産経ニュースなどの報道によれば、立憲民主党の小西洋之・参議院議員は29日、衆院憲法審査会が毎月１回開催されていることを念頭に、「毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ」、「何も考えていない人たち、蛮族の行為だ。野蛮だ」などと述べたそうです。ただ、これを報じた産経やフジテレビに対し、小西氏は自身のツイッターで「放送倫理に反して攻撃的な報道を行うのはおよそ言論報道機関とはいえない」、「元放送政策課課長補佐に喧嘩を売るとはいい度胸だ」などと警告しています。

自民党議員の発言はやたら厳しく報じられる？

メディアは多くの場合、与党議員の発言を、やたらと厳しく報じる傾向があるように思えます。

たとえばつい最近も、小学館が運営するウェブサイト『ＮＥＷＳポストセブン』で、自民党の城内実・衆議院議員が２月に開かれた会合で「同性婚はウクライナが正しいという人と同じで少数派」などと「オフレコで問題発言をしていたことが判明した」、などと報じられています。

自民党LGBT特命委員会事務局長・城内実議員がオフレコ問題発言　「同性婚はウクライナが正しいという人と同じで少数派」

―――2023/03/16 13:45付　Yahoo!ニュースより【ＮＥＷＳポストセブン配信】

オフレコの発言が報じられるというのも驚きですし、また、この記事を読んでも、正直、城内氏の発言が「問題発言」なのかどうかは微妙なところだと思う人は多いかもしれません。

ただ、ここで重要なことは、とくに自民党は新聞、テレビ、雑誌といったマスコミ業界からことあるごとに「目の敵」にされる傾向がある、ということでしょう。インターネットが存在しない時代であれば、「保守派」の政治家が多数、メディアによる報道によって「失脚」させられてきたのではないでしょうか。

著者自身の「印象」で恐縮ですが、自民党議員のなかにも軽率な発言をする者はいますが、故・安倍晋三総理大臣を筆頭に、実力者になればなるほど、自身の発言には慎重であろうとするケースが多いようにも思えます。これもメディアによる「切り取り報道」の影響なのかもしれません。

それでは、この小西洋之氏の発言はどうなのか

その一方で、野党（たとえば立憲民主党）の議員は、必ずしも自身の発言に慎重であるとは限りません。

産経ニュースに昨日夜、こんな記事が出ていました。

小西氏、憲法審の毎週開催「サルがやること」「蛮族の行為」

―――2023/3/29 18:40付　産経ニュースより

記事によると、立憲民主党の小西洋之参院議員は29日、参院憲法審査会の幹事懇談会後、記者団に対し、衆院憲法審査会を巡って次のように述べたそうです。

「毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ。何も考えていない人たち、蛮族の行為だ。野蛮だ」。

産経の記事は短いので、前後の文脈が正確に伝わっていないという可能性はあるでしょう。

しかし、「サル」だの「蛮族」だのという表現は、あまり目にしませんし、もしも自民党議員が同じような単語を口にしたならば、それこそメディアは舌鋒鋭くこれを批判するのではないでしょうか。

産経によると小西氏は参院憲法審の野党筆頭幹事を務めており、憲法審査会については「憲法を真面目に議論しようとしたら毎週開催なんてできるわけがない」、「私は憲法学者だが、毎週議論はできない」などとも述べたそうです。

読売新聞やＮＨＫなどが追随報道

もっとも、この「サル」「蛮族」発言については、その後、いくつかのメディアも追随しています。

たとえば読売新聞は30日朝に配信した記事で、やはりこの話題を取り上げ、「立憲民主党の小西洋之参院議員は29日、衆院憲法審査会が毎週１回定例日に開催されていることを念頭に、『毎週開催はサルがやることだ』と述べた」などと報じました。

憲法審の毎週開催、立民・小西参院議員「サルがやること」…他党反発「厳しく処分すべき」

―――2023/03/30 07:08付　読売新聞オンラインより

読売はこの小西氏の発言に対し、「他党からは批判が出ている」などとして、その事例として「立憲民主党は（小西氏を）厳しく処分すべきだ」、といった日本維新の会幹部の発言などが紹介されています。

また、珍しくＮＨＫもこの話題を取り上げているようです。

立民 小西議員「憲法審査会 毎週開催はサルがやることで蛮族」

―――2023年3月29日 23時44分付　NHK NEWS WEBより

ＮＨＫは29日深夜に配信した記事で、「サル」、「蛮族」などの小西発言を取り上げています。

しかし、朝日新聞（asahi.com）や毎日新聞（mainichi.jp）、時事通信（jiji.com）などのサイトで検索をしてみたところ、現時点でこれらのメディアは「小西発言」を取り上げていません。ただし、共同通信が配信した記事が、（なぜか）日経新聞に掲載されていました。

衆院憲法審の毎週開催批判　立民小西氏がサルに例え

―――2023年3月29日 19:37付　日本経済新聞電子版より【共同通信配信】

自民党議員が「失言」「問題発言」をすれば、鬼の首を取ったように嬉々として報じるわりに、やはり野党議員の発言については、メディアはあまり積極的に報じているフシがない点については、なんだか、ずいぶんと不思議な気がします。

小西氏は「元課長補佐にケンカを売るとはいい度胸」と応じる

なお、問題のこの発言について、小西氏は自身のツイッターで、「オフレコで発言し、すぐに撤回していたものだ」と釈明しています。

そのうえで小西氏は、産経とフジテレビを巡り、「放送法の解釈改変をはじめすさまじい違憲、違法の数々の実態をまったく報道せず、そうした異常な状況で『違憲の調査審議』という法的任務を放棄」（？）しているなどと批判したうえ、両社については「今後一切の取材を拒否する」と述べています。

そのうえで小西氏は、「放送倫理に反して攻撃的な報道を行うのはおよそ言論報道機関とはいえない」、「元放送政策課課長補佐に喧嘩を売るとはいい度胸だ」、などとも述べています。

このあたり、個人的には「不適切な発言でした」、「申し訳ございませんでした」と釈明するのが先ではないか、という気もしないではありません。謝ったらなにか不都合でもあるのでしょうか？

余談ですが、この批判の原因が当該報道にあるのなら、小西氏は少なくともこれを報じたＮＨＫ、読売新聞、共同通信、あるいは共同通信の記事を配信した日経新聞についても、一切の取材を拒否しなければ理屈に合わないような気がしますが、いかがでしょうか？