリチウム濃度は立方メートル当たり172ベクレルだそうですので、日本の「汚染水」放流により、これが172.001ベクレル/㎥になる
その検証のためには、中韓の原発停止を要するんですけどね。
・・・・・
(訪日結果)
Q.東電前で騒いで何かくれました?
A.東電前で騒いで日がくれました。
・・。
小西「私は憲法学者だ」
菅「僕は原子力に詳しいんだ」
上が学者なら下も学者ってことになるかな。
この元総理はナゼカ熱心な反原発論者で、更にはナゼカ太陽光押しのフェスに絡んだりしてましたねぇ。ナゼカはわからないアルヨ。
中核派へ、北朝鮮指令伝えに来ただけ?
もうあの国に付ける薬はありませんね。
大統領がどういった思惑で関係改善などと言っているのか知る由もないけど、本気で改善したいならまずやらなければならないことがあるんじゃないですかね?
まず関係改善の脚を引っ張る連中をどうにかするとか。
一度交わした国家間の約束事は何があっても守るとか。
そういうことも一切なしで日本から物的及び金銭的供与だけ受けようとか厚かましいにも程がある。
こういうどうでもいいことで大騒ぎをすることが却って本当の問題の目隠しになっていることに気づかないのだろうかね。
アレ〜?朝5時の「汚染水の件で韓国野党議員が来日」という会計士さんの文を読み、コメントしました。が削除されてる(^^)?公序良俗に反する事、人格攻撃等に関するコメントはしてないつもりでしたが、気を取り直して再送します。
要は日韓議連会長が菅義偉総理で良かったと言うこと。
韓国野党議員らがアポも取らず、東京電力に押しかけたが無駄だった事。菅義偉会長も合わない、来ないで欲しいと伝えたこと。
いずれも真っ当なやり方です。韓国政治家は、日韓関係を潰すつもりなんでしょう。まずは自国の原発汚染垂れ流しを改めなさい!
>日本の専門家も信頼できないと話していた。
えっ、、キミたち、
自分の主張を強化するのに『日本の専門家』の権威を借りなければならないのか?
もっと自分の言葉で相手を説得しようよ。
ところで、『日本の専門家』って誰なの?